コメディを多く意識しつつ、紫苑の過去を掘り下げていこうかな?という章にしたいと思います。
撃っち先生の作品はこちら↓
https://novel.syosetu.org/88203/
捌話 フリーダムなアホ共
櫻木桜華は殺人鬼であった。
そもそも『殺人鬼』とは何なのか?
実は――この言葉に明確な定義は存在しない。
『平気で人を殺す残忍な人間、何人もの人を殺した悪人を鬼に例えた言葉』であるため、いわば比喩表現に近い単語なのである。
3万人の罪無き人々を殺した俺はどちらにも当てはまるので、これは確定事項になりそうだが。
どっかの小説か何かに書いてあった言葉だが、『殺人鬼とは意味もなく人を殺す、殺人に目的意識を持たない者の呼称』という独自の定義を展開していたのを思い出す。
これも当てはまるな。殺人行為に道具の俺には目的意識もクソもなかったし。
要するに複数人を無機物のように人殺しをすれば殺人鬼なのだ。
面白いよな。
世が世なら3万人の人間を虐殺なんて英雄扱いなのに、時代が変わればたちまち犯罪者として扱われる。それだけ世界は平和になりつつある……と思えば気持ちは楽になるが、俺は釈然としない。
なら――根本的な問題になるが、殺人による罪悪感ってどこから来るのだろうか?
少なくとも幼少期の俺にはなかった。
あるわけがなかった。
やっぱりモラルとか道徳とかの問題なのかね。
前に暗闇が「平和ボケしたどっかの経済大国は、人を殺したらダメなのは自分が去れると嫌なことは人にはしないかららしい」と言っていた。
俺は呆れたよ。なら覚悟さえあれば
そんな排他的な人類が70億も存在するから――俺たちの街は作られたのだが。
えっと……何の話だっけ?
つか、いつも思うけど前置きが長いよな。コラボの時は特に。
語るのもこれくらいにしようかな。
さて、今回は『かつて3万人を虐殺した殺人鬼』と、『国家規模の殺戮を行った兵器』の物語。
もしかしなくても彼である。
どこまで俺とアイツは似ているのか。
……類は友を呼ぶのだろうか?
♦♦♦
side 紫苑
「相変わらずここの茶屋の茶はうまいぜ」
「サラッとツルっちの幻想郷来たことにしてるよ……」
所変わって剣の幻想郷にお邪魔している。
理由? いつもの
発案者は異変らしい異変もなく、暇だと連呼する未来の思いつき。俺としては『もう来ることはない』とか描写しておきながらお邪魔するとか馬鹿なんじゃねーの?って自分でも思ったが、未来の思い付きによる行動力は凄まじく、他3人も二言で了承してしまった。
紫はもちろん送ることはできないと言ったが……はい、次元の壁切裂きやがりました。
俺は半強制的に連行されてしまったという話。
「はっ、もう来たンだから諦めろって」
「もう手遅れじゃからのぅ」
俺の右隣に座るヴラドは絵に描いたような感じで優雅に茶を楽しみ、行き行く人々が思わず振り返るような雰囲気を醸し出す。そして左隣りの兼定はククッとほくそ笑みながら団子をほおばる。コイツもコイツで異様なまでの存在感が人目につく。
居たら通報されそうな龍慧は他人に姿を変えているのだが……なんで暗闇(少女ver)なんだよ。アイツの美貌と存在感は性別問わず引きつけるんだよ! 未来は白髪の美青年だし若い女性がこちらを見ている。黙っていれば格好良いんだ。黙ってれば。
つまり、物凄く目立っている集団になりつつある。
茶飲んでるだけなのに。
「……俺、何でここに居るんだろ?」
「――それは私のセリフよ!」
俺達は江戸の茶屋とかで見られる外の長椅子(縁台と言うらしい)に腰掛けているのだが、背中合わせに座る現代風ファッションをした少女にツッコミを入れられる。
顔はジャンパーのフードで深くかぶって隠しており、動きやすいハーフパンツを穿いてランニングシューズを履いている。見るからに怪しい出で立ちなのだが、これがないと違う意味で大変なことになるのだ。
鋭い読者ならお気づきになるだろう。
状況説明すれば、強硬手段を取る未来を止めようとした俺と霊夢は半強制的に拉致られたわけだ。笑い話にもならん。
俺の虚空から服やら何やら取り出して霊夢に着せて姿を隠しているが、バレたらどうなるか分かったもんじゃない。夏じゃなくてよかった。
そこまでのチャレンジャー精神は持ち合わせていないし。
「というか
「どうなるか楽しみですね~。おそらく何も起きないとは思いますが」
この状況を楽しんでいるように見えて自分の考えをまとめて話す龍慧。
「姿形の似たもう一人の自分……近いものと言えば『ドッペルゲンガー』でしょうが、この場合は全く当てはまりませんし、私達がここにいる時点で大丈夫ですよ」
「ドッペルゲンガー、か。あれは微妙に違うしな」
ドッペルゲンガーの主な特徴は二つ。
第一にドッペルゲンガーの人物は周囲の人間と会話を一切しない。第二に本人に縁のある場所に出現する。まぁ、あれは医学的にも説明できるのだが……今の場合には当てはまらない。
「バイロケーションとも違ェからなァ」
「本人の意思で他の場所に姿を現すという意味だろ? 霊夢の意思どころか、お前らが連れてきたじゃん」
「実際にやってみよう」
「未来、それはアカン」
わざわざ何が起こるかも分からないパンドラの箱を誰が開けるか――
「あ、紫が大丈夫だったじゃん」
「「「「「……あー」」」」」
杏弦秦と面識のあったアイツなら、恐らくココの紫とも会ったことがあるはず。
前例があるなら霊夢も大丈夫だろう。たぶん。
なーんだ、心配して損した。
「まぁ、大丈夫と分かっても……これからどうする?」
「妥当なところとして別行動かなー」
「分かれるのか?」
「いや、この集団で動いたら嫌でも目につくでしょ?」
珍しく未来の正論。
この連中に限って『めったなこと』は起こらないうえ、起こったとしても相手側が大変なことになるだけで痛手はあんまりない。むしろ痛い目にあって欲しい。
誰の反論もなく別行動が決定したわけなのだが……
「未来、お前はどこ行く?」
「白玉楼」
「お前は『自粛』って言葉を知らんのか?」
まだ本編にちょこっとしか関わってない場所に特攻とか、喧嘩売っているようにしか聞こえないのは俺だけか?
