ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode172 治療者への刺客

キラークラブたちは近づいて来ると、俺たちに向かってハサミを振り下ろして来る。

俺のところには、2体の奴らが迫って来た。

ハサミはかなり攻撃力が高そうだし、受け止めきれるか分からないな。

動きはそこまで早くなかったので、俺は回避してキラークラブの横にまわり、両腕の武器を叩きつける。

 

「攻撃力は高そうだけど、動きは簡単に見切れるな」

 

伝説の武器なので硬い甲殻を突き破り、確実にダメージを与えられた。

みんなもメタルのけんを使って、奴らに少しずつ傷をつけていく。

2体くらいなら、同時に相手しても問題なさそうだ。

キラークラブたちはハサミを振り回して薙ぎ払って来ようともするが、ジャンプで回避することが出来た。

 

「薙ぎ払い攻撃も使えるのか…でも、何とかかわせたな」

 

俺は薙ぎ払い攻撃を避けると、その後の隙にさらなる攻撃を叩きこんでいく。

奴らは生命力も高いようでまだ倒れる気配はないが、このまま攻撃を続ければ勝てそうだ。

俺たちがキラークラブを追い詰めているのを見て、後ろのヘルゴーストにも動きがあった。

 

「ヘルゴーストたちも近づいて来たか…でも、メトロゴーストと強さは対して変わらないだろうし、同時に戦えそうだぜ」

 

だが、奴らもそこまで強い魔物ではないだろうし、キラークラブと一緒に戦っても大丈夫そうだ。

俺はヘルゴーストの動きも見ながら、キラークラブを攻撃していく。

しかし、ヘルゴーストたちは俺たちに近づいて来ると、殴って来るのではなく、魔法を唱え始めた。

 

「キラークラブを巻き込むのに、魔法を使うのか…?」

 

俺たちに向かって炎の魔法を放てば、キラークラブを巻き込んでしまうはずだ。

奴らは移動速度が早い魔物ではないので、炎の範囲から逃げられないだろう。

でも、何をしているんだと思っているうちに、ヘルゴーストたちは呪文を唱え終わる。

そして放たれたベギラマの炎は、キラークラブをも巻き込んで俺たちを焼き尽くそうとしてきた。

 

「本当に炎を放ってきたか…」

 

キラークラブも特に炎を回避しようとはせず、俺にハサミを叩きつけ続ける。

俺はハサミとベギラマを同時に避けるために、大きくジャンプした。

回避した後キラークラブの方を見ると、ほとんど炎ではダメージを受けていないようで、俺へまた近づいて来る。

 

「巻き込まれても大丈夫なほど、こいつらは硬いのか…」

 

どうやら奴らの硬い甲殻が、ベギラマの炎を防いだようだ。

ヘルゴーストたちもこれが分かっていて、魔法を使ったのだろう。

もしおうじゃのけんやメタルのけんがなければ、甲殻を貫くのにかなり苦戦したかもしれないな。

ジャンプした後は俺はすぐに立ち上がり、キラークラブへの攻撃を再開する。

 

「こいつらも少しは弱っているし、早めに倒そう」

 

ヘルゴーストのベギラマを避けながら戦い続けるのは大変だろうし、早めにキラークラブを倒さないとな。

俺は奴らの側面にまわっていき、ヘルゴーストの動きにも注意しながら、両腕の武器を叩きつけていった。

ヘルゴーストたちがベギラマを唱えた時には、またジャンプをして避けていく。

みんなも炎に焼かれないようにしながら、キラークラブを斬り刻んでいった。

奴らの甲殻が大きく破壊されていくと、ヘルゴーストたちはベギラマの詠唱を止める。

 

「ベギラマが止まったな…今のうちにたたみかけよう」

 

甲殻が壊された状態でベギラマを放てば、キラークラブたちに大きなダメージになるからだろう。

ヘルゴーストたちの代わりに、今度は後ろにいたしりょうのきしとまかいじゅたちが近づいて来る。

俺のところには、2体のまかいじゅと3体のしりょうのきしが迫っていた。

俺は大量の魔物に囲まれないために、奴らが来る前にキラークラブを倒そうとする。

 

「攻撃力も弱ってそうだし、弾き返せそうだな」

 

