break arts~Arts of strenger~   作:ベニス川 ジョン助

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世界

second story

 

時間も9時半を回ろうかという頃

 

「ガチャ」

 

「帰ったぞ妹よ」

 

ユーフォニウムの奏でる音色のような、耳に溶け込む低く美しい声が家の廊下を満たした、その声に向かって「タッタッタッタッ」という軽やかなリズムを携え1人の女の子が晴れやかな笑みで現れた。

 

「おかえri……」

 

笑顔が崩れた

 

「ただいま」

 

「にゃっ」

 

こちらは晴れやかな笑みと猫を向けて短い挨拶を返してきた、

 

「どうした妹よ、少しアホっぽい顔をしているぞ、」

 

「そうだな今の顔を簡単に例えるならば偏差値が突如30程下がるとそういう顔になるかもしれん」

 

兄のよく分からない例えに混濁した意識を引き戻された。

 

「なんで猫ちゃん抱えてるの?」

 

「芸術の為だ」

 

兄と話していると時々言語とはなんなのか苦悩する妹をはために兄は更なる追い打ちをかける

 

「妹よ、この生き物は喋るんだ」

 

頭も良くてイケメンで声も素敵で優しい兄だがこの様に突如ヘンテコな事をいう時がありそれを可愛いとか思ったりもするが“いやいや”と頭をふり大事な所に論点を戻す。

 

「じゃなくてお兄ちゃん!!その子どうしたの!?」

 

「この生き物は公園で拾った」

 

「お兄ちゃん猫ちゃん飼うの!?あんまり動物好きって話し聞いたことないけど」

 

「ふん、動物は決して嫌いではないが飼いたいと思うほど好きではないな、しかしこの生き物は例外だこの生き物はなかなかに興味深い」

 

「えっなんで?」

 

「喋るんだ」

 

「えっ?」

 

「おい知性体、なにか喋るんだ」

 

「にゃ」

 

「“にゃ”ではない、貴様妹の前で恥を欠かす気か?」

 

「ならば貴様それ相応の覚悟をしてもらう事になるが構わないか?」

 

「あぁ、わかったにゃわかったにゃ(焦)喋るからそんな怖い顔しないで欲しいにゃ」

 

「うそ!?猫ちゃん喋った!?」

 

「ふん、なかなかに興味深いだろ」

 

「すごーい!!すごーい!!猫ちゃん喋ったすごーい!!」

 

これにはたまらず大歓喜な妹で、その姿を見て兄はつい顔がほころんでしまう。

 

「まぁ、そういう訳なんだ、それよりだな妹よ、先程から私好みの大変奥深い香りがするのだが」

 

「あっ!!そうだよお兄ちゃん!!もう帰ってくるの遅いんだから、今日はお兄ちゃんの好きなハンバーグだからね!!」

 

「……」

 

「お兄ちゃん?」

 

「素晴らし過ぎるぞ妹よ、君はなんて優秀な子なんだ」

 

「もうお兄ちゃんたら///早く食べるよ!!もう///」

 

「このシスコンメガネめ」

 

そんな猫の発言に少し怒ったのか、無言で猫をクルクル回し出した兄と、回されて「にょ〜〜〜」と妙な唸り声を上げてる猫を笑顔で見つめる妹はハンバーグを食べるためリビングルームへ向かった。

 

そして妹も寝静まり夜も更けてきたころ猫と向き合った彼は猫に対して話を切り出した。

 

「知性体よ、お前の知っている事を全て話せ」

 

「藪から棒になんだにゃ突然」

 

例の「茂村物語」を猫に聞かせ心当たりがあるか聞いた、

 

「あぁ彼か、彼をある場所に招待したのは確かに僕だにゃ」

 

「ある場所とは?」

 

「難しいにゃ、その場所自体に名前はない、しかしそこで起きている事象の名前はあるにゃ」

 

「ほう、それは?」

 

「break arts」

 

目の前の猫は事象を名をbreak arts(ブレイクアーツ)と呼んだ、

 

「break artsとな……それは美しいのか?」

 

「観たもの全てを虜にするにゃ」

 

その猫は確かに言い切ってしまった、しかし言い切った後訂正するような素振りなど微塵もなく、あるのは自信に満ちているであろう猫のドヤ顔である。

 

「なるほど…」

 

「知性体」

 

「せめて猫と呼ぶにゃ」

 

「そうか、ならば猫よ俺をそこに案内してはくれないだろうか?」

 

猫は変わらぬ表情のまま彼にこう言った、

 

「この破壊(ブレイク)は、芸術(アート)だ」

 

「ただ美しいだけの花が、こんなに知られてない物だと思うかにゃ?」

 

「そのブレイクというものにおそらくその事象の本質があるのだろう」

 

「流石に分かってるみたいだにゃ」

 

「この事象は、弱い者は淘汰されるにゃ、敗北すなわちブレイクすると死なないながらもその精神も崩壊するのにゃ」

 

「もちろんその事象を行っている古参者はそのブレイクで精神を全壊させたりはしないにゃ」

 

「ぱっと見しょんぼりしてるぐらいにしか見えないくらいにゃ、しかしそのブレイクは確実に機能してるにゃ」

 

「この芸術に陶酔した者の運命はほとんどが過酷なものにゃ」

 

「それでも望むかにゃ?break artsを」

 

「ふん、私を誰だと思っている」

 

「君は誰なんだにゃ?」

 

「私は 紫ノ崎 桂馬 アーティストだ」

 

「素晴らしい回答にゃ、ならば案内しよう素晴らしき芸術の世界、永遠なる芸術の世界へ」

 

「あぁ、いざなってくれ破壊の芸術世界へ」

 

薄暗い部屋の壁に美しいネオンの輝きを放つゲートが現れその先に見えるのは、

 

「未来都市…?」

 

「どう捉えるのも自由にゃ」

 

「ようこそ!!真のアーティストのみが興じることの出来る、Break Artsの世界へ!!」

 

 

 

 

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