ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺が回転斬りを覚えた5日後、もうメルキドに来て2週間が経っていた。今日、ロロンドのメルキド録の解読により、新しいことが分かったらしい。
「もう二回も、この町は魔物襲撃を受けてしまっている。これからも魔物の襲撃は続いていくだろう」
回転斬りを覚えた時、ケッパーもそんなことを言っていた。もう襲撃が起こらず平和に暮らして行ければよいのだが、現実はそうはいかない。魔物はまたしてもこの町を潰しにくるだろう。
「それでだな、我輩はこの町を守る術を見つけるために、寝る間も惜しんでメルキド録の解読に明け暮れておってな。ある記述を発見したのだ」
寝る間も惜しんでいたのか。そういえば、最近ロロンドのいびきが聞こえなくなっていたが、そう言う理由だったのか。
「メルキドの山岳地帯の奥の奥に、とある城があり、そこに石の守りと呼ばれる魔物を撃退する装置の手がかりがあるらしいのだ。メルキドの山岳地帯は、旅のとびらで行けるところのことだろう」
奥の奥?この前てつのさそりと戦った場所のもう片方の崖から登る白い岩で出来た山を越えた先あたりだろうか。
「それでだな、雄也よ。メルキドの山岳地帯にあるその城に行き、石の守りの作り方を調べてきて欲しいのだ」
「分かったけど、結構遠そうだな。歩いていけるかどうか」
俺は長距離を歩いたことがない。この前のてつのさそりのところに行くときも、結構疲れたな。
「だが、物作りの力でみなを救う伝説のビルダーであるお主ではないと調べられないと思ってな。行ってくれるか?」
ビルダーって、本当に大変な仕事だな。帰りはキメラのつばさを使えばいいし、なんとか行けそうだけどな。
「分かったよ。その分ロロンドも町でしっかり働いてくれ」
「もちろんだ。我輩たちは素材集めや家具作りをしているから、お主は石の守りの手がかりをつかんでくるのだ」
かなり遠くまで行かないと行けないので、この前の戦いで損傷したどうのつるぎから新しいどうのつるぎに変えたりして、準備を整えた。
「何回も崖を登り降りしたり、何キロメートルも歩かないといけないって、キツそうだな」
俺はそう思っているが、ロロンドの言うように魔物を撃退できる設備を作れば、魔物の襲撃があっても少しのことなら大丈夫だろう。
俺は装備や所持品を整えたのち、旅のとびらに入った。俺はまず、この前てつのさそりと戦った場所に向かった。あの場所までなら、道も途中に出てくる魔物も知っている。
「それにしても、結構疲れるな」
てつのさそりと戦った場所までは15~20分ほどで行くことが出来た。そこに行くまでも高低差の激しい地形が多かったので、足が疲れた。そして俺はてつのさそりがいた場所から、白い岩で出来た崖を登る。ときどき足場がないことがあったが、持っていた土ブロックを置いて足場を作り、上に着いた。
「この先にあるのか、ロロンドの言ってた城は。目的地はどれだけ遠いんだ?」
白い岩の山に登っても城のようなものは見えなかった。そんなに距離が遠いのか。一度もきたことがない場所なので、慎重岩山を進んでいく。岩山には、キメラがいくつか生息していた。
「キメラはメラを使われると厄介だからな、避けていこう」
俺はキメラの視界に入らないよう、岩の後ろに隠れながら進む。隠れられるものが多かったので、スネークのような潜入能力を持たない俺でも見つからずに行けた。今回は見つからずに行ったが、キメラのつばさを作るためにキメラを狩る必要もある。だが、今回は石の守りの作り方を調べに行くのが優先なので、避けて通ることにした。隠れながらゆっくり移動していたため、岩山をぬけるのに30分ほどかかった。岩山を抜けると、また土ブロックで出来た山になった。
