ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode104 アレフガルドの光

竜王は追い詰められているにも関わらず、攻撃が弱まるどころかより激しくなっていた。

回転斬りを受けた後、すぐに体勢を立て直した竜王は、さっきよりも強く俺に爪を叩きつけてくる。

奴の攻撃の後にはいつもなら大きな隙が出来るのだが、速度も上がっているのでほとんど隙がなくなっていた。

 

「弱っているはずなのに、攻撃の威力も速度も上がってきているな」

 

竜王にも人間の物を作る力を奪った理由があるので、ここで倒される訳にはいかないのだろう。

でも、俺がついていけないほどの速度ではなく、爪をかわした後に斬りかかることが出来そうだ。

俺は竜王の爪をジャンプでかわしていき、奴が腕を振り上げるまでののわずかな隙に、おうじゃのけんを叩きつける。

俺もかなり体が疲れてきていたが、必ず竜王を倒せると思いながら攻撃を避け続け、その度に反撃で奴の腕を斬り刻んでいく。

そして、もう竜王の力も限界なのか、ついに爪を降り下ろすスピードが落ち始めてきた。

 

「攻撃のスピードも遅くなってきたし、もうすぐ竜王の力も尽きるのかもな」

 

俺は竜王の様子を見て、強力な攻撃を叩き込んでとどめをさそうと思った。

しかし、隙が大きくなったと言っても攻撃はやまず、再び竜王は巨大な口を開けて闇の火球を吐き出してきた。

さっきのように絶大な威力を持つ攻撃は放てなくなっても、メラゾーマ並の大きさの火球を放つことは出来るようだ。

すぐに気づいて大きく飛んで避けることが出来たが、竜王の闇の火球の衝撃によって城壁のいくつかのブロックにひびが入っていた。

 

「残っている城壁にひびが入ったか···このままだと全部崩れるかもな」

 

さっきの闇の大爆発の時の爆風で弱っていたブロックがさらに爪や噛みつきを受けているのだから、ひびが入るのも仕方ないな。

城壁が崩れれば転落死は免れないだろうから、その前に竜王を倒さないといけない。

だが、竜王は俺の攻撃を防ぐためだけでなく、早く城壁を砕け散らせるためにも大量の闇の炎を放つ。

それだけでなく、火球を吐くと同時に両腕の爪を叩きつけてきた。

 

「爪のスピードも威力も落ちているけど、闇の炎のせいでまた隙が無くなったな」

 

俺は爪と炎を避けながら竜王に近づこうとするが、なかなか近づけない状況であった。

このままだと本当に城壁が壊れてしまうな···と思っていると、竜王もブロックの耐久力が尽きると思ったのか、頭を振り下ろして城壁を叩き砕こうとしていた。

回転斬りを溜める時間もないし、避けても城壁が崩れ去るだろうから、何としても防がないといけない。

 

「出来るか分からないけど、剣で竜王を受け止めるしかなさそうだな」

 

おうじゃのけんを使っても竜王の強力な一撃を防ぐのは難しいだろうけど、それ以外に防ぐ方法は思い付かないし、もし怯ませられれば今度こそとどめをさせるかもしれない。

そして俺は、竜王が頭を叩きつけてきたと同時に腕に思いきり力をこめて受け止めようとする。

竜王の攻撃はやはりとてつもない威力で俺は腕だけでなく、全身の骨が激しい痛みに襲われる。

 

「ここでお前なんかに倒されるかよ!」

 

必ず生きて帰るってみんなに言ったからな、こんな攻撃で死ぬわけにはいかない。

あまりの力に左手に持っていたはがねのつるぎも砕け散ってしまったが、それでも俺は叫びながら竜王の攻撃を受け止め続けた。

すると、ついに竜王は俺を押しきることが出来ず、力尽きて大きく体勢を崩す。

 

「受け止めきれたのか···もう俺も力の限界だけど、倒すなら今しかないな」

 

