ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode103 真なる竜王

俺は竜王が真の姿へと変わろうとしているのを見て、急いでそれを止めようとおうじゃのけんを降り下ろす。

真の姿である巨大な竜になれば、さっき以上に厳しい戦いになることは間違いないからな。

しかし、俺が攻撃を命中させる前に、竜王は大きな雄叫びを上げた。

 

「ぬううううううううんっ!」

 

その瞬間、俺のまわりに一気に闇の力が解き放たれ、視界が真っ暗になる。

竜王の姿も見えなくなったが、闇の中から奴が話しかけてくる声が聞こえた。

 

「そうだ、雄也よ···。本来の姿を見せる前に、あやつと同じ問いかけをしようではないか」

 

あやつと言うのは恐らく裏切り勇者のことだろうから、俺にも世界の半分を渡すとでも言いたいのだろうか。

俺がそう思っていると、竜王はやはりあの質問を言い始める。

 

「世界の半分を貰うかわりに、わしの味方にならんか?」

 

世界の半分を渡すと言って、どうせ勇者の時と同じように小さな城に閉じ込めるつもりだろう。

そうなればせっかく復興してきた町も再び壊滅し、俺自身も精神が狂うことは間違いないだろう。

 

「どうせそんなことを言って騙すつもりじゃないのか?」

 

「心配するな···そなたには闇の世界を与えるようなことはせぬ」

 

闇の世界ではないと言うのなら、どんな世界をくれると言うのだろうか?

 

「そうだな···そなたが自由に物を作れるビルダーとしての新しい世界を与えてやろう」

自由に物を作れる新しい世界か···確かにそれならビルダーの能力を使って楽しく生きていけるかもしれない。

だが、竜王がそんな世界をくれるとはやっぱり思えないな。

それに、いくら自由に物を作れる世界であったとしても、みんなが協力して生きている今の世界のほうが確実に楽しいはずだ。

俺が竜王の誘いを断ろうとしていると、奴は改めて問いかけをしてくる。

 

「雄也よ、改めてそなたに問う。もしわしの味方になれば世界の半分を雄也にやろう。わしの味方になるか?」

 

「いや、お前の味方にはならない。必ずお前を倒して、みんなが楽しく暮らせる世界をつくってやる」

 

何度問いかけををされても、俺の気持ちは変わらない。だが、俺がはっきり断っても竜王は問いかけを続けてきた。

 

「もしそなたがわしに負ければそなたが復興してきた町も、助けた人々も、出会った仲間も全て滅びることになるのだぞ?本当にそれでよいのだな?」

 

負ければ世界が再び滅びるということなんて、言われなくても分かっている。

とてつもなく強い相手だと言うことは分かっているが、必ず真の竜王を倒して世界に光を取り戻してみせるぜ。

 

「お前に負けるつもりは決してないからな。何度言われても味方にはならないぞ」

 

俺がそう言うと竜王はついに問いかけをやめ、真の姿を現そうとする。

 

「そうか···愚かな奴め!では雄也よ、地獄で後悔するがいい!」

その言葉と共にあたりはさらに深い闇に包まれ、竜王の城が崩れていくような音も聞こえた。

そして気がつくと俺は城の城壁の上に立っており、目の前には鋭い爪や牙を持ち、全長30メートル以上あると思われる巨大な紫色の竜がたち塞がっていた。

俺がいる城壁は高さ20メートルくらいの場所で、竜王の顔は見上げなければ見えなかった。

 

「これが竜王の真の姿か···ここまで大きいとは思っていなかったぜ」

 

崩れる音が聞こえたのは竜王が巨大化したことによって城が壊されたからなのか。

ここまで巨大な竜だとは思っておらず、かなり驚いたけど、怯えている訳にはいかない。

 

「ものすごく強そうだけど、必ず勝って、生きてみんなのところに帰るぜ!」

 

俺が二本の剣を構えると、竜王も同時に凄まじい叫び声を上げる。俺と真の竜王との決戦の時が来た。

竜王は最初は俺のいる城壁から少し離れた場所にいて攻撃を当てることが出来なかった。

それで、竜王が近づいてくるのを待っていると、奴は急に爪を振り上げて俺のところへ飛びかかってきた。

俺は急いでジャンプしてかわしたが、竜王の爪が叩きつけられた瞬間、城壁が強く揺れる。

俺の攻撃ではびくともしない城壁なので、それだけ威力が高いということだろう。

 

