ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode177 終わらないリムルダール

しばらく経って、病室の中にエルが戻って来る。

リムルダールで薬の開発を続けるか、考えがまとまったのだろうか。

ゲンローワは再び体を起こし、エルの決断を聞いた。

 

「…戻って来たようじゃな、エル。町で薬の開発を続けるか、小舟で遠くに逃げるか、お主の考えは決まったのか…?」

 

ゲンローワの言う通り、このままリムルダールに残れば町のみんなが全滅してしまうかもしれない。

しかし、せっかく復興させてきた町を捨てるなんて、簡単には思えなかった。

サンデルジュの砦を捨てた時の悲しさを、もう味わいたくはない。

そう思っていると、エルもリムルダールを捨てず、薬の開発を続けたいと言った。

 

「私はやはり…皆様の治療や、この町の復興を諦めたくはありません…私の命ある限り、薬の開発を続けたいです…」

 

「本当にお主は…昔から変わらんな…。わしを含めたみなが病の治療を諦めても、お主だけは決して諦めなかった…」

 

そう言えば昔のリムルダールでは、エルを除いたみんなが生きることを諦めていた。

俺ももしビルダーの力がなかったら、病に抗おうなんて思わなかったかもしれない。

どんな中でも決して絶望に屈さないエルは、本当にすごいな。

だがエルは良くても、他のみんなは逃げたいと思っているのではないかと、ゲンローワは聞いた。

 

「じゃが、お主は薬の開発を続けるにしても、他のみなはどうなのだ?」

 

確かにイルマたちも、自分が邪毒の病にかかるのではないかと恐れているはずだ。

そんな恐怖の中でも、リムルダールに残って復興を手伝ってくれるだろうか。

俺はみんなの方を振り向き、この地に残りたいか聞いた。

 

「みんな、このままリムルダールにいたら、あんたたちも邪毒の病にかかってしまうかもしれない。それでも、リムルダールに残るか?」

 

俺の話を聞いて、みんなもしばらくの間考え始める。

俺はエルと共にリムルダールの復興を進めるので、彼らにも手伝ってほしいな。

考えた後、みんなはそれぞれの考えを話し始めた。

 

「邪毒の病にはかかるかもしれねえ…オレは今までもこの町を守るために、命をかけてきた…オレも最後の時まで、この町にい続けるぜ」

 

「あたしも雄也さんとエルさんに助けられたおかげで、ここまで生きて来ました…二人が町の復興を諦めないなら、あたしも手伝いますよ」

 

リムルダールの兵士であるエディとミノリは、残ってくれるみたいだな。

今まで守り続けた場所を諦めるという決断は、どうしてもできないのだろう。

目の前で親友を亡くしたイルマも、考え続けた末、リムルダールの復興を続けたいと言う。

 

「おれもザッコとの思い出の場所を、捨てたくはない。それに、ここで諦めたら、ザッコの死が無駄になる気がするんだ」

 

3人とも残ってくれるのなら、リムルダールの復興も早まるだろう。

みんなの町を愛する気持ちは、決して失われることはない。

エディたちの話を聞いて、エルは感謝の言葉を言い、邪毒の病の薬の開発を再開しようとする。

 

「ありがとうございます、みなさん。みなさんのためにも、必ず邪毒の病の薬を開発して見せますね」

 

エルはそう言うと、病室を出て調合室に向かっていった。

もし俺にも薬の知識があれば手伝えるのだが、今は祈ることしか出来ない。

エルが去った後、ミノリは亡くなった4人のために、墓を作ろうと言い出した。

 

「…あたしたちは、亡くなったみんなを弔う準備をしましょう。雄也さんは、墓を用意して来てください」

 

確かに、ノリンたちの遺体をこのままにはしておくわけにはいかない。

きちんと墓を作って、弔ってやるべきだろう。

 

「分かった。工房に行って来るから、少し待っててくれ」

 

ゲンローワを町に連れて来る時に作ったことがあるので、木の墓の作り方は分かっている。

俺も病室を出て、木の作業台のある工房に向かっていった。

 

工房に入ると俺は木の作業台の前に立ち、木の墓を作り始める。

ふとい枝とひもにビルダーの魔法をかけ、墓の形に加工していった。

3つの木の墓が出来ると、俺はポーチにしまっていく。

これで、ノリン、ケン、ザッコの分は出来た。

 

