ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode122 偽りの王国

自分の過去を語り終えた闇の戦士は、いよいよ戦いを始めようかと偽物のロトのつるぎを構えたが、俺はまだローラ姫のことについて奴に言っていなかった。

今までの話から考えて説得は無理そうだが、姫から頼まれたことなので、俺はローラ姫のことをどう思っているのか奴に聞いてみた。

 

「戦いの前にもう少しだけ話をさせてくれ。あんたは、ローラ姫のことはどう思っているんだ?」

 

すると、闇の戦士は呆れたような顔をしながら一度構えた剣を下げて、ローラ姫も自分から自由を奪った邪魔な人間の一人だと言った。

この前の戦いの時は付けていた王女の愛という名の首飾りが消えているのも、海に捨てたからだと答える。

 

「さっきの話で分からなかったのか?あの女だって、オレから自由を奪った人間に過ぎない。あいつが世界の惨状を見て自らを石に変えた瞬間は、今思い出しても笑えてくるさ。もちろん、あいつがくれた忌まわしい首飾りも、この前海に捨てた」

 

本人の気持ちを聞いてみても、ローラ姫の元勇者に対する思いは一方的な物みたいだな。

邪魔な存在に過ぎないと言っているので、ローラ姫を殺すことにも躊躇いはないのだろう。

やはり説得は無理そうだが、俺は一応姫が今も元勇者の帰りを待っているということも伝えてみる。

 

「でも、あんたから見たらローラ姫は邪魔な存在かもしれないけど、あいつは今もあんたを愛し続けて、帰ってくるのを待っているみたいだぞ。あいつにとってあんたは、ドラゴンから救ってくれた命の恩人であり、宿屋で一夜を過ごした相手だからな」

 

それを聞くと、闇の戦士はさらに呆れたような顔になって言葉を返して来た。

 

「くだらない話だ…勝手な人々に追い詰められていたオレに、あの女はさらなる期待を押しつけてきた。今さら愛だのという言葉を使っても、オレはあいつを許すつもりはない」

 

姫の気持ちを伝えても、やっぱり闇の戦士は人間の世界に戻って来る気はないみたいだな。

でも、ローラ姫が勇者を追い詰めてしまったのは、彼の本当の気持ちに気づけなかったからだろう。

本当の気持ちを分かり合うことも出来れば、姫は勇者を傷つけることはしないはずだ。

今からでも遅くないのではないかと、俺はあいつに聞き出す。

 

「でも、今のローラ姫ならあんたの気持ちを分かってくれると思うぜ。今からでも遅くない、人間の世界に戻って来ないか?」

 

「もう遅いんだよ。オレは指導者である竜王や多くの仲間を失って悲しむ魔物たちと協力し、彼らを新たな存在に生まれ変わらせようとしている。人間と暮らす幸せよりも先に、魔物と暮らす幸せを先に見つけたんだ。その幸せを失うことなんて、オレには耐えられない」

 

しかし、闇の戦士は首を横に振ってからそう答える。

今の闇の戦士にとっては魔物と協力し、自分を責務から解放してくれた竜王を最強の存在に蘇らせるのが何よりの喜びみたいだな。

だが、それ以上の喜びを人間の世界で見つけられないことはないだろう。

ローラ姫と子供を作って王家の血筋を残す…俺たちと一緒にアレフガルドの町を発展させていく…最高の幸せになりそうなものはいくらでもある。

しかし、闇の戦士が人間の世界に戻れない理由は他にもあるようで、俺がそれを提案する前に彼はその話をする。

 

「それにさ、オレが精霊ルビスを殺すと言ったら、お前や姫はオレを止めるだろ。お前はあの忌々しい精霊の味方だからな」

 

精霊ルビスの話をしている時の闇の戦士は、彼女を恨むような口調や表情になる。

精霊ルビスを殺すか…精霊は人間のように簡単に死にはしないだろうが、不死身という訳では無いだろう。

だが、もしそうなったら人々が彼女の加護を受けることはなくなり、再び物を作る力を失うことになってしまうな。

もちろん闇の戦士がそんなことを言い出せば、俺は戦ってでも止める。

だが、確かに闇の戦士にとって精霊ルビスは、自分を勇者として導いた全ての元凶のような存在だが、彼がルビスを憎む理由はそれだけではない気もした。

 

「もちろん止める。でも、どうしてあんたはそこまでルビスを恨んでいるんだ?」

 

「あいつは、人間のことを奴隷や捨て駒のようにしか思っていないからだよ。俺が竜王の提案に乗った時、あいつが何て言ったか分かるか?」

 

さっき闇の戦士は竜王の誘いに乗った時自分はどう思ったか言っていたが、ルビスが何と言ったのかは言っていなかったな。

 

