「ねえぼの、適性のない一般人が艦娘になる方法って知ってる?」
「え?確か、適性があって艦娘になった娘じゃなく、建造された艦娘に好かれて、肌と肌が触れ合うだっけ?」
「そう。」
漣はにやりとにやつき、曙を見た。
「それがどうかしたの?私達には関係ないじゃん。」
アタシ曙は漣を呆れながら見ていた。
「忘れたの?あたしと漣は適性で艦娘になって、潮と曙は建造されたんだよ。」
漣とアタシの話を聞いていた朧が話に入ってきた。
「だから、曙が誰か好きになって、直接キスをしたり、一緒にお風呂入っただけで相手は、男女関係なく艦娘になる適性反応が出るんだって。」
「へー。」
「それに、あたし達の艤装って一般人には持てないんだけど、艦娘と肌と肌を触れ合うだけで艤装を持てるようになるんだって。そこから覚醒するかどうかは本人次第だけど。」
「初耳だわ。」
朧の言ったことに曙は少々驚きながら言った。
「あ、そうそう、これは口外禁止ね。」
朧は思い出した様にみんなに言った。
「え?どうして?」
潮が不思議そうに朧に尋ねた。
「これが上層部に伝わったら、絶対適性反応のある男性を探し出して無理矢理艦娘にするから。」
「しかし、朧は何処からそーゆー情報掴んでくるの?」
アタシは少々呆れながら朧に言ってみた。
「あ、これは夕張姉に聞いた話なんだ。」
「へー。まあ、夕張さんなら艦娘に関して色々知ったそうだからね。」
漣は少し笑いながら言った。
「そういえば、何で朧ちゃんは夕張さんの事を夕張姉って呼んでるの?」
「あ、それはアタシも気になる。」
「漣もー。」
それを聞いた朧は昔を思い出すように言い出した。
「それはね、あたし、いや、まだ私だった頃に私にはお兄ちゃんが居た。お兄ちゃんは私に良く優しくしてくれた。私が艦娘になるって言って両親が反対してもお兄ちゃんは親に必死に説得してくれた。艦娘になってからもいつも手紙で励ましてくれた。『頑張ってね。』って。それに、私が好きなチューリップのイラストも手紙と一緒に添えてくれた。」
そこまで言うと、朧は少し悲しそうな顔をした。
「でも、お兄ちゃんに彼女が出来てからある異変が起きた。お兄ちゃんの彼女の名前は榛名さんだったね・・・。ある日、お兄ちゃんが大淀さんの許可を受けて、私が所属している鎮守府に来たとき、一般人は艤装を持てない事を知っていた周りの艦娘達は『持てるかわからないけど、触ってみる?』と、聞いた。お兄ちゃんは『持ってみる』と、言って、北上さんの魚雷発射管を持ってみた。
すると、お兄ちゃんは軽々と魚雷発射管を持っていたの。艦娘でも無いお兄ちゃんがね・・・。その瞬間、大淀さんがお兄ちゃんを会議室に連れて行って質問攻めにした。お兄ちゃんからの証言をもとに実験をすると、肌と肌が触れ合う、直接キスをするだけでも艦娘になる反応が出ることが分かった。それでね、私、その時はもうあたしだったけれどね。で、あたしとお兄ちゃんの承諾で、お兄ちゃんは軽巡夕張、つまりお姉ちゃんになったの・・・。」
「え?それっ「前見て!!!渦潮が迫ってます!!!」!?」
アタシは何かを言おうとしたが、阿武隈が叫んだので7駆の4人は直ぐに前を見た。前を見た瞬間、渦潮に飲み込まれた・・・。
「ハアっ!!!ハッ、ハッ、ハッ・・・。」
曙は座席から飛び起きた。そこは帰りの列車の中で、タタンタタンと車輪がレールのジョイントを刻む音とディーゼルカーのエンジン音のみ聞こえていた。
「何だ・・・。夢か・・・。」
曙が夢だと認識し、横の座席を見ると、耀や、漣、朧、潮がスヤスヤ寝ていた。
「まあ、渦潮に巻き込まれたけど、提督に会えたからいっか・・・。」
曙が微笑むと、車内に夕日が差し込んできた。その夕日は曙と耀、漣、朧、潮を照らしていた。
「あれ?適性のない一般人が艦娘になる方法って何だっけ・・・。」
『ご乗車、ありがとうございました。まもなく、常陸大子、常陸大子。お出口は左側です。』
『ご乗車有難うございました。まもなく常陸大子、常陸大子です。ご案内いたします。常陸大子から先、磐城棚倉、磐城石川方面、郡山行をご利用のお客様は前1両をご利用ください。後ろ2両は常陸大子止まりです。引き続きご乗車にはなれません。』
曙が首を傾げると、自動放送と車掌からのアナウンスが空気をぶち壊す様に再生された。
「まあ、いいわ。クソ兄貴、漣、朧、潮、起きて。」
曙は疑問についてあまり気にせず、耀達を起こした。