コ「もう準備できましたね。早く寝ましょう。さあっ!、さあっ!!」
信「分かったから落ち着けって」
宴会から帰ってきた真達に土産を渡してなんやかんやあってもう寝る時間だ。コトは傷を早く完治してほしくてものすごい早口になっている。
信「ふぅ~。それじゃあ頼む」
コ「良い夢を」
コトが心地よい音を奏で始めるとすぐに睡魔が襲ってきた。それに抗う理由もないのでそのまま夢の世界に入っていった
今いるのは夢の中。そうは言っても真っ白いだけの空間だ。そしてそこにはいつものメンバーに2人加え、総勢7人になった
信「さ、では改めて自己紹介を」
旦「では私から。我はサラマンダー。四大精霊の1人、火を司りし大精霊である。周りからは旦那と呼ばれている」
ディ「私はウンディーネ、水を司る精霊です。ディーネとお呼びください」
信「明渡 信だ。普通の人間。それじゃあ早速本題に入ろうか」
旦「我々がどうしてあのような道具のなかには言っていたことでいいのか?」
信「ああ」
ディ「事の発端は300年前。突然フェリーチェが姿を消しました」
フェ「………」
ディ「そしてそれは、世界の危機であることも意味していました。我々四大精霊は各々の力を使い、調和させて世界の均衡を保ち続けていました。ですがその均衡は、フェリーチェ無しでは簡単に崩れてしまいます。私達も出来るだけ探しましたが見つけることはできませんでした」
旦「そこで我々はその状況を打開すべく、修行を始めた」
(ふむふむ………ん?)
旦「フェリーチェがいなくとも世界が崩れないようにと。我々だけで世界の均衡を保てないかと。それをするためには莫大な力が必要だったんだ」
ノ「それで皆が力をつけて世界の均衡は保たれましたとさ」
信「めでたしめでたしってなるか!ノーム絶対適当に締めただろ!」
ノ「えへへ~」
鬼「なぜ照れる」
ディ「まあ、それが一番良かったというのも事実なのですが……」
信「それで?世界の均衡を保たなきゃいけない四大精霊がどうしてイヤリングやら刀の中なんかにいたんだ?」
旦「………我々は力をつけた。時間は少なく、正直焦っていた」
ノ「僕も相当頑張ったんだよ~。あんなに頑張るのはもう嫌だけど。」
ディ「そして皆、ギリギリまで必死にも力をつけ続けていました。その結果………なんですが………」
信「力をつけすぎた?」
旦「……いかにも」
ノ「これじゃあ逆に世界が危ないってなって僕たちはあの道具のなかに自分達を封じ込めたんだよ~。僕たちを宿しても平気な生命体が現れるのを信じてね」
信「………四大精霊ってのはドジなのか?」
ディ「うぐっ!」
旦「そういわれても無理はない」
信「フェリーチェは悪霊と間違えられて封じ込められたわけだし……」
旦&ディ「今なんと?」
信「ん?フェリーチェが悪霊とと間違えられて封じ込められたって」
ディーネと旦那の顔から光が消えた
ディ「フェリーチェ?」
フェ「はっ、はいっ!!」
旦「今の話は本当か?」
フェ「えっと、まあ、はい...」
ディ「少し話をしましょうか。信殿、少し場所を提供していただけませんか?」
信「ああ」
信がなにもない空間に手をかざすと現れた
信「その中なら外には絶対聞こえないぞ」
ディ「有難うございます」
旦那の表情は明らかに起こっていることがわかる。だが、ディーネは笑顔のままその表情が全く動かない。逆に恐い
旦「っと、逃げるんじゃないフェリーチェ。話したいことはたくさんある」
その場から全力で離れようとしたフェリーチェの首根っこを旦那は掴んだ。捕まったフェリーチェは必死に抵抗する
フェ「ノームッ!!助けてっ!」
ノ「助けたら後が怖いから嫌だな~」
フェ「魔鬼っ!!」
鬼「………」
フェ「せめて反応してよっ!!共っ!君なら!!」
共「諦めて怒られるんだな。」
