ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
竜王や倒された魔物たちの魂に魔力を捧げ、全てを闇に飲み込む者として蘇らせるという魔物たちの計画を知ってから、俺はサンデルジュに戻ってから闇の戦士との決戦に向けて最後の準備を整えながらムツヘタからの報告を待っていた。
その間、サンデルジュの魔物の不穏な動きも収まらず、俺だけでなくピリンたちも不安を感じ始める。
サンデルジュの峡谷は広いのでムツヘタも大変なのだろうが、俺はみんなの様子を見てなるべく早くしてほしいと思った。
だが、魔物たちの計画を知った3日後、サンデルジュに来てから14日目の朝、闇の戦士の居場所が見つかったのか、ムツヘタがサンデルジュの砦に来ていた。
俺は起きたばかりだったが、ついに闇の戦士との決戦の時が来たと思い、一気に緊張感を持ち始める。
そして、さっそくムツヘタの近くへ歩いていき、そのことについて聞いた。
ムツヘタは老人でありながら3日も徹夜で作業をしていたので、とても疲れた顔をしている。
「ムツヘタか…あんたがここに来たってことは、もしかして闇の戦士の居場所が分かったのか?」
「起きたか、雄也よ。そなたの言う通り、3日間一睡もせずに闇の戦士を探し続けて、ついに正確な位置を突き止めたのじゃ」
闇の戦士の居場所が分かったのかと聞くと、ムツヘタはうなずく。
今回はとても重要なことなので、チョビを遣わせるのではなく直接本人が来たみたいだな。
それに、闇の戦士のことで俺に話したいことがあるのか、ローラ姫もムツヘタに同行してサンデルジュに来ていた。
姫も闇の戦士が最強の魔物を生み出し、世界を滅ぼす計画をしているのは知っているだろうが、それでも奴が戻ってくるのではないかという儚い希望を持ち続けているのかもな。
闇の戦士を倒すにしても説得して連れ戻すにしても、まずは奴の居場所に向かわなければいけないので、俺はムツヘタに詳しい位置を聞き始める。
「それなら今から向かうぞ。その詳しい場所を教えてくれ」
「サンデルジュの峡谷の最も深い、昼でもほとんど光が当たらぬ所じゃ。そこから闇の戦士のものと思われる、おぞましい闇の気配がしてくるのじゃ」
サンデルジュの峡谷の最も深い場所か…ビルダーハンマーについて書かれた書物を取りに峡谷を探索したことはあったが、一番奥までは行ったことがないな。
ムツヘタが闇の戦士の捜索にラダトームの時より時間がかかったのは、奴が日の光が当たらないほど深い場所にいたからかもしれない。
どんな魔物が生息しているかは不明だし、気をつけて向かわなければいけないだろう。
「まだ行ったことのない場所か…生息する魔物も分からないし、慎重に行かないといけないな」
しかし、そう俺がつぶやくと、ムツヘタはゆっくりしている時間はないと言い出す。
「慎重に向かわなければいけないのはもちろんじゃが、もうゆっくり歩いている時間はないぞ。あと僅かで魔物たちの計画が達成される…そんな予感がするのじゃ」
俺はほとんど闇の力を感じ取ることが出来ないので分からなかったが、もう魔物たちの計画はそこまで進んでいたのか。
あと僅かということは、あと数時間で竜王や魔物たちの魂が集まった最強の存在が現れるのは間違いないということだろう。
もしかしたら1時間後くらいの可能性もあるし、確かに急いだほうが良さそうだな。
「確かにそれなら急ぐしかないか…もし最強の魔物が現れたら、もう手のつけようがなくなるからな」
幸いなことにサンデルジュの峡谷は暗い場所なので、素早く歩いても魔物に見つかることはなさそうだ。
計画が達成される前に闇の戦士を倒し、ひかりのたまの力で魔物たちを封じなければいけない。