これで城壁を壊されずに済んだし、竜王を怯ませることが出来たな。

立つこともやっとの状態だったけど、次に攻撃を受ければ確実に城壁が砕けるだろうし、このチャンスを逃す訳にはいかないので、俺はおうじゃのけんで竜王の顔面を斬り刻む。

竜王は弱点である顔面に攻撃されないように何とか体勢を立て直そうととするが、俺はその様子を見てすぐに腕に力を溜め始めた。

そして、奴が頭を起き上がらせる寸前に、俺はその力を解き放つ。

 

「今度こそ倒す、回転斬り!」

 

おうじゃのけんだけでの回転斬りだったが、瀕死の竜王にとっては大きなダメージで、奴は再び怯んだ。

そこでとどめをさそうと俺が竜王の首に向かって剣を叩きつけると、ついに竜王の生命力は全て尽き、倒れこんで動かなくなる。

そして、竜王の体はだんだん大きな青い光へと変わっていく。

 

本当に竜王を倒せたのかしばらく確信が持てなかったが、奴の体が完全に消え去ると安心して俺は武器をしまった。

 

「ついに俺は、魔物の王である竜王を倒すことが出来たんだな」

 

竜王を倒したことに俺はまだ実感が湧かないけど、これで残る闇の元凶は闇の戦士だけになったな。

そう思っていると、倒れた竜王の中からは闇に包まれた宝玉のような物が出てくるのが見えた。

今までの戦ってきた魔物の親玉は伝説のアイテムの素材を落としていたが、竜王が持っていたこれは何なのだろうか?

俺がその宝玉に近づいていくと、頭の中にルビスの声が聞こえてきた。

「よくやりました、雄也。見事竜王を打ち倒したようですね」

 

竜王が倒されたことは、ルビスももう知っていたようだな。

 

「ああ、今までで一番強かったけど、みんなのためにも負けられないと思ったんだ」

 

これでアレフガルド全域の空の闇が晴れるはずなので、ルビスもとても喜んでいるのだろう。

俺もとても嬉しいが、今は竜王が落とした闇に閉ざされた宝玉のことが気になるな。

ルビスなら何か分かるかもしれないので、俺は宝玉のことを聞いた。

 

「それとルビス、こんな玉を落としたんだけど、これは何なんだ?」

 

「それは竜王に奪われたひかりのたまです。竜王の呪いで闇に閉ざされてしまいましたが、あなたなら元の輝きを取り戻すことが出来るでしょう」

 

ひかりのたまか···ドラクエ3で竜の女王から貰え、ゾーマの闇の衣を剥がす時に使ったアイテムだったな。

それで、ドラクエ1では竜王を倒してそれを取り戻すと、世界に平和を取り戻すことが出来る。

だが、その時と違って今のアレフガルドにはまだ闇の戦士がいるので、完全な平和を手に入れることはできなさそうだ。

でも、空の闇を晴らすことは出来るかもしれないな。

俺はそう思い、輝きを取り戻させる方法をルビスに聞くことにした。

 

「どうやったらひかりのたまは輝きを取り戻すんだ?」

 

「あなたのビルダーの魔法を使えばよいでしょう。素材も作業台もいらないので、この場でできるはずです」

ビルダーの力ではそんなこともできるのか。恐らくは、ひかりのたまの輝きを作り出すということなのだろうな。

この場で出来ると言われたので、俺はさっそくひかりのたまに向かってビルダーの力を発動させた。

すると、ひかりのたまを包んでいた闇が晴れていき、しだいに輝きを取り戻していく。

そして、すべての闇が晴れるとひかりのたまは本来の輝きを取り戻し、まばゆい光を放っていた。

 

「これがひかりのたまの本来の輝きなのか···これなら、世界の闇をはらえそうだな」

 

俺がひかりのたまを手に取ると、再びルビスが話しかけてきた。

 

「よくやりましたね、雄也。では、そのひかりのたまを天へと掲げるのです」

「ああ、もちろんだ!」

 

俺はそう言ってルビスに返事をした後、手にしたひかりのたまを空に掲げる。

ひかりのたまは空高く登っていくと、アレフガルド全体を暖かい光で照らしていく。

そして、ラダトームの黒かった空は青空へと変わり、アレフガルド全域がより明るくなっていく。

自分の力で光を取り戻したという感動のせいかもしれないが、その空は日本にいた時の青空よりもずっと美しかった。

 