フェ「信っ!お願い、なんでもするから」
信にお決まりの言葉と共に最後の助けを求める。その表情は焦りと恐怖そのものだ
だが……
信「安らかに」
フェリーチェに向けて合掌していた
フェ「しいいいいいいいいいいいいん!!!」
ディ「早くいきましょう。話したいことがたくさんあります」
旦「うむ。それではしばらく失礼する」
フェ「嫌だああああ!!」
3人は(1人は無理矢理)扉のなかに入っていった
信「そんなにあの2人は恐いのか?」
ノ「とんでもないくらいにね」
共「………信、体は平気なのか?」
信「ん?ああ、なんともないぞ。どうした?」
共「いや、世界に影響するほどの力を持った精霊を4人も宿して大丈夫なのかと」
信「…………はっ!!」
鬼「まさか本当に気付いてなかったのか」
ノ「僕も不思議だったんだよね~。フェリーチェも修行してたみたいで僕たちと殆ど差がなかったし」
信「初めてあったとき体の調子を聞いてきたのはそういうことか。」
ノ「でも信が紫と戦ってるところを見て納得できたよ~。君にはそれ相応の力があるってだけだったし」
信「それでいいのか?」
鬼「信なら仕方ないだろ」
共「信なら仕方ないな」
信「それでいいのか……」
ノ「ふわぁ~。それじゃあ僕は寝るよ」
信「そういえばどうやって寝てるんだ?」
ノ「向こうの空間で雑魚寝してる」
信「ベッドとか要らないのか?」
ノ「欲しいけど……無い物ねだりはするなって旦那達に言われてるしね」
信「俺の魂の世界だから簡単に出せると思うぞ」
ノ「本当に!?」
信「一回向こうに移動するか」
もう一度信が手をかざすとまた扉が現れた。扉の上には『魂』と文字が浮かんでいる。
扉を開けて潜ってみると、そこには何もない真っ白い空間が広がっている。今はまだ明晰ルー夢となんら変わりはない
信「ん~。住人も増えてきたしもっと生活感がほしいな」
そう言った信はその場に座り込んで目をつむった。
信「ここには……いやでもこっちの方が……でも6人もいるし……」
ノ「ね、ねえ信?。なにをぶつぶつ……」
共「まあ待てノーム。多分面白いことになるぞ」
ノ「面白いこと?」
旦「やはり全員こちらにいたか」
共「もういいのか?」
ディ「ええ。信殿は何をなさっているのですか?」
鬼「信は今ちょっと取り込み中だ」
ノ「ねえ、面白いことって……」
信「よしっ!決めたっ!」
パチンッ!
ブツブツ何かを呟いていた信が突然立ち上がると、指を1つ鳴らした
ノ&フェ「「うわぁ」」
信「うん。大体こんな感じかな……。シェアハウスをイメージしてみんだが……どうだ?」
ノ&フェ「「うわああ!!」」
鬼「いいんじゃないか?」
共「にしても本当になんでもありだな。魂の世界に家建てちまうなんて」
信が指を鳴らした瞬間、真っ白い空間は1つの部屋に変わった。
今はリビングのような所に皆がいる。内装は大きめのテーブルに7個のイスが添えられていて、それとは別にちゃぶ台がありそれを挟むように3人くらいが座れそうなソファが2つ。テレビや電話もそれらしい所に置かれていて、空間の奥の方にはキッチンがあり、壁には1つの扉がつけられていた。
信「正確に言うと魂その物をこの家の形に変えたんだけどな。」
旦「人間にそんなことが………」
信「キッチンとかは実際に使えるぞ。まあ、俺の記憶のから産み出した物だから食べたりしてもなにもないが」
フェ「味もしないの?」
信「味はするけど食べる前となにも変わらないってのが正しいな」
ディ「それでは料理もできるのですか!?」
信「できるけど……」
旦「ディーネは前から人間がする料理とやらに興味があったのだ。なにぶん、我々精霊は食事を必要としないので機会もなくてな」
信「そういうことか。やりたいときは冷蔵庫の中に食材が入ってるから自由に使ってくれ」
ディ「ありがとうございます!」