行動力の件は先ほど説明した通り、決めるや否や次の瞬間には未来の姿は消えていた。
俺は大きく溜息をつくココの妖夢や幽々に迷惑かけなければいいが……。
「どれ、儂も行こうとするか
「お前はどうせ紅魔館だろ」
「双陽異変の宴のときに誘われたからのー」
あぁ、前来たときか。
なんか紅魔勢とすっかり仲良くなってたからな。
「ヴァルバトーゼによろしく言っといてくれ」
「……ふん」
あからさまに不機嫌な雰囲気を出したのが一瞬。
フランとレミリアのことを思い出したのか「ハハハッ! フランちゃん、レミィちゃん、今行くぞ!」と高笑いしながら飛んで行く吸血鬼。
霊夢の顔は見えないけど絶句しているのは容易に察することが出来る。
「……ヴラドさんって、あんなキャラだったかしら?」
「いつも通りでしょう?」
美少女の仮面をかぶった胡散臭い紳士は立ち上がってヴラドとは別方向に歩いていく。
「おい、龍慧」
「幻想郷巡りでもして参りますよ。気が向いたら合流しますね」
「は? ――って、本当にフリーダムな奴だな」
神出鬼没な龍慧を見つけることは暗闇でも容易ではない。
人ごみに紛れて姿を消した龍慧を探すのを諦めた。
「んで、霊夢と兼定はどーするよ」
「紫苑さんについていくに決まってるでしょ。一人行動して姿バレたら洒落にならないし」
「俺様も特に用事はねェ」
霊夢はいいとして、兼定の反応は予想外。
「……へぇ、お前ならてっきり慧音に会いに行きそうな気がするんだが」
「はァ? 馬鹿じゃねェの?」
いつもの人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら、兼定はさも当たり前のように断言した。
「俺様が好きなのは俺様達の幻想郷にいる慧音さんだ。姿形が同じだろうが、別人に変わりはねェよ」
「「………」」
「な、なンだよ。ニヤニヤ笑いやがって、気持ち悪りぃ」
いや、ここまで真剣に言われちゃ笑いたくもなるだろ?
兼定の一途さは筋金入りだな。初回登場時の『兼定は女たらし』という読者様の感想を懐かしく感じる。
上手く言葉に言い表せないが、街にいた時より随分と丸くなったよな、コイツ等は。
俺は携帯の動画機能を停止して立ち上がる。
「霊夢、慧音への土産も手に入ったことだし、まずはツルギを探すぞ」
「そのツルギって人が誰なのか分からないけど、了解したわ」
「サラッと俺様のセリフ録音してんじゃねェよ!? ちょ、消せやコラァッ!」
「走るぞ!」
霊夢の手を引いて人里を走る俺。
なぜかフードの隙間から見えたけど、頬を赤く染める霊夢。
それを追いかける兼定。
今日も俺達は平和です。
♦♦♦
side ???
「ふむ、またもや性懲りもなく来おったか」
紅の長髪に、騎士鎧とドレスを組み合わせたような紅い衣を身に纏った女性は笑った。
真っ赤な瞳を覗かせ、空を飛んで行く蒼髪の男を遠くから見つめる。
そして――表情を強張らせた。
「あれは吸血鬼……? それにしては存在が曖昧のようで堅牢。まさか、あれが噂に聞く帝王ヴラド・ツェペシュなのか? あの『
ぶつぶつと何かを呟いた後、紅き瞳を鋭く光らせる。
「マズいな、あれがここに居るのは。始末した方が――」
「それはいけませんねぇ?」
「!?」
背後から現れた存在の言葉に、すぐさま振り向く紅髪の女。
そこには胡散臭くお辞儀をする燕尾服姿の黒髪の男だった。
「汝、いつから」
「詐欺師ですから」
まったく答えになっていない返しに、女は眉をひそめた。
答える気がないと判断したからだ。
「汝も奴等の仲間……という認識で間違いはないか?」
「ご名答」
わざとらしく拍手をする男。
「あのヴラドが殺されるとは思わないんですが……手を出すのは勘弁してほしいところですね。未来から貴女方の計画は聞きましたが、私は貴女の計画なんて心底どうでもいいので」
「どうでも良い、か。それでもあの人間は動くのだろう?」
「紫苑なら動くでしょうね」
男は指を鳴らした。
刹那――世界は反転する。
「死ぬつもりはありません。魔神メザロア様、少し遊びませんか?」
その男は――穏やかな物言いに相応しくない、獰猛な笑みを浮かべた。
紫苑「この章は弌丈鴻汰君とメザロアさんも出てくるよー」
鴻汰「キタ――(゜∀゜)――!!」
メザロア「うむ」
剣「あの、俺は……?」
紫苑「次回じゃないかな?」