《おはよう!》
《お前は魚か!?》
《まぁまぁ〜》
《あんたがいるせいで……》
《2度と私に関わるなぁ!》
……これは、一体何の記憶だろうか?見た事も無い人達が沢山いる。頭が痛い。この人達は一体誰なの?分からないけど、聞いたことのあるような気がした。
『……り……翠……翠!!聞こえるか!!』
「はっはい!!……ってあれ?ここって……」
私は真っ白な空間にいた。さっきまで家にいた筈だ。
《この大会が終わったら、皆で遊びに行こうよ!》
《私海に行きたい!》
《お前は魚か》
「誰……碧……朱音……?うぅっ!?」
激痛が走る。誰かも分からない名前を呟いた気がしたが、……あと少しで……あと少しで何かが分かる気がする……あっ……
「そっか……私、転生したんだ……」
私は全てを思い出した。私は事故にあって死んで、風神様に転生させて貰ったんだ。
『気が付いたか、久しぶりじゃのぅ』
「風神様!!お久しぶりでございます!!」
『記憶は思い出せた様じゃのう』
「いえ……ちょっと記憶が混濁していて……」
『無理はするな、思い出した事は口に出して行けば良い』
私は頭の中を整理させ、自分の記憶をぽつりぽつりと話し始めた。
「私は、ミヤビって言うお母さんとシグって言うお父さんの間に生まれた。両親は、海軍って言う所に所属していた。でも、7歳の時にお父さんが死んでしまって、お母さんは私を連れて海軍を辞めた。その後お母さんはココヤシ村って所に住んで、私に『六式』って言う技を教えてくれた。それで、お母さんが流行り病で死んで……また1人になっちゃった……」
『……安心しろ。主には必ず仲間が出来る』
「仲間……?」
『あぁ……もうそろそろ時間じゃ。主には力を授ける。風を操る力と、巫女としての力。まぁ、回復とか封印など、簡単なものじゃがな。力を封じ込めた道具を机の上に置いてある。どう使うかは主次第じゃ。じゃあの』
「えっ!?もう説明終わりですか?!ちょっと早すぎません!?」
『構わん、力の使い方は自分で探るのじゃ。安心しろ、主なら出来る』
「そんなぁ〜……」
風神様に抗議の声を上げようかと思ったが、急に目の前が真っ暗なった。
「……ん……うん……あれ?いつの間にか家に戻ってる」
気付いたら、自分の家に戻っていた。机の上には、巫女が着る袴と札とか色々な物が置いてあった。ホントに用意してあるとは。
「とりあえず、家を探索しよう」
自分の家なんだけど、気持ちも何もかも変わってしまったから、改めて探索したくなった。と、言う訳でまずは私の部屋に向かった。
「御開帳〜」
ドアを開けると、ベットと机と細々した物しか無かった。今更ながらに殺風景だと思う。机の上には、トンファーが1セット置いてあった。お母さんが生前、私にプレゼントしてくれたのだった。
「懐かしいなぁ〜……」
私はそれを握って、お母さんから闘い方を習ったのだ。私はトンファーを持ち、次はお母さんの部屋へと向かい、ドアを開けた。お母さんの部屋も私の部屋とさほど変わらなかった。机の上に置いてある物が違うだけだった。
「何だろう……これ」
そこには、年季の入ったノート3冊とと手紙があった。まずは、ノートから見る事にした。
【〇月×日】
今日から日記を付けることにした。おつるさんから勧められた。ノートの柄も気に入ってるし、これなら三日坊主にはならなさそう。
「お母さんの日記……こんなの書いてたんだ」
私はページを何枚か捲った。
【〇月×日】
今日は、対人戦闘の訓練があった。私は、同期であるスモーカーとペアになった。結果は惨敗。やっぱり、能力者は強かった。
【〇月×日】
明日からいよいよ遠征だ。青雉大将も一緒らしいけど、大丈夫かな?サボらないか不安。
あと、今日科学班にてシグと言う人に会った。とても優しいし、時折ジョークも交える、嫌いな人では無いけど。
「お父さんとはこんな風に出会ったんだ……」
【〇月×日】
遠征から帰ってきて、久々に陸地を見た様な気がする。もうすぐ七武海の招集もあるし、忙しくなるだろうな。
「ちゃんとこまめに書いてる……」
私は何枚かページを捲った。すると、こんなページを見つけた。
【〇月×日】
明日、いよいよシグに告白しようかと思う。彼も、上からお見合いを勧められているらしい。そうなったら、もう会えなくなるかもしれない。例え、振られても良いから自分の気持ちを何とかして伝えなくては。
「こんな事が書かれてるとは……他に何かあるかなぁ〜?」
野次馬根性を出しながら、またページを捲っていく。
【〇月×日】
今日、遂にシグに告白した。
OKだった。
「みじかっ!もうちょっと感想を書いてよ〜」
私は2冊目のノートに手を伸ばし、何枚かページを捲っていく。
【〇月×日】
私のお腹の中に赤ちゃんがいる事が判明した。シグと、私の子供。嬉しい。きっと、元気な子なんだろうな。
「もしかして、私の事かな?」
若干嬉しくなりながら、ページを捲る。
【〇月×日】
お腹の子供の事を考えて、暫くは休む事になった。上司も子供を楽しみにしているみたいだ。あの人からみたら、孫と呼んだ方がいいかも知れないが。
【〇月×日】
今日から、病院に入院する事になった。そして、上司の黄猿大将が見舞いに来た。楽しみにしてるらしいけど、子供に見せたら大泣きしそうだから、顔合わせはちょっと躊躇うな……赤犬大将も同じく。青雉大将はどうだろうか?
「確か……私が初めて大将さん達と会った時、大泣きしたって聞いたな……」
私は3冊目のノートに手を伸ばした。
【〇月×日】
シグが死んだ。海賊に殺されてしまったとの事。何故彼が?彼は科学班だったから、海賊と会う機会はそうそう無かったはずなのに……どうして……
「お父さんが死んじゃった日もちゃんと書いてる……」
そこから先は何も書かれていなかった。私は次に、手紙を手に取った。私の名前が書いてあるから、私宛らしい。何の話だろうか?