ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
行きとは違う場所から出発したので時間がかかってしまったが、俺の乗った小舟はリムルダールの町へと近づいていく。
さっきのリリパットのように、途中でノリンが死んでしまわないか心配であったが、今は大丈夫なようだった。
早く邪毒の病の薬を作って、彼を治せるといいな。
1時間くらい経って、俺とノリンが乗った小舟はリムルダールの町の近くの岩山にたどり着く。
「この岩山を超えたら、リムルダールの町だな」
俺は昔もノリンを背負いながら崖を登り降りした事があるので、今回も出来るだろう。
ノリンを小舟から下ろすと、俺は背中に担いで白い岩で出来た岩山を登っていった。
途中にはキメラやどくやずきんのような危険な魔物もいたが、見つからないように慎重に進んでいく。
ノリンを担いだ状態で戦うというのは、流石に難しいからな。
岩山地帯を抜けると、俺の目の前に黒く染まった毒沼と、破壊されたリムルダールの町が見えてくる。
「もうすぐリムルダールの町だ…ノリンもまだ無事だな」
「どうせ死ぬのに…本当にここまで連れて来たのか…」
ノリンは相変わらず生きることを諦めているようだが、俺はまだ治療を諦めたくはない。
リムルダールの町も、みんなの力があればあまり時間を掛けずに修復出来るだろう。
新たな病室を作り、これ以上の犠牲者を出さないようにしたいぜ。
「俺はまだ、治療を諦めていないからな。行くぞ」
人間の病に抗う力も復興の意志と同様に、決して失われることはないはずだ。
俺はノリンにそう言って、リムルダールの町へと帰っていった。
リムルダールの町に戻って来ると、建物の修復作業を行っているコレスタが出迎えてくれる。
ピリンとヘイザンも、彼と一緒に壊された建物を修理しているようだった。
「帰って来たんだ、雄也さん。背負っているノリンさんには、何があったんだ?身体中が、黒くなっているけど」
コレスタは俺が背負っている、異様な状態になったノリンについて聞いてくる。
コレスタにも、邪毒の病については話しておきたいけど、まずはノリンをベッドで休ませたいな。
今はまだ病室はないが、わらベッドくらいならあるだろう。
「それは後で説明するけど、まずはノリンを休ませたい。ベッドはあるか?」
「僕の使っていたベッドがある。この部屋の中だ」
コレスタはそう答えると、さっきまでいた部屋の扉を開けた。
確かにその部屋の隅には、コレスタが作ったと思われる草のベッドが置かれていた。
コレスタはベッドが使えなくなってしまうが、また作り直せばいいだろう。
草のベッドにノリンを寝かせると、俺は部屋から出ていく。
部屋の外に出ると、俺はコレスタに邪毒の病について説明していった。
「寝かせられたな。この町から逃げた後、ノリンさんに何があったんだ?」
「この町を壊滅させた暗黒魔導って魔物が、邪毒の病っていう新たな病気を振り撒いたらしいんだ。その病のせいで釣り名人が死んで、ノリンもああなってしまった」
町の周りの毒沼が黒くなっているのも、マヒの森の木が枯れているのも、邪毒の病の病原体によるものなのだろう。
俺の話を聞いて、コレスタもみんなを邪毒の病から救いたいと話す。
「邪毒の病…そんなものが。何とかしてみんなを救いたいけど、治療法はないのか?」
「聖なる草が失われたから、今は治療法はない。でも、薬師のゲンローワが戻って来れば、必ず薬を作れると思うぜ」
コレスタは俺とは最近知り合ったものの、リムルダールのみんなとの付き合いは長い…この地を邪毒の病から救いたいという思いは、俺より強いかもしれない。
ゲンローワは昔、恐ろしい力に抗うことは愚かしいなどと言っていたが、今は積極的に協力してくれるだろう。
ゲンローワやみんなを町に連れ戻して、必ず邪毒の病を治療してやりたいぜ。
まだ夜まで時間はあるので、リリパットの生き残りや、町のみんなをまた探しに行って来よう。
「これから俺は、ゲンローワやみんなを探してくる。コレスタたちは、病人を寝かせられるベッドを作っておいてくれ」
他のみんなも邪毒の病に感染している可能性もあるので、ベッドはたくさん作っておいた方がいいだろう。
俺がそう頼むと、コレスタはうなずいた。
「分かった。あの二人とも協力して、出来るだけ多く作っておく」
「ああ、頼んだ」
リムルダールは広い…今日中にみんなを見つけることは不可能だろうが、出来るだけ多くの仲間を助け出したい。
コレスタに邪毒の病を説明し、ベッドのことを頼んだ後、俺は再びリムルダールの町を出ていった。
リリパットの里の生き残りがいるだろうし、他のみんなも何人かいるだろうから、俺はもう一度南国草原とジャングルの地域へと向かっていく。
