東方家族録   作:さまりと

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次でこの異変中の弾幕ごっこは最後になります。
果たしてだれとやるんでしょうかねえ。



第57話【夕日に照らされて】

「それじゃあ行ってくるから。……ちゃんと片付けときなさいよ?」

「イエスッマムッ!!」

 

 肯定の言葉を全力で放たれたのを確認すると、霊夢はどこかに向かって飛び立った。

 昨日のレミリアとの戦いの後始末を今日中に全てやれたらプリンを食べる権利を返上してくれるというので気合いが入っている。

 

「にゃはははっ!」

「笑うなよ萃香。こっちはプリンがかかってるんだ」

「まったく、そんなにプリンが大事か?」

「レミリアが希望とまで言ったプリンだ。自分の舌で確認しなきゃ気がすまない」

「ふ~ん」

「それに甘いもんは大好きだからな」

「……手伝おうか?」

「いや、あくまで条件は俺1人で片付けることだからな。ズルはしたくない」

「真面目だねえ」

「そうか?んじゃまあ、頑張りますかねぇ」

 

 やることは建物内の掃除、家具の整理、障子の張り替え、桜の木の植え直し、クレーターの処理だ。後半2つは本来一人でやるのはおかしいかもしれないがそれでもやるしかない。

 

「絶対にプリンは食ってやるからな!」

 

 明渡信のプリンをかけた孤独な戦いが今始まる!

 

 

 

 

 

-------------作業中----------------

 

 

 

 

 

「よっと。これで内装は終わりだな」

 

現在は午前11時半。障子や家具の整理が3時間かけてやっと終わった

 

「随分手際いいね。障子は向こうではあんまり使われてないって紫に聞いてたけど?」

「障子は家でも使ってるんだ。でも弟たちがよく破るんだよな~。それ直してたら慣れちゃった」

「誰かいるかー?」

「ん?」

 

聞き覚えのある声が神社の正面から聞こえた。行ってみるといつもの魔法使いコンビが手を振っていた

 

「よっ!信」

「よう、魔理沙、アリス」

「お邪魔するわね」

「今日は2人揃って来たんだな。異変の情報は渡さないぞ」

「今日はそれじゃないんだ」

「私は昨日魔理沙に疑われたけどね」

「だって信が堂々と宴会にいたって言うから……」

「はっはっは。まあ立ち話もなんだから上がってけよ。お茶出すから」

「なんなら昼飯も出してくれてもいいんだぞ?」

「それが目的か……。アリスも食うか?」

「お願いしていいかしら」

「うし。じゃあ準備するからちょっと待っててくれ」

「信。他に誰かいるの?」

「ん?どうしてだ?」

「さっき誰かと話してるように聞こえたんだけど……」

「私もだぜ」

「……どうだろうな」

「あっ!なんか隠してるんだぜっ」

「そんなことなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくなくない」

「どっちだぜっ!?」

「待ってる間に数えてろー」

「ええ゛!!えっと。1、2……」

「フフッ」

 

指を折りながら四苦八苦している魔理沙とそれを見てクスクスと笑っているアリスを背にして台所に向かった

 

 

 

 

 

「ほい、お茶」

「ありがとう」

「7、8、偶数は肯定……あれ?否定だっけ?」

「辛いの大丈夫か?」

「あまり得意ではないわね」

「魔理沙は?」

「おお。大丈夫なんだぜ。4、5……」

「了解。すぐ作るからな」

 

 

 

 

 

「またタイってところの飯作るのか?」

「いんや。今日は中華だ。中国って国のやつなんだがこれがまた美味いんだよ。そういえばこっちに無い調味料使うんだった。ちょっと持ってくるよ」

「いってらー。私のは少し辛めで頼むよー」

 

昨日の様に一時帰宅。幻想郷は食材の質が良いけどやっぱり種類が少ない。そのためいちいち戻ってこないといけない。

 

(そのうちゆかりんに用意してもらおうかな……)

「あっ!信にい。あっちに泊まり込むんじゃなかったの?」

「愛か。あっちでアリス達に飯作ろうとしたんだけど調味料がな。ちょっと取りに来たんだ」

「何使うの?」

「豆板醤と甜麺醤。それとトウチも向こうに無いからな~」

「ん?あれ作るの?」

「ああ」

「ならついでにこっちの分も作ってよ。こっちもこれからだからさ」

「おk。それじゃあエマとアリサに……」

「信さん?」

「私たちがどうしたのよ」

「丁度よかった。お前たち辛いのどれくらいいける?」

「「大好きよ(です)」」

「そうか。じゃ、ささっと作るかな。愛も手伝ってくれ」

「あいよー」

 

 

 

 

 

 

 

「うし。出来た」

「相変わらず美味しそう。……じゅるり」

「これは……中華ですか?初めて食べます」

「早く持って行こうよっ!」

「待て待て。それじゃあこっちが甘口、こっちはピリ辛、こっちは中辛、こっちは辛口、こっちは激辛。間違えるなよ~。強太達に激辛食わせたら失神するからな」

「はいはい。ってか早く向こうに行った方がいいんじゃない?みんな待たせてるんでしょ?」

「そうだった。じゃあ行ってくるよ」

「「「いってらっしゃい(です)」」」

 

