ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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トンデモ理論が飛び出しますので、ご注意ください。
後で書き換えるかもしれません


砂上の楼閣

「騙されるなアーシア!」

 

リアスたちを見つめるアーシアに向かって、大きな声が投げられた。

一誠が叫んだのだ。

 

「イッセーさん・・・」

 

一誠の方へと向き、アーシアは呟く。

 

「アーシア、ゼノヴィア、二人ともそいつに騙されているんだ!

 そいつは俺たちを襲った奴なんだ!俺たちを殺そうとした奴なんだぞ!」

 

一誠の言葉を、アーリィは無表情で受け止める。

それを肯定と受け取ったのか、一誠は更に捲し立てる。

 

「口では二人を心配しているようで、そいつは教会の命令に従ってるだけだ。

 都合が悪くなったら、すぐに二人を見捨てるに決まってる。

 そいつは、二人が思っているような奴じゃないんだよ!」

 

一誠の言葉が教会に響く。

それは一誠の心の叫びだった。

二人を思っての言葉だ。

 

 

だからこそ、脆い。

 

 

「そう言って、私に怒りましたよね、一誠さん?

 二人がお前なんかに着いて行くはずがない!と。

 私がそんなことはないと言っても、耳を傾けてくれませんでしたね」

 

その言葉に、アーシアとゼノヴィアが一誠に目を向ける。

それを尻目に、アーリィは言葉を紡ぐ。

 

「ところで一誠さん、仮に私が何かしたとします。

 二人に、無理やり私に着いて行くようなことをしたとします。

 私に、それをする理由があるのですか?」 

 

「だから、それは教会の命れ・・・」

 

「教会が私に命令をするとしたら、それは暗殺でしょうね。

 言ってしまえば、アーシアは教会にとっての恥ですから。教会が保護する理由が無いんですよ。

 むしろ、消し去ってしまいたい存在なんです。

 同じように、ゼノヴィアさんも同じことが言えます」

 

アーリィの言葉に、アーシアとゼノヴィアの二人は目を伏せる。

解ってはいた、解っていたつもりなのに、アーリィから告げられた言葉が胸に刺さる。

 

「ですが、教会も一枚岩ではないんですよね。

 まぁ、私と言う存在もいますから明白でしょうけど。

 私以外にもいたんですよ、アーシアを気に留めていたお方が」

 

その言葉に、彼女以外の全員が驚く。

 

「アーシアが追放された後、私は同じように戦場へと飛ばされました。

 ゼノヴィアさんと初めて出会った場所ですね。

 理由は、まぁ察していますがあえて言いません。ええ、本当に死にかけました。

 その後、教会のご意向で数々の戦場へと回されましたが、

 その最中で、私はある司祭枢機卿と接触することが出来たのです。

 その方は、アーシアの追放に心を痛めたお方で、ずっとアーシアのことを気にかけていました」

 

アーリィは、アーシアの方へと向き、柔らかな顔になる。

 

「私が教会を説得した後、すぐに連絡を下さりましてね。

 アーシアとゼノヴィアは自分の所で保護されるよう、取りもってくださったのです。

 流石に、司祭枢機卿を無下にする馬鹿どもはいないでしょうから、

 二人はひとまず安全だと思っています。

 誰だって、病死や事故死は怖いものですから」

 

「あの・・・その方って・・・?」

 

「会えば分かりますよ。アーシアのお手紙、大切にしていらっしゃいました」

 

「!」

 

アーリィの言葉に、アーシアは何か思い至ったのか、その顔は驚きで満ちていた。

 

 

「ならおかしいわ。なぜ教会が恥であるはずの二人を保護するの?