キラークラブはかなり弱っており、攻撃力も下がっていた。

腕に力をこめれば、弾き返して動きを止められるかもしれないな。

俺は奴らの攻撃を両腕で受け止めて、体勢を崩させようとした。

攻撃力が下がっているとは言えやはり強く、俺も倒れそうになるが、全身の力を腕に集中させていく。

そして力を入れ続けると、左側のキラークラブのハサミを潰し、右側のキラークラブのハサミを斬り落とすことが出来た。

ハサミを破壊された2体は大きく怯み、動きを止める。

 

「結構強かったけど、動きがとまったな…今のうちにとどめをさす!」

 

俺は奴らの動きが止まったのを見て、両腕に力を溜めていった。

弱ったところに回転斬りを受ければ、キラークラブも流石に耐えられないだろう。

 

「回転斬り!」

 

おうじゃのけんとビルダーハンマーの強力な一撃を受けて、奴らは倒れて消えていく。

 

目の前のキラークラブたちが倒れたのを見ると、俺は近くにいたゲンローワのところに向かっていった。

みんなはまだキラークラブを倒せておらず、このままでは多数の魔物に囲まれてしまうだろう。

まかいじゅたちが来る前に、1人でも援護しておきたいな。

俺はゲンローワと戦っているキラークラブの背後にまわり、思い切りビルダーハンマーを叩きつけた。

 

「ゲンローワ、助けに来たぞ!」

 

そのキラークラブはゲンローワの攻撃で、既にかなりのダメージを受けている。

そこで背中に伝説のハンマーの強力な一撃を受けて、奴の甲殻は砕け散った。

俺は甲殻が砕けたところにおうじゃのけんを突き刺し、とどめをさしていく。

残った1体のキラークラブにも、俺は両腕の武器を向けていった。

 

「こやつらの甲殻は硬かったが、助かったのじゃ、雄也よ。残りの1体も、ここで倒してしまうぞ」

 

「ああ。後ろの魔物たちが来る前にな」

 

ゲンローワは俺にそう言った後、共にキラークラブと戦っていく。

ゲンローワは戦いも出来るとは言え、お年寄りだし、本業は薬師だ。

彼が大勢の魔物に囲まれる前に、助けられてよかったぜ。

俺たちは奴のハサミを避けた後、左右から剣を振り下ろしていく。

メタルのけんとおうじゃのけんで斬り続けられ、奴はさらに弱っていった。

キラークラブの動きが止まると、俺は再び腕に力を溜めていく。

 

「飛天斬り!」

 

俺は今度は飛天斬りを使って、奴にとどめをさしていった。

他のみんなも助けに行きたかったが、もう目の前にまかいじゅたちが現れる。

ゲンローワを狙っていた奴らも来たので、俺たちは6体のしりょうのきしと3体のまかいじゅという、合計9体の魔物と戦うことになった。

 

「キラークラブは倒せたけど、結構な数だな…」

 

「この樹の魔物も硬そうじゃ…気をつけて行こう」

 

二人で戦ってはいるが、それでもかなりの数だな。

ゲンローワの言う通り、まかいじゅの樹皮もかなり硬そうだ。

俺たちは早く魔物の数を減らすために、耐久力の低いしりょうのきしから倒していった。

しりょうのきしの強さはメルキドの個体と同じくらいで、剣を回避しながら攻撃を叩きこんでいけば、すぐに追い詰めることが出来る。

 

「しりょうのきしを全滅させたら、まかいじゅも倒そう」

 

ゲンローワもメタルのけんで、奴らの足や腕を斬りつけていった。

腕を何度も攻撃していくと、しりょうのきしは腕の骨が砕けたり斬り落とされたりして、剣を落として無力化する。

剣を失ったのを見て、俺たちはさらなる追撃をかけて倒していった。

 

「数こそは多かったが、ここまでは無傷じゃな」

 

ゲンローワは老体を何とか動かして魔物の攻撃を避けており、まだダメージを追っていないようだった。

だが、かなり息を切らしている様子なので、早く魔物たちを倒さないといけないな。

しりょうのきしが倒れると、俺たちは硬い樹皮を持つまかいじゅに挑んでいく。

まかいじゅの体はやはり硬かったが、伝説の武具やメタルのけんで何とかダメージを与えることが出来ていた。

 

「硬いけど、何とかダメージは与えられそうだな」

 

