ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
アレフガルドの光が消えた翌日、俺たちはまず昨日の襲撃で壊された部分を修復していた。
魔物との戦いを諦めないとなれば、これからも厳しい魔物との戦いは続いて行くだろうから、城の状態は万全にしておかなければならない。
城の修理を終えると、サンデルジュで使っていた調合ツボやマシンメーカーを置くための部屋も作っておいた。
それらの部屋も作ったら、ラダトーム城を防衛したり、エンダルゴを倒したりするための兵器を、俺は考え始める。
そして、その日の午後、オーレンは何か話したいことがあるらしく、話しかけてきた。
「雄也殿、少しいいですか?話したいことがあるのです」
昨日もうアレフガルドは終わりだと言っていたオーレンだが、今は少しは明るい顔になっている。
もしかしたら、オーレンも新しい兵器を考えてくれているのだろうか。
「どうしたんだ、オーレン?」
「実は僕たちもゆきのへさんたちの話を聞いて、もう少しは頑張ってみようと思ったのです。ラスタンやチョビ、ムツヘタとも相談して、強力な兵器を考えて来ました」
オーレンもゆきのへの話で、エンダルゴや闇の戦士の打倒を諦めるのはまだ早いと思ったみたいだな。
ラダトーム城のみんなの協力もあったようだが、どんな兵器を考えたのだろうか。
今は戦力になればどんな兵器でもいいので、俺はオーレンの話を聞いていく。
「みんなも協力してくれたのか…どんな兵器を考えたんだ?」
「雄也殿たちが使っていた大弓と大砲を見て思いついたのです。あの大弓が一度に5発もの矢を撃ち出すように、何発かの弾を一度に撃ち出せる大砲を作れば、固い敵も一気に吹き飛ばせるんじゃないかと。僕たちは、3発の砲弾を同時に撃ち出せる大砲を考えました」
3発の弾を一度に撃ち出せる大砲か…大砲の弾は一発でも広範囲かつ高威力なので、確かにそれなら強敵でもかなり倒しやすくなるかもしれないな。
次の防衛戦もかなりの敵が押し寄せてくるだろうが、城の被害も減らせるだろう。
俺は今から作りに行こうと、オーレンに新しい大砲の見た目や作り方について聞こうとした。
「確かに強そうな兵器だな…今から作りに行きたいし、見た目と作り方について教えてくれ」
そう聞くと、オーレンは俺に新たな大砲の作り方について詳しく教え始める。
新しい大砲は3つの砲弾を同時に入れるために、今までの大砲より大きいようだった。
構造も複雑になっており、たくさんの素材が必要そうだな。
俺はオーレンの話を聞き終えると、新しい大砲を作るために必要な素材を、ビルダーの力を使って調べる。
ルビスが死んだ今でも、ビルダーの魔法は使えていた。
彼女が遺してくれた物作りの力を、精一杯役立たてていかなければいけないな。
三連大砲…はがねインゴット8個、木材6個、マグマ電池10個 マシンメーカー
大砲と必要な素材の種類はあまり変わらず、マシンメーカーで作れるみたいだが、やはり素材の必要数が増えているな。
だが、火炎放射器を作る時に鉄を集めてきているので、はがねインゴットはたくさん作れるし、マグマ電池の原料となるマグマ岩もかなり持っている。
木材に関しても、在庫があったはずだ。
いつ魔物が襲撃して来てもいいように、今すぐ作って来よう。
「必要な素材は多いけど、みんな在庫があるな。さっそく作りに行ってくるぜ」
「それならよかったです。完成したら、僕に見せてください」
俺はオーレンにそう伝えると、まずは鉄をはがねインゴットに加工するため、工房へと向かっていった。
工房に入ると、俺はこの前手に入れた鉄を次々に神鉄炉に入れて、まずは鉄のインゴットを作っていく。
鉄のインゴットが出来ると、それをさらに加熱してはがねインゴットに加工した。
「これで三連大砲は作れるけど、はがねインゴットは大量に作っておいたほうがいいな」
三連大砲に必要なはがねインゴットは8個だが、はがねインゴットは非常に用途が多いため、俺はたくさん作ることにする。
50個以上のはがねインゴットが出来ると、俺はマシンメーカーの部屋に入っていった。
マシンメーカーの部屋に入ると、俺はまずマグマ岩と銅のインゴットを使って、マグマ電池を作っていく。
マグマ電池は10個も必要だが、一度に5個作ることが出来るので、そんなにたくさんの素材は使わなくてもいいな。
「これでマグマ電池も出来たし、大砲が作れるな」
マグマ電池が出来ると、俺はさっき作ったはがねインゴットと大倉庫に入っていた木材を使い、三連大砲を作っていった。
