ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺とロロンドは、メルキドに戻ることを知らせるために、みんなを集めようとする。
希望のはたのところに立つと、俺はさっそくみんなを大声で呼んだ。
「みんな、俺のところに集まってくれ!大事な話があるんだ」
俺の声を聞くと、城の見回りをしていたオーレンとチョビが驚いた顔で集まってくる。
監視塔にいるラスタンは、魔物の監視を続けているものの、俺の声にも耳を傾けているようだった。
「どうなさったのですか、雄也殿?」
「全員を集めるって事は、大変なことでもあったのか?」
教会の中で新しい兵器を考えているゆきのへたちも、希望のはたの周りにやって来る。
みんなが集まって来たのを見ると、俺はメルキドに向かう話を始めた。
「みんな集まってくれたな。実はこれから俺とロロンドは、小舟を使ってメルキドに戻るつもりだ。しばらくみんなと別れることになるから、話しておこうと思ったんだ」
俺たちがメルキドに戻るという話を聞くと、みんな驚いた顔になる。
ずっとラダトーム城で戦って来ており、今日になるまでそんな話は出てこなかったので、仕方ないだろう。
俺とロロンドは驚いているみんなに、なぜメルキドに行くことになったか説明した。
「メルキド…確か、ロロンド殿の故郷でしたね」
「ああ。我輩たちと雄也が、共に作り上げてきた町だ。我輩はメルキドに、この前のような危険な魔物が来ないか心配になって、様子を見に行きたいと思っていたのだ。先ほど雄也に、メルキドに向かうための小舟を作ってくれと頼んだ」
「俺もメルキドが心配だし、あそこの人たちの力もあれば、新しい兵器が作れる可能性が高くなると思った」
ラダトーム城で武器や兵器の開発を進めるのもいいが、他の町のみんなとも協力すればより早く、よりたくさんの兵器を作ることが出来るだろう。
俺たちの話を聞いて、ムツヘタもメルキドと協力した方が強力な兵器を作れる可能性が高いと言って来る。
「確かにメルキドは、ひかりのよろいの製法が伝わっていた地じゃ…あの地に住む者の力も借りれば、エンダルゴを打ち破れる可能性は上がるじゃろう」
だが、オーレンは俺たちがいなくなった後、ラダトーム城の守りはどうするのかとも聞いてくる。
「ですが、雄也殿たちがいなくなれば、ラダトーム城を守れる者は減ります。一層この城を守るのが難しくなるでしょう」
オーレンもさっきの俺と同じで、その点を気にしているみたいだな。
俺は新たな味方となってくれる者…おおきづちの長老がいることを、みんなに伝えた。
「そこは多分大丈夫だ。新たな味方になってくれそうな人に、心当たりがある。メルキドにはおおきづちの里って言う、人間との争いを嫌うおおきづちが住んでいる場所があるんだけど、そこの長老がラダトームの防衛に協力してくれるはずだ。数時間もあれば、ここに連れて来られる」
エンダルゴとの戦いは、全ての人間に味方する魔物も巻き込んだ戦いになるだろう。
おおきづちの長老は体も大きいし、上位種のブラックチャックであるバルダスと同じか、それ以上の力を持っていると思われる。
数時間の間にラダトーム城が襲われないかは不安であるが、この話を聞いてみんな少しは安心した。
「確かに、新たな味方が来るのであれば、大きく戦力は下がらなさそうですね」
なるべく早くおおきづちの長老のところに行って、ここに彼を連れて来ないとな。
しばらくラダトーム城には戻らなくなるが、必ずエンダルゴを倒すための力をつけてくると俺はみんなに言う。
「ここにはしばらく戻って来ないけど、必ずエンダルゴを倒すための兵器や武器を作って来るつもりだ」
メルキドは衛兵のケッパーもいるので、回転斬りのような新たな剣技も覚えられるかもしれないな。
みんなにそう言った後、そろそろロロンドと共に出発しようと思っていると、ヘイザンがリムルダールやマイラにも行く気なのかと聞いてくる。
「一つ聞きたいが、メルキドだけでなく、リムルダールやマイラにも向かうつもりなのか?」
「もちろんだ。全ての町の人が協力したほうが、新しい兵器も作りやすいと思うからな」
メルキドだけでなく、全ての町の人々と協力したほうがいいと思うので、俺はもちろんリムルダールやマイラにも行くつもりだ。
俺がそう答えると、ヘイザンは自分も共に小舟に乗りたいと言って来た。
「それなら、ワタシも一緒に向かうぞ。故郷のリムルダールが心配だし、鍛冶屋としての腕ももっと磨きたいんだ」