まかいじゅたちも俺たちを倒そうと、両腕に相当する太い2本の枝を叩きつけて来る。

かなり振り下ろす速度が早く、全てを避けきることは難しかった。

俺とゲンローワは武器を使って防ぎもしながら、奴らの生命力を削っていく。

攻撃を防ぐときにかなりの衝撃も受けたが、俺たちは何とか耐えていた。

 

「一撃も結構重いけど、何とか倒せそうだな」

 

強力な魔物ではあるが、特に厄介な技などは使って来ないようだな。

このまま攻撃を続ければ、ゲンローワや俺の体力が尽きる前に倒せるだろう。

俺たちは確実に攻撃を回避したり防御したりしながら、少しずつまかいじゅたちを追い詰めていった。

奴らが弱って来たのを見ると、俺は枝を狙って斬り落としていく。

硬い枝を斬り落とすのは難しいことだが、今までの攻撃で多くの傷がついていたので、少し力を入れれば落とすことが出来た。

 

「弱って来たし、枝も落とせたな。このままもっと弱らせて、倒していこう」

 

枝を落としたところで、俺はまかいじゅの体に思い切りおうじゃのけんを突き刺す。

武器となる枝がないのでこれ以上は抵抗出来ず、奴らは倒れていった。

ゲンローワもまかいじゅが怯んだところで渾身の斬撃を放ち、まかいじゅにとどめをさしていく。

 

「こっちも終わった、魔物も残り少しなのじゃ」

 

「でも、最後まで気をつけて行こう」

 

俺たちは多くの魔物を倒し、残りは少なくなって来ていた。

だが、それでも油断せずに、気をつけて戦っていかないとな。

俺たちはキラークラブやまかいじゅを倒したが、みんなはまだ戦っている途中だった。

聖なるナイフではしりょうのきしを麻痺させることは出来ても、キラークラブやまかいじゅの体を貫くのは難しいので、特にエルは苦戦しているようだ。

 

「エルたちはまだ戦っているようだし、助けに行こう」

 

俺とゲンローワで助けにいけば、みんなも無事に戦いに勝てる可能性が高まるだろう。

だが、俺がゲンローワにそう言った瞬間、俺たちのところにたくさんの火球が飛んでくる。

 

「くっ、ヘルゴーストたちか…」

 

後方にいたヘルゴーストが前に出てきて、メラミの魔法を唱えて来たようだ。

先程撤退した3体のメトロゴーストも、戻って来ているようだな。

俺は奴らの詠唱の動きを見ながら、走ったりジャンプしたりして避けていく。

しかし、大量のヘルゴーストたちの攻撃を避け続けるのは大変で、体力が尽きてしまいそうだ。

 

「数が多いし、早く減らさないとな…サブマシンガンを使おう」

 

こんなに数がいては近づくのも難しいので、俺はまずサブマシンガンで攻撃していった。

火球を確実に避けながら、体力の低いメトロゴーストから倒していく。

奴らは10発ほどはがねの弾丸を受けると、生命力が尽きて消えていった。

メトロゴーストを倒すと、俺はヘルゴーストにも攻撃していく。

しかし、ラダトームを出発して以来弾丸を補給していなかったので、弾切れが近づいて来ていた。

 

「そろそろ弾切れか…近づいて、剣を使って倒すか」

 

メトロゴーストが倒れたことで、少しは接近しやすくなっていた。

俺はおうじゃのけんとビルダーハンマーに持ち直して、ヘルゴーストたちに近づいていき、ゲンローワも俺に続く。

近づくにつれて奴らの火球も激しくなるが、俺たちは一瞬の隙を見て動いていった。

そして、ヘルゴーストたちの目の前にまでたどり着くと、俺は奴らのうちの1体に近づいて、両腕の武器を叩きつける。

 

「こいつも防御力は低いし、一気に倒すぜ」

 

メラミを詠唱していたところに強力な一撃を受け、ヘルゴーストは怯んだ。

奴らもメトロゴーストと防御力は大して変わらないので、伝説の武器ならすぐに倒せそうだ。

残った体力を削りとるために、もう数回剣とハンマーを振り下ろした。

そうして1体を倒すと、俺のまわりには他にも6体のヘルゴーストが現れる。

ゲンローワは、他の5体の奴らと戦っているようだった。

 

「今度は6体同時だから、気をつけないとな」

 