「遺体は残ってないけど、セリューナの分も作っておこう」

 

セリューナはリリパットなので、ノリンたちと違って遺体が残らない。

しかし、共に過ごした時間も短いけど、彼女も間違いなく町の仲間だった。

セリューナのことも決して忘れないよう、俺は4つ目の木の墓を作った。

 

「みんなに知らせたら、遺体を埋めてこの墓を立てよう」

 

4つの木の墓が出来上がると、俺はエディたちのいる病室に戻っていく。

 

「みんな、木の墓を作って来たぞ」

 

「ありがとうございます、雄也さん。町の北側に、建物の立っていない場所があります…そこに、みんなの墓を立てましょう」

 

病室に戻って来ると、ミノリは感謝と共に、墓を立てる場所について話した。

確かに町の北側には建物がない場所があり、そこなら4人分の木の墓を立てることも出来るだろう。

ノリンたちの遺体は、自分たちが運ぶとエディが言う。

 

「死んじまったみんなは、オレたちが運ぶぜ」

 

「分かった。それならさっそく、町の北側に向かおう」

 

エディがケン、ミノリがノリン、イルマがザッコを担いで、俺たちは町の北側に向かっていった。

棺桶はないので、みんなの遺体はそのまま土に埋めることになるだろう。

 

「俺が地面に穴を掘るから、みんなはその中に遺体を埋めてくれ」

 

町の北側にたどり着くと、俺はビルダーハンマーを取り出して地面に穴を開ける。

少し深い穴にして、上に土ブロックを被せられるようにした。

みんなはその穴に入り、ノリンたちの遺体を丁寧に置いていく。

3人の遺体が安置されると、俺は土ブロックを被せて、木の墓を設置していった。

ノリンたちの墓の隣には、セリューナの墓も作っていく。

 

「墓は出来ましたね。ノリンさんたちの魂が救われるよう、みんなで祈りましょう」

 

4人分の墓が出来ると、ミノリはそう言った。

精霊なきこの世界で、4人は病の苦しみの中で死んでいった。

せめて魂だけでも、救われてほしいな。

 

「ああ、そうしよう」

 

俺はそう返事をすると、目を閉じてノリンたちに祈りを捧げ始める。

その間、俺は4人のことを思い出し、いろいろなことを思っていた。

 

ノリンは重苦しかったリムルダールの町を明るくするために、魚釣りに興味を持っていた。

釣り名人の言っていたような、偉大な釣り人になって欲しかったな。

彼がいれば、今の暗いリムルダールも、少しは明るく出来ただろう。

 

セリューナは最期の時、人間の味方になって良かったと言っていた。

俺も町の仲間として、一緒に復興を続けていきたかったな。

 

ザッコはマヒの病から回復した後、リムルダールの町のために、様々な協力をしてくれた。

イルマのためにも、生きていてほしかったな。

 

ケンは浄化の霊薬の力で魔物にならずにすみ、ヘルコンドルやマッドウルスとの戦いで活躍していたな。

彼の力も、リムルダールには不可欠だった。

 

…4人を救うことが出来なくて、本当に残念だな…。

生まれ変わるのなら、どんな世界であっても幸せになってほしい。

エディたちも4人との別れを惜しみ、祈り続けていた。

 

しばらくして俺が目を開けると、エディたちもだんだん目を開け始める。

ノリンたちの墓を作り、祈りを終えると、これからのリムルダールの町の復興について、エディは話し始めた。

 

「ここに残ると決めた以上、オレも町のために出来ることを考えるぜ。必要があったら、お前たちにも伝える」

 

確かに、いつまでも悲しんでいるわけにもいかない。

リムルダールの町の復興を続けると決めた以上、出来る限りのことをしないとな。

 

「分かった、いつでも呼んでくれ」

 

みんなが必要な物を思いついたら、俺がビルダーの力を使って作ろう。

俺はみんなと別れた後、今日これから何をするか考えていた。

 

しばらく考えた後、俺はリムルダールにまだ、探査していない場所があったのを思い出す。

 

「そう言えば南の山の奥の方には、まだ行ったことがなかったな」

 