少しでも急いだほうがいいと思い、俺はムツヘタの話を聞き終えるとさっそく戦いに必要な武器と道具を持ち、サンデルジュの峡谷の最深部を目指そうとする。
「今も魔物たちの計画は進行しているだろうし、すぐに向かうぞ」
「1度滅びてから蘇った世界が生き続けるか、それとも再び滅びるか…それはそなたにかかっておる。絶対に世界を裏切った勇者、闇の元凶を倒すのじゃぞ」
俺がサンデルジュ砦の外へと歩き始めると、ムツヘタはそう言う。
俺からしてもせっかく復興させた世界を壊されるのは御免なので、必ず勝たなければいけないと、竜王戦の時よりも強く決意を固める。
ムツヘタが言い終わって俺が砦を出た後、彼のとなりにいたローラ姫も戦いに向かう俺を追いかけてきて話をする。
「あの人を説得して連れ戻せるかも、魔物の計画を止められるかも、私にも分かりません…ですが、どんな結果になろうとも、必ず生きて帰ってきてくださいね」
やっぱり姫は、勇者が戻ってくるのではないかという儚い希望を捨てきれないみたいだが、奴と戦って倒すという結末になることも覚悟は出来ているようだ。
ローラ姫にとって勇者は命を張ってドラゴンを倒し、自分を助けてくれた命の恩人であり、宿屋でお楽しみをした相手でもあるが、あいつからしたら姫は自分に過度な期待をした一人の人間でしかないはずだからな。
それはこの前俺が話したので、ローラ姫も知っているはずだ。
俺も一応は説得を試みて見るが、魔物の計画を阻止して、姫の言う通り生きて帰って来るのが最優先だ。
「ああ、一応奴を説得してみるつもりだし、もちろん生きて帰ってくるつもりだ」
俺は姫にそう告げて、砦がある高台を降りてサンデルジュの草原を歩いていく。
魔物の数は相変わらず少ないので、急いであるいても見つかることはなさそうだ。
そして、魔物の計画を阻止して、今度こそ完全に平和な世界を取り戻さなければいけないと思いながら、峡谷を目指していった。
サンデルジュ砦に残っているみんなも、平和な世界を見たいと心から望んでいる。
砦を出てから8分ほど歩き続けて、俺はサンデルジュの峡谷の入り口へとたどり着く。
この前は魔物の数が非常に多く、30分もかかっていたが、今回は魔物の数が少なくて動きやすいので、10分もかからなかった。
魔物が減っているのは岩山の城で魔力を捧げているからであり、決して良い事ではないのだが。
峡谷の入り口に着いてからは、休んでいる暇はないので、俺はすぐに歩き始めていく。
「峡谷の奥はどうなってるか分からないけど、まずはこの前の洞窟があった場所を目指すか」
峡谷に入ってからも、俺は魔物に用心しながら、この前ビルダーハンマーの書物を見つけた洞窟をまずは目指していく。
峡谷では、この前と同じようにブラバニクイーンやゴールデンドラゴンが警戒しながら歩いており、草原の魔物たちと違って数がほとんど変わっていなかった。
「ここの魔物は草原の奴らと違って数があんまり減ってないな。でも、元々生息している魔物が少ない場所だし、安全に進めるか」
だが、峡谷は他の場所と比べて魔物の数が少ないし、暗い場所なので足音を立てない限りは見つかることはなさそうだ。
しかし、こちらも視界が悪いので、気付かずに魔物の目の前に近づいてしまうことがないよう、あまり急ぎすぎないように進んでいった。
歩くスピードはこの前と大して変わらなかったが、この前のようにダイヤモンド鉱脈で立ち止まったりしていないので、少しは早く進むことが出来る。
そうして進んでいき、砦を出てから15分ほどで、ビルダーハンマーの書物があった洞窟のところに着いた。
「ここまで着くのに15分しかたっていないけど、ここからは俺が知らない場所だから進むのに時間がかかりそうだな」
ここから先はまだ何があるか分からない場所なので、俺はどんな魔物が出てもいいように、歩くスピードを落としながら進んでいった。
