ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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諫言

「それでも、俺は、俺はアーシアとゼノヴィアのことが・・・!」

 

アーリィの言葉に、拳を握りしめ、吐きだす様に一誠は呟く。

 

「それは私も同じです。

 私も一誠さんと同じように、アーシアやゼノヴィアさんを大切に思っています。

 もちろん、今まで出会った人々をも守りたいとも」

 

一誠の言葉に、アーリィは同意する。

その表情は相変わらず仮面じみているが。

 

「ですから、もう一度聞いてください。

 私を信用しなくても構いません。私を信じなくても結構です。

 ですが、アーシアとゼノヴィアさんの意志を信じてください。

 二人を、二人の想いを大切に思っているのなら。

 どうか、お願いします」

 

アーリィはそう言うと、リアスや一誠たちに向かって頭を下げた。

その姿に、アーシアとゼノヴィアは「アーリィ(さん)・・・」と呟き、

対する一誠たちは何も言えずにただ黙るだけだ。

 

 

だからこそ、抉る。

 

 

「それとも、貴女方の家族と言う絆や思いは、その程度なのですか?」

 

「「なっ!?」」

 

頭を上げたアーリィの発した言葉に、リアスたちは動揺する。

特にリアスは顕著なほどに。

当たり前だ、それはグレモリー家にとっては、家名を穢す禁句なのだから。

だが、アーリィは続ける。

 

「貴女達のアーシアやゼノヴィアへの信頼は、その程度なのですか?と言ったのです。

 二人の想いを、二人の決意も、貴女方には信頼に足らない物なのですか?」

 

「てめぇ!言っていい事と悪いことがあるだろうが!」

 

アーリィの言葉に、一誠が吼える。

自分たちを思ってくれる部長を侮辱されたのだから、

それを黙っていられるほど、リアス眷属の絆は弱くない。

一誠に感化されるように、朱乃や木場に小猫やギャスパーも、アーリィを睨みつける。

その姿に、リアスは背中を押されたように感じ、アーリィを見据えて言葉を放つ。

 

「そんなことはないわ。私はアーシアとゼノヴィアを大切に思っているわ。

 それこそ、アーシアは本当の妹のように、ゼノヴィアは信頼できる家族として!」

 

堂々としたリアスの言葉と姿に、一誠たちは胸が熱くなり、アーシア達も顔を赤らめる。

 

「ごめんなさい、今のは私も言い過ぎました。私も感情的になってしまいました」

 

アーリィも、申し訳なさそうに謝罪する。

 

「そうですよね、貴女方は本当に二人を大切にしていらっしゃると思います。

 まるで本当の家族として、仲間として本当に親身になっていると思います」

 

そして笑う。

 

「では、なぜ二人の決意を無下にしたのですか?

 危険だというのは二人とも承知のはずです。

 それでも決めたというのに、なぜあなた方は土壇場になって約束を破ったのですか。

 それも、『二 人 に 内 緒 で』」

 

場が凍る。

 

「況してや、なんで私が二人に何かしたと決めつけて襲ってきたのですか?

 言った通り、私は二人が断れば素直に帰ると言いました。

 それを信じられるわけではないことは理解しているつもりです。

 ですが、約束が決まった後に言いがかりをつけてきたことが不思議なんですよね。

 まさか、こうなるとは思っていなかったとでも言うつもりですか?

 だから、土壇場で約束を無しにしようとしたんじゃないですか、『私を悪者にして』」

 

「な、ちが・・!」

 

否定しようとするリアスを、アーリィは目で射抜く。

 

「ならばどうして、私を悪者にして処分したと、二人に説明したのですか?

 ああ、二人のことを思ったから、なんて理由は結構です。

 だったら、こんなことをしなければよかった訳ですからね。

 それに私は言いましたよ、『もう止めにしませんか?』と。

 それでも続行したのは貴女達側です。

 その時点で、『私を亡き者にしよう』と考えていたのではありませんか?」

 

リアスの顔が蒼白になる。否定したいのに、アーリィの眼光がそれを妨げる。

 

「それに、私を悪者とすれば、二人は貴女方を信頼するでしょう。

 信じていた家族が、実はとても悪い人だった。

 当然二人は打ちひしがれるでしょうね。

 もちろん、私は死んでいるのですから死人に口なしです。

 そこを、私たちが貴女を守るわ、家族として大切にするわ、などの言葉で囁けば、

 二人は貴女方に絶対の信頼を置くでしょうね。

 そして二度と、貴女方から離れることはないでしょう、

 何せ『一番信頼できる家族なのですから』

 

 ところで、アーシアとゼノヴィアさんの意志を蔑ろにした理由は何でしょうか?

 二人の前でお話していただけますか?」

 

アーリィの口から放たれる言葉はあくまで推論であり、言いがかりでしかない。

否定しようと思えばいくらでも出来るはずだ。

リアスは、勇気を振り絞って言葉を紡ごうとする。

 

「だから私は、二人のことが心配で」

 

「なら『先に二人へ』説明しなければなりませんよね?