「肯定、否定、肯定、否t「お待たせっ!」」

「うわっ!ビックリさせるなよ。肯定……あれ?」

「随分静かだったけどなに作ってたの?」

「色々あって向こうで作ってた」

「「いいから早くっ!」」

「ヘイヘイ。今回は中華の定番、麻婆豆腐でございます。アリスのはピリ辛、魔理沙のは辛口で作っておいた」

(萃香のは中辛な)

「早く食うんだぜっ!」

「それでは皆さん御唱和ください」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「美味しいわ。辛さも丁度どいいし。それに食べたことがない味がする」

「幻想郷には無いやつを使ってるからな」

「うみゃーっ!グピッグピッ!ぷはっ!くぅー、堪らないねー!!」

 

美味そうに酒を飲んでいる萃香だがその目元には涙が浮かんでいる。中辛でも少し辛すぎたのだろう

 

「口にあったようで何よりだ。魔理沙はどうだ?」

「かっ、」

「ん?」

「辛ええええええっ!!」

「はっはっはっはっはっは!!」

「は、はいっ水!」

「んぐっんぐっっ……はぁあ」

「そんなに辛いの?」

「辛いんだぜ」

「大袈裟だなあ。ムグムグ」

「絶対に辛いんだぜ!……でもどうしてだ。止められないんだぜ……」

「そういう料理だからな。辛さはあるけどその中にしっかりとした旨味がある。だから止められない」

「そういう信のはどれくらいの辛さなのかな!?」

 

そのまま魔理沙は信の分の麻婆豆腐をパクっと食べてしまった

 

「あっ!馬鹿っ!!」

「えっ?どうしt「辛えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」」

「だっ大丈夫魔理沙!?」

「俺のは魔理沙のやつの10倍辛いんだぞ」

「水ううううううううううううううううううっ!!!!!!」

 

 

~~~同時刻、明渡宅にて~~~

 

 

eauuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu(水ううううううううううううううううう)!!!!!」

водаaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa(水ううううううううううううううううう)!!!!!!」

「愛!何で2人に刺激物(信にいレベル)を食べさせたのっ!?」

「面白いかなって」

「大惨事だよ!!!」

「エマちゃんもアリサちゃんも火吹いてるーww」

「これもまたよし」

「良くないでしょ……。どうするの真にい。2人とも霊力暴走してるっぽいけど」

「押さえつけろっ!!」

 

こっちでも大変なことになっていた

 

 

 

 

 

 

「「「「ご馳走さまでした」」」」

「一時は死ぬかと思ったんだぜ」

「でも美味かっただろ?」

「だから怖いんだぜ……」

「信、今度珍しい料理教えてくれない?外界の料理に興味が出てきたわ」

「いいぞ。そのうち連絡する。それじゃあ異変解決頑張れよ」

「おうっ!絶対今回は私が解決してやるんだぜっ!!」

 

2人は一緒に飛び立っていった。恐らく紅魔館に行ったのだろう

 

「さ、あとはクレーターと木だけだ。頑張るかな」

 

腹もふくれ十分に笑った。あとはプリンのために頑張るだけだ

体を伸ばしてその場で軽く跳ねた信は本腰をいれて復興作業に取りかかった

 

 

 

 

 

 

 

「だあああああああ!!終わったあ」

 

時刻は午後5時半。作業を始めたのは1時なので4時間半かかったことになる

 

「人間があれを1人で出来るのはおかしいと思うんだけど……人間?」

「身も心も人間だよただちょっと霊力と魔力と妖力が多いだけで」

『それを人は人外と言う』

『こらっ!フェリーチェ。本当にそうだとしても言ってはいけません!!』

『フォローになってないよ。(;´д`)とほほ……』

「まあこれで、プリンゲットだ」

 

内側と外側から精神攻撃を受けながら復興作業の達成感に浸る。日も落ち始めているのでそろそろ夕飯の準備をしなければと思っていた

 

「今日はなんにしようか……ん?」

 

寝そべっていると突然夕焼けの日差しが遮られ、顔のところに日陰が出来た。体を起こしてみると結構いた

 

「おかえり、霊夢」

「……ただいま」

「それにどうしたみんなも一緒で」

 

そこには霊夢だけではなく魔理沙、アリス、咲夜、レミリア、妖夢の計6人がいた

 

「片付け終わったぞ。これでプリンは俺が食ってもいいんだよな」

「……」

「霊夢?」

「異変の元凶を知ってるって言うのは本当?」

「魔理沙達から聞いたのか?」

「質問に答えて」

「知ってるよ。なんなら一緒に飯食ったし」

「どうして教えてくれなかったの?」

「聞かれなかったからな」

「そう……」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「教えて」

「断る」

 

一瞬の沈黙。だがそれは簡単に破られ両者の意見がぶつかった

 

「なら、力ずくでいくわよ!」

「ああ。受けてたつ」

 

 立ち上がりながら汚れを落とした信と共に霊夢は上空に飛び立った。

 幻想郷最強の異変解決者と強い意思をもった外来人。

 2人の強者の戦いの火蓋が今、切って落とされた




何回火蓋が切っておとされるんだよ……
語彙力がないって悲しいですね
そういえばこれは余談なんですがこの回を書き終えて一番最初に思ったのが
「あれ?なんで霊夢とやることになってるんだ?」でした。やる予定すら無かったんですよね
そんなわけで霊夢対信。主人公対決の決着は次の更新で
次回もゆっくりお願いします




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