ドキドキプリキュア 前日譚異伝~MISSING SWORD~ 作:メガネ虎
翌朝9時、剣崎はマコトのプリキュア任命式を前にラルクとランサーが入院している病院に見舞いに行った。
一夜明け二人とも恐るべき回復力を見せ、夕方にはもう退院できるらしく剣崎は二人としばらく話すことができた。
「昨日は申し訳ありません、長くプリキュアをやっている身として情けない限りです・・」
「にしても、お兄さん強いね!どんな鍛え方してるの?」
ラルクに変身していたナツミは王女のような上品な言葉遣いで剣崎にすまない気持ちを伝え、ランサーことマキは砕けた話し方で剣崎の強さを賞賛していた。
その後剣崎はマコトが緊急事態の為、今日プリキュアに任命されることを伝えるとマコトの先生を務めたナツミは「そうですか・・」と感慨深く目に涙を浮かべた。
伝えるべきことを一通り伝え、剣崎は病院を出ると、時計は11時を指していた。
急いで任命式の行われる王宮に戻ろうとすると突然灰色の壁が現れ、そこからクリーム色の帽子にコートを着た眼鏡の中年男性が現れ、いきなり衝撃的な言葉を口にした。
「剣崎一真、いや
「何言ってんだ!・・・ってあんたは!」
剣崎にはその中年男性に見覚えがあった、何せそもそもの発端となったあの洞穴に入る直前に彼は剣崎を見ていたのだから。
「私は鳴滝、・・ただの仮面ライダーの味方だ。もう一度言う、世界に悪影響を及ぼさない為にもこの世界から出ていき私と来て欲しい。」
突然出てきたと思ったら勝手な事を言ってくるこの鳴滝とかいう男に対する答えは1つしか無かった。
「断る!こっちもやるべき事ができたんだ!!」
剣崎がそう答えると、鳴滝は鼻で軽く笑って言い放った
「仕方がない、では力づくで連れて行く!!」
言葉が終わると共に再び灰色の壁が出現しそこからまた一人今度は青年が現れた。
「申し訳ございません!このような状況で!!」
張り付いたような笑顔で謝罪する青年だが、その目は笑っていない。
以前どこかで会った気がする顔ではあるが、今まで生きてきて出会った事がない雰囲気、そして笑顔を見せる青年に剣崎は思わず絶句したのだが、そんなことを気にせず青年は更に続ける。
「申し遅れました!
「open up」
彼は巻かれていたベルトにある扉を開く、するとそこから金色の畳のようなゲートをくぐりAの字を模した戦士ーー仮面ライダーグレイブへと変身した。
「ヘシン!」「change」
対する剣崎も腹部からベルトを出現させ、チェンジビートルのカードをスキャン。
変身システムは違えど剣崎はグレイブより前に作成され、スペードを模した戦士ーー仮面ライダーブレイドに変身した。
二人はそれぞれブレイラウザー、グレイブラウザーを構え一気に距離を縮めつばぜり合いに持ち込む。
本来のスペックではグレイブが有利なのだが、多くの戦いによって研ぎ澄まされた戦闘勘、そして体をジョーカーに変えたことによりブレイドが押していた。
「そこを
「『仲間』か、良い台詞だ。感動的だな、だが・・」
そう言いながらグレイブは一歩引いた。
するとこのまま押しきろうとしていたブレイドは押す対象を無くし、バランスを崩す。
そこにグレイブの強烈な横一閃が炸裂、ブレイドはブレイラウザーを思わず離してしまい大きな隙ができてしまう。
「・・無意味だ」その言葉と共にグレイブの右の拳がブレイドの腹を撃つ。
「グフッ・・!」あまりにも強い腹パンにブレイドは倒れこむがグレイブは攻撃の手を緩めずグレイブラウザーで更に斬りかかる。
何とか転がりながらかわしていき、態勢を整えたブレイドだがダメージを受けた腹に手を当てている。
「何故この世界に居ようとするのです?自分の身を分かっているのですか?」
ジリジリ近づきながらグレイブはブレイドに疑問をぶつける。