「また土ブロックの山に戻ったな。ん、あれは何だ?」
そこらへんには、町の周辺やおおきづちの里のあたりでは見られない植物が生えていた。近づいて見てみると小麦のようだった。
「小麦か、パンとか作れそうだな。」
ようやくしっかりとした主食が食べられそうだ。俺は、この前てに入れた必要な作業台を調べる魔法のテストも兼ねて、パンの作り方を調べた。
パン···小麦10個、石炭1個 レンガ料理台
素材だけでなく、必要な作業台も頭に浮かんできた。だけど、何でパン1個に小麦10個もいるんだ?もしかしたら、一度に複数できるのかも知れないけど。だが、問題はそれだけではなかった。
「なんで料理に石炭なんか要るんだ?貴重な資源のはずなのに。それにレンガ料理台って何だよ?」
ビルダーの魔法は資源を浪費してしまうこともあるようだ。それはまだいいが、レンガ料理台とかいう訳の分からない作業台でないと作れないのか
「せっかくパンが食べられるようになったと思ったんだけどな···しばらくはお預けか」
パンが食べられるのはまだ先になりそうだ。俺は一応小麦を30個ほど集めておき、メルキドの城探しを再開した。
「小麦に気を取られてて、本来の目的を忘れてたな。また歩くとするか」
その土の山岳地帯を何キロメートルも歩いていく。ゲームでは短縮されているだろうけど、現実で距離短縮は出来ないからな。しかも、旅のとびらから5キロメートルほど歩いたところで、またしても崖があった。
「また崖かよ···ん、でもあれって、ロロンドが言ってた城じゃないか?」
崖を降りて200メートルほど先に、崩れて廃墟となっている城のようなものが見えた。城の前には、石垣でできた壁のようなものもある。
「やっと着いたか。長かったな。」
俺はもう足がやっと動くくらいの状態だったので、しばらく休んでから城に入ることにした。10分ほど座って、足が少しなおってきたので、俺は崖を降り、城へと歩みを進めていく。
「ん、あの石垣の上に立ってる奴はなんだ?」
さっきは気づかなかったが、石垣の壁の上に兵士の格好をした男の姿があった。
「無念だ、無念だ、あまりに無念だ···」
なんかよく分からないことを言っているな。何が無念なんだ?ケッパーの仲間だろうか。こいつも町に来てくれるといいな。俺は、その男に話しかけた。
「おい、お前ここでなにやってんだ?」
その男は、驚いた様子で俺に返事をしてきた。
「ひょっとして、君には幽霊である私の姿が見えるのかい?」
幽霊だと!?俺には普通の人間に見えたんだが。幽霊と話ができるのもビルダーの力ってことか。
「私はこの地を守るべく、竜王軍と最後まで戦った、メルキドの兵士だったんだ」
この人はかなり昔の人のようだな。ケッパーは自分は衛兵の子孫だって言ってたから、こいつはケッパーの先祖だろう。
「だけど、町を守る石の守りという物を思い付いて、それを作っている途中に、魔物にやられてね···それが無念で仕方ない」
ロロンドの言ってた石の守りは、この人が考えたものなのか。それで完成させられずに死んでしまったと。
「ああ、確かにそれは無念だな」
兵士の幽霊は何かを考えて、閃いたように俺に言った。
「そうだ、君は私のことが見えるんだろ?私に代わって、石の守りを完成させてくれないか?使い方も教えよう。そこに石垣とトゲわなが置いてあるだろ?それを使って、穴が空いている場所に石垣をはめて、トゲわなが一列にならんでいるところの抜けている場所に置くんだ」
幽霊が指さした場所を見ると、アイテム化した石垣が3つと、鋭いトゲが何本かセットになっているものが2つあった。これがトゲわなだろう。
「これが刺さったら危険だな。注意して扱おう。」
俺はまず3つの穴にそれぞれ石垣をはめ、その後にトゲわなを空いている場所に設置した。