「何て言ったんだ?」

 

「人々の希望を背負いながら最後に裏切った忌まわしき戦士、あなたはもう勇者などではないと吐き捨てるように言っていたさ。オレが今の姿に変えられ小さな城に閉じ込められた時は、竜王に偽物の王冠と偽物の城を与えられた偽りの王と言った」

 

そう言えば俺たちがサンデルジュの地に来た時、ルビスは忌まわしき戦士という言い方を使っていたな。

偽りの王という言い方も、闇の戦士の居場所を探している時にムツヘタが使っていた。

そんなことを思い出していると、闇の戦士は激しく怒りながら続きを話す。

 

「勝手にオレに責務を押し付けた上に、その責務を果たさなかったら文句を言う。それを聞いた時思ったさ、あいつは人を道具としか見ていないってな!たとえ世界が闇に包まれようと、いつか絶対に殺してやると思った。お前はこの話を聞いても、ルビスの味方をするのか!?」

 

闇の戦士の口調には、俺や精霊ルビスに対する強い殺意がこもっていた。

確かに精霊ルビスがそんな奴だったとしても、俺にビルダーの力をくれて、みんなと巡り合わせてくれたのに間違いはない。

いくら話を聞いても、俺はルビスや人々を見捨てるつもりは無かった。

 

「確かに精霊ルビスは人のことをそんな風に見ているかもしれない。だが、それでも俺はあいつに感謝しているんだ。あいつがいなかったら、ピリンやゆきのへには会えなかったからな」

 

「だったら、殺すしかないな。お前も、仲間たちも、ローラ姫も、精霊ルビスもな!」

 

俺がそれでも精霊ルビスには感謝していると言うと、闇の戦士は偽物のロトのつるぎを再び構えて迫ってくる。

怒り狂うあいつに、もう話は通じないだろう。やはり、戦いは避けられないことみたいだな。

俺もおうじゃのけんとビルダーハンマーを構えて、奴の攻撃に備える。

 

「俺もここで倒されるつもりはない。必ず魔物たちの計画を阻止して、世界に光を取り戻させてやるぜ」

 

「この前と同じには考えるなよ。お前くらい、計画が完了する前に始末できるさ」

 

あいつの言う通り、この前の時とは比べ物にならないほどの力を持っていることだろう。

だが、それでも負けるわけにはいかないと、俺も奴に近づいていく。

俺と闇の戦士との、2度目の戦いが始まった。

 

闇の戦士は走って俺に近づいて来て、飛びかかって剣を振り下ろそうとしてくる。

今回は回転斬りでもないのに奴の剣からはすさまじい闇の力が感じられ、威力も非常に高そうだった。

そこで受け止めても衝撃によって動きを止められ、攻撃のチャンスが出来ないと思い、俺は奴の攻撃を避けて、一瞬の隙に斬りつけようとする。

でも、避けきれない可能性も高いので、俺は右腕に持つおうじゃのけんで受け止める構えをしてから左に飛んだ。

 

「さっさと死にな!お前の仲間たちも、どうせすぐに逝くさ!」

 

その言葉と同時に、闇の戦士は一瞬で剣を俺に叩きつける。

奴の見た目からは有り得ないほどの攻撃速度であり、俺は回避している途中に剣で受け止めるしかないかと思ってしまう。

だが、何とか俺は攻撃をかわしきり、闇の戦士の左側に移動することが出来た。

闇の戦士の左側に移動してからは、奴が反応する前にダメージを与えようとビルダーハンマーを頭に叩きつけようとする。

 

「この隙を逃がすかよ!」

 

しかし、闇の戦士はほとんど隙を見せず、偽のロトのつるぎでハンマーを受け止めてしまう。

そして、奴はすぐに腕に力をこめて俺を弾き返そうとしてきた。

ここで弾き返されれば体勢を崩し、奴に攻撃の機会を与えてしまうので、俺はその前に右手に持つおうじゃのけんを思い切り突き刺す。

闇の戦士の体は多くが筋肉で強靭だが、おうじゃのけんが刺さらないほどではない。

だが、闇の戦士を怯ませてさらに追撃を仕掛けるつもりだったが、奴は剣が刺さってもほとんど怯まず、俺は奴の力で弾き返されてしまう。

 

「くっ!このくらいでは怯まないのか」

 

「お前も所詮は人間。戦闘力でオレに勝つことは出来ないんだよ!」

 

