ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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おでかけ2

アーシアとゼノヴィア、

そしてリアスさんたちのおかげで一命を取り留めたアーリィは、

お世話になった兵藤さんのご両親にもお礼を言ってホテルへと戻った。

 

兵藤さんのお宅を出る際に、

アーシアとゼノヴィアからお散歩の御誘いを貰ったアーリィは、

痛む身体に鞭をうってルンルンスキップで玄関を出て行った。

途中、警官に捕まったのは言うまでもない。

 

その後アーリィは、明日のお出かけにワクワクしながら、ホテルのベッドで就寝した。

 

「はい!朝です。清々しい朝です!これは格好の出かけ日和です!

 ああ、久々に出会えた二人とお出かけです。これはワクワクします!」

 

ホテルの部屋で頻りに、ぴょんぴょんしているアーリィさん。

実際にやったら、下や隣の部屋の人に迷惑ですので止めましょう。

 

「それにしてもお出かけです。どこへ行くのでしょう?

 昨日は一人でお出かけするも、迷子になってしまいましたし。

 商店街も活気があって良かったのですが、

 あの恐ろしきオバチャンなる人々の覇気に当てられました。

 もしや、秘密のアナバ?というものがあるかもしれませんね!

 そうだ!出来れば学び舎に連れて行って貰いましょう!

 アーシアやゼノヴィアさんも行かれているみたいですし、きっと大丈夫ですね!」

 

こうしてアーリィは、

アーシアらが迎えに来るまで、やたらとお出かけについて妄想していたのであった。

なんでお迎えかって?彼女の特性が迷子だからです。

 

「あの、アーリィ姉さま。今日はよろしくお願いします!」

「あの、アーシア?

 よろしくお願いするのは私であって、アーシアが緊張することでないのですよ?」

「アーリィ、アーシアについては勘弁してほしい。

 なにせ、アーシアは昨日からずっとこんな調子だったからな」

「も、もう!ゼノヴィアさん!」

「あらあら」

 

自分から誘っておいて、そのことに緊張するアーシアに、アーリィは綻んだ。

ちなみにアーシアとゼノヴィアの服装は学校の制服で、アーリィはいつもの修道服である。

といいますか、アーリィにはそれしかないのです。

 

「ではアーリィ姉さま!ここ駒王町について、私とゼノヴィアさんが案内しますね!

 決して一人でどこかに行かないでください!」

「はいはい、解りました。こう見えても私は約束を守る人ですから」

「では、行こうか」

 

こうしてアーシアとゼノヴィア、そしてアーリィのお出かけは始まった。

 

 

 

そしてそこから少し離れた電柱に、それを見届ける陰がいくつか見える。

そう、それはリアスと彼女の眷属一同であった。

彼女らはこっそりと三人の後を追いかけるために、隠れているのだ。

ちなみに彼女らの服装は、普段の派手?な服ではなく、

それらと比べたら地味に留めている。でも、本人らが目立つのですがね。

どうしてリアスたちが三人の後をつけているというと、

話はアーリィがスキップして帰った後に戻る。

 

 

 

「み、みなさんは、アーリィ姉さまについて誤解をしてると思うんです!」

 

アーシアは、大接間に集まっていたリアスお姉さまや一誠さん、他の皆さんに訴えた。

血まみれのアーリィを背負って駆け込み、彼女を治療した後、

アーシアは何となく、みんなの雰囲気が異様にピリピリしているのを感じた。

アーシアだって馬鹿ではない。ただ純粋すぎるドジッコなのだ。

その後、リアスお姉さまからアーリィが危険な存在であることを告げられ、

アーシアはそれについて猛反発をした。

当たり前だ、今まで疎遠であったものの、自分のために尽くしてくれた人を、

ましてや姉代わりの人を、危険人物だと言われて納得できる人はいない。

 

もちろん、アーシアだって治療の際の会話で、アーリィの闇を垣間見た気がした。

だが、それでも、アーシアにとってアーリィは姉なのだ。

ゆえに、アーシアは自分の姉を疑いたくないのである。

 

「約束に関しては、わ、私が忘れてしまって、みなさんに迷惑をかけてしまいました。

 でも、アーリィ姉さまは、私を迎えに来てくれる約束をしてくれたのは本当です!

 それに、アーリィ姉さまは本当は優しい人なんです!

