ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode129 狙われた仲魔

サンデルジュに来てから16日目、サンデルジュの砦の3回目の防衛戦の翌日の朝、俺は昨日の魔物の攻撃で破壊された部分を修復していた。

やはりエビルトレントのドルモーアは強力であり、広い範囲で壁が破壊されている。

砦の中で隠れていたピリンたちが無事だったのは運が良かったと言えるだろう。

 

「これ以上砦を壊されたり、みんなが攻撃を受けたりしないよう、もっとこの砦を強化していかないとな」

 

俺は砦のカベを積み重ねながら、そんなことを考えていく。

これからは魔物の数ももっと増えるだろうし、今のままでは闇の力の集合体を倒すどころか、その手下の魔物にすら負けてしまうだろう。

この作業が終わったら、またみんなと新しい設備について話し合わないとな。

 

しばらく修復活動を続けて、砦が元通りの姿に戻っていく。

だがそんな時、サンデルジュの草原のほうから何者かの声が聞こえたような気がした。

 

「人間!…追われてるんだ!助けてくれ…!」

 

とても小さな声だが、誰かが助けを呼んでいる声だ。

 

「何だ?何か声が聞こえたな…」

 

だが、サンデルジュには俺たち以外の人間はいないはずだ。

ラダトームの人がここに向かっているのかもしれないと思ったが、その声はラダトームの誰の声とも一致しないものだった。

 

「もしかして、チョビやルミーラみたいに人間に友好的な魔物がいるのか?それなら、助け出さないといけないな」

 

可能性として考えられるのは、まだサンデルジュに人間に友好的な魔物がいるということだな。

それで、人間の住んでいるこの砦に向かっているのかもしれない。

仲間になってくれるかもしれないし、見にいった方がいいかもしれないな。

俺は砦の修復作業を中断して、武器を持って砦の外に向かっていく。

すると、俺の次に起きてきたゆきのへが、急いでいる俺に話しかけてきた。

 

「どうしたんだ、雄也?もしかして、また魔物が襲ってきやがったのか?」

 

「いや、誰かが助けを呼ぶ声が聞こえたんだ。もしかしたら、人間の味方をする魔物なんじゃないかと思ってな」

 

ゆきのへは今起きたばかりのようなので、さっきの叫び声に気づかなかったようだな。

俺がそのことを伝えると、ゆきのへは昨日の夜から特に魔物の活動が活発化していると言ってくる。

 

「そんなことがあったのか。昨日の夜外を見てみたんだが、魔物の動きが今までにないほど活発化しているぜ。気をつけてくれ」

 

そんな状態ならば、かなり注意しながら進まないと魔物に見つかりそうだな。

だが、急がなければ追われている魔物も危ないだろう。

ルミーラの時よりも確実に多くの魔物に追われているだろうからな。

急ぎながら慎重に進むというのは今までも何度かしているので、その時のように行けば良いだろう。

 

「ああ、急いで声が聞こえたほうに向かうけど、見つからないようにも気をつけるぜ」

 

俺はゆきのへにそう言うと、砦のある高台を降りて草原に向かっていく。

 

草原を眺めてみると、辺りを見回っている魔物が多数おり、やはり気をつけて進まなければいけなさそうだ。

だが、魔物たちの動きについて、少し気になることがあった。

 

「活動が活発なのには変わりないけど、あいつら、お互いを監視しているみたいな動きだな…」

 

魔物たちは他の魔物の行動を見回っており、お互いを監視し合っているような感じだ。

魔物たちがこんな動きをするのは初めてなので、少し気になるな。

まあ、魔物を監視しているのだとしても、人間を見つけても襲ってくるだろうから、身長に進まなければいけないのは変わりなさそうだ。

今はさっき声が聞こえた方向に向かわなければならないので、それを考えるのは後にしよう。

 

「気になるけど、今は声の方向に向かうのが優先だな」

 

俺は魔物たちから隠れながら、声がした方向に向かっていく。

草原を歩き始めて5分後くらいのところで、再びさっきと同じ声が聞こえてきた。

また、その声の主と戦っている魔物のものであろう声も聞こえてくる。

 

「あの砦に辿りついて、人間と一緒にお前らと戦ってやるんだ…!」

 

「無駄な抵抗はやめるんだな。人間に寝返った者には死あるのみ!」

 

やっぱり人間の味方をしている魔物と、人間を滅ぼそうとしている魔物が争っているみたいだな。

味方の魔物がサンデルジュの砦に向かっている間に、他の魔物に見つかってしまったと言う事だろう。

味方の魔物の声はさっきより弱々しくなっており、このままでは殺されてしまいそうだ。

 

「やっぱり味方の魔物みたいだし、早く助けないとな…」

 

早く助けなければいけないと思い、歩く速度を上げていく。

そうしてしばらく進んでいくと、その魔物たちが戦っている現場に着いた。

 

「ボクは…ここで死にたくはないんだ…!」

 

「いい加減に諦めろ!人間どもの味方をするからこうなったんだぞ」

 