「攻撃力もここまで強いのか···避けながら攻撃していくしかなさそうだな」

 

回避した後体勢を立て直していると、竜王は爪を再び振り上げて俺を斬り裂こうとしてくる。

それを見て思ったが、竜王は攻撃のあと爪を振り上げるのには少し時間がかかっており、攻める隙がありそうだった。

奴は体が大きいから攻撃の威力と範囲は大きいが、動きは遅くなっているみたいだな。

俺はもう一度ジャンプをして爪を避けて、竜王の次の攻撃が来る前におうじゃのけんを叩きつける。

さすがは伝説の剣で、固い竜王の体に深い傷を負わせることが出来た。

だが、ダメージを与えたものの、奴は全く怯む気配はみせなかった。

 

「攻撃は出来たけど、怯ませるのは難しそうだな」

 

回転斬りを当てれば怯むかもしれないが、力を溜められるほどの隙はなかった。

少しずつ攻撃していくしかなさそうなので、俺は竜王の爪を避けながら二本の剣で奴の腕を何度も斬り裂いていく。

はがねのつるぎでは少しの傷しか負わせられないが、使わないよりはいいだろう。

しばらくすると、竜王は傷をつけられたことに怒ったのか、

 

「グギャアアアアアッ!」

 

と再び叫んで、今度はさっきよりも大きく爪を振り上げる。

強く爪を叩きつけるのだろうから、今までと同じでジャンプで避ければよさそうだな。

奴が力を溜めている今は攻撃のチャンスなので、俺は竜王の体を斬り刻んでいく。

怯ませればさらなる攻撃チャンスが出来ると思ったが、やはり竜王が怯んで体勢を崩すことはなかった。

でも、強力な叩きつけをかわせばその後にも攻撃の隙はできるだろう。

しかし、竜王が力を溜め終わり、ジャンプで回避しようとしていると、奴は

俺の予想と違い、爪を叩きつけるのではなく爪で城壁の上をなぎはらってきた。

「くそっ、これだとかわせないな」

 

俺はジャンプをしても避けることが出来ない位置にいるが、喰らうわけにはいかないので、何とか威力を最小限に抑えようと剣を使って受け止めようとする。

体が引き裂かれることは免れたが、腕が砕け散るような痛みに襲われ、数メートル横に吹き飛ばされてしまった。

さらに、今まで多くの魔物の攻撃を受け止めて弱ってきていたはがねのつるぎにひびが入っていた。

 

「くっ、防いでもこの威力なのか···!」

 

いつもなら動けなくなるほどの痛みだが、すぐに竜王の次の攻撃が来てしまう。

竜王の方を見ると、奴は巨大な口を開いて俺を噛み砕こうとしており、弱っている俺にとどめをさそうとしているようだった。

絶対に負ける訳にはいかないので、俺は激痛が走る腕で二本の剣を構え直して竜王の噛みつきを避けた。

噛みつきの跡には隙が出来たので、俺は腕の痛みを我慢して斬りかかっていく。

 

「確かに強い一撃だったけど、まだ俺を倒すことは出来ないぜ!」

 

竜王の顔は腕よりも柔らかく、俺は連続で剣を降り下ろしてさっきより深い傷をいくつもつけていく。

そして、竜王も顔面を斬られ続けてはかなりのダメージを受けるようで、大きく怯んで動けなくなっていた。

 

「やっと竜王を怯ませることが出来たな。今なら回転斬りも使えそうだし、一気に弱らせるか」

 

俺は竜王が怯んだところを見て、両腕に力を溜める。

二刀流での回転斬りを受ければ竜王も弱らせることが出来るだろうからな。

そして、腕に最大まで力が溜まった瞬間、俺は竜王の顔面に向かって強力な一撃を放つ。

 

「回転斬り!」

 

回転斬りを受けてもまだ竜王は倒れることはなかったが、弱らせたのは確実だろう。

ひびの入っているはがねのつるぎは今度こそ砕けてしまうと思っていたが、辛うじて無事だった。

回転斬りが終わった後、俺は竜王にさらなるダメージを与えるためにおうじゃのけんで追撃を加える。

2発ほど追撃したところで竜王は起き上がり、俺を強く睨み付けてくる。

 

