ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode151 王都への援軍

青の旅のとびらを抜けて、俺はおおきづちたちと共にメルキドの町に戻ってくる。

ロロンドたちは壊れた建物の修理をしているが、まだ時間がかかりそうだった。

あくまのきしたちから逃げ切ることができ、おおきづちたちは安心の声を上げる。

 

「お主らの町まで逃げ切れたようだな。本当に助かったぞ、ビルダーよ」

 

「魔物が家に入って来た時は、もうダメだと思ったよ…」

 

ほとんどのおおきづちたちは死んでしまったが、この4体だけでも助けられたのは幸いだったな。

彼らをラダトームに連れていったら、俺もメルキドの立て直しを始めよう。

そう考えながら町の中を歩いていくと、長老は壊されたメルキドの町に対しての感想も言っていた。

 

「ここがお主らの作っていた町か…大きい町だが、ここも大きな被害を受けておるな…」

 

「ああ、昨日魔物の群れに襲われたらしいんだ」

 

おおきづちたちが人間の町を見るのは初めてな訳だし、昔のきれいなメルキドを見せたかったな。

あのメルキドならば、彼らもきっと気に入ってくれただろう。

今度長老たちがメルキドに戻ってくるまでに、再び楽しい町へと発展させたい。

町の中心のところまで歩いて来ると、聞き覚えのある2人の男の声が聞こえて来る。

 

「ロロンドから聞いたけど、本当に来てたのか。すげえ久しぶりだな、雄也」

 

「おおきづちの里に向かったと聞いてたけど、無事に彼らを連れて来られたみたいだね」

 

声が聞こえた方向を見ると、さっきは部屋の中で眠っていたロッシとケッパーの姿があった。

二人の怪我はまだ治っていないが、動けるようにはなったみたいだな。

二人と会うのもとても久しぶりなので、俺はあいさつをする。

 

「こっちこそ久しぶりだな、ロッシ、ケッパー。また一緒に、メルキドの町を作って行こう」

 

俺は白花の秘薬を持っているし、ロッシたちの怪我はもう少しで治ることだろう。

二人と共に戦うのも数ヶ月ぶりだが、悠久の竜たちを倒すために頑張らないとな。

俺とロッシたちとのあいさつを聞いて、建物の修復作業をしていたロロンドも近づいてきた。

 

「おお!声が聞こえたと思ったが、戻って来ておったのか雄也。おおきづちたちもいるようだな」

 

ロロンドは、自分がおおきづちたちをラダトームまで連れて行きたいと言う。

 

「お主はおおきづちの里まで行って疲れておるだろう。我輩がおおきづちをラダトームまで連れて行くぞ」

 

確かに今日俺は、ラダトームの枯れ木の森まで歩いたり、おおきづちの里であくまのきしと戦ったり、魔物たちから走って逃げたりしたので、かなり疲れている。

本人もしたいと言っているので、おおきづちをラダトームに連れて行くのは、ロロンドに任せても良さそうだな。

 

「分かった。ありがとうな、ロロンド。小舟を渡しておくぞ」

 

ロロンドはまだ体力がありそうだが、またラダトームまで小舟を漕ぐのは大変だろうから、俺は彼に感謝する。

俺のポーチに入っていた小舟も取り出し、ロロンドに渡しておいた。

 

俺との話の後、ロロンドはさっそくおおきづちの長老に話しかけた。

ロロンドはメルキド録の記述によっておおきづちの里の存在は知っていたが、実際に彼らと会うのは始めてなので、自己紹介もする。

 

「我輩はロロンド、雄也と共にメルキドを発展させた者だ。我輩がお主たちを、ラダトーム城まで小舟に乗せていく」

 

ロロンドの話の後、おおきづちの長老も自分の名前を名乗った。

 

「我はおおきづちの長老、ラグナーダだ。これからよろしくお願いするぞ」

 

今までずっと長老と呼んでいたけど、そんな名前があったのか。

おおきづちの長老と初めて会った時も、名前を聞くことはなかったな。

ラグナーダは、後ろにいる小さなおおきづちたちの名前もロロンドに教える。

 

「左にいるのはサデルン、真後ろにいるのはプロウム、右にいるのはエファートだ」

 

これからは小さなおおきづちたちも、名前で呼び分けることが出来そうだ。

自己紹介の後、ロロンドはさっそくみんなを連れて行こうとする。

 