 決して、みなさんが思うような危険な人ではありません!」

 

「私もアーシアの意見と同じだ。

 確かに彼女は、部長の管理地区で勝手に悪魔を殺したのは事実だ。

 だが、それは人間を守る為であって、部長を無視した訳ではない。

 ましてや、悪魔を殺すのを愉しんでいるなんて絶対にない。

 これは、教会の時に一緒にいた私の考えだ」

 

アーシアとゼノヴィアの言葉に、リアスは考える。

確かに、自分はアーリィという人物について、全く情報がない。

冷静になって考えれば、彼女が悪魔を殺したのは、民間人を守る為であって、

ただ悪魔を殺したから危険だという考えはあまりに暴論過ぎた。

それに、アーリィからしてみれば、緊急の出来事であって、

許可を貰ってからなど考えられる状況ではなかったのではないか?

そうした考えが頭を過り、リアスは一度頭を冷やすことにし、

アーリィについて知ろうと考えた。

ただし、自分の考えが正しかった場合も想定してだが。

 

「じゃあアーシア、貴女は彼女が私たちに危害を加えない人だと証明できる?

 それだったら、私も自分の考えが誤りだったと彼女に謝罪するわ。

 私の勘違いでみんなに迷惑をかけ、彼女を不快にさせてしまったわけだから」

 

「ぶ、部長!?」

 

リアスの言葉に、一誠は驚いた。

彼の頭の中では、アーリィは悪い奴となっていたからだ。

 

「一誠、確かに彼女が悪魔を殺したのは事実よ。もしかしたら本当に危険なのかもしれない。

 でも、アーシアとゼノヴィアの言う通り、本当は優しい人かもしれない。

 彼女を危険人物と思ったことに関しては、私があまりにも早計だったのも事実。

 なにせ、私たちは彼女をことを知らないのは本当だもの。

 それでもう一度尋ねるわ、彼女が危険じゃないと証明できる?」

 

「はい!」

 

リアスの真剣な眼差しに、アーシアは頷いた。

アーシアとゼノヴィアがアーリィを散歩に誘ったのはこのためだ。

普段の彼女の姿を知ってくれたならば、リアスお姉さまや皆も、

アーリィ姉さまが優しい人だと解ってくれる。

そして、私たちだけに話してくれた悪魔への感情に関しても、

アーリィが彼女自身のことを話してくれたなら、そのことも無事に解決する。

アーシアとゼノヴィアはそう考えた。

2人にとってみれば、自分の親しい人が互いに睨み合って欲しくはないのであった。

こうしてアーシアとゼノヴィアは、翌日の散歩についての案を練った。

 

 

 

 

「いい?少しでも彼女が何かしら不審な行動をしたら、直ぐに取り押さえるわよ

 二人のことを信じたいけれど、やっぱり不安だから」

「解りました部長!」

「イッセー先輩、声が大きいです」

「イッセー君、張り切ってますわね」

「これは、ちょっと多すぎないかな・・・?」

 

みんなは電柱に必死に隠れているのだが、

なにぶん数が多いので電柱から何かとはみ出ているのだ。

髪の毛だったり、おしりだったり、胸だったりと。

ちなみに、ギャスパー君はまだお外に出るのは駄目だったようです。

 

 

 

「見てくださいアーシア!

 あれは世に聞くスキヤキというものではないのですか!?

 あれはタコヤキ?ゼノヴィアさん、タコとは何ですか!?

 デ、デビルフィッシュ?あんな恐ろしいものがこの中に・・・あ、おいしいですね。

 そしてこれは・・・ナンデスカ?」

「お姉さま!少し落ち着いてください。少し目立ってます・・・」

「いや、少しどころの騒ぎではないぞ。十分に目立っているのだが・・・」

 

想像してください。

修道服を着て、顔まで黒のヴェールを纏った人が、

金髪美少女と青髪美少女で有名なアーシアとゼノヴィアを連れて、

商店街でやたら目ったら叫んでいる光景を。

その手に、たこ焼きのパック、五平餅、みたらし団子などを持ちながら。

そして彼女は、先日も通っていたわけで、住民の人もその記憶に新しいわけで。

結果、多くの視線が三人に刺さっているのである。

だが、当の元凶は知らないものに触れて、もはや周りが見えていない。

というか、ほぼ食べ物の方に目を向けているのは気のせいだろうか。

アーシアとゼノヴィアが、このアーリィの姿に、二人とも溜息を吐きつつも苦笑していた。

ちなみに、後方のリアスたちも、このことに目が点になっていた。

 

「な、なんなのあの人は・・・」

「えっと、なんか楽しんでますね」

「おいしそう・・・」

「あらあら」

「別の意味で変わった人・・・だね」

 

アーリィのあまりの別人っぷりに、リアスたちは肩透かしを食らった感じだ。

まるで映像に残されていた彼女と今の彼女は、どこかで入れ替わったのか?と思えるほどだ。

 

