俺もアプリをインストールし、古鷹さんに教えてもらいながら、ゲームを開始した。最初の御三家はヒトカゲにして、早速海沿いを歩く。
「………なんもいねぇ」
「東京の方だといっぱいいるみたいなんですけどね」
「まぁ、気長に行きましょう。……それより、今日出撃の方はないんですか?」
「はい。今日は一日オフです」
オフの日をゲームに費やすのはどうなんだろうか……。
まぁ、人の休日に口出したりはしないけどさ。
「あ、なんか出た」
懐かしい。紫色のネズミじゃん。名前なんだっけ?
「あ、ポケモンが出てきたら」
「タッチすればいいのかな……。お、やっぱそうみたいだ」
「…………」
「えっ、と……モンスターボールは、と」
「あ、投げ方は」
「スワイプだろうな。この手のゲームは。ほら見ろ」
「……………」
「うし、捕まえた。……ん、CPってなんだ」
「あ、それはですね」
「紫ネズミは図鑑ナンバー19だし……ああ、もしかして強さかな」
「………………」
なるほど、その強さでポケモンバトルをするのか。
大体わかってきた所で、コンビニに着いた。軽くパンと飲み物を選び、ついでに古鷹さんのほうを見た。
「古鷹さん、何か食べたいものとかありま……」
「………むー」
なぜかすごく怒ってた。頬を膨らませて、そっぽを向いてる。
「………古鷹、さん?」
「………分からないことは、私が教えるって言ったじゃないですか」
「え、あー……」
そーいや言ってたな。大体わかっちまったから必要なかったわ。
………え、待て。この子そんなことで怒ってるの?どこまで天使なんだよマジで。
「す、すいません……」
「ふんっ」
とりあえず謝ってみたが、この人の不機嫌は直らない。あー面倒臭可愛い。初めて聞いたぞ今の言葉。
「あー……何か食べます?」
「食べ物で釣ろうとしないで下さい!別に奢ってもらったってなんにも……!」
「後で何でも作りますよ」
「…………」
顔を赤くして、表情が変わること四回(おそらく葛藤、拒絶、損得計算、決心)、古鷹さんはそっぽを向いたまま、言った。
「…………チョコレートパフェで」
「はいはい」
「ゆ、許したわけじゃありませんからね!勘違いしないでくださいね!」
「はいはい」
ツンデレ乙。
「ち、ちょっと!聞いてるんですか?」
「はいはい」
「〜〜〜!もうっ!」
あー、なんだろう、こう……この人、もっと虐めたくなってくるタイプの人だな。
1
パンと飲み物とテキトーにチキンを買って、俺と古鷹さんはコンビニを出た。さて、この後はパフェの材料買いに行かないとな。
俺が街の方に行こうとすると、不思議そうな顔をする古鷹さん。なんですか?と、視線で問うと、聞いてきた。
「あの、鎮守府はあっち、ですよ?」
「へ?いやだってチョコパフェの材料買いに行かないと……」
「へっ?」
「あ、鎮守府にある材料でいいんですか?それならそれでいいですけど……」
「い、いえいえ!わ、私もついていきます!」
「は、はぁ」
何を焦ってるんだろう。
「ど、どどどどうしよっ。朝から福島さんとお買い物デートだっ……。ふ、服装なんてポケモントレーナースタイルで来ちゃったし……どうしようっ……」
なんか小声でボソボソ言ってるし。何、ほんとどうしたのこの子。
「あの、古鷹さん?」
「は、はひっ!」
うわあ、その返事するやつ初めてリアルで見た。
「あの、来てもいいですけど、いいんですか?なるべくならサプライズ的な感じにしたかったんですけど。パフェに何を入れるかーとか」
「い、いえいえ!私、福島さんとお出掛けしたくてっ……!」
「えっ?」
何それ、愛の告白?
「はっ、じ、じゃなくて!えーっと……えと……そ、そう!街の方はポケスポットたくさんあるんですよ!」
「え?何それ」
「えっと……モンスターボールとか補充できるところですね。公園とか神社とかマックがそうです」
「あー、なるほど……。つまり、俺と出掛けたかったわけじゃないのか………」
「へっ?」
「や、なんでもないす。行きましょうか」
「はい。………うぅ、私のバカ……」
なんかお互いに微妙に肩を落としながらも、街に向かった。
なんかヒロイン古鷹でいい気がしてきた。
候補は複数あったんですけどね