「ラダトームまでは遠いが、ゆっくりしていてくれ。城の者達とも、仲良くするんだぞ」

 

俺が作った小舟の大きさなら、ロロンドとおおきづち4体が乗っても大丈夫だろう。

左にいるおおきづちのサデルンは人間の城に行くのがまだ嫌そうな顔をしていたが、もうおおきづちの里はないので、仕方なくラグナーダたちについて行く。

ラダトーム城で、人間と一緒に暮らす楽しさを見つけてくれればいいな。

 

ロロンドたちは、さっき俺たちが上陸したメルキドの町の北へと歩いて行った。

 

「あっちの海で小舟に乗る。しばらく歩くことになるが、頑張ってくれ」

 

ロロンドが町に帰って来るのは夜になるだろうし、俺も疲れているので、本格的にメルキドの2度目の復興を始めるのは明日からになりそうだ。

ロロンドとおおきづちたちが海に向かうのを見送ってから、俺はロッシたちが寝ていた部屋に戻っていった。

 

しばらく休憩した後、俺はショーターたちを手伝い、壊れた建物を修復していく。

夜になるまで活動したので、メルキドの町にある多くの建物は直すことが出来た。

日が暮れてもロロンドはまだ戻って来なかったが、俺たちは明日からの活動に備えるために、早めに眠りについた。

 

 

 

メルキドに戻ってきた翌日、俺が朝起きた時には、もう寝室には誰もいなかった。

空が灰色になっているのでよく分からないが、もう昼頃になっているのだろう。

疲れていたからか、みんなより長く寝てしまっていたようだな。

俺が寝室から出ると、ロロンドが希望のはたの台座に立っているのが見える。

 

「おおきづちたちは、無事にラダトームに行けたのか…?」

 

俺たちが寝た後、夜遅くに戻って来たのだろう。

俺はそんなことを思ってつぶやき、ロロンドのところに向かった。

でも心配はいらなかったようで、彼は起きてきた俺を見つけると、おおきづちたちをラダトーム城に連れて行けたと伝えてくる。

 

「やっと起きてきたか、雄也よ。おおきづちたちは、ラダトームまで連れて行けたぞ」

 

ラダトーム城を守れる可能性も高まったし、安心してメルキドの町を立て直して行くことが出来そうだ。

おおきづちたちが城のみんなとどうしていたかも、俺は聞いてみる。

 

「みんなと仲良くやっていけそうだったか?」

 

「ラグナーダとプロウム、エファートは、すぐにみんなと友達になっておった。サデルンも、チョビやバルダスとは話をしておったぞ」

 

元々協力的なラグナーダとプロウムは、やはりうまくやっているようだ。

エファートもあくまのきしから助けられた後は、人間への警戒を解いている。

人間嫌いのサデルンも、魔物同士なら仲良くしやすいようだな。

彼らから人間と暮らす楽しさについて聞けば、サデルンも考えを変えるかもしれない。

 

おおきづちたちの様子について聞いた後は、俺たちはメルキドでの活動について話した。

 

「それなら良かった。これでおおきづちたちについては、安心だな」

 

「ああ…これからは本格的に、メルキドの立て直しを進めていこうぞ。我輩はロッシと共に、ゴーレム作りを進めようと思う」

 

ロロンドはロッシと共に、新たなゴーレム作りを進めて行くと言う。

どのくらいの時間がかかるかは分からないが、二人の力があれば完成は夢ではないだろう。

俺はゴーレムを作るために集める必要がある素材がないかと、ロロンドに聞いてみた。

 

「ゴーレムを作るのに、集めないといけない素材はあるか?」

 

「今のところは大丈夫だ。もし必要になったら、お主にも伝えるぞ」

 

もし集めないといけない素材が出来たら、俺も手伝いに行こう。

みんなで集めたほうが、ゴーレムの完成も早まるからな。

今は大丈夫と聞いて、みんなと共にまだ壊れている建物の修理に行こうと思っていると、ロロンドはケッパーが俺を呼んでいたと言ってきた。

 

「そう言えば、ゴーレムとは関係ないが、さっきケッパーが雄也に話したいことがあると言っておったぞ」

 

「そうなのか。大事な話かもしれないし、行って来るぜ」

 

ケッパーが何を考えているかは分からないが、メルキドの立て直しや悠久の竜との戦いにおいて大事なことなのかもしれない。

ケッパーは町の西にある建物の修復を行っており、俺はそこに向かっていった。


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