「こちらヴァイス・トート隊所属、リーシュ・クリエル。現在、連邦軍基地の管制を制圧。救出願います、救出願います」
そう言ってリーシュは基地の座標を送信した。
自分達が向かうはずだった基地への救助信号を送る。向こうでは既に救出行動が始まっているだろうか。それとも・・・
見捨てられているだろうか。
「こちらは人質を取っている!彼らに危害を加えられたくなければ、ただちに武器を捨てろ!」
アレシアが、管制室にいた通信兵達に銃を向けながら叫んでいる。
恐らく連邦兵が管制室まで来たのだろう。
通信兵達を殺さずに人質に取ったのは正解だった。こちらは4人しかいないのだ。戦闘になればどちらが不利かは目に見えている。
救出が来るか、来ないか。
ユイも、アレシアも、リーシュも、ひたすら祈りながら戦っていた。
しかしただ一人、隊長のセリエズだけは、焦りを見せなかった。
「リーシュ、この基地のMSのデータは?」
管制室内部で、セリエズが聞く。
「今すぐ動かせる機体は・・・陸戦型ガンダム3機、陸戦型ジム2機、量産型ガンキャノン4機、ガンキャノンⅡ1機、ガンキャノン重装型2機、ガンキャノン重装型Dタイプ1機、ガンタンクⅡ2機、量産型ガンタンク3機、ジム・キャノン4機、装甲強化型ジム1機、ジム改3機。補給予定に、強襲型・・・?タンク系の機体が補給として送られるようです」
「なるほど・・・基地攻略には充分すぎる戦力だな。うちの基地をどうしても落としたいらしい・・・そして、俺たちが増援に送られるという事は、これだけの戦力を持っているにも関わらず、うちの基地をまだ落とせていないという事か・・・。救助は来るだろうな」
「隊長!なんで救助は来るって言い切れ・・・」
「わからない?ジオン残党は何としても守りたいんだ、基地を。まだ基地が落ちてないという事は、それだけ防衛も厚いって事。そして・・・俺たちは『エース部隊』だろ?それをわざわざ送り込んだって事は、俺たちが必要だって事。基地の防衛戦力に損害が出たか何かの理由があるんだろう」
「って事は・・・」
「まとめると、ジオンはどうしても基地を守りたくて、そのための戦力が必要なんだ。なら『エース部隊』の俺たちをむざむざ見捨てはしないって事さ」
セリエズが言い終わった後、振り返る。
「人質作戦も限界だな、相手もしびれを切らしてきた」
連邦は、「人質は見捨てる」という方針に固まったらしい。
「いかにも連邦らしいな・・・!」
そういいながらセリエズは銃を手に取った。
リーシュがそれに続く。
「いいのか?人質の命は保障しないぞ?」
管制室のドア付近でのにらみ合いは限界に達していた。
人質が、助けてくれと言わんばかりの表情で味方を見ているが、それを無視して連邦兵達は銃を構えた。
「なるほど、それがそちらの意思か」
アレシアが言い、人質に銃を向ける。
人質となった通信兵達が、絶望と懇願の表情を浮かべ・・・
その顔が吹き飛んだ。
「味方を撃ちやがった!」
アレシアがそう言いながらドアを盾にして隠れた。
他の3人も同様にした。
人質さえいなくなれば、どちらが不利かは目に見えていた。
セリエズ達が管制室のドアの陰に隠れながら応戦する。
「くそっ、こんなやり方で・・・!」
アレシアが言った時、ドアの隙間から何かが投げ込まれた。
「手榴弾・・・!」
セリエズが叫ぶ。
4人がドアの側から飛びのくと同時にそれは爆発した。
「ぐぅっ・・・!」「きゃっ!」「・・・っ!」「ちくしょっ・・・!」
致命傷を負うことは無かったが、4人が爆風に吹き飛ばされる。
「まずい・・・!」
セリエズが呟いたその時。
連邦軍基地に轟音が響き、衝撃が辺りを揺らした。