そうした後方の視線に気付かず(いや尾行だから気付かれては駄目だが)、

アーシア、ゼノヴィア、アーリィは進んでいく。

時に小物店に足を運び、アーリィが二人に十字架のネックレスをプレゼントしようとしたり、

デパートで案の定アーリィが行方不明となり、

慌てるアーシアをゼノヴィアと同じように、リアスたちも焦った。

もしや尾行がばれたのではないのか?と。

そうした焦りに苛まれ後、

彼女がフードコートで長い袋を持った人にミニ懺悔室を行っているのを発見し、

彼女の奇妙っぷりにリアスたちは頭を抱え始めていた。

 

 

「ああ、私の大切な人と一緒に過ごせるなんて、私は幸せです。

 主に感謝しなければ罰が当たってしまいます」

「あ、アーリィ人前で祈るのはちょっと止めてくれないか。その・・・視線がな」

 

祈ろうとしたアーリィをゼノヴィアは止めた。

人前で祈られても困ってしまうし、他者の祈りは彼女らにとっては・・・。

 

「ごめんなさい、私の癖で・・・」

「私もやってしまうので、何も言えません・・・」

「いや、別に攻めている訳ではなくてだな!?そんな悲しい顔をしないでくれ」

 

ゼノヴィアはすっかりツッコミ役に回ってしまった。

ちなみに3人は、先ほどアーリィが懺悔室をやっていたフードコートにいる。

リアスたちは、それを上の階から見下している。

 

「ところで、何処か姉さまの行きたい場所はありますか?

 折角の観光ですから、お姉さまの行きたい場所を案内したいです」

 

アーシアの言葉に、少し考え事をするアーリィであったが、答えはすぐに出た。

昨日、行こうとして行けなかった場所があったのだ。

 

「そうですね・・・私、あなた達の学び舎を見たいのですが、良いかしら?」

「学園ですか?」

 

アーリィの意外な答えに二人は少し驚く。

 

「私、人の集まる場所が好きなのですよ。

 それに学び舎は、私が特に好きな場所でもありますから」

 

その時のアーリィの顔は、懐かしむような、何かを堪えるような、そんな風に見えた。

 

その後、三人は駒王学園に直行。

その間にリアスがソーナに連絡し、裏では厳戒態勢が敷かれたのだが、

そんなことを知るわけもなく、アーリィが学び舎の見学に大暴走。

悦びのあまり讃美歌を謳いだしたり、生徒会室に迷い込んでソーナさんに握手を求めたりと、

彼女の保護者どころか駒王学園の人々の胃壁を削りだした。

当のアーリィは「ああ・・・幸せです・・・」と輝いていた。

 

 

 

 

 

そんな出来事をたった1日で過ごしたゆえに、

アーリィを除いた方々は、疲れ果てた結果となった。

 

「ああ・・・今日はなんと素晴らしい一日だったのでしょう!

 ようやく私の善が実ったということですね!ああ、素晴らしいです!」

「そ、それは、う、うれしい限りです・・・」

「ああ、それは、よかった・・・」

 

見るからにキラキラしている人と、疲れ果てている2人。

テンションの高い人に振り回される人というのは、こういう感じなのですね。

そして、そうした状態の彼女は、キラキラな状態で2人の後ろの方の電柱を見ていた。

わずかに見える口元が、微かに歪んで見えるのは気のせいか。

 

「あ、あの人のた、体力は、どうなっているのよ・・・」

「そ、それよりも部長、なんかあの人、こっちを見てませんか・・・?」

「もしかして僕たち、始めからばれていたのかな」

「疲れました」

「あらあらあらあら・・・」

 

後方の電柱から何かしら焦る人の気配ににっこりしつつ、

アーリィはアーシアとゼノヴィアに視線を戻した。

 

「それでアーシア、ゼノヴィアさん。私に何かあるのですか?

 今日のお出かけは本当に嬉しかったわ。

 でも、ただ単にお出かけをしたかった訳ではないのでしょう?

 私に何かしてほしい事でもあるのではなくて?」

「え、その・・・あの、ですね・・・」

「あ、アーリィ!実はだな・・・」

 

焦る二人に笑みを貼りつけた顔で見つめるアーリィ。

その視線に二人は屈服し、今日のお出かけについて全てを話した。

二人が話し終えた後、アーリィは目に涙を溜めて謝った。

そのことに逆にアーシアとゼノヴィアが焦ったのは言うまでもない。

 

「それで、私の過去を知りたいということですが、良いのですか?

 私は別にかまいませんが、みなさんが楽しめる話ではないですけど?」

 

それでも聴くのですか?と首を傾げるアーリィに、彼女を除く全員の喉が鳴った。

 

 

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