で、何故か私の冬の話のネタって、「風邪」か「インフルエンザ」くらいしかないんですよね・・・。
で、今話は書き方を変えて、曙視点で書いてみました。
↑何度目の「で」だよ。
クリスマス。それは12月24日、リア充達が街に溢れ、ツイッターには「リア充爆発しろ」のツイートが溢れる聖夜の日。聖夜の日とか言うが、今日は課外がある。学校側は悪魔なのかと疑ってしまう。が、課外の後は部活も無く、クソ兄貴と水戸に遊びに行こうと計画した。が、あたしは今日、学校には行かなかず、水戸に行く予定も無くした。いや、学校に行けず、出かける予定は無くなったと言うのが正しいだろう。
あたしは、ベッドに入りながらため息をはーっと吐いた。口から出された息は空気中に拡散されず、口の周りに漂うだけだ。
ピピピピッ
体温計のアラームが鳴り、脇から体温計を抜いた。
〝39.1度〟
高熱だ。昨日、学校の大掃除で朝潮がバケツを持ちながらコケてしまい、私の全身に水をかけてしまったのだ。当然、昨日は部活がなく、着替えもタオルもない状態だったのだ。しかも、家までは列車で約1時間半(乗り換えあり)で、列車の発射時間までギリギリ。つまり、身体を冷やすのに十分すぎる条件だったのだ。
まあ、もう過ぎたこと。「朝潮は悪くない。あたしは運が悪かったんだ」あたしはそう思いながら体温計をベッドの横のサイドボードに置き、毛布を頭から被った。
部屋には誰もいない。父母は、仕事。クソ兄貴達は学校に行ってしまった。どちらも今日は外せなかった用事だった様だった。
ただ、静寂の中に漂うあたしの呼吸音。その音以外は何も聞こえない。あたしは毛布の中から顔を少しだけだし、サイドボードの上にある目覚まし時計を見た。
〝AM 10:13〟
クソ兄貴達が帰ってくるまで、4時間半程ある。学校は12時20分に終わるのだが、列車で帰ってくるので、それほど時間がかかるのだ。あたしは寂しさを無くすために熱でズキズキする頭の中でクソ兄貴の事を考えて始めた。しかし、その行動は寂しさを倍増させただけだった。
ふと気がつくと、目頭が熱くなっていた。あたしは咄嗟に枕に顔を埋めた。泣いている姿を誰にも見て欲しくなかった。ただそれだけだった。今、家には誰も居ないが。
あたしの記憶はそこで途絶えていた。次の記憶が始まったのは、約6時間後だった。それは、頭に暖かい何かが当たっていたからだ。
あたしはゆっくりと目を開けると、そこには、クソ兄貴がいた。頭にあったものは、クソ兄貴の手だった。あたしの頭をゆっくりと優しく撫でている。
「起きた?」
クソ兄貴は、あたしの頭を撫でるのをやめ、あたしの顔を見ながら言ってきた。
「うん・・・。」
あたしは喉の痛みを我慢しながらくぐもった小さな声を出した。
「お粥食べる?」
「食べる。」
クソ兄貴が聞いてきた。なるほど。だからサイドボードに土鍋が載っていたのか。
耀は、土鍋の蓋を土鍋の横に置き、レンゲで中に入っている卵粥を掬った。作りたてなのか、ホカホカと暖かそうな湯気が立っていた。
「曙。マスク下げて。」
「え!?まさか、「あーん」とかするとか言うんじゃないでしょうね!?」
クソ兄貴が言ったことを聞いたあたしは、なんかの漫画から小説で見たことのあるシーンになってしまうと、思ってしまい、顔を赤らめながら耀に叫んでしまった。その後、ものすごく咳き込んでしまったのだが。
「良いから、下げて。」
「わ、分かったわよ。」
