ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

1 / 41
原作主人公等のアンチをやってみることにした


本編
憐れなはぐれ悪魔


私の目に映ったのは、燃え盛る炎に包まれた家々と、多くの屍が散乱した道だった。

道は赤い液体に満たされ、歩く度に液体が足に絡みつき、不快感を感じた。

ところどころで聞こえてくる、うめき声と断末魔。

どうしてこうなったんだろう。昨日まではこんな風景じゃなかったのに。

 

怒ると怖いけど、優しくて綺麗な、私の大好きなママがいて、

少しうっかりだけど、大きな体で私を包んでくれた、私の大好きなパパがいて、

悪戯好きだけど、太陽のような笑顔が素敵な、私の大好きな妹がいた。

お隣のおじいさんは、頑固で意地っ張りだけど、私の話をよく聴いてくれた。

おじいさんの奥さんは、家に行くとお手製のスコーンを焼いてくれた。

女友達のミーシャは、生まれた時から幼馴染で、花畑でかんむりをつくった。

男友達のクランは、学校帰りに、家までかけっこをした。

みんな、昨日まで一緒にいた。みんな、昨日まで笑っていた。

 

どうしてこうなっちゃったのかな

 

呆然と歩いていると、私の前に何かが降りてきた。

それは人の形をしているけれど、人ではなかった。

真っ黒な服を着て、真っ黒な髪をして、真っ黒なコウモリの翼をしていた。

 

「おや、こんなところに美味しそうな子供ですね。

 まったく、太陽のように輝く人間を攫うためとはいえ、

 主様から『村の人間どもを殺せ』との退屈な命令でしたが・・・これはいい。

 私にも役得というものです。では死んでください、お嬢さん」

 

真っ黒な存在が大きくなり、私を食べようとその口を大きく開いた。

 

そうか、こいつが悪いんだ

 

こいつがいるからみんないないんだ

 

コ イ ツ ラ ガ イ ル カ ラ 

 

そして私は死んだ

 

 

 

 

 

 

 

夜空に満点の星々が輝き、大きな満月が地を照らす中、

はぐれ悪魔レイスは息も絶え絶えに逃げ回っていた。

彼は悪魔の力に憧れ、悪魔の力に溺れ、悪魔の力に支配され、

主を傷つけて冥界から逃げだしたのだ。

 

レイスは、自身の力を欲望の為に使うつもりであった。

悪魔の力さえあれば、ただの下等な人間どもに負けるはずもなく、

人間を喰い散らかし、好き勝手に生きるつもりだった。

人間界に逃げたレイスは空腹であった。

当たり前だ。彼は追手を退け、決して安息を得ることなく逃げ隠れしていたからだ。

空腹のレイスは、飢えを満たすための食べ物を探した。食べ物とはもちろん人間だ。

悪魔にとって人間は、ただ摂取されるだけの餌でしかない。

 

しばらくすると、レイスは餌をを見つけた。餌は女だった。

レイスは歓喜した。

女を喰うのは久方ぶりであり、どう喰ってやろうとかと顔を歪めた。

恐怖に歪む女の顔を見ながら喰うか、または弄びながら悦楽の内に食い殺すか。

どちらも想像しただけで、レイスの口からよだれと下品な笑い声が漏れた。

 

女の姿は修道女であった。女は身に余るカバンを手に下げ、よたよたと歩いていた。

女が修道女であったことにレイスは顔を顰めた。

なぜなら修道女は、悪魔にとって天敵である天使の使徒だからだ。

悪魔にとって聖なる力は猛毒だ。

教会に入ることはもちろんのこと、銀細工や十字架なんてもっての外。

ましてや聖水など浴びようものなら、一瞬のうちに死んでしまう。

冷静な悪魔ならば、間違っても教会の信者に手を出すことはない。

だが飢餓のレイスは欲望を抑えられなかった。それに、女からは何も感じなったからだ。

レイスは己が欲に駆られ襲いかかった。

女の顔はヴェールで隠れており、レイスは自分に恐怖する女の顔を想像した。

そしてレイスは女の顔を見た。

 

 

 

 

修道女の顔は、まるで獲物を見つけたレイスのように、歓喜に歪んでいた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。