すると、現れる魔物はさっきと同じブラバニクイーンやゴールデンドラゴンだったが、地面が下り坂になっていき、だんだん視界が暗くなっていく。
ムツヘタは闇の戦士がいる場所はほとんど日の光が当たらない場所だと言っていたし、この先に闇の戦士がいるのは間違いないだろう。
「早く戦いに行きたいけど、魔物の姿が見えにくいから進みにくいな」
早く進みたいが、魔物と戦ったほうが時間がかかると思い、俺は魔物の動きを把握しながら慎重に進んでいく。
もちろん魔物たちを俺を見つけにくいだろうが、体に触ってしまったらさすがに気づかれるだろう。
下り坂はかなり長く、洞窟の場所を過ぎてから30分ほど歩き続けることになった。
そして、下り坂の最も下に降りると、そこはムツヘタの言っていた通りの真っ暗な場所であり、何か恐ろしい者が潜んでいるような雰囲気だった。
「ここがサンデルジュの峡谷の最深部か…崖の高さは300メートルを超えてそうだな。こんなところに闇の戦士がいるのか…」
俺はさっそくその場所で、魔物を警戒しながら闇の戦士の姿がないか探していく。
だが、闇の戦士の姿も魔物の姿もなく、真っ暗な空間が広がっているだけだった。
でも、ムツヘタが闇の戦士はサンデルジュの峡谷の最深部にいると言っていたので、ここのどこかにいることは間違いないだろう。
「どこにも姿がないな、もう少し奥もあるみたいだし、そっちも調べてみるか」
峡谷の最深部もかなり広く、俺はその場所をもう少し調べてみる。
すると、峡谷の最深部の中でも最も暗い場所に、何か城のような者が見えてきた。
近づいて見てみると、それはラダトームにあった「セカイノハンブン」という看板が立てられていた、闇の戦士との一度目の戦いがあった城によく似た建物だった。
竜王の城よりは小さいが、全てが真っ黒な色のブロックで作られており、とても禍々しい雰囲気を放っていた。
「禍々しい建物だな…入り口もあるし、ここが闇の戦士の新たな城ってことか。入り口もあるし、中に入ってあいつと決着をつけないとな」
闇の戦士は元々竜王を倒すためにルビスに選ばれた勇者だし、正気を取り戻したあいつは竜王よりも強いのは確実だろう。
だが、それでもみんなに平和な世界を見せるために、戦わなければいけない。
もしあいつが人間の世界に戻りたいと思っているにしても、まずは話をしなければいけない。
俺はそう思って暗黒の城の入り口を見つけて、中へと入っていった。
「ここが闇の戦士の城の中か…一本道の通路だけど、暗くて不気味だな…」
狭い城だからか通路は一本道であり、この前の岩山の城と違って明かりのカベしょく台もあるが、外が真っ暗であるため、薄暗くで不気味だった。
ここも竜王の城の地下通路と同じように、奥に進む度におぞましい闇の気配が強くなっていく。
そして、通路の一番奥にまで進むと、この城の主である闇の戦士の部屋の入り口であると思われる、はがねの大とびらがあった。
「この先に闇の戦士がいるみたいだな…戦う覚悟は出来ているし、開けるか」
とびらからも禍々しい気配がするが、俺は恐れることなく押して開けようとする。
ここのはがねの大とびらはかなり重かったが、俺は腕に力をこめて開けていく。
そのとびらの先に進むと、そこには竜王の間と同じくらいの大きさの巨大な空間が広がっていた。
「ついに再び会うことになったな、世界を裏切った勇者…」
そして、その空間の中心には、あの時と同じで覆面を被った筋肉だらけであり、勇者とも王とも到底言えない姿だが、とてつもなく恐ろしい気配を放つ者…闇の戦士と呼ばれる世界を裏切った勇者がいた。
一つあの時と違うのは、首から下げていた王女の愛という名前の首飾りが、消えてなくなっていたことだった。