木の作業台が置いてあったタルバのクイズなどがある、リムルダールの町の南にある緑の山、その奥地にはまだ行ったことがなかったな。

かなり歩かなければいけないが今日はまだ時間があるので、これから行ってみよう。

もしかしたら、リムルダールの復興に役立つ物があるかもしれないからな。

 

「廃墟の屋根の宝箱も気になるな…」

 

それと、イルマとザッコの隠れていた廃墟の屋根にあった2つの宝箱も、調べておいたほうがいいだろう。

屋根の上という取りにくい位置にあるので、貴重な物が入っているかもしれない。

 

「結構遠いけど、今から調べて来よう」

 

俺はその場を立ち上がり、まずは南の山を調べるために、町の外へと出ていった。

 

外に出ると、俺は町の東を通って南の山に向かっていく。

黒く染まった毒沼のせいで、まっすぐ進むことは出来ないからな。

俺はドロルリッチから隠れるために体勢を下げて、ゆっくり進んでいく。

20分くらいで南の山にたどり着くと、俺はつたを使って登っていった。

 

「南の山に着いたか…まずはタルバのクイズがあった場所を目指そう」

 

山を登ると、今度はどくやずきんに気をつけながらタルバのクイズがあった場所を目指していく。

その途中、えだまめや薬草もいくつか集めていった。

今も邪毒の病に苦しんでいる6人に、少しは体力をつけられるだろうからな。

タルバのクイズのところまで来ると、俺は少し休んでさらに奥へと向かっていった。

 

「結構遠かったけど、ここまで着いたな…この先には、何があるんだ?」

 

奥に進んでも、しばらくは目の前に見えるのは薬草や豆、どくやずきんだけで、特に変わった物は見つからなかった。

だが、町を出てから1時間くらい経ったところで、目の前に小さな建物が見えてきた。

壁にはタペストリがかけられており、密林の岩山の近くにあった、マロアが隠れていたものと似たような感じだ。

 

「この中に、何か隠されているのか?」

 

マロアが隠れていた建物には、かつてかいしんの指輪が隠されていたので、この建物も貴重な物が入っている可能性が高いな。

俺はその建物を1周し、入り口がないか探す。

すると、入り口の扉を見つけることはできたが、鍵がかかっていて開かなかった。

 

「鍵がかかってるのか…大変だけど、町に戻って作って来よう」

 

今はかぎを持っていないので、町に戻って作って来ないといけなさそうだ。

面倒だけど、この中には役立つ道具が入っているかもしれない。

俺はまた魔物たちから隠れながら、1時間くらいかけてリムルダールの町に戻っていった。

 

リムルダールの町に戻って来ると、俺は液体銀を大倉庫から取り出し、木の作業台でかぎに加工していく。

かぎは小さいので、加工にあまり時間がかからない。

かぎを用意すると、俺はすぐに町の外へ出て、南の山にある建物に向かっていった。

その建物にたどり着くと、俺はさっそくかぎを使って開けていく。

 

「何が隠されているんだ…?」

 

建物の中に入ってみると、そこには宝箱が一つ置かれていた。

俺はその宝箱に近づいて開け、中身を見てみる。

するとそこには、細長い入れ物に入れられた、薬のようなものが入っていた。

 

「これは…薬か…?見たことがないな」

 

浄化の霊薬とも聖なるしずくとも白花の秘薬とも異なるが、不思議な力を感じる薬だ。

今は製法が失われた、古代の薬なのだろうか。

一本しかないので、6人いる邪毒の病の患者の治療には使えなさそうだ。

しかし、強い力のある薬なのは間違いなさそうなので、ここぞという時のためにとっておくことにした。

 

「今は使えないけど、とっておこう」

 

リムルダールの復興には使えなくても、今後役立つ時が来るだろう。

俺は謎の薬をポーチにしまうと、リムルダールの町に戻っていった。

 

リムルダールの町に戻って来ると、今度は廃墟の屋根を調べに行こうとする。

まずは青い旅のとびらに入り、南国草原の地域に向かっていった。

 

「廃墟があったのは、岩山の向こうだったな」

 