人間の味方の魔物はブラックチャックのようで、棍棒を使って何とか抵抗していた。

だが、そのブラックチャックを襲っているのは6体のアローインプであり、ブラックチャックはかなり苦戦しているようだった。

ブラックチャックの体には既にいくつもの傷が出来ている。

また、アローインプたちだけでなく、草原の魔物を見回っていた敵のブラックチャックも襲いかかって来ていた。

 

「こんなところにも反逆者がいたのか!こいつもこの棍棒で殺してやる!」

 

敵のブラックチャックたちはそう言いながら味方のブラックチャックの背後から殴りかかり、頭を潰そうとしてくる。

しかし、味方のブラックチャックはアローインプと戦うのに精一杯で、背後にまで気を配れる余裕はない。

でも、奴らは俺には気づいていないので、サブマシンガンで頭を狙い撃ちすることが出来そうだ。

 

「サブマシンガンでまず背後の奴らを撃ち抜いて、アローインプたちも倒していくか」

 

そこで俺はさっそく、味方のブラックチャックに向けて棍棒を振り上げている奴の頭に狙いを合わせ、はがねの弾を発射した。

強力な弾丸であるはがねの弾丸で頭を撃ち抜かれたブラックチャックは、その場で倒れて青い光に変わっていく。

一体のブラックチャックが突然倒れたことで、他のブラックチャックやアローインプたちは、驚いて動きを止めていた。

 

「今のうちに数を減らして、あの味方のブラックチャックを助け出してやるぜ!」

 

俺は奴らが驚いている間に、次々に敵のブラックチャックを倒していく。

そして、奴らの数が減り、味方のブラックチャックの逃げ道を確保出来たところで、俺は大声で呼びかける。

 

「さっきの声を聞いて助けに来たぞ!俺の後ろに隠れてくれ」

 

味方のブラックチャックは弱っており、これ以上攻撃を受けるとまずいので、俺がかばわなければいけないだろう。

 

「人間だ!これで助かったんだ!」

 

俺の声を聞いて、味方のブラックチャックは少し安心した顔をして走ってくる。

 

「人間どもの戦力を増やす訳にはいかない。ビルダーもろとも仕留めてやる!」

 

アローインプたちもビルダーである俺に気づいて、矢を放ってくる。

だが、俺は大量のアローインプを同時に相手したことがあるので、6体のアローインプなら苦戦することはなさそうだ。

俺は自分に飛んでくる矢を避けながら、味方のブラックチャックを狙っているアローインプを優先的にサブマシンガンで倒していく。

 

「このブラックチャックをこれ以上傷つけはさせないぞ」

 

味方のブラックチャックは傷を負っているので動きが遅かったが、俺がアローインプを倒している間に奴らから離れることができ、俺の後ろに隠れた。

ブラックチャックが俺の後ろに隠れた後はアローインプはみんな俺を狙ってくることになったが、残っているアローインプは僅かなので、そのままトドメを刺していく。

 

「これでアローインプたちを倒すことが出来たし、このブラックチャックも助けられたな」

 

「助かったよ。砦に向かって叫んではみたが、本当に聞こえるとは思ってなかったんだ」

 

俺がアローインプたちを倒すと、味方のブラックチャックはそんなことを言ってくる。

確かにさっきのはとても小さな声だったし、もしかしたら聞き逃していたかもしれない。

あの声を聞き取って、こうして助けに来ることが出来てよかったぜ。

このブラックチャックは傷を負ってしまったので、他の魔物が来てしまう前に移動したほうが良さそうだ。

さっきサンデルジュの砦を目指していると言っていたし、砦の戦力も増やしたいので、俺は砦に来ないかと誘う。

 

「俺も気づくことが出来てよかった。さっきあんたは人間の砦に辿り着きたいって言っていたけど、俺と一緒に来るか?あそこならここより安全だぞ」

 

「うん。このままここにいたら、すぐに殺されちまう」

 

俺が聞くと、味方のブラックチャックはうなずいた。

これでサンデルジュの砦の戦力が増えることになるし、魔物たちに勝てる可能性も少しは上がったな。

 

「なら、さっそく行くぞ。ここに留まっていたらすぐに魔物が来る」

 

俺が砦に向かって行こうとしていると、ブラックチャックは名前を名乗る。

 

「分かった。ボクはバルダスだ。人間、よろしく頼んだぜ」

 

「俺は影山雄也、物を作る力を持つビルダーだ。普段は雄也って呼んでくれ」

 

俺もいつまでも「人間」と呼ばれるのも嫌なので、いつもの自己紹介をする。

自己紹介をお互いにし終わった後、俺とバルダスは砦に戻っていった。

 

砦に戻っている途中、俺は再び魔物の様子を見ながら進んでいく。

すると、やはり魔物たちは、他の魔物を監視するような動きを続けていた。

今まで人間の敵の魔物がいる場所で暮らしていたバルダスなら何か知っているかもしれないと思い、俺はバルダスにそのことについて聞いてみる。

 

「バルダス、さっきから魔物たちが魔物同士で監視し合ってるんだけど、何か知ってるか?」

 

「人間に寝返った魔物を見つけ出そうとしているんだ。エンダルゴが、裏切り者を皆殺しにしろという命令を出したから」

 

監視をしてまで裏切り者を見つけ出せ…そんな命令が出されていたのか。

バルダスも、それでアローインプたちに見つかってしまったのだろうか。

それに、エンダルゴと言うのは誰の事なんだ?