ビルダーの魔法をかけると、それらの素材が加工されて、大型の大砲へと変わっていく。
大きさのせいで加工に少し時間がかかったが、無事に完成させることが出来た。
「これで三連大砲は作れたか…でも、もう1台作ってスイッチで同時に発射すれば、さらに威力が上がりそうだな」
三連大砲が完成するとすぐに城の前に設置しに行こうかと思ったが、その時俺は、マイラのアメルダが考えた二連砲台を思い出す。
三連大砲を2台同時に発射出来れば六連砲台となり、直撃させられればトロルキングなどでも一撃で倒すことが出来るかもしれない。
出来るだけ城を守れる可能性を高めるために、俺はもう一台の三連大砲と、床用スイッチを作っていった。
まずマグマ電池をもう10個作り、はがねインゴットと木材も使って、二台目の三連大砲を作る。
それが出来ると、まだはがねインゴットになっていない鉄のインゴットや、それから作られたばね、大倉庫にあるあかい油を使って、床用スイッチも作った。
「これで六連砲台にできるようになったな、さっそく城の前に設置してくるか」
床用スイッチが出来ると、俺は2台の三連大砲も持って、ラダトーム城の前へと向かう。
最初に三連大砲を並べて置いて、その間に床用スイッチを置いた。
これで魔物がラダトーム城に近づいてきても、6発の砲弾を発射して倒すことが出来るはずだ。
大砲とスイッチを置き終えると、俺はオーレンを呼んだ。
「オーレン、あんたが言ってた三連大砲を完成させてきたぞ」
オーレンは兵士の仕事で城の見回りをしていたが、俺の声を聞くと、すぐに城の前に走ってやって来る。
彼は三連大砲が二つもあるのを見て、かなり驚いた表情になった。
「ありがとうございます。一つでいいと思っていましたが、二つも作って下さったんですね」
二連砲台のことを思い出していなければ、俺も一つしか作っていなかっただろう。
俺はスイッチを押すと同時に発射出来ることも、オーレンに伝えておいた。
「ああ。真ん中にあるスイッチを押せば、二つの大砲が同時に起動するぞ。一度に6発の砲弾が撃てるはずだ」
「一度に6発ですか…やはり魔物との戦いを諦めるのは、まだ早いかもしれませんね」
オーレンも六連砲台のことを聞くと、魔物に勝てる自信が高まったようだった。
これを使ってラダトーム城を守りながら、強力な武器を考えていけば、エンダルゴや闇の戦士を倒すのも夢ではないだろう。
俺はそう思っていたが、オーレンはその話の後、また昨日のような暗い表情をする。
「…ですが、ムツヘタはこんなことを言っておられました」
オーレンはムツヘタとも相談していたみたいだが、その時に何か聞いたみたいだな。
ムツヘタは、どんなことを言っていたんだ?
「何て言っていたんだ?」
「エンダルゴや魔物たちを倒したいと言うのならば、あまり時間は残されていないと言っていました。エンダルゴは闇の力の集合体です、光が失われ、闇の力が次々に広がっていくこの世界では、奴もどんどん力を増して行くでしょう。放っておけば、決して人間には倒せないほどの力を得ることになるはずです」
ルビスが死に、ひかりのたまも失われ、強大な魔物が増えた今のアレフガルドは、ルビスの言っていた光と闇のバランスが完全に崩壊した状態であり、竜王が支配していた時代よりも遥かに早く闇の力が広がっていくだろう。
その闇の力はもちろんアレフガルドの大地や空を汚染するのに使われるだろうが、確かに闇の力の集合体であるエンダルゴの強化にも使われるはずだ。
そうなれば、エンダルゴが無敵と言えるほどの力を得る時が来るかもしれないな。
ムツヘタが残された時間は少ないと言っていた理由は、他にもあるとオーレンは言う。
「それに、ひかりのたまが失われたことで、魔物の封印は不可能になりました。魔物の活動を抑えるには、戦って数を減らしていくしかないはずです。早めに数を減らさなければ、アレフガルドは倒しきることができないほどの魔物に満ちあふれることになるしょう」
魔物たちとも早めに決着をつけなければ、数が増えすぎて手に負えなくなると言うことか。
今までは闇の戦士を倒せばひかりのたまの力で魔物は封印されると思っていたが、もうそうすることも出来なくなっている。
城を防衛することだけでなく、人間に敵対している魔物の拠点を積極的に潰しに行くことも、必要になるかもしれない。
「確かに急がないと、手に負えなくなりそうだな。みんなで協力して、早く兵器を開発していかないといけなさそうだぜ」
兵器の開発も、今まで以上に急いでいかなければいけなくなりそうだな。