「竜王も本気で怒ってきているみたいだな」

次はどんな攻撃をしてくるのか警戒していると、竜王は口の中に闇の炎を発生させ、それを巨大な火球として放ち始める。

魔導士の姿の竜王が放ったメラゾーマの火球よりも大きく、ジャンプでなければ回避することが出来なかった。

でも、今まで多くの魔法攻撃をかわしてきた俺なら闇の火球を避けて竜王に近づくことが出来るだろう。

俺は竜王が次々と放ってくる闇の火球を避けていき、奴の腕に近づいていく。

竜王の火球を吐くスピードはどんどん上がっていくが、俺はなんとか避けていきながら腕に近づき剣を叩きつけた。

 

「どれだけ巨大な闇の炎でもかわしきれないことはないぜ!」

 

腕に近づいた後は闇の炎を避けつつ、わずかな隙に竜王の腕にダメージを与えていく。

竜王が弱っているのは確実なようで、奴が闇の火球を放つスピードが落ちてきていた。

だが、竜王ももうすぐ倒れるかもな、と思っていると突然竜王は闇の炎を吐くのをやめて、大きく後ろにジャンプして俺の攻撃が届かない場所へ移動した。

 

「後ろに下がったけど、何をするつもりなんだ?」

 

竜王が逃げ出すことはありえないはずなので、俺の近くで使えば竜王自身もダメージを受けるほどの強力な攻撃を放ってくるのかもしれない。

その予想は当たっていたようで、竜王は口の中に膨大な量の闇のエネルギーを溜め始める。

さっきの闇の炎とは比べ物にならないほどの強さで、竜王のまわりにも闇の力が溢れ出すほどだった。

「どこまで闇の力を溜め続けるつもりなんだ?」

 

そして、闇のエネルギーが最大にまで溜まると、竜王は俺のところへ向かってそのエネルギーを放つ。

あんな威力の攻撃を受けたら即死だと思い、城壁の右端にいた俺は城壁の左端へと走り始める。

生きるか死ぬかの境目だからか、いつもよりとても速い速度で俺は城壁の上を走っていく。

何とか俺は左端まで逃げることが出来たが、その瞬間に放たれた闇のエネルギーが大爆発を起こし、城壁の3分の2近くが跡形もなく消し飛んだ。

俺も直撃は避けられたが衝撃で吹き飛ばされ、全身に激しい痛みがおこる。

 

「助かったけど本当に凄い威力だったな。もしもう1回使われたら今度こそ死ぬだろうな」

だが、竜王の様子を見ると奴もこの攻撃をするのに多くの魔力を消費したようで、2回目が放たれることはなさそうだ。

だが、竜王の怒りも極限に達して、奴は先ほどの叫び遥かに越える大きさの叫び声を上げる。

 

「ドギャアアアアアアアッッ!」

 

耳をつんざくような声に怯んだ俺のところに、再び竜王は両腕を振り上げて爪を叩きつけてきた。

鼓膜が破れるかと思うほどだったが、俺は耐えて爪を避け、ジャンプをして避ける。

攻撃を避けた後は、城壁が激しく揺れているが何とか立ち上がり、隙が出来た竜王の腕におうじゃのけんで攻撃する。

 

「何度爪を叩きつけられても俺を引き裂くことはできないぞ」

何回か斬りつけられたが怯ませることは出来ず、竜王は起き上がって腕を振り上げて力を溜め始める。

なぎはらい攻撃が来ることは分かるが、残った城壁ではジャンプをしても避けきることは出来ないな。

 

「何とかしてなぎはらいを阻止しないとまずいな」

 

普通の攻撃をいくら与えても動きを止めることは出来ないだろうから、回転斬りを当てるしか攻撃を阻止する方法はない。

それも、なぎはらい攻撃が始まる前に放たなければいけないので、いつもより速く力を溜めないといけない。

俺はいつもより速く、そして強く回転斬りを放つために、全身の力を腕に集中させるように力を溜める。

そして俺は、竜王のなぎはらい攻撃が行われる寸前にその力を解放し、奴の体を斬り裂いた。

「回転斬り!」

 

渾身の二刀流での回転斬りをまともに受け、弱っている竜王はさらなる大ダメージを受けて怯み、動きを止めた。

俺はさっき回転斬りを使った時と同じように追撃を与えようとしたが、竜王は何としても倒されないようにとすぐに起き上がる。

 

「竜王も追い詰められているから、最後の力を振り絞っているようだな」

 

追い詰められた竜王とそれを倒そうとする俺、その戦いも終盤を迎えていた。




次回、4章の最終話になります。
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