俺が弾き返されて動きを止められたのを見て、闇の戦士はもう一度斬りかかってくる。

俺はすぐに起き上がって攻撃に対処しようとするが、すでに至近距離にまで近づかれており、両腕に持つ武器で受け止めようとした。

片手で受け止めれば押し切られる可能性が高く、俺はさらに隙を晒してしまうことになる。

今は弾き飛ばされた後何とか持ち直しているが、今度こそは体勢を立て直せず、斬り裂かれてしまうかもしれない。

両腕で受け止める場合は隙が出来た時に攻撃に移るのに時間はかかるが、今は安全を第一に考えなければいけない。

そう思って両方の武器を構えて闇の戦士の攻撃を受け止めると、両腕に骨が折れるような激痛が走る。

 

「やっぱりすごい攻撃力だな…」

 

両腕で受け止めているので一つの腕にかかる衝撃は半分になっているのにこれほどの衝撃があると言うことは、闇の戦士の力は本当にすさまじい。

何とか弾き返し隙を作れないかと思っていたが、激痛に耐えている俺を見て奴は左手に持つ偽のロトのたてで殴りかかってきた。

盾は攻撃に使うものでは無いが、奴の力で叩きつけられれば強力なハンマー並みの力が出る。

俺はすぐに気づいて避けようとしたが、奴は剣だけでなく盾を振り下ろす速度も早い。

奴の目の前にいた俺はジャンプでも避けきることは出来ず、直撃は避けられたが盾の端の方が右肩に当たる。

 

「くそっ!盾もあんな速度で扱って来るのか」

 

俺は右手に持っていたおうじゃのけんを落としそうになってしまうが、骨が折れるような激痛に耐えて後ろに下がり、体勢を立て直す。

しかしそんな間に、闇の戦士は走って俺に近づき、さらなる追撃を加えようとしてきた。

さっき飛びかかる攻撃は俺に避けられたので、今度は走りながら連続で斬りつけてくる。

 

「オレのスピードについて来られないのか。勝つ気でいたんじゃないのか?」

 

連続攻撃も闇の戦士はとても早いスピードで振り回してきて、俺はかわすので精一杯になる。

もちろんかわしきれる確証はないが、右肩に攻撃を受けたことによる痛みが原因で右腕に力を入れて受け止めることが出来ないので、ひたすら避け続けるしかない。

ビルダーハンマーだけで避けるというのも、かなり難しいだろう。

奴の攻撃をかわしながら僅かな隙に剣を叩きつけることも試みたが、隙が全く見つからない。

 

「何とか攻撃の隙はないのか…?」

 

このままでは俺の体力が先に尽きてもう一度攻撃を受けてしまうので、俺はさっき難しいと考えていた左手のビルダーハンマーだけで攻撃を受け止めるという方法を使おうと思う。

飛びかかり攻撃は両腕でも受けきるのが難しいほどの威力であったが、今は連続攻撃なので一撃ごとの威力は少しは下がっているかもしれない。

弾き返されてしまう可能性が高いが、その前におうじゃのけんで斬りつけることが出来れば、怯ませられなくても大きな傷を与えられそうだ。

痛みによって右腕の全力を出すことは出来ないが、おうじゃのけんの鋭さがあればそれでも大ダメージは狙える。

 

「片手で攻撃を受け止める…危険だけどやるしかないな」

 

ビルダーハンマーはゆきのへの家系が受け継いできた最強のハンマーなので、必ず攻撃を防げると信じて、俺は闇の戦士の剣に叩きつけた。

すぐに奴は防がれたのを見て、ビルダーハンマーを弾き返すどころか、叩き斬るほどの力を腕にこめようとする。

左腕にも強い痛みが走り、やはり突き飛ばされそうになるが、俺は渾身の力で防ぎながら、右腕に持つおうじゃのけんを叩きつける。

心臓の辺りを狙うと闇の戦士が左手に持つ偽のロトのたてに防がれるので、俺は防がれないように奴の下腹部あたりを狙った。

そこなら左手から離れているので、防がれる可能性は少しは下がる。

それでも必ず当たるとは限らないので、俺は出すことの出来る最高の速度で剣を突き刺す。

 

「今のうちに斬り裂いてやるぜ!」

 

すると、闇の戦士もすぐに対応しようとしたが俺の剣が先に刺さり、奴は体をえぐられる。

攻撃を防ぎきれなかった奴の盾は再び俺の肩に当たりそうになるが、俺は剣を突き刺しなが左に飛んで、攻撃を避けると同時に体内を斬り裂いていく。

 

「オレのスピードについて来られないと思ったが、そうでもなかったか。ロトの血筋の者しか倒せないと言われていたはずの竜王を倒したと言うだけあるな」

 

さすがに強靭な肉体を持つ闇の戦士もかなりのダメージを負ったようで、奴は大きく後ろに飛んでそう言う。

怯ませることは出来なかったが、少しは弱っていることだろう。

しかし、闇の戦士はまだ余裕そうな顔で、俺に負けるということは考えていないようだった。

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