リムルダールの町の近くの岩山を超えて、マヒの森へと小舟を漕ぎ出していった。
15分ほど漕ぎ続けて、俺の目の前にまたマヒの森が見えてくる。
何体のリリパットが生き残っているかは分からないが、出来るだけ多く助け出したいな。
「早くしないと夕方になるだろうから、急いで見つけないとな」
だが、夜は危険だから夕方までにはこの地域を出たいので、あまり時間はかけていられない。
魔物には気をつける必要もあるが、少し歩く速度を早めないといけなさそうだ。
俺はそんなこと考えながら、マヒの森へと上陸する。
舟を降りるとさっそく、俺はキャタビウスたちから隠れながら、リリパットの里の生き残りを探していった。
なかなか見つからないので、俺は森の奥の方にも進んでいく。
「なかなか見つからないな…もしかして、全滅してしまったのか…?」
数十分探し続けても見つからないので、俺はリリパットが全滅したのではないかとも思ってしまった。
でも、俺は森の全ての場所を調べるまでは捜索を打ち切りにせず、生き残りを探していく。
途中、リリパットの家の残骸のような物も見えたが、そこでも見つけることは出来なかった。
しかし、捜索を初めて1時間くらい経って、ついに俺の目の前に倒れたリリパットが見えてくる。
「やっぱり生き残りがいたな…でも、邪毒の病に感染しているみたいだ」
発見したリリパットは身体が黒紫色に染まっており、邪毒の病に感染しているようだった。
さっきのリリパットは助けられなかったが、今度こそは助けてやりたいな。
俺はそのリリパットに近づいて、話しかけていく。
「あんた、大丈夫なのか?」
「お前ハ、見ない人間ダナ…。悪イことハ言わナイ…さっさト逃げロ、ここ二いるト死ぬゾ…!」
このリリパットもさっきのと同様、ここから逃げろと言う。
キャタビウスのような危険な魔物がいるし、邪毒の病に感染する可能性が高いからだろう。
だが、このリリパットを見捨てて逃げる訳にはいかない。
「あんたを助けたらここから出るさ。あんたを安全な、人間の町に連れていく」
「人間の町ハ暗黒魔導に壊さレタって、4人ノ人間に聞いたゾ…」
このリリパットも町から逃げてきたノリンたちと一緒にいて、リムルダールの町が壊滅したことを知っているようだな。
4人の人間と言うことは、ノリンの他に3人、この地域に俺たちの仲間がいるのだろう。
リリパットを救出したら、その3人も探しに行かないといけないな。
「確かに町は壊されたけど、ビルダーの俺とみんながまた作り直してる。安全に休めるくらいの建物なら、もう作ってあるぞ」
「ビルダーのことハ聞いタことガあるガ、お前ガそうだったノカ。だが、オレはもう動けナイ…町に行くことハ出来ないゾ」
俺がリムルダールの町に帰る頃には、コレスタたちがいくつかのベッドを作っているだろう。
このリリパットは歩けないようだが、俺が担いでいけば問題ない。
「それなら俺が担いでいく。邪毒の病の治療法も見つけるつもりだから、安心して休んでいてくれ」
「分かッタ。名乗ッテなかったガ、オレはオラフトだ」
「俺は影山雄也。いつもは雄也って呼んでくれ」
俺はいつもの自己紹介をした後、オラフトを背中に担いでいった。
オラフトはノリンよりも重かったが、何とか小舟までは運ぶことが出来そうだ。
彼もまだ重症ではないので、もうしばらくは耐えることが出来るだろう。
オラフト以外の生き残りもいるかもしれないが、まずは彼をリムルダールの町に運んで行こう。
15分ほどかけて海岸へと近づいていき、ポーチから小舟を取り出した。
「そろそろ夕方になってきたな…早くリムルダールに戻らないと」
もう日暮れが近づいており、他のリリパットの里の生き残りや3人の仲間の捜索は、明日になりそうだ。
俺はオラフトを小舟に乗せて、リムルダールの町へ向けて出発しようとする。
だが、舟を出す寸前、枯れたヤシの木のかげに、もう一人倒れているリリパットの姿が見かけられた。
「あれは、倒れたリリパット…?もう一人いたのか」
すぐに小舟に乗せられるし、このリリパットもリムルダールの町に連れて行こう。
そのリリパットはオラフトよりも小柄で、体重も軽そうだった。
やはり邪毒の病に感染しているようで、苦しそうな表情をしていた。
俺はそのリリパットに近づいていき、話しかける。
「あんたも、邪毒の病にかかったんだろ?俺たちの町に来れば、安全な場所で休めるぞ。一度は暗黒魔導の軍勢に壊されたけど、作り直しているんだ」
「あなたハ、人間さん…?助けてくレテ、ありがとう…でも、どうせアタシは死んじゃうンですヨ…」
オラフトはオスのリリパットだったが、こちらはメスみたいだな。
身体が小さいからかオラフトよりも弱っているようだが、まださっきのリリパットのような瀕死の状態にはなっていないようだ。