「雄也よ、本当によくやりました。勇者ではないあなたが竜王を倒せたのは、あなた自身の力で作り上げた物の力があったからでしょう」

 

光が戻ったアレフガルドの空を眺めていると、ルビスはそう言った。

ビルダーの力で作った武器、仲間たちに平和な世界を見せたいという強い思い、それら全てが竜王を倒す力になっていたのだろう。

これからもビルダーの力を使って大切な仲間たちのために、アレフガルドの復興を進めていきたいな。

 

「ああ、本当に厳しい戦いだったけど、あんたの言う力があったからこそ竜王に勝てたんだ。みんなも喜んでいるといいんだけどな」

 

今ごろはみんなも闇が晴れたアレフガルドの空を眺めていることだろう。

俺がそう言うと、ルビスはみんなも俺の帰りを待っていると言ってくる。

 

「みなも喜んであなたの帰りを待っているはずです。虹のしずくを使えば、ラダトームの城に帰れるでしょう」

俺もみんなに会いたいし、竜王との戦いで疲れているので早く帰りたいぜ。

虹のしずくをポーチから取り出して使うと、竜王の島に来た時と同じように俺は空に飛び上がる。

その後、俺の体はラダトーム城へ向かって飛んでいき、城の目の前のところで着地した。

 

俺は着地すると、さっそくみんなの待っているラダトーム城の中へと入っていく。

すると、最初に俺の姿を見たピリンが驚いた顔をして話しかけてきた。

 

「雄也、さっき空が明るくなったんだけど、もしかして竜王を倒してきたの?」

 

「ああ、竜王を倒してアレフガルドに光を取り戻して来たんだ」

俺が竜王を倒して帰ってきたことを聞いて、ピリンはとても嬉しそうな顔をする。

俺とピリンとの話し声が聞こえたのか、みんなも希望のはたがある場所に集まってきた。

そして、生きて帰ってきた俺の姿を見てみんなは大喜びしながら感謝の言葉を言い始める。

 

「お前さんなら勝てると思ってたが、生きて戻ってきてくれて本当に嬉しいぜ」

 

「ワタシは少し心配になっていたけど、さすがは雄也だな!」

 

「竜王を倒してくるとは···よくやった、よくやったぞ雄也!」

 

「おお!雄也様!生きて帰ってきてくださったのですね!」

 

「雄也、やってくれたね。アタシは、あんたなら必ずやると思っていたけどね」

「勇者ではないそなたが竜王を倒したことにはとても驚いたぞ。とにかく、よくやった、雄也!」

 

「あなたさまのおかげで平和が戻りました。どうもありがとうございました!」

 

「まさかお前が、本当に竜王を倒してくるとはな!」

 

「アノ竜王様ヲたおストハ、なんトイウおそロシイオかたダロウ!」

 

でも、みんなは竜王が倒れたことで空の闇が晴れただけでなく、世界に平和が戻ったと思っているようだな。

だが、俺がまだ闇の戦士が生きていると伝えようとすると、ローラ姫が宴を開こうと提案してきた。

 

「雄也様、世界に光が戻ったことをお祝いして、これからささやかな宴を開こうと思っているのです」

確かにまだ敵は残っているけど、せっかく空の闇が晴れたのでお祝いの宴は開いたほうがよさそうだ。

そして、明日になってみんなが落ち着いたら、そこで戦いがまだ終わっていないことを伝えよう。

俺も竜王との戦いは本当に大変だったし、1日くらいは休みたいからな。

 

「分かった。空の闇が晴れたんだし、今日は宴を楽しむとするか!」

 

 

その日の夜、俺たちはアレフガルドに光が戻ったことを祝って宴を開いた。

その宴は姫の言う通りささやかなものであったが、みんなの顔には笑顔が満ちあふれていた。俺もその時には疲れを忘れて、みんなと一緒に盛り上がっていく。

深夜になって宴がお開きになった後空を見上げてみると、そこには満天の星空が広がっていた。

俺たちはその美しさに感動しながら、明日から始まるであろうさらなるアレフガルドの復興に備えて眠りについた。

 

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