ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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もしかすると、追加が入るかもしれません。
そうなったら申し訳ないです


管理者として、家族として

リアス・グレモリーにとって、アーリィは謎だった。

アーシアの姉であり、ゼノヴィアの戦友というアーリィは、

黒のヴェールで顔を覆った姿や、黒の修道服を着ていることから教会のモノと理解はした。

ゆえに第一印象は、決して心を許してはならない存在だった。

そして、彼女がアーシアを迎えに来たという言葉で、その印象は決定的なものへと変わった。

 

リアスにとってアーシアは、

可愛い『眷属』であり、『下僕』であり、可愛い『妹』であり、そして大事な『僧侶』だ。

大事な駒を、可愛い妹を、

なぜ遠い昔の、アーシアすら忘れた約束を果たしに来た『人間』に渡さなければならないのか。

アーシアの話を聞けば、教会はアーシアを追放したというではないか。

そんな可哀想なアーシアに対し、リアスは彼女を守ろうと誓った。

グレモリーは、悪魔の中で眷属への情が強い悪魔である。

そのことが、より一層、リアスがアーシアを大切にしていることに繋がっている。

 

だが、リアスは理解している。アーシアは決してアーリィの元へ行くことはないと。

なぜならば、アーシアは『転生悪魔』だからだ。

それは教会にとっては致命的な悪であり、なにより、アーシア本人に撃ちこまれた楔なのだ。

『転生悪魔』は、アーシアを決して自分から逃げさせない檻なのだ。

アーシアも、自身が『転生悪魔』であることを理解している。

そして追放された教会に対し、アーシアが良い感情を抱くことはないと言える。

たとえアーシア本人が気付かなくてもだ。

 

ゆえに、アーリィの願いは叶うことはないと、リアスは思っていた。

その時は、アーリィについて何も思うことはなかった。

 

だが、とある映像によって、その評価は変わる。

監視悪魔が映した映像、それは自分の領土で悪魔を殺したアーリィの姿だ。

悪魔を慈悲もなく殺した彼女に、リアスは危機感を抱いた。

下手をすると、彼女に殺された悪魔のように、その刃が自分に向けられるのではないか?

リアスは、そのことに疑念を抱かざるをえなかった。

自分はグレモリー家の次期当主であり、

駒王町の管理者であり、大切な眷属を守らねばらない主なのだ。

ならば彼女のしなければならないことは、自分たちに危害をおよぶ存在の『排除』だ。

もしもリアスに何の縛りが無ければ、直ぐにでもアーリィを追放していたかもしれない。

 

だが、リアスはアーリィと約束してしまった。

アーシアが、自分と彼女、どちらを選ぶかということを。

しかも自分から言いだして。

約束を反故にすることを、リアスは極力嫌っている。

悪魔である自分が、口約束とは言え、契約を破るのは自身のプライドに関わるのだ。

だが、それさえ終わらせてしまえば、アーリィが帰ることは決まっている。

それさえ過ぎてしまえば、また元の日常に戻るのだ。

リアスは、そのことを考え、気持ちを落ち着かせた。

 

だが、リアスがアーリィに思うところはそれだけではない。

彼女は、自分が治めている領土で、勝手に悪魔を殺したのだ。

リアスは、駒王町の管理者であることを自負している。

だが、そんな自分に許可も取らず、アーリィは勝手に悪魔を殺したのだ。

それはリアスにとって、琴線に触れることだ。

管理者である自分を蔑ろにされた感覚なのだ。

怒りに身を任せそうになるが、リアスは自制する。

自分の感情を支配できなくては、可愛い眷属たちに示しがつかない。

己を御することが出来なければ、眷属たちを導ける、彼らに誇れる主ではない。

リアスは自分の心を制御する。

だが映像に映るアーリィを見るその目は、朱く、毒々しげに輝いていた。

 

 

 

 

兵藤一誠から見たアーリィは、アーシアを見捨てた教会の一人だ。

追放され、一人ぼっちで駒王町にたどり着き、それでも教会や主を恨まず、

ただ自身を責めていた泣いていたアーシアを見ていた一誠からしてみれば、

アーリィはアーシアに過去を思い出させる元凶の一つでしかない。

一人ぼっちだったアーシアが、リアス部長や俺たちと家族になり、

ようやく落ち着いて笑うようになったというのに、

アーリィは、アーシアの辛い過去を思い出させ、居場所を奪いに来た存在に見えた。

 

彼女は、アーシアとの『約束』を果たしにきたと言った。

それも、アーシアが落ち着いて、ようやく居場所が出来たというのに。

自分勝手な言い分で、アーシアのことを考えずに。

 

『また勝手な都合でアーシアの居場所を奪いに来たのかよ!』

言葉に出さなかったが、一誠は心の中で激怒した。

それゆえ、アーリィに対して啖呵を切ってしまっていた。

アーシアに止められなければ、そのまま殴っていたかもしれない。

 

彼女はかつて、アーシアと『約束』をしたと言っていたが、それすらも怪しいものだ。

それに今更になって『約束』を果たしに来たというが、

泣いているアーシアの傍にいられなかったくせに、なにが『約束』だ!

泣いていたアーシアを見捨てておいて、アーシアを守れるわけがないと一誠は思った。

 

そして、リアス部長から見せられた映像で一誠は確信した。

アーリィは、部長や俺たち悪魔に、そしてアーシアにとって危険な存在だと。

傷つきながらも、まるで憎しみの塊の如く悪魔に襲いかかった修道女。

命乞いをしようとした悪魔を、躊躇なくその首を撥ねた狂女。

 

その姿はまるで、悪魔崇拝者として自分たちの契約相手を殺し、

エクスカリバーの力に溺れて無差別に神父や悪魔を殺した、あのイカレ神父に似ていた。

三大勢力が和平を結んだというのに、あいつや目の前に映された女が、

自分たちの平和を脅かすということに一誠は腹が立った。

 

『なんで平和にならないんだよ!

 折角、サーゼクス様やアザゼル先生に、天使の偉い人が手を取り合って行こうしたのに!

 禍の団やお前らみたいな奴が等いるから、人間にも被害が及ぶんだ!

 絶対にゆるさねぇ!』

 

一誠は純粋に怒った。

和平会談を滅茶苦茶にして、悪魔の世界を創ろうとした禍の団や、

平和を願った思いを平気で踏み躙る自分勝手な存在に。

 

だからこそ、一誠は決意する。今度こそみんなを、アーシアを守るんだと。

あの時に助けられなかったことを悔やみ、二度とそんなことが無いように。

一誠は自分に誓った。

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