東方家族録   作:さまりと

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第38話【2人の来客】

信「やっと終わったか。」

 

時はさらに流れて今日は始業式。ついに俺たちも3年生だ。

そんな中錬と桜と一緒に下校していた。

 

錬「もう3年生か。」

桜「受験怖い。」

信「まだ時間はあるんだから勉強しろよ。なんなら教えてやるから。」

桜「うん。」

錬「そういえば今日いきなり先生に呼び出された1年生が2人もいるらしいぞ。」

信「マジかよ。」

錬「それにその2人双子らしいんだよな。」

(ん?)

桜「それも男女の。」

錬&桜「「ニヤニヤ。」」

信「...あいつら何したんだよ。」

錬「まあ真と愛ちゃんのことだし。」

桜「心配する程のことじゃないでしょ。」

信「だといいんだけど。」

 

不安を残し、家族の待つ我が家へと足を運ぶ。

 

 

キングクリムゾンッ!!

 

 

信「ただいま~。」

コト「主、おかえりなさい。」

モコ「ワンッ!」

信「ああ、ただいま。お前本当にでかくなったな。」

 

まだ1年たっていないというのにモコの体はコトと同じくらいの大きさになっていた。

 

モコ「ガウッ!」

信「真たちはもう帰ってきてるか?」

コト「はい。御二人ともなにやら深刻そうな顔をしてました。」

信「そうか。2人は居間か?」

コト「はい。」

コトに教えてもらった通り2人は居間にいた。なにか話していたようだ。

信「ただいま。」

愛「あっ、信にい。」

真「おかえり。」

信「...今日先生に呼び出されたらしいな。」

真&愛「「うん。」」

信「なにがあったんだ?」

真「ちょっと相談を持ちかけられたんだよね。」

愛「しかもそこそこ重大な。」

信「高校生になりたてホヤホヤのお前たちにか?」

真「俺たちにって言うか...。」

愛「信にいにだね。」

信「俺に?」

真「うん。留学生のことは知ってるでしょ?」

信「ああ。そういえば噂になってたな。」

 

今年の1年生には2人の留学生がいると学校の中で噂になっていた。

 

愛「その留学生はホームステイする予定だったらしいんだよね。」

信「ほうほう。」

真「ただその途中で手違いがあったらしくて。」

愛「本来のホームステイ先だと色々大変らしいんだよね。」

信「その手違いってのは?」

真「どこの国から来るのかが間違って伝わってたみたい。」

信「大変らしいって言うのは...」

愛「2人とも日本語をほとんど話せないらしいんだよね。」

信「...2人の母国は?」

愛「フランス。」

真「ロシア。」

信「...相談ってのが?」

真&愛「「信にいに日本語を教えてほしいって」」

信「Oh...。」

真「先生は信にいがフランス語もロシア語も話せるからって」

愛「それを私たちから頼んでほしいって。」

信「確かに話せるけど……。まあいいか。それで?俺はその二人にいつ教えにいけばいいんだ?」

真「まあ……ね?」

愛「今その2人はアパートに部屋を借りてるらしいんだけどね...」

真「本当はその部屋別の人が使う予定だったらしくて。」

 

嫌な予感がしてきた。

 

信「質問を変えよう。その2人は『今日』、どこで寝泊まりする気だ?」

 

すると2人は無言目を逸らしながら真下を指差した。

 

真「先生が言うには……」

愛「学校以外でも出来るだけ教えてほしいって」

信「おいおい。」

 

ピンポーン

 

コト『主、来客ですがどうやら日本人ではないようです。』

信『ああ、なんとなく予想はできた。』

信「来ちゃったぞ。」

真「だね。」

愛「どうするの?」

信「...追い返すわけにもいかないか。」

 

覚悟を決めて玄関の扉を開ける。

1人は身長はそれほどでもなく、風に揺らされた肩くらいまで伸ばした金髪と、青い瞳が特徴的だった。

1人は人型時のコト程の身長で、腰まで伸ばした長い銀髪を風になびかせ、高身長のわりには童顔だが落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

どちらも漫画に出てくるような美少女だ。

 

?「Bonjour (はじめまして).Mon nom est Emma(私はエマ).」

?「Здравствуйте!(はじめまして). Меня зовут Алиса(アリサといいます。).」

 

もちろんその口から日本語が出てくることはなかった。

 

(金髪がエマで銀髪がアリサか。)

エマ「...もしかしてフランス語伝わらない?(仏)」

アリサ「え...まさか言葉通じてません?(露)」

信「Can you speak English?(英語は話せる?)

 

エマとアリサは指を摘まむような仕草をしながら首を横にふった。その顔はひどく焦っている。

 

(これはキツいな。)

信「俺は信。立ち話もなんだし取り合えず中に入ろうか。(仏)&(露)」

アリサ「ダー!」

エマ「ウィー!」

 

安心したような表情と共に元気な返事をした。

 

(大変になりそうだ。)

 

 

 

信「取り合えず2人には紹介しとくな。」

真&愛「「うん。」」

信「エマ、こっちが妹の愛だ。アリス、こっちが弟の真。お前達のクラスメイトだ。(英)」

 

ゆっくりはっきりした発音で2人に伝える。

それにエマとアリサは頷いて答えた。

 

(これくらいなら分かるのか。)

信「お前たちも挨拶しろ。」

愛「ぼ、ボンジュール」

真「ズドラズドヴィチェ?」

信「こういうわけで、フランス語とロシア語を話せるのは俺だけだから2人には英語で話してくれ。単語だけで伝わると思うから。(仏)&(露)」

真「信にいが3ヶ国語使い分けてる。」

愛「なんか格好いい。」

エマ&アリサ「ナイストゥミートゥマコト、チカ」

愛&真「ナイストゥミートゥトゥ!」

 

4人はお互いに握手を交わしている。

 

信「でも授業とかどうするんだ?2人とも同じクラスなんだろ?」

愛「そう言えばそうだね。」

真「俺たちは聞いてないよ。」

信「授業の時どうしろとか先生から聞いてるか?(仏)&(露)」

エマ「聞いてるよ!(仏)」

信「なんて?」

アリサ「大体のことは信に任せるって。(露)」

信「Oh...。」

愛「なんだって?」

信「...2人のことは俺に任せるそうだ。」

真「え、ってことは...。」

信「...もうヤケだっ!(日) アリサ!、エマ!、日本のおもてなし精神を見せてやる!!(仏)&(露)」

エマ&アリス「ジャパニーズ O・MO・TE・NA・SHI!!」

真「信にいがやけくそになった。」

愛「まあ、仕方ないよね。」

 

ネガティブなことは考えないようにした信は、もう今日の夕飯のことしか頭になかった。

 

 




エマ (15) B型 身長159cm 誕生日8/10 セミロング Cカップ
金髪碧眼のフランス人。
幼少の頃から美しい容貌が評判で、拉致されそうになったことがある。
性格は活発でフレンドリー。だが日本語は話せない。
実はアリサと幼馴染み。
日本食と犬が大好き。
常にイヤリングをつけている。



アリサ (15) B型 身長168cm 誕生日7/10 ロング Gカップ(日本基準)
銀髪のロシア人。
落ち着いた雰囲気を感じるが実際はそんなに落ち着いていない。
自分の意思はしっかりもつタイプで周りに流されることは少ない。
動物はなんでも好き。
実はエマと幼馴染み。
常に指輪をつけている。

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