「これでいいか?」
「石の守りが完成したようだな。これで魔物たちをわなにかけられる。さっそくこれを使って、魔物を倒して見てくれ。」
そう言われたので、俺は近くにいたブラウニーの群れを攻撃し、石の守りの所に連れてくる。
「人間め、何をしてくれるんだ!」
防衛戦のときと同じように、ブラウニーは俺を叩きつぶそうとハンマーを降りながら歩いて来た。俺はダッシュで走り、石の守りの裏に隠れる。ブラウニーは石垣を壊そうとハンマーで殴り付ける。しかし、ブラウニーごときの攻撃では、石垣は傷ひとつつかなかった。
「硬い!全然壊せない!イタッ!」
攻撃を弾かれるだけでなく、地面に置いてあったトゲわなが刺さり、ブラウニーはダメージを受ける。他のブラウニーたちも集まってきて群れで石垣をこわそうとするがやはり壊せず、奴等はトゲわなが刺さりまくって倒れていった。
「おお、すばらしくうまくいったな!魔物がかたい壁に引っ掛かっているうちに、トゲわなでダメージを与えて倒すってことさ」
俺は石の守りというのは巨大な石像だったりするのかと思ったが、石垣ブロックとトゲわなを使ったもののようだ。
「使い方がよく分かったよ。それと、もうひとつ聞きたいごとがある。この城は誰が建てたんだ?」
こんな大きな城だから、王様でもいそうだけど、メルキドに王がいたと言うのは聞いたことがないな。
「この建物は城ではなく、人々が魔物から身を守るために作ったシェルターだったんだ。メルキドを破壊された人々は最後のとりでとしてこの城塞を作り、魔物たちの攻撃を防いだんだ。だけど、このシェルターの中にもとあるマモノが現れて···」
どちらも魔物によって滅ぼされたってことか。でも、このシェルターの中に現れた魔物って一体なんなんだ?竜王の配下の魔物とは違う気がする。
「おっと、陰気くさい話をしてしまったね。そういえば、石の守りの設計図がいるなら、この建物の中にいるロロニア様に聞いてみてくれ。ありがとう、死人の私に付き合ってくれて。嬉しかったよ···」
「こっちこそいろいろ教えてくれてありがとうな!」
兵士の幽霊は消えていった。未練が無くなったからだろうが、結局シェルターの中に現れた魔物については教えてくれなかったな。
「とりあえず、この中にいるロロニアって人から話を聞くか。そいつも死人だろうけど」
俺は廃墟の中に入っていった。廃墟のなかは、かなりくずれていたり、中に草が生えていたりと、かなり荒れていた。そして、奥の方に1人たたずんでいる男がいた。
「あんたが、ロロニアか?」
「そなた、ワシのことが見えるのか。そなたの言う通り、ワシがかつてのメルキドの町長、ロロニアだ。亡霊である我輩のとが見えるということは、そなたは普通の人間とは少し違うようだな。」
亡霊か、やっぱりこいつも死人だな。こっちはロロンドの先祖っぽいが。
「俺はルビスから選ばれたビルダーってやつだ。ビルダーは、お前の言う通り、普通の人とは少し違うようなんだ」
「そなたが、あのメルキド録に書かれていたビルダーだと申すか」
ロロニアも、メルキド録のことを知っているのか。代々受け継がれているみたいなこと言ってたし、彼はロロンドの先祖で間違いないようだ。
「ビルダーよ、こんな場所になんの用だ?ここには人間が自らで自らを滅ぼしたなげきとかなしみがあるだけだ」
人間が自らを滅ぼした?こいつも訳のわからないことを言うな。
「俺は石の守りについて調べに来たんだ。外にいた兵士の幽霊が、お前が設計図を持っているって言ってたんだ」
「確かに、ワシが石の守りの設計図を持っている。そなた、何ゆえに町を作る?そなたは何ゆえに物を作るのだ?」
急に難しい問いをしてきた。これまでいつもやって来ていることだが、つい聞かれるとうまく答えられない。