「あぁ・・分かっているさ!だけどそんな俺を、ジョーカーであるこの俺を、この世界の人は受け入れてくれた!今この世界では大変な事が起こっている、今度は俺があの人達を助けるんだ!!」
「フンッ・・感動的だな、だが!」
剣崎の言葉を鼻で笑い、グレイブは再び距離を詰めブレイドの腹にあるベルトを突き刺す。
ーーブレイドごときに勝ち目は最初から無い。
仮面の下でニヤリとして勝負を決める。
だがブレイドは諦めていなかった、落としたブレイラウザーはひとりでに13枚のカードを展開しそこから1枚のカードが浮き上がりスキャンされる。
ピピピッ「ビート」
そのカードは離れた場所にいるブレイドの右腕に逆転の一手を与えた。
グレイブの突きを紙一重で避け、渾身の右ストレートがグレイブの腹に突き刺さる。
「グッ・・!?」完全に勝ったと確信していたグレイブは何が起こったのか分からず思考停止、後ろに大きく吹っ飛ばされた。
ピピピッ「マグネット」
ラウザーはもう一枚のカードをスキャン。
ブレイドの体は金属を引き寄せる磁石となり、金属でできているブレイラウザーを引き寄せ素早く反撃に出る。
形勢を逆転されたグレイブはブレイドのようにグレイブラウザーを展開し、一枚のカードをスキャンする。
ピピピッ「マイティ」
「グラビティスラッシュ」
ブレイドも同じように展開、二枚のカードをスキャンする。
ピピピッ「サンダー」ピピピッ「スラッシュ」
「ライトニングスラッシュ」
共に必殺技の準備を終え、ブレイドはグレイブにブレイラウザーを降り下ろし、グレイブも力を込めた居合で迎え撃つ。
ガキィィィィン!
二人の剣の戦いの決着に勝利の女神は
ブレイドに微笑んだ。
ブレイドがグラビティスラッシュを押しきり、グレイブの胸を深く抉るほどの斬撃を見舞ったのだ。
「申し訳ありません、鳴滝様・・・」
グレイブは負けを認めると灰色の壁に飲まれ元の世界に返っていった。
「おのれブレイドォォォォ!次こそ貴様を絶対に連れ戻して見せる!!」
そんな捨て台詞を吐きながら鳴滝も灰色の壁に飲まれていった。
何とか勝利し、剣崎は変身を解くがそれと同時に地べたに座り込んだ。
やはりダメージは相当なものであるらしい。
しかし時計を見ると11時25分を少し過ぎている。
剣崎は痛む体を押さえながら急いで任命式の行われる王宮に戻った。
一方、こちらトランプ王国の王宮。
マコトはDB・・もといダビィと心を合わせプリキュアに変身し、王女マリー・アンジュにひざまづいていた。
ジコチューが蘇り、危機感を感じている国民も多く、それに対抗できるプリキュアが増えるということで王宮の外にはトランプ王国のほとんどの国民がその場を埋め尽くしていた。
剣崎はその群衆をかき分け王宮の外からマコトの姿を見ていた。
王女マリー・アンジュはプリキュアになったマコトにとある言葉を贈った。
「マコト、貴女を只今よりプリキュアに任命します。これからは『キュアソード』を名乗りなさい。」
ここにキュアソードが誕生した瞬間だった。
外の民衆にも大臣の一人が新たなプリキュアの名前を告げ、皆それぞれの反応があった。
「マコトちゃん、遂にプリキュアかぁ。たまにお菓子買いに来てくれたあの頃が昨日のようだ」
「いやぁ、歌もうめぇが戦いにも赴くなんてすげぇよなぁ。」
トランプ王国のお菓子屋さんの店主は涙を浮かべ、いっしょに話していたおっさんもうんうん頷いている。
「キュア・・ソードかぁ」
剣崎も新たなプリキュアの誕生を祝っていた。
そして全ての事を終え、任命式は幕を下ろした。
「ジーーーコッッチュー!!」
とそのとき、二体のハゲ鷹のようなジコチューが王宮に飛来してきた。
マコト・・もといキュアソードはジコチューの元へ駆け出した。
キュアソードの戦いが今始まる!
いかがでしょうか?
来週はキュアソードの初陣を描きます。
お楽しみに!!