あたしは、クソ兄貴を説得できないと思い、素直に従い、マスクを顎まで下げた。すると、クソ兄貴は、あたしの思った通りに、レンゲに掬ってある卵粥に息をフーフーと吹きかけ、あたしの口の中に近づけてきた。
「曙、あーん。」
やはり、クソ兄貴はあたしに「あーん」をしようとしていた。どうしよう。クソ兄貴の手からレンゲをむしり取ろうか、それとも、大人しく「あーん」されようか・・・。正直言って、「あーん」はやって欲しいが恥ずかしい。が、今のあたしは病人。今日くらいはデレてもいいと思う(いつもデレの割合が高いと思うがby作者)。あたしは素直に口を開けた。
レンゲが口の中に入り、口の中に卵粥の味が広がる。多分クソ兄貴が作ったのだろう。作りたてでホカホカで、とても美味しい。
あたしが口を開け、「ん。」と言うと、クソ兄貴は、直ぐにレンゲでお粥を掬って、冷まし、あたしの口に入れてくれた。
1口、そして、また1口と卵粥を食べ、30分もし無いうちに土鍋に入っている卵粥を全て食べ尽くした。
「リンゴは?」
「食べる。うさぎ型で。」
耀が左手にまだ剥いてないリンゴを持ちながら聞いてきたので、あたしはうさぎ型にリンゴを切るように頼んだ。
耀は「はいはい。」と言いながら手慣れた手つきでリンゴを綺麗に切っていく。剥き終わると、8等分にして、残っていた皮をうさぎ型に切り、サイドボードに置いた皿に置き、そのうちの1つに爪楊枝を指した。
「はい、あーん。」
クソ兄貴は、またあたしに「あーん」をして来た。あたしは迷わず、口を開けた。
シャク、シャクと口の中でリンゴを噛み砕く。噛み砕くと同時にリンゴ特有の甘みが口内に広がっていった。
「嬉しそうだね。もう1口食べる?」
「別に嬉しくなんかないし・・・。もう1口貰う。」
あたしは少し照れながら答えた。耀は、優しそうにあたしの口の中にリンゴを入れてきてくれた。そして、1口、1口と言っているうちに、あたしはリンゴを全て食べてしまった。耀は、「なんだ。全部食べるなら言ってくれればよかったのに。」空になった土鍋とリンゴの芯が入った皿が載ったお盆に置いた。すると、耀は、「じゃ、戻るね。」と、あたしに言い、お盆を持って部屋から出ようとしていた。
「待って、クソ兄貴。」
あたしはそんな耀を止めた。次が今日最後の願い。
「ねえ、マスク越しでもいいからキスして。」
あたしはそうクソ兄貴、いや、お兄ちゃんにそう願った。なぜこう言ったのか分からないが、この時のあたしは頭が熱でやられていたのかもしれない。お兄ちゃんは、断ると思ったが、あたしの学習机の上に食器類の載ったお盆を置き、あたしに近づいてきた。
あたしはとっさに目を閉じた。すると、口元が急に涼しくなったと感じると、直ぐに柔らかい何かが口にくっついて来て、そして・・・
あれから数日が経った。今、あたしはクソ兄貴の看病をしている。あたしとキスしたから風邪が移ったのだ。え?その後はって?ひ・み・つ。さて、1日中クソ兄貴を眺めていようか・・・。それとも、この状況をドアの隙間から面白がって見ている漣を絞めよ・・・いや、潮がもう絞めてる。まあ、1日中クソ兄貴があたしのそばにいるのは変わらないか・・・。
「ふふっ。あたしが治るまで看病するわよクソ兄貴♡。」
あたしは寝ている耀のベッドの前でマスクで隠れるような声でボソりとそう呟いた。さて、こうなった要因を作ってくれた朝潮には何のお返しをしよう。ケーキにしようかな、クッキーにしようかな。気持ち悪いとか言われそうだが、愛の手助けをしてくれたんだから。それくらいのお礼はしないとね。