ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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もしもこんなんだったら3

レイヴェル・フェニックスにとって、

兄であるライザー・フェニックスは、様々な感情が入り混じる家族である。

 

まず、女誑しだ。

彼の眷属は全て女性であり、下は見た目が幼女から、上は熟れた女性と種類が多い。

また、子供らしい者もいれば、戦うことしか頭にない困った子もいるし、

レイヴェル自身も舌を巻く戦術を練る者もいる。

もちろん、転生悪魔ではあるが、元が猫娘だったりと種族も異なる。

ようは、色々多すぎなのだ。

ライザー曰く、俺のハーレムだからな!らしい。

だが、妹系ハーレムとして自身を眷属にしたことに対しては、

とりあえず顔面を徹底的に殴ったことで怒りは収めた。

 

だが、そうしたそんな誑しの面はあれど、眷属同士の中は良好であり、

全てがライザーを慕っていると言ってもいい。

まぁ、全員が兄の寵愛を受けているらしく、時折砂糖菓子を溶かしたように、

各眷属が甘ったるい雰囲気を醸しだしているのに、若干引いてしまう。

また、兄の寝室から聞こえてくる声に、何度か文句を言ったこともある。

兄の女好きに関しては、頭を痛めるも、自身の眷属に対する優しさは、

レイヴェルも兄を評価する一点である。

 

次に、お調子者である。

レイヴェル自身もそうだが、フェニックスという純血悪魔の一柱にして、

不死というフェニックス特有の力が要因であろう。

ようは、何度死んでも蘇るという、他の悪魔にはない利点をもっているのだ。

ただし、蘇生には精神的苦痛を伴うため、決して無制限とは言い難い。

だが、ライザーと相対した者は、その不死身の前に、精神を折られてしまうのである。

何度殺しても、次の瞬間には蘇生してしまう。

これで心が折れないものはそうそういないだろうが。

結果、ライザーはレーティング・ゲームにおいて、ある種の無敗を築いている。

それによりライザーは、

レーティング・ゲームにおいては絶対の自信を持っていると言ってもいい。

まぁ、無敗という称号に、調子に乗っている面もあり、

レイヴェル自身は素直に賞賛できないのだが。

 

では、ライザーは能力頼りで勝ってきたか?と言われれば、

レイヴェルは自信をもって「否」と答える。

彼女は知っているのだ、兄がレーティング・ゲームに対し、

並々ならぬ熱意を持って行っていることに。

レーティング・ゲームの試合日が決まれば、彼は眷属を纏め、相手の駒を徹底的に分析し、

それに対する作戦を構築するのだ。それも何度も繰り返して。

それは無敗という称号を維持する意味でもあるだろうが、

何より、フェニックスという家名を背負っているからこそと言える。

 

自身よりも優秀であるルヴァル兄様という存在がいる故に、

ライザーはその兄になにかしら勝ちたいと必死なのだ。

そしてその兄に対等になれるのが、レーティング・ゲームだったというだけの話だ。

故に、ライザーは一切試合に置いては手を抜くことはない。

何故なら、真剣に取り組んでいるからこそ、それを穢すことを許せないからだ。

ライザーのその姿をレイヴェルだけでなく、家族は知っている。

 

そして最後は、レイヴェルに優しいということだ。

見た目的には人間界でいうちゃらい男と評される見た目であり、

性格的もお世辞には礼儀正しいというわけではない。

しかし、何かと自分に対しては配慮する兄を、レイヴェルは好いているのだ。

だが、ハーレムにいれようとしたことは許さないらしい。

 

そうした、正と負の混濁した感情を持っているものの、

兄であるライザーが結婚するということに対して、レイヴェルは素直に喜んだ。

お相手はグレモリー家の長女であるリアス・グレモリーだった。

どうやら、両家が純血悪魔を絶やさないために、縁談が持ち上がったらしい。

兄であるライザーは、リアス・グレモリーと婚約することに乗り気だった。

写真を拝見すると、レイヴェルも嫉妬するほどの胸をお持ちで、

「決め手は胸ですか?」とライザーに問い、彼がうなずいた瞬間に、

自身の拳がライザーの顔にめり込んでいた不可思議現象が起きたのは秘密だ。

 

しかし、こうした婚約話は、思いもよらぬ展開になった。

相手であるリアス・グレモリーが拒否したのだ。

どうやら、女誑しが気に入らないらしく、婚約について納得いかないらしい。

結果、両者の言い分が平行線となり、

魔王様の提案によりレーティング・ゲームで婚約の扱いを決めることとなった。

期日は10日であったが、ライザーはリアス・グレモリーの眷属を徹底分析し、

どういった作戦を用いるかを熱心に試行錯誤していた。

一方で、リアス・グレモリーの方は、学校を休んで山籠もりをしたという噂が聞こえた。

そうした噂を耳にし、リアス・グレモリーの心構えに対し、レイヴェルは失望した。

 