ヘイザンはアレフガルド復興にずっと協力してくれていたが、これからも一緒に来てくれるのか。
小舟には俺とロロンド以外にももう何人か乗れそうなので、彼女も連れていくことが出来そうだな。
リムルダールが心配だと言うだけでなく、鍛冶屋の腕ももっと高めたいと思っているようだ。
ヘイザンは伝説の鍛冶屋の子孫である、ゆきのへの教えを受け継ぐ者なので、早く彼と同じくらいの熟練の鍛冶屋になりたいと考えているのだろう。
ヘイザンはサンデルジュでメタリックハンマーを考え出したり、かなり活躍していたが、まだゆきのへには及ばない。
「小舟には何人か乗れるし、もちろんいいぞ」
今まで共にアレフガルドを復興させてきた仲間なので、俺ももちろんいいと言った。
ロロンドも、ヘイザンを連れていくのに不満はないようだった。
俺とヘイザンの会話を聞いていたピリンも、一緒に行きたいと言ってくる。
「何人か乗れるのなら、わたしも連れてって。今まで雄也と一緒に町を作って来たんだから、最後まで一緒に行きたい」
今のメルキドでは何が待ち受けているか分からないが、ピリンは今までもラダトームやサンデルジュといった危険な場所について来ていた。
連れていっても、きっと大丈夫だろう。
「分かった。準備が出来たら、メルキドに出発するぞ」
メルキドには、俺とロロンド、ピリンとヘイザンの4人で向かうことになりそうだ。
ゆきのへも今まで一緒にアレフガルドを復興させてきていたが、ラダトーム城を守るために、ここに残ろうとしている。
ピリンへの返事も終えると、オーレンが何かを思い出したように、ポケットから一枚の紙を取り出した。
「そうだ、出発の前に、これを持っていってください。今のアレフガルドの地図です」
オーレンが持っていた紙を見てみると、確かにそれはアレフガルドの全体図が書かれた世界地図だった。
それも、ドラクエ1の時代のアレフガルドの地図ではなく、今の海面が上昇したアレフガルドの地図だ。
オーレンは、宝物庫の中で見つけたと話す。
「この前宝物庫の中を見ていたら、見つけたんです」
誰が作ったかは分からないが、これがあれば海上で迷うことなくメルキドまでたどり着くことが出来そうだな。
地図によると、メルキドはラダトーム城の南東にある。
秘境の地であるサンデルジュのことはさすがに書かれていないが、小舟でサンデルジュに行くことはないだろう。
世界地図を受け取ると、ポーチにしまって感謝の言葉を言った。
「ありがとうな、オーレン。これで迷わず、アレフガルド各地に行けそうだ」
俺が世界地図を貰っている間に、ロロンドたちも準備を進めていた。
準備が終わると、いよいよ小舟でメルキドに旅立つ時が来る。
「我輩たちも準備は終わった…地図も手に入れたようだし、そろそろ出発するぞ」
「ああ。小舟を一緒に漕いで、メルキドに向かおう」
俺はうなずいて、ロロンドたちと共に歩いてラダトーム城を出た。
ラダトーム城に残るみんなに、俺は大声で別れの言葉を言う。
「みんな、ラダトーム城を頼んだぞ!必ず魔物たちや、エンダルゴを倒そう!」
ラダトーム近くの海に出たら、小舟に乗り始めよう。
離れていく俺たちに、ラダトーム城のみんなは手を振ってくれた。
「必ずエンダルゴを倒す力をつけて来るのじゃぞ!」
「何があっても、無理はしないでくださいね」
「ワシの弟子や、メルキドのみんなを頼んだぞ!」
「ラダトーム城は私たちに任せてくれ!」
「もし迷いそうになったら、僕の見つけた地図を使ってください」
「雄也ドロル!絶対二諦めナイでくだサイネ!」
「辛い戦いも、仲良く頑張っていってね」
「ボクも城を守れるよう、力をつけるよ!」
ラダトーム城の8人全員に見送られながら、俺たちはラダトーム平野を歩いていく。
アレフガルドを、もう一度復興させるための戦いの始まりだ。
魔物の数も多くて進みにくかったが、俺たち海に10分くらいでたどり着くことが出来た。
海に着くと、俺はポーチから小舟を取り出し、みんなそれに乗り込む。
アレフガルドの海にはほとんど波がないので、乗り心地は悪くなかった。
俺とロロンドはさっそく櫂を持って、メルキドに向けて小舟を漕ぎ始める。
「メルキドまでは結構遠そうだけど、頑張らないとな…」
遠くにあるメルキドまで小舟を漕ぐのはかなり腕の力を使いそうなので、途中で休憩も必要になりそうだ。
俺たちは30分くらい漕ぐごとに少し休みながら、南東を目指していった。