 

「それで、あんたはアローインプに追われていたのか?それに、エンダルゴって何のことなんだ?」

 

「ボクもよく分からないけど、つい最近現れた魔物の支配者のことだ。必ず人間を滅ぼせるほどの力を持つらしいんだ」

 

その話を聞いて分かったが、エンダルゴと言うのは俺たちが必ず倒さなければいけない敵、闇の力の集合体のことみたいだな。

魔物たちのなかでは、そんな名前で呼ばれていたのか。

エンダルゴが命令を出したのは昨日のことのようで、バルダスはアローインプに見つかってしまうまでについて話す。

 

「昨日エンダルゴから裏切り者を皆殺しにしろと命令されると、あいつの配下の魔物はすぐに動き出した。だけど、ボクはサンデルジュの森の奥深く、魔物がほとんど来ない場所に隠れていたから、命令に気づかなかったんだ」

 

魔物たちも森の奥の方に人間との戦いを嫌う者が隠れていると考えて、そこに調べに入ったのかもしれないな。

そんなことも考えながら、バルダスの話を聞いていた。

 

「それで、魔物が騒がしくしているのを人間の砦に攻めに行くのだと勘違いして、「何でみんな人間を滅ぼしたいって思うんだ?」って言ってたら、それをアローインプに聞かれてしまったんだ。それで、「エンダルゴ様の命令で、裏切り者のお前を殺す!」と言われて、ボクは追いかけられることになった。何とか森の草木を利用してあいつらを撒いてから、草原の高台にある人間の砦に行けば助かると思って、そこを目指したんだ。だけど、草原をしばらく進んでいたところで見つかってしまった」

 

草原は遮る物が少ないし、こんな監視態勢では見つからずに進むのは難しかっただろう。

隠れて進むのに慣れている俺でも、かなり警戒するほどだからな。

森を出たところですぐに見つからず、途中まで草原を進めただけでも幸運と言えそうだ。

でも、これでバルダスが襲われるまでの経緯は分かったが、どうしてエンダルゴは急に人間に寝返った魔物を皆殺しにしろって命令したんだ?

 

「そんなことがあったのか…。でも、エンダルゴは何でそんな命令を出したんだ?」

 

「森で隠れながら逃げている時に偶然聞いたんだけど、これ以上人間に協力する魔物がいたら、人間がさらに強力な武器を開発してしまうからだって。ボクはよく知らないけど、雄也の砦に人間に協力している魔物がいるのか?」

 

ルミーラの開発したアローインプ式大弓の存在や、その大弓を使って多くの魔物が倒されたことも、もうエンダルゴに知らせられていると言うことか。

昨日襲ってきた86体の魔物は全て倒したが、サンデルジュにはそれ以外にも多くの魔物が生息しているので、誰かが戦いの様子を報告したのだろう。

これ以上強力な兵器を作れば魔物たちにとってもかなりの脅威となるし、それを防ごうとしたということみたいだな。

 

「ああ、アローインプのルミーラって奴がいる。確かにルミーラみたいな魔物が増えれば俺たちは強力な兵器を作りやすくなるし、それを防ごうとしたってことなのか」

 

「実際、人間の味方だとバレた魔物は殺されたし、隠し通している者も身動きが取れないから、これ以上の協力は求められそうになくなった。エンダルゴの思い通り、人間はだんだん追い詰められて来ているようなんだ…」

 

エンダルゴの思い通りにことが進んでいると、バルダスは言う。

確かに少し前まではもう少しで世界が平和になるなんて言っていたのに、エンダルゴが現れてからは平和が遠ざかるどころか、より状況が悪化してきている。

でも、エンダルゴの思い通りになっていないことも、一つあった。

 

「でも、奴の思い通りになっていないこともある。こうしてあんたを救出出来ただけでも、俺たちの勝ち目は上がったはずだ。どんなに追い詰められても、俺は諦めずに戦い続けるぞ」

 

バルダスを救出したことで、魔物たちに勝てる可能性は上がっただろう。

少しでも希望があるのならば、俺は最後まで戦い続けるつもりだ。

俺がそう言うと、バルダスも諦めずに魔物に立ち向かって行くと言う。

 

「ボクも雄也に助けられたから、出来る限りのことはする。雄也が戦い続けるなら、ボクも最後まで戦い続けるんだ」

 

勝てる可能性が低いのは変わりないにしても、みんなと協力して出来る限りのことをしたい。

俺とバルダスはこれから一緒に魔物たちと戦っていこうという話をした後、サンデルジュの砦に戻っていった。

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