 『二人を心配してる』のに、『二人のことを思っての行動』なのに、

 なぜ当事者を蔑ろにしたのですか?」

 

だがアーリィはそれを許さない。

言葉に対して、言葉で返す。

リアスの身体は、声が震えだす。

 

「だからそれは、私たちが・・・」

 

「部長!」

 

リアスの震える姿に、一誠が言葉をかける。

けれども、リアスの震えは止まらない。

教会の中にいるというのに、まるで極寒の外に裸で立っているような、そんな世界に感じる。

目の前にいるのはただの修道女、ただの人間。

ボロボロで、まだ傷も癒えていないというのに。

 

 

 

 

「もう・・・止めてください・・・!!」

 

声が響いた。

それはか細く、けれども凛とした音色で、そして絞り出すような、悲痛な声だった。

 

「お願いです・・・もう・・・聞きたくありません・・・」

 

それはアーシアの声だった。 

 

「お願いアーシア、話を聞いて・・・!」

 

「もう・・・わかりません、わからないんです。

 リアスお姉さまのことが、皆さんのことが。

 一人ぼっちと思っていた私を、皆さんは受け入れてくれました。家族と言ってくれました。

 私、嬉しかった・・・本当に嬉しかったんです。

 でも、今の皆さんに対して、私は解らなくなっちゃったんです・・・」

 

アーシアの言葉に、その場にいる全員が黙る。

 

「リアスお姉さまや一誠さんの言葉を信じたい、。

 でも、アーリィ姉さまの言葉が間違っているとも思えない。

 わたし、わたし・・・もう、わけが解りません・・・!」

 

そう呟くと、アーシアは涙を流しながら出口へ駆け出す。

 

「アーシア待ちなさい!お願いだから待って!」

 

リアスが声を上げて止めようとするも、アーシアはそれを振り切って出て行く。

 

「待ってくれアーシア!」

 

一誠は声を上げて追おうとするが、アーリィが彼の前に立ち、一誠を止める。

他の眷属たちに対しても、彼女の視線がそれを妨げた。

 

「アーシアをお願いします」

 

一誠を止めたアーリィは、すぐさまゼノヴィアに視線を送る。

ゼノヴィアは、「任せろ」と言うように頷くと、直ぐにアーシアの後を追った。

 

「てめぇ!そこをどけ!お前に構っている暇はないんだ!」

 

「あなた達に無くても私にはあるんですよ、理由が。

 それに、今のアーシアにとって、あなた達は非常にまずいと思うのです。

 不安定の原因となっている者が追いかけたら、それこそ余計に拗らせます。

 ですから、ここはゼノヴィアさんに任せて、

 アーシアが落ち着くまで、私とお喋りしながら待ちませんか?」

 

「ふざけるな!」

 

焦る一誠に対し、真逆で落ち着いた雰囲気を醸すアーリィ。

怒りの表情を宿す一誠に対し、穏やかな無表情を張り付けたアーリィの顔。

その姿に、一誠は焦りと怒りが相まって、我慢の限界に達した。

 

「お前が!お前のせいでアーシアはぁ!」

 

一誠は、左腕に赤龍帝の籠手を出現させると、倍加をかけながらアーリィに殴りかかる。

アーリィはその見た目からしてボロボロで、

対する自分たちの傷はアーシアのおかげで全快と言ってもいい。

 

この場でこいつを黙らせて、アーシアを追わなければいけない!そういった焦りもあり、

一誠はアーリィに向かって拳を突きだした。

 

「がっ!?」

 

突如、自分の額に衝撃が起き、一誠は後へとよろめく。

 

「くそ、いったい何が起きたんだ・・・!?」

 

突然の衝撃に、一誠はふらつく頭を押さえながら、なんとか体勢を戻す。

突き出した拳には何も感触が無く、拳が当たったわけではないのだが。

 

「もう一度お聞きします。私と一緒に待ちませんか?

 それとも、今の行動が答えと受け取っても構いませんか?」

 

「受け取ったらどうだって言って・・・!?」

 

「そうですか」

 

すると、ふらつく一誠の左腕を誰かが掴み、引っ張られる。

一誠はふらついたせいで力を込めることが出来ず、そのまま引き倒される。

そして、

 

「クリスって知ってますか?」

 

「一誠、逃げて!」

 

誰かが自分に問いかける声と、逃げるよう、叫ぶ声を聞いた。

そして左腕、それも竜化している部分を外し、肩よりも胸に近い部分に激痛が走る。

まるで何かに抉られていくような感覚。

その激痛に一誠は叫んだ。

 

「それとも、フランベルクの方がご存知ですか?」

 

更に抉られる感覚。

その痛みに一誠は叫び声を上げるが、身体は押さえつけられているのか、動けない。

 

「ああ、動かないでください。動くと余計に悪化しますよ」

 

痛みに意識を持ってかれそうな中、何とか目を開けた一誠が見たのは、

額から血を流しながら、自分の上にいた修道女だった。

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