鎮守府の食堂で働く   作:アルティメットサンダー信雄

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地雷踏抜

 

 

スーパーの中で、肉コーナーでキュウリを見つけようとする朝潮を、俺と古鷹さんは後ろから見ていた。

 

「むむむ……見当たりません。キュウリはないのでしょうか」

 

いや、そりゃねぇだろ。ジャブローでゲルググ探すようなもんだぜ。

 

「………古鷹さん」

 

「なんですか?」

 

「何とかヒント与えられませんかね」

 

「そう言われましても……私達、顔バレてますし……」

 

「ですよねぇ……。どうしたものか……」

 

「さりげなく伝えられますかね……あっ」

 

「何か思いつきました?」

 

「え、えと……そのっ……」

 

古鷹さんは顔を赤くすると、目を逸らしながら聞いてきた。

 

「そのっ……わ、私達がっ、夫婦のふりをしながら……買い物をする、とか……」

 

………なるほど、その後ろでさり気ない会話でサポートするのか。

 

「分かりました」

 

「えっ、い、いいんですか?」

 

「はい。朝潮のためですから」

 

「……………」

 

「えっ、何その目……」

 

「………まぁ、いいです」

 

なんか悪いこと言ったか俺?

すると、古鷹さんは俺の腕に抱きついてきた。ああ、この人のおっぱい柔らか……じゃなくて!

 

「ふ、古鷹さん⁉︎」

 

「ふ、夫婦ならこういうのも、ありますよね……?」

 

「いや、夫婦というよりバカップルのような……」

 

「…………」

 

「はい、すいません。何でもないです」

 

「で、では……いきましょう」

 

「いやいやいや、それにしてもバレバレですって。少し変装しないと……。あっ、ポケットに赤い彗星のマスクがあった」

 

「なんでそんなものあるんですか……」

 

「この前、提督と二人で飲みに行った時に酔った勢いでドンキで買ったんですよ。はい、これ古鷹さんのサングラス」

 

「あ、有難うございます……って、なんですかこれ前見えないんですけど⁉︎」

 

「そりゃそうですよ。それ、サングラス型アイマスクですから」

 

「何それ何に使うんですか⁉︎」

 

「………ぷっ」

 

「いやなんで笑ってるんですか⁉︎」

 

「そのサングラス、表は写輪眼なんです……プフッ、似合ってねえwww」

 

「も、もう!怒りますよ⁉︎」

 

「それより早くしないと朝潮が」

 

「ああもうっ!………うう、全然夫婦っぽくない……」

 

そんなことを言いながら、朝潮の背後に回った。コホン、と古鷹さんが可愛らしく咳払いをすると、言った。

 

「ね、ねぇ、あなた?今晩のおかずは何がいいですか?」

 

「………あの、顔赤らめながら言われるとその台詞ちょっとエロいんですけど」

 

「へっ?なんっ……あっ⁉︎ちょっと!そういう意味じゃないですからね⁉︎」

 

「分かってますから。ちょっと落ち着いてください。……コホン、うーん、そうだな。お前は何がいい?」

 

「え、えと……キュウリとか?」

 

「……………あの、わざとですか?」

 

「へっ?……あっ、だ、だから違います!なんでそういう風に捉えるんですか⁉︎」

 

「や、だって、ねえ?………古鷹さん、ムッツリっぽいし」

 

「だ、誰がムッツリですか⁉︎」

 

「ヤベッ、聞こえてた」

 

「そんなこと言ったら、福島さんだって、え、えっちそうじゃないですか!」

 

「そうですよ?俺はスケベです」

 

「なっ………⁉︎」

 

「というか、男はみんなエロいんですよ!俺と提督がサシで飲むときは大抵は鎮守府のタイプの子の話かエロ談義ですからね!」

 

「うわっ………」

 

「ちょっ、そんなドン引きしたような顔しないで……。大体、こっちだって知ってるんですからね⁉︎古鷹さん、たまに青葉さんに俺が調理中の写真を……」

 

「わーわーわー!やめて下さい!あーおーばー!帰ったら怒るからね!」

 

「………ん?何で俺の写真なんか持ってたんですか?」

 

「……………」←顔真っ赤

 

「……………」

 

「……………」←顔超真っ赤

 

「……………」

 

「……………」←顔極真っ赤

 

「……………あっ、もしかしてお腹空いてた、とか?」

 

「……(いらり)」

 

あれ?なんか地雷踏んだ気が……。

すると、「あのっ……」と声が聞こえた。俺と古鷹さんは二人してそっちを見ると、朝潮がこっちを見ていた。

 

「何してるんですか?福島さん、古鷹さん」

 

げっ、ばれた。

 

「は?福島?誰のことそれ?俺は通りすがりのパイロットですけど?」

 

「いや、福島さんですよね。声的にも」

 

「な、ナンノコトカナー?ハァイ、ミッキーマウスダヨ?(裏声)」

 

「……………」

 

「はい、すいません。福島さんです」

 

俺はマスクをとった。この鎮守府の無言の圧力はほんとに怖いな。

 

「あの、朝潮に何か?」

 

「……や、キュウリ探してるのに肉コーナー行ってたから気になって……」

 

「やはりここはお肉コーナーでしたか……通りでお肉しかないと思いました」

 

あれ、この子ってアホの子なのかな。なんか俺の中の朝潮のイメージが音を立てて崩れてる気がする。

 

「スーパーの天井を見てみろ。調味料とか肉とか魚とか書かれてる看板みたいなのが下がってるだろ?そこにお目当てのものはあるはずだから、ちゃんと探せ、な?」

 

「了解しました。この朝潮、命に代えても任務を成功させてみせます!」

 

「うん、命に代えてなんて言っちゃダメだからね。朝潮は一人しかいないから、そんな簡単に命かけちゃダメだからね。というか、たかが買い物に命かけないでね」

 

「了解しました」

 

敬礼すると、トテトテと走って今度こそ野菜コーナーへ行った。

 

「ふぅ……これで多分大丈夫だろ。………大丈夫だよね?」

 

「大丈夫なんじゃないですか?」

 

「……………」

 

あ、やっべ。この人のこと忘れてた。というか、かなり怒ってる?

 

「私、お先に失礼します」

 

「えっ、でも、パフェ……」

 

「お任せします。では、」

 

そのままスタスタと帰ってしまった。俺はその背中を黙って見てるしかなかった。

 

 

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