だが、みんなで協力して開発を行って行けば、エンダルゴや魔物たちを倒すための武器も必ず作り出すことが出来るだろう。
まだまだ不安なことも多いが、そう信じて進んでいくしかない。
オーレンも、これからも出来る限りのことはしていくと言った。
「僕もみなさんと共に、武器や兵器の開発は続けていきます。何かいい物が思いついたら、すぐに教えに行きますね」
「ああ、頼んだぞ」
光は消え去ったが、俺たちはまだ魔物たちに抗い続けていく。
俺はオーレンにそう言った後、一度休憩するために、教会へと入っていった。
その日の夕方、俺はこれからの戦いに備えて、他にも準備をしに行く。
昨日の闇の戦士との戦いでなくなってしまったはがねの弾丸を補充し、アローインプ式大弓のためのはがねの矢も大量に用意しておいた。
六連砲台から発射するための大砲の玉も、たくさん作っておく。
俺たちはその日の翌日も、エンダルゴや魔物たちと戦うための兵器を考えていた。
ラダトーム城の西 エンダルゴの城…
アレフガルドの光が消えた3日後の早朝、エンダルゴは隊長である強力なしにがみのきしを呼び出していた。
エンダルゴは隊長のしにがみのきしに向かって、こんなことを言う。
「…ルビスは死に、ひかりのたまも消え去った。我は諦めの悪い人間どもに、今度こそとどめを刺そうと思っている。そのために、貴様を闇の力で変異させたい」
エンダルゴはルビスやひかりのたまと同時に、ラダトーム城も滅ぼそうとしていたが、城を襲撃した魔物は人間たちに全て倒されてしまった。
また、ルビスの最後の力で、ビルダーも生き延びてしまっている。
次こそはビルダーもろともラダトーム城を滅ぼしたいと考えていたが、普通の魔物の軍勢を襲撃させても意味はないだろうとも思っていた。
隊長のしにがみのきしは、闇の力で変異するとはどのようなことなのかを、エンダルゴに尋ねる。
「闇の力で変異させるとは、どのようなことでございますか?」
「我が持つ闇の力の一部を与え、その力で貴様の肉体を変異させる。成功すれば貴様は、人間どもをいとも簡単に蹂躙できるほどの力を得るだろう」
エンダルゴは闇の力の集合体なので、闇の力を他人に与えれば少し弱体化してしまう。
だが、今のアレフガルドでは急速に闇の力が拡大しているので、元通りになるまでにあまり時間はかからない。
隊長のしにがみのきしが強大な闇の力を操れるようになれば、ラダトーム城を落とせる可能性も高まると、エンダルゴは考えていた。
だが、変異に耐えきれなければ隊長のしにがみのきしは死んでしまうと、エンダルゴは言う。
「だが、変異に耐えきれなければ肉体は崩壊し、貴様は死ぬだろう。貴様が嫌だと言うのなら、やめても構わない」
いくら魔物とはいえ、自らが持っているより遥かに多くの闇の力が与えられれば、肉体が変異に耐えきれず、崩壊してしまうかもしれない。
この隊長のしにがみのきしはしにがみのきしの中でも最も強力な個体であるが、それでも変異に耐えられる可能性はあまり高くないとエンダルゴは考えている。
だが、隊長のしにがみのきしは、変異して強大な魔物になるとエンダルゴに言った。
「我なら大丈夫なはずです。エンダルゴ様、我を変異させて下さい」
隊長のしにがみのきしは、強力な魔物に変異出来ることを確信している。
エンダルゴはそれを聞くと、隊長のしにがみのきしに大きな闇の力を与えた。
「よろしい!ならば我の力を、貴様に授けよう」
「ぐがあっ!」
体が変異することによってすさまじい痛みが起こり、隊長のしにがみのきしは叫び声を上げる。
だが、肉体が崩壊しそうにもなるが、強大な魔物となってビルダーや仲間たちを倒すため、何とか耐え続けていた。
変異が進むにつれて、隊長のしにがみのきしの体長が1.5倍くらいになり、斧や全身の鎧が暗黒に染まっていく。
盾には、死神の顔のような不気味な紋様が現れていた。
隊長のしにがみのきしはしばらく苦しみ続けたが、やがて変異が終わり、身体中に力が満ち溢れるようになった。
「…変異は成功のようだな。これでラダトーム城も、今度こそ終わりだ」
「今なら、人間どもを滅ぼせる気がします。今から我の部下を集めて、人間の城に攻め込む」
変異に成功した隊長のしにがみのきしは、さっそくその力を使って部下とともにラダトーム城に攻め込みに行こうとする。
「ああ、しにがみのきしから変異した、滅ぼしの騎士よ。未だに抗い続ける人間どもを、闇の力で蹂躙してやれ!」
エンダルゴも変異したしにがみのきしを滅ぼしの騎士と呼ぶことにして、そう命令を下す。
命令を受けると、滅ぼしの騎士とその手下の魔物は、ラダトーム城に向かっていった。