近接戦闘に持ち込んだので、ヘルゴーストたちは俺を殴りつけてくる。

殴るスピードはメトロゴーストと同じなので、俺は反応して避けることが出来ていた。

攻撃を避けると、俺は奴らを地面に叩き落とそうと武器を振りかざしていく。

しかし、そうして何体かは落とすことが出来たが、さっきから魔物の攻撃を避け続けたことで、俺の動きもかなり鈍って来ていた。

 

「くそっ、俺の力もそろそろきついな…」

 

ヘルゴーストの攻撃の一つが俺の腹に当たり、強い痛みが全身に広がっていく。

だが、叩き落とした奴らは倒そうと、俺は痛みを我慢して追撃を加えていった。

その間にも何度か攻撃をくらい、倒れこみそうにもなったが、ヘルゴーストは残り2体にすることが出来ていた。

 

「こいつらも叩き落として、回転斬りで仕留めよう」

 

俺は両側から殴りつけてきた奴らの腕を受け止めて、力をこめて地上に叩き落とそうとする。

ヘルゴーストは攻撃力はそんなに高くないので、消耗した俺でも弾き返すことが出来た。

2体ともが地上に落ちると、俺は両腕に力を溜めていく。

そして、奴らが再び浮き上がる前に、力を解放した。

 

「回転斬り!」

 

回転斬りを受けて、体力の低いヘルゴーストたちは青い光に変わっていく。

これで俺と戦っていた奴らは全滅し、後はゲンローワと戦っている奴らだけだな。

ゲンローワの方を見ると、彼も体力の限界に近づいているようで、何度かヘルゴーストの攻撃を受けていた。

 

「ゲンローワも攻撃を受けてるか…助けに行かないとな」

 

俺はすぐに、ゲンローワに攻撃しているヘルゴーストたちの背後に近づく。

ここでまた回転斬りを放てば、ゲンローワを助けることが出来るだろう。

だが、ゲンローワの元に向かう途中に、俺のところにまた火球が飛んでくる。

 

「薬師にビルダー…厄介な人間どもは、我らがまとめて消し去ってやる!」

 

どうやら魔物たちの最後方にいただいまどうが、メラミの呪文を唱えて来たようだ。

奴の横にはグールとキースドラゴンもおり、共に俺たちに近づいて来る。

俺は回転斬りの力溜めをしていたが、すぐに反応して回避した。

メラミを避けると、俺は回転斬りは使えないが、ヘルゴーストたちを連続で斬りつけていく。

 

「もうだいまどうが来たか…回転斬りは使えないけど、早くゲンローワを助けないとな」

 

ゲンローワは攻撃を受けた後も何とか立ち上がり、剣を振り続けていた。

しかし、グールやキースドラゴンにまで囲まれれば、さすがに危険だろう。

奴らが来る前に、何としてもヘルゴーストを倒しておかないとな。

背後から斬りかかられると、奴らは俺に向かっても攻撃してくる。

避けていてはグールたちが来るまでに間に合わないので、俺は奴らが腕を振り下ろして来たところを、思い切り叩き落とす。

 

「結構耐えるけど、落としてやる…!」

 

ヘルゴーストたちも俺たちを倒すために、腕に力をいれて踏ん張っていた。

だが、伝説の武器を生身で防ぐことは出来ず、奴らは腕を失って落ちていく。

ヘルゴーストたちの動きが止まると、俺は思い切り両腕の武器を振り下ろした。

おうじゃのけんを深く突き刺し、ビルダーハンマーで頭を叩き潰す。

 

「なかなかの敵じゃが、わしも負けてはおれん!」

 

ゲンローワも自身を囲んでいた奴らの数が減り、傷を受けずに攻撃を行っていた。

俺とゲンローワの攻撃によって、後ろの3体が来る前に全てのヘルゴーストを倒す。

奴らを倒し終えて後には休む暇もなく、グールたちが襲いかかって来た。

 

「ヘルゴーストを倒したか…しかし、貴様ら人間に希望はない!病人も貴様らも、苦しんで死ぬがいい!」

 

ゲンローワのところにはグールが、俺のところにはキースドラゴンがやって来る。

エルたちもまかいじゅたちに囲まれ続けているようで、早く助けにいかなければならなさそうだ。

俺はドラゴンの変異体である悠久の竜とも戦ったことがあるので、キースドラゴンには苦戦しないだろうが、それでも気をつけて挑もう。

みんなでこの戦いに勝って、暗黒魔導を倒しに行ってやるぜ。


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