 保護の理由が無いわ!」

 

今度はリアスが口を挿む。確かにアーリィの言葉には説明がない。

 

「ああ、そうですね。私、うっかりしてました。

 いえ、単純な話です。アーシアやゼノヴィアさんの身を護るためですよ」

 

アーリィ以外がまるで狐につままれたような顔をする中、アーリィは話を続ける。

 

「私、アーシアを捜している間に、色々と調べたんです。

 すると、アーシアが追放される前のことについて、面白い事実を見つけたんです。

 実は、悪魔と接触し魔女とされて追放されたのは、アーシアが初めてじゃないんですよ」

 

「!?」

 

その言葉に、全員に動揺が走る。

 

「敬虔だった聖女様やシスターが、連続して魔女になって追放されていたのです。

 それもアーシアと同じように、『傷だらけの悪魔』が『何故』か『教会』で倒れていて、

 聖女様たちが悪魔といたところを『偶然』見られ、その後は弁論も許されずに追放。

 しかも、相手の悪魔は全て同じだったかもしれないとか。

 ちなみに、その後の彼女たちの消息は不明です。」

 

アーリィは、笑って言葉を吐く。

 

「もしかしたら、追放された後、その悪魔に拾われているかもしれませんね。

 なにせ、追放された彼女たちには、自身を守るモノが何もないんですから。

 今頃は、自分たちが追放された原因の悪魔と、深いお付き合いをしているかもしれませんね」

 

だがすぐに笑みを止め、能面な顔に戻る。

 

「ですから私、このことを教会の方にお聞きしたんです。

 そしたら皆さん、とても困っておられました。

 そうですよね、仮に私の推論が当たっていた場合、その不始末は誰が贖うのか?となりますし、

 外れだとしても、この可能性を考慮しなかった落ち度はあるわけですから。

 追放と言う形で、憎き悪魔に生贄を与えていたなんて言われたら、大変ですからね。

 本当に皆さん、困っていて『とても面白かった』なぁ」

 

淡々と告げるアーリィだが、その口元は少し歪んでいた。

 

「ですから、私は言ったんです。

 もしかすると、アーシアを手に入れるために、再び現れるかもしれません、と。

 私からしても、アーシアは先達の方と比べても遜色ない、むしろ素晴らしい子です。

 仮に犯人がいたとすれば、諦めるには惜しいはず。

 ですので、犯人を取り押さえたのならば、名誉挽回のチャンスではないか?と。

 そうしたら、承諾してくださいまして。

 その後に、司教様からのご連絡です。もう、主に感謝してもしきれないですよ、本当に」

 

感極まったアーリィの姿に、アーシアとゼノヴィアの二人は目を点にしている。

ある意味、アーリィの隠れた面を見てしまった弊害なのだろうか。

 

「ですので、リアスさんや一誠さん、二人の身は一応安全と言うことで理解してくれますか?

 仮に二人に何かあった場合は、教会諸共道連れにしてやるつもりですから、

 その時はご迷惑をかけるかもしれません」

 

ぺこりと頭を下げるアーリィを、悪魔たちは呆然としている。

 

 

「怪我に関しては、私は自身の身を護るために行ったのですから、お互いさまだと思います。

 ええ、恐ろしい形相で、直ぐにでも襲い掛かってきそうな『赤龍帝』に加え、

 『滅殺の紅髪姫』やその仲間たちに睨まれてしまったら、流石に身の危険を感じましたので」

 

アーリィはその時の光景を思い出したのか、身体を抱きしめる。

 

「な、ふざけるな!それが理由になるとでも思って!」

 

「だってそうじゃありませんか。

 人間の私を悪魔が6人で囲う。その中には伝説の赤龍帝がいる。

 しかもその赤龍帝は私を憎んでいるのが明白だった。

 この時点で、身の危険を感じないとでも思ったのですか?

 それに、最後は私を殺そうとしたじゃありませんか。

 私が止めましょう?と言ったのに、ふざけるな!と断ったのはお二方ですよ。

 まぁ、どんでん返しで、私が殺されかけたんですけどね」

 

一誠の言葉を、アーリィは塗りつぶす。

 

「ところで、仮に私がリアスさんによって死んでいた場合ですが、

 先ほどの会話を聞かせていただきました。

 ええ、好き勝手言ってくれまして、途中から叫びたくなりましたが、

 アーシアとゼノヴィアさんの言葉に感激して本当に嬉しかったです。

 ええ、お姉ちゃん、途中から泣きました」

 

どこから取り出したのか、アーリィは花の刺繍で飾られたハンカチで涙を拭う。

 

「さて、とりあえず言いたいことは言いましたので、何かあればお聞かせください」

 

涙を拭った後、アーリィは朗らかな笑顔でリアスたちに尋ねる。

 

笑顔だというのに、彼女の目は自分たちを見通すかのように、笑っていなかった。

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