「すこしワシに付き合ってくれ。そなたに見せたいものがある。この城塞の屋上で待っておる」
ロロニアはそう言うと、この廃墟の屋上へワープした。幽霊は、ワープ出来るようだ。俺は、廃墟の中にあるメモを読みながら、進んでいった。その中に、1つ気になる物があった。
きょうもまたひとがいなくなった。どうしてだろう、このじょうさいのなかにはまものはいないはずなのに···。じつはきょうのよる、おとなたちからよびだしをうけた。いったいぼくに、なんのようがあるんだろう···。
子供が書いた文章のようだが、魔物がいないのに人がいなくなったって、もしかして、人間同士で殺しあっていたってことか?じゃあ、この子供も大人たちに殺されたのかもしれない。とにかく、この城塞で恐ろしいことが起きていたことは間違いない。
近くにあったアレフガルド歴程という本にも、そのようなことが書かれていた。
おお!我が故郷メルキド!私は滅びたと思っていたメルキドの奥地でシェルターとして作られた城塞を発見した。どうやら私の留守中に人々は最後の力でこのおおきな城塞を作り上げ、魔物たちの脅威から逃れるためその中に閉じこもって生活をしていたようだ。しかし、閉鎖された城塞の中に暮らす人々はどこか様子がおかしい···。私が話しかけても目は虚ろで持っていた食料を奪われそうになってしまった。これも魔物の恐怖の中、閉鎖された空間に長く居続けたせいなのだろうか。そんな恐怖にとらわれた人々が暮らすシェルターの中で、メルキドの守り神であるゴーレムがどこか悲しげに座っている姿が印象的だった。メルキドは愛すべきわが故郷···。しかし、故郷の人々が住む場所だからとは言え、ここに長居するといいことはなさそうだ。よからぬことが起きぬ前に私は次なる地へと歩を進めることにする。
メルキドの冒険家·ガンダル
この本の内容から考えて、ここにいた人々は食料不足などが原因で正気を失っていたようだな。それで殺しあいになってしまったと。確かに、ゴーレムが悲しく思うのも無理のない話だ。
俺は一通り落ちていたものを読み終え、ロロニアのいる屋上に登った。
「ロロニア、俺に見せたい物ってなんだ?」
俺がそう聞くと、ロロニアは上を、空を指差した。
「ん?上に何かあるのか?」
「いや、そなたに見せたかったのはこの空だ。見るがよい、どこまでも続く暗き雲に覆われた世界を···」
ロロニアはこの空を見せたかったのか。確かに、メルキドの、アレフガルドの空は闇に覆われている。
「かつてこの世界は素晴らしく美しく、人々は美しい大地に美しい町を作り生きてきた。」
この人、やたら美しいという言葉を強調したがるな。確かに、ドラクエ1のアレフガルドは自然豊かな場所だった。メルキドはあまり環境は悪化していないが、他の地方はどうか分からない。
「しかし、今やそのすべては破壊され、人々は滅びを待つ存在となった」
竜王、それに裏切った戦士のせいで、こんなことになったんだな。そう思うと、あいつらは許せないと思えてくる。
「そなたがビルダーであるならば、空の闇を晴らし、美しい世界を復活させてくれ。」
「ああ。俺はこの世界で必死に生きている人々のために、町をつくっていくぞ」
「期待しているぞ。そなたの作る新しい世界を楽しみにしている。そなたの言っていた石の守りの設計図はこの中にあるだろう。さらばだ、若きビルダーよ。」
そう言い残し、ロロニアも消えていった。この世界が復活した時に、また生まれてこればいいだろう。俺はロロニアの言っていた宝箱を開けた。中には、紙が一枚入っていた。
「これが石の守りの設計図か、よし、持ち帰ろう」
俺は石の守りの設計図を手に入れると、キメラのつばさをほうりあげ、メルキドの町へ飛んでいった。移動に時間がかかったり、本を読んでいたりしていたので、朝に出発したのにもう午後になっていた。