信「さ、まだまだ紹介したいところは残ってるんだ」
そう言いながら壁にある扉を開いて行った。扉の先には普通に廊下があり、出てすぐ左の廊下の壁にはいくつもの扉があり、その上には『共』や『魔鬼』などとそれぞれ名前が書かれていた。そして、右側には突き当たりに他とは違うデザインの扉が2つ取り付けられている。
信「全員分の部屋も用意したからな。自由に使ってくれ」
ノ「これ僕の部屋!?」
信「ああ」
信の後に廊下に出たノームは、すぐさま自分の名前が書かれた扉に駆け寄った
ノ「わぁああ!」
1人で寝るには十分すぎる大きさのベッドと勉強机があるだけの非常にシンプルな部屋だ
ノ「ベッドだあああっ!!ふかふかだぁ」
ベッドが目にはいった瞬間ノームはそれにダイブし、掛け布団を抱き寄せてゴロゴロしている
信「今は全部同じ様な部屋だけどこの後変えれるから自分の部屋をどうするのか決めておいてくれ。広くしたりも出来るし、なんなら他の誰かとおんなじ部屋にするってのもできるぞ」
フェ「本当!?ディーネ!一緒の部屋にしよっ!」
ディ「いいですよ。信殿、そのようにしていただいてよろしいですか?」
信「おk、2人の部屋は一緒にしておく。ああ、それともう1つ。あの扉についてなんだけど……」
信が指を差した方の扉にはそれぞれ左は『明晰ルー夢』、右は『外』と書かれている
信「何となくわかるだろうけど、左は向こうの空間にいく扉、右は外の世界に出る扉だ。共と魔鬼は実態がなくて出れないから気を付けろよ」
共鬼「「分かった」」
信「これで全部だ。それじゃ、朝が来るまでみんなの部屋の模様替えといこうか」
Let's before after
フェ「終わっっったああ!!」
共「たまにはこういうのも悪くないな」
ディ「ええ。新鮮で楽しかったです」
信「お、タイミングよく朝が来たな」
全員の要望に答えながら部屋の模様替えを行い、全員が終わったところで丁度朝になった
といっても午前4時の外はまだ暗い
信「そろそろ起きるな。また何かあったら言ってくれ」
「ああ」「おう!」「うん!」「スヤァ」「ええ」「うむ」
挨拶を済ませて目を覚ます
ジリッ…と目覚ましがなると同時に停止させて体を起こした
信「………ちゃんと治ってるな」
からだの感触を確かめながら傷が完治したことを確認する。やはり寝る前までの違和感が完璧になくなっている。
コ「ふわぁ…。おはようございます主。相変わらず早…起き……で…す……ね」
信「ああ、おはようk「今度はいったい何をしでかしたのですかっ!!」」
信の挨拶を遮りながらコトは驚愕する。何に驚いているのか信には分かっていないため驚きを返している
信「しでかしたってなにもやってないよ」
コ「嘘ですっ!また主の力が変になってます!なんですかその妖怪のような力はっ!?」
信「よ、妖怪?」
妖力の流れを感じてみると確かに自分のなかに流れている
信「一体どうなってんだ?」
ディ『あの~…信殿?その事についてなんですが……』
信『ディーネ?なにか知ってるのか?』
ディ『その…ですね……私達四大精霊が貴方の体にいる状態で傷を急速に治したため、……傷を治す際に私達や魔鬼殿の妖力が吸収されたようで……』
信『ってことはこれは皆の力の借り物でいいのか?』
ディ『それが……信殿の体が妖力が流れ込んだのに反応してそれを生成する器官を作ってしまったようです』
信『……つまり?』
ディ『それは正真正銘、貴方の力になります』
信「……マジかよ」
妖力が生成する力が手に入り、驚きながらあることを思った
共『ようこそ。人外のせかいへ。』
信「『やめろおおおおっ!!』」
一歩、人間の道から外れた。と
思わずあげた叫び声は、まだ暗い明渡家に大きく響き渡った
ちなみに妖力も霊力や魔力と同等の量になっています。
人外人外♪