鎮守府に戻った直後、入り口でものっそい勢いで突撃して来る影があった。
「古鷹あああああ‼︎」
「マゴフッ⁉︎」
古鷹の名を叫びながら俺のボディに突撃したそいつは、地面に思いっきり押し倒して、俺の顔を自分の胸に埋めてきた。
「古鷹ああああ!どこ行ってたんだよおおおおおお‼︎」
ふ、ふおおおおお!オッパイが!オッパイが顔に!な、なんだ?この子は。もしかして俺へのサプライズか?オッパイダイブとはてっきりこっちからオッパイに飛び込むことだと思っていたが、まさかオッパイの方から来てくれるとは……。
「ふおおおお!古鷹古鷹古た……!ん?なんか匂いが違う気がする」
あ、これヤバくね?というか、匂いで判別してんのこの人?
「もしかして、加古?」
「あれ?何で目の前に古鷹が?」
俺の後ろに立っていた古鷹さんが困惑したような声を上げる。
すると、加古と呼ばれたオッパイダイバーは俺の事を見た。
「うぎゃああああああ‼︎」
直後、顔面に回し蹴りしてきた。
「ウゴハアッ‼︎」
顔面につま先がめり込み、俺の体も壁にめり込んだ。
「うわああん!古鷹ぁ〜!」
「か、加古?どうしたの?」
「汚されたぁ〜!」
「俺が怪我させられたんだよ!」
な、なんだこいつ……!腹立つ……!
「おお、帰って来たか。二人とも」
奥から提督が顔を出した。
「……あ、提督。何なんすかあれ」
「今日建造した加古って子だ。古鷹の妹だから、仲良くしてやってくれ」
「古鷹さんの妹って……シスコンなんすか?」
「いや、他の鎮守府だとそんなことないらしいんだが、ごく稀にこういう例外も生まれてくるらしい」
「ごく稀って……」
随分とテキトーだな。それでいいのか海軍。
「す、すみません。大丈夫ですか福島さん!」
古鷹さんが慌てた様子で俺の元へ駆け寄ってきた。仕出かしたのは妹なのに、まるで自分がミスしたように慌てるなんて本当に良い人だなこの人。
「大丈夫ですよ」
「ほら加古、謝りなさい」
「やだ」
きゅーっと自分にしがみついてる加古に古鷹さんは注意したものの、拒否された。
「あたしから古鷹を奪おうとする奴なんて死んじまえばいいんだ」
「か、加古!」
「ああ?んだコラ髪の毛ボサボサ女が。そもそも古鷹さんはテメェのモンじゃねぇ」
「じゃあ訂正する。お前みたいにたまーにチラッチラ古鷹の胸見てるヘンタイに古鷹はやらねぇ」
「み、みみみ見てねぇし!お、お前何言っちゃってんの⁉︎野生児みたいな頭しやがって」
「さっきから頭頭って、それしか言えねーのかよ。語彙力のねぇ野郎だな」
「二言目には古鷹が出て来るシスコン軍曹に言われたかねぇんだよ。一々、古鷹を狭まねぇと次の行動に移れねぇのかテメェは?」
「は?」
「あ?」
「ふ、二人とも落ち着いてよぅ……」
間に入って来る古鷹さん。よし、落ち着こう。
「だ、ダメですよ。こんな所でケンカしちゃ……」
「そうだな。こんな人間の形した生ゴミと一緒にいたら疲れるだけだもんな」
「あ?腐った生ゴミはテメェだろコラ」
「んだとコラ。今ここで腐った死体に変えてやろうか?ああ?」
「上等だよコラ。てめちょっと表出ろ」
「だ、だからやめてってばぁ!て、提督も止めて下さい!」
涙目で提督の方を見る古鷹さん。提督は顎に手を当てて少し考え込んだあと、言った。
「ま、これはこれで面白いからいんじゃね?」
「良くないですよ!」
そんなわけで、腹立つ女が鎮守府に来た。ちなみに、この後のタイマンは古鷹さんに止められて結局やらなかった。
1
翌日、俺は海岸で釣りをしていた。ちなみに釣りにトライするのは初めてである。
「………釣れねえ」
「何をしてるのですか?」
後ろから榛名さんに声を掛けられた。
「あ、ども……」
「もしかして、釣りですか?福島さん、釣りもするんですか?」
「いえ?しませんよ?」
「え?しないの?」
「はい」
「え、じゃあ何で……」
「暇なんで。たまには自分で釣ってみたいというのもありますけど。……でも、素人に釣りは難しいみたいですね」
「そうですか……。榛名もここにいていいですか?」
「どうぞどうぞ。あ、これ折りたたみの椅子です」
「あ、すいません。……どうして二つも用意してたのですか?」
「提督に借りた釣りセットの中に二つあったんすよ」
「そうですか。隣失礼します」
暇そうに俺は釣りをする。
「……………」
「……………」
ヤバイ、気まずい。