結果としては、兄の勝ちだった。

それも、リアス・グレモリーによるサレンダー宣言によってだ。

その行為に対しても、レイヴェルは失望の念を抱いた。

リアス・グレモリーは、主の願いを叶えようとした眷属の想いを裏切ったのだ。

それも、眷属が傷ついて欲しくないという理由で。

ならばなぜ、レーティング・ゲームを行ったというのだ。

レイヴェルは、リアス・グレモリーのゲームに対する行動に腸が煮えくり返った。

真剣に取り組んでいた兄を、真っ向から侮辱したのだ。

到底許せるものではなかった。

 

だが、ここでもまた、予想もつかない展開へと物語は動いた。

結婚式当日、リアス・グレモリーの眷属である赤龍帝が式場に乗り込んできたのだ。

そのうえ、魔王であるサーゼクス・ルシファーが、それを擁護する形で、

ライザーと赤龍帝の戦いによる婚約解消試合が行われたのである。

 

結果は、聖水や十字架による致命傷と赤龍の力による攻撃によって、ライザーの敗北となり、

両家の婚約は解消となったのである。

レイヴェルにとって、それは理解しがたい事だった。

魔王様の提案による試合に勝利した兄が、魔王様の提案による追加試合によって負けたのだ。

それにより、ライザーはリアス・グレモリーに敗北し、無敗の称号も消え去った。

また、赤龍帝による攻撃は、ライザーに大きな傷跡を残したと言えるのだった・・・。

 

 

 

大きな廊下を、レイヴェル・フェニックスは一人歩く。

目指すは、兄、ライザーの部屋だ。

兄の寝室の向かうと、扉の前では誰かいた。彼女は兄の『女王』ユーベルーナだろうか。

まるで扉を守るように立っている彼女に、レイヴェルは頭を垂れた。

ユーベルーナも、レイヴェルに気付き、慌てて頭を垂れる。

そうした挨拶もそこそこに、レイヴェルは彼女に問う。

 

「お兄様の様子は?」

「依然・・・変わりありません・・・」

「そうですか・・・」

 

レイヴェルは、その会話からライザーの様子を察した。

赤龍帝との敗北により、ライザーの心は砕け散った。

それまで築き上げてきた誇りも、何もかもが塵になったのだ。

今まで彼を持ち上げてきた者たちは、彼の敗北により掌を返すように罵倒へと変わった。

また、くだらないゴシップは彼の敗北を面白おかしく書き立てた。

 

逆に、リアス・グレモリーに対する評価は全て肯定的だ。

「赤龍帝を従える紅髪の滅殺姫」「無敗を打ち破った新たな新人」等々、

彼女は一躍世間を賑わす有名人となったのでる。

 

その他にも、ライザーの傷跡は深かった。

赤龍帝の敗北によって、彼は龍へのトラウマが発症したのだ。

眷属の話によれば、夢にまで現れるらしく、半ば発狂に近いという。

そうした精神的な傷痕が、彼を引きこもりへと変えてしまったのだ。

 

決して手放しでほめられた兄ではなかったが、

それでもレイヴェルにとっては誇らしい兄であった。

それが、今では見るも無残な姿になってしまったのである。

 

「リアス・グレモリーィィィィィ・・・」

 

故に、レイヴェルは憎む。

彼女自身、それは八つ当たりであると理解している。

だが、自分の兄をこんな姿に変えた元凶が、

世間をから認められていることに、彼女は許せないのだ。

そして、兄をこんな姿に変えた赤龍帝もまた、彼女の許せない存在へとなった。

だが、レイヴェルは決して闇討ちをする愚行はしない。

 

レーティング・ゲームによる因縁は、レーティング・ゲームで晴らすべきなのだ。

それは兄の考えを侮辱するかもしれない。

だが、レイヴェルはそれでも、兄への屈辱を晴らさなければならないと考える。

 

「ユーベルーナ、兄の眷属を全て私の部屋に呼んでください」

 

ユーベルーナは、主の妹であるレイヴェルの言葉に戸惑う。

 

「私もレーティング・ゲームに参加したくなりました。

 しかし、私は何も知らない素人。ですから、あなた達にご教授を願いたいのです」

「し、しかしレイヴェル様。いったいなぜ急にそんな・・・」

「なぜ・・・ですか?」

 

ユーベルーナの言葉に、レイヴェルは不思議そうな顔で振り向いた。

そんな理由など、解っているではないか、と。

 

「リアス・グレモリーを潰します。倒すのでなく、潰すためですわ」

 

レイヴェル・フェニックスの氷のような笑顔は、ユーベルーナを戦慄させた。

 

 

 

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