体の大きい大人であるロロンドでも、体力の限界はある。
休んでいる時には、俺は空の様子を眺めていた。
どこまでいっても灰色の空が広がっており、竜王を倒した直後の時の青空は、全く見えない。
もうひかりのたまはないので、エンダルゴや元勇者を倒しても青空が戻ることはないかもしれない…そんなことも考えてしまった。
暗い空を見ると、気分まで暗くなってしまうが、必ずエンダルゴを倒したいとも思いながら、また小舟を漕ぎ始める。
時々休憩を挟みながら、俺たちは2時間半以上小舟を漕ぎ続けた。
そして、小舟を漕ぎ始めて3時間くらい経って、ようやく目の前に陸地が見えて来た。
陸の上にはスライムが生息しており、白い花やブナの木がたくさん生えている。
アレフガルドで一番最初に復興させた地、メルキドだ。
ヘイザンはメルキドに来るのは初めてであり、メルキドの大地を見た感想を言っていた。
「ここがメルキドか、緑に溢れていて、きれいな場所だ」
秘境のサンデルジュを除けば、メルキドはアレフガルドで一番自然環境が壊されていない場所だ。
エンダルゴが出現した今も、まだ自然環境は無事のようだな。
メルキドの町も、無事だといいんだけどな。
俺がそんなことを思っていると、ピリンはモモガキの実をまた食べたいと言う。
「メルキドって言ったら、モモガキの実が美味しかったね!町に着いたら、また食べたい」
モモガキの実はアレフガルドで最初に食べた食べ物だし、俺ももう一度食べたいな。
おおきづちの長老をラダトームに連れて行ったら、探しに行ってみるか。
「確かに、モモガキの実は結構久しぶりだな」
モモガキの実についてピリンと話していると、小舟はメルキドの大地にたどり着く。
俺たちが降り立ったのはメルキドの町の北で、歩いて町にすぐに行けるだろう。
俺は小舟をポーチにしまうと、ロロンドを先頭にメルキドの町を目指して行った。
「メルキドの町まではもうすぐだ。気をつけて向かおう」
メルキドの町には、ロッシ、ケッパー、ショーター、チェリコ、スラタンの5人がいる。
あの5人に会ったら、いろいろ話をしてみたいな。
ロロンドは気をつけて進もうと言ったが、途中にいる魔物はほとんどスライムであり、俺たちはかなり早く進むことが出来た。
だが、途中で何体かのドラゴンがうろついているのも見えた。
「スライムだけじゃなく、ドラゴンもいるのか…」
この前ロロンドはメルキドの町にドラゴンが襲って来たと言っていたし、メルキドではドラゴンが増えているみたいだな。
ゲームのドラクエビルダーズでも1体しかおらず、俺がメルキドを復興させている時には全く見つからなかったので、エンダルゴの影響があるのだろう。
ロロンドは、この前よりドラゴンの数が増えていると言う。
「ドラゴンは我輩がラダトームに行く前からいたのだが、数が明らかに増えておるな。以前は町の周辺には、2体ほどしかいなかった」
ドラゴンはラダトームのダースドラゴンなどに比べれば弱い魔物だが、それでも危険な魔物には変わりない。
俺たちはドラゴンの近くでは姿勢を下げて、見つからないように進んでいく。
15分ほど歩き続けて、俺たちはメルキドの町のすぐ近くにまでやって来た。
近くにやって来ると、俺たちは町もみんなも無事であることを祈って、メルキドの町を眺めてみる。
しかし、エンダルゴの支配するこの世界で、そんな祈りは通じなかった。
町の西にあるはがねの守りは原型を留めないほどに壊されており、ほとんどの建物が大規模に壊れている。
メルキドの復興を最も望んでいた男であるロロンドは、メルキドの現状を見て暗い顔になってしまった。
「心配はしておったが、我輩たちのメルキドがこのような姿に…」
同じくメルキド出身であるピリンも、悲しそうな顔をしている。
ビルダーの俺からしても、せっかく復興させた町を壊されてしまうのは辛いな…。
ゴーレムを倒し、仲間と共に作り上げたメルキドの町が、今は廃墟のような状態になってしまっている。
…町がこんな状態なのであれば、みんなも無事ではないかもしれないな。
「…とりあえず、みんなが無事か見に行こう」
だが、壊された町をこのまま眺めている訳にもいかないので、俺はまずみんなの無事を確認しに行く。
廃墟と化した町の中に、最近土ブロックで修理されたと思われる部屋が一つだけあった。
みんなが生きているとすれば、そこにいるのだろう。
人々が生きていれば、メルキドの町ももう一度作り直せるので、俺たちはその部屋に向かった。