リムルダールの町に連れて帰れば、まだ助かるかもしれない。
「俺たちは邪毒の病を治す薬も開発している。あんたの病気も、必ず直してやるさ。俺が担いで行くから、歩けなくても大丈夫だぞ」
リムルダールを立て直すならば、なるべく仲間は多い方がいいだろう。
オラフトもこのリリパットも助けて、リムルダールの2度目の復興を達成させたい。
「では、お願いしますネ。アタシはセリューナ…」
「俺は影山雄也、いつもは雄也って呼んでくれ」
またいつもの自己紹介をした後、俺はセリューナのことも担いで、小舟に乗せていく。
この小舟は4人乗りなので、リリパットを2体乗せても問題なく進ませることが出来そうだ。
俺は夜までにリムルダールへ帰ろうと、少し急いで小舟を漕ぎ続けていった。
そして、マヒの森を出て30分くらい経って、俺はリムルダールの町の近くの岩山にたどり着く。
急いで小舟を漕ぐのはかなり大変で疲れて来たが、俺はオラフトたちをリムルダールの町に運ぶ必要もある。
体力が途中で尽きそうだが、二人を小舟に置いていく訳にはいかないので、何とか頑張らなければいけない。
岩山に上陸すると、俺は二人を小舟から下ろした。
「二人同時には運べないけど、どっちから先に行く?」
小舟から降りると、俺はどちらが先にリムルダールに行くのかオラフトたちに聞く。
俺も流石に二人を同時には運べないので、片方にはしばらくの間ここで待って貰わなければいけない。
俺の質問に対してオラフトは、自分が後でいいと答えた。
「オレが後でイイ。そいつヲ先二、お前たちノ町二連れて行ってクレ」
「分かった。なるべく早く戻るけど、しばらく待っていてくれ」
崖の下の海に魔物が来ることはないので、オラフトは安全に待てるだろう。
だが、あまり長時間待たせるのも良くないので、なるべく早く戻って来よう。
俺はセリューナを担いで、岩山を越えてリムルダールの町へと向かっていく。
魔物から隠れながらも、なるべく急いで町へと進んでいった。
そして、15分くらい歩き続けて、俺たちはリムルダールの町へたどり着く。
リムルダールの町に戻って来ると、建物の外にはコレスタたちの姿はなく、みんな建物の中に入っているようだった。
俺はみんながいるであろう部屋のとびらを開けて、中に入っていく。
「みんな、リリパットの生き残りを連れて来たぞ。ベッドは作ったか?」
「もちろん作ったよ!ベッドを作るのは久しぶりだったけど、うまく出来たよ」
「ワタシは初めて作ったけど、何とか完成したぞ」
「時間はかかったけど、僕も作っておいた」
すると、3人ともベッドを作っていたようで、ノリンが寝ているベッドの隣に3つの草のベッドが出来ていた。
これで、セリューナもオラフトも休ませることが出来そうだな。
ノリンも目はまだ絶望に沈んでいるようだが、死んではいないようだった。
エルやゲンローワが戻って来て、邪毒の病の薬が出来るまで、みんなが持ちこたえてくれるといいな。
「みんなありがとうな。これで、リリパットを休ませることが出来る。もう一人連れて来ないといけないリリパットがいるから、またすぐに出かけるぜ」
俺はセリューナを寝かせると、オラフトを連れて来るためにまた部屋の外に出ていった。
誰も担いでいない状態ならば、俺はもっと早く進むことが出来る。
10分ちょっとくらいで、俺はオラフトが待っているところに戻って来た。
「待たせたな、オラフト。今度はあんたを、リムルダールに連れて行くぞ」
「オレは重いケド、頼んだゾ…」
本人の言う通りオラフトは体重が重いので、担ぎながら岩山を登っていくのは大変だった。
俺は何度か倒れそうになるが、踏ん張って歩き続けていく。
町の近くまで来ることは出来たが、かなり時間がかかってしまい、辺りはもう真っ暗になっていた。
「もう夜になったな…リムルダールの町に急がないと」
夜は視界が悪いので、魔物もこちらを見つけにくくなるが、俺も魔物たちを見つけにくくなる。
急に目の前に、強力な魔物がいたということになってもおかしくはない。
いつも以上に警戒しながら進んで行くと、昼間は見かけられないメトロゴーストやヘルゴーストと言った魔物も見かけられた。
「ゴースト系の魔物か…昼間は見たことがなかったな…」
昼間にいない魔物が増えることから考えても、夜の探索はやめておいた方がいいな。
俺はヘルゴーストたちにも気をつけながら、リムルダールの町に戻っていった。
リムルダールの町に戻って来ると、オラフトをベッドに寝かせてから、自分も身体を休めようとする。
さっきコレスタたちが作った草のベッドは病人用にして、俺たち4人は改めて草からベッドを作り、それで寝ることにした。
今日はノリンとリリパットの生き残りを助けるのに精一杯だったけど、明日は他のみんなも助けられるといいな。