旅のとびらを出ると、俺は魔物たちから隠れながら、岩山へと向かっていく。

特に危険なキャタビウスには、絶対に見つからないように気をつけていった。

岩山まで来ると、ポーチから土ブロックを取り出して、廃墟の屋根へと橋をかけていく。

屋根はかなりの高さなので、落ちないように注意して動いていった。

 

「無事に屋根に着いたか…2つの宝箱のうち、片方は封印されてるな…」

 

屋根にある2つの宝箱のうち、片方は封じられていて、開かなくなっている。

もう片方の宝箱に、開けるためのヒントが隠されているのだろうか。

俺は封じられていない方の宝箱を開けて、中に何が入っているのか見る。

そこには、屋根を覆うための物と思われる赤く塗られた何枚かのレンガの板と、一枚の手紙が入っていた。

 

「誰が書いたんだ、この手紙?」

 

イルマたちが来る前からこの屋敷はあったそうだし、既に亡くなった人が書いた物だろう。

俺はその手紙を宝箱から取り出し、読んでいく。

 

おお…オレが最後の仕事と決めたこの屋敷の屋根修理も、ついに完成出来なかった。依頼主はとっくに病気で死んで、オレも同じ病気で間もなく死ぬだろう。この家の屋根を修理しても、きっともう何の意味もねえ…。だが俺は職人の最後の物作りとして、この屋根の修理を完成させたかったんだ…。もしこの紙を読む物が意志を受け継ぎ、屋根の修理を完成させてくれたら嬉しく思う。

 

この手紙は屋敷の主ではなく、屋根の修理を依頼された職人が書いた物なのか。

確かにこの廃墟にはもう誰もおらず、屋根を修理したところで何の意味もないだろう。

だが、最後の仕事を完成させずに死んでしまったというのは、残念な話だな。

 

「せっかくだし、俺が屋根を修理しておくか」

 

手紙の最後に、屋根の修理をしてくれたら嬉しいと書いてあるし、俺が修理の続きをしよう。

ここは人間がいないので、すぐに魔物に壊されるということもないだろう。

それに屋根の修理を完成させれば、もう一つの宝箱の封印も解けるかもしれない。

俺は宝箱からレンガの板を取り出し、屋根の上のレンガの板が欠けている部分に、はめこんでいった。

 

「屋根は斜面になっているし、気をつけていかないとな」

 

屋根は斜面になっているので、滑り落ちないように慎重に歩く。

レンガの板には平らな物、ななめの物、真ん中が出っ張った物、引っ込んだ物の4種類があり、場所によって使い分けていった。

欠けている場所は10箇所ほどなので、あまり時間はかからない。

全ての場所を修理すると、封じられていた宝箱から光が出て、開くようになった。

 

「これで屋根の修理は完了か…もう一つの宝箱も、開くようになったな」

 

封じられていた方の宝箱に、役立つ物が入っているといいな。

俺はそう思いながら、屋根の上を歩いて宝箱のところに戻っていく。

そして宝箱を開けると、また手紙のようなものが入っていた。

 

「こっちにも手紙が入っているのか」

 

俺はこちらの手紙を取り出して、書かれていることを読んでいく。

 

これを読んでいる奴はきっと、オレの最後の仕事を完成させてくれた奴だろう。誰かは知らぬが感謝する。お礼に、オレの職人魂を受け取ってくれ。

 

廃墟の屋根を修理してくれた未来の人のためにも、この職人は手紙を書いていたのか。

どんな報酬があるのだろうかと思いながら、俺は手紙を読み進めていく。

すると、屋根を覆うための4種類のレンガの板の作り方が、詳しく書かれていた。

 

屋根・天板…レンガ1個、染料1個、木材1個 木の作業台

屋根・ななめ板…レンガ1個、染料1個、木材1個 木の作業台

屋根・でっぱり角…レンガ1個、染料1個、木材1個 木の作業台

屋根・ひっこみ角…レンガ1個、染料1個、木材1個 木の作業台

 

報酬は希少なアイテムではなく、この職人の技術だと思われる屋根板の作り方のようだ。

魔物との戦いや探索には、役に立たない物だろう。

だが、これから町を大きく発展させていく時、使うことになるかもしれない。

俺は屋根板を作るのに必要な素材を確認すると、リムルダールの町に戻っていった。

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