ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
4度目の防衛戦の翌日、メルキドに来て20日目、俺が昨日受けた傷はだいたいは治っていた。魔物に破壊されない頑丈な防壁を一刻も早く作りたいが、ロロンドのメルキド録の解読はまだ終わっていないらしい。
「まだ解読は終わらないのか。まあ、古代の文字を読むなんて俺には出来ないけど」
今は気長に待つしかない。その間にまた魔物が攻めてこないことを祈らないとな。俺は特にすることもないので、とりあえず調理部屋でピリンといっしょにパンを食べていた。
「昨日出来なかったし、みんなで素材集めにでも行こうかな?」
「わたしはいいよ。それと雄也、聞きたいことがあるの」
ピリンが珍しく俺に質問をしてきた。昨日の魔物襲撃についてだろうか。
「聞きたいことって?」
「最近、ロロンドや雄也とロッシの仲が良くないきがするの。どうしてかな?と思って。最初は仲良くしてたのに」
なんだ、そのことだったのか。ピリンも色々細かいところを気にしているようだ。最初はロッシが町の発展を妨げるような発言をしたことが始まりだったな。
「意見の対立が原因だ。俺やロロンドはこの町を大きくしてかつての城塞都市メルキドを復活させようとしている。だけどロッシは魔物に狙われるからだと言ってそれを妨げるような発言をしたり、メルキドの守り神のゴーレムが人間を滅ぼしたなんて行ってるんだ。」
「ゴーレムって?」
ピリンはゴーレムのことも知らないのか。学校も何もないこの世界では、知識が薄くても不思議ではないけど。
「ゴーレムって言うのは、昔メルキドを守っていた巨大な石像のことさ。ロッシはそれがメルキドが滅んだ原因だって言うんだ。普通に考えて、あり得ないと思うんだけどな」
こんな世界だ。普通じゃないことも起きるだろうし、ゆきのへも言っているので、俺はゴーレムの話を完全に否定はしていない。だが、ロロンドは全く信じていないようだ。
「そうなんだ。それで最近、仲が悪く見えたのね」
「ああ、ピリンはどっちが正しいと思う?」
「どっちでもいい。わたしはみんなで仲良く暮らしたいだけなんだもん」
みんなで仲良く暮らしたいか···ピリンらしいな。でも、現実的な話ではない。子供にそんなことを言っても仕方ないけど。
「まあ、今はとりあえずパンを食べて探索に行こう」
返す言葉が見当たらないので、俺は話を切り替える。2人でパンを食べた後に、砂漠地帯へ出かける準備をする。
ピリンといっしょに素材収集に出発しようと旅のとびらのところへ行った。
「雄也。ちょっと待って、僕から相談があるんだ」
すると、後ろからケッパーに声を掛けられた。今から探索に行こうとしていたのに、何の用事だろう。
「今から出かけようとしてるんだけどな。時間がかかるか?」
「うん。少し時間がかかるかもね」
せっかく準備していたのに、今日も素材収集にいけないのだろうか。鉄の在庫が残り少ないのだが。
「悪い、ピリン。探索は後にする」
「ううん。わたし、一人でも行ってくる。魔物にも気をつけるよ」
それなら助かるな。ピリンは本当にこの町に貢献してくれている。
「分かった。頑張ってこいよ」
ピリンは赤の旅のとびらに入っていった。二人になったところで、ケッパーは話を続けた。
「相談のことなんだけど、最近は敵の攻撃がかなり激しい気がしないか?」
「確かにそうだな。襲ってくる魔物の数も多くなって、強い魔物がたくさん来るようになっている」
ケッパーは昨日の戦いで結構苦戦している様子だった。
「どうやら、本格的に竜王軍に目をつけられたみたいだね。そこで、僕から相談なんだ」
竜王軍に対抗する手段でも考えているのだろうか?
「みんなの士気を高めるために、着替え部屋に武器や鎧の置物があったらいいと思うんだ。君ならつくれるだろ?」
有効な対抗策ではなく、単に士気を高めるだけか。だがそれも、結構大事なことだな。やる気がなければ戦いには勝てない。
「確かに、士気を上げるのは大切だな。作ってみよう」
俺は工房に向かった。家具を作らないといけないから、ケッパーは時間がかかると言っていたのか。そして、剣や鎧を思い浮かべて、置物の作り方を魔法で調べた。
剣のカベかけ···鉄のインゴット2個、銅のインゴット1個 炉と金床
鎧の置きもの···鉄のインゴット2個、木材1個 炉と金床
さっそく作り方が分かったな。銅のインゴットや木材はたくさんあるし、鉄のインゴットももう少しだけならある。
「鉄は本当に使う機会が多いな」
俺はそう思いながら、剣のカベかけと鎧の置きものを作った。確かにこれがあれば、士気が上がりそうだ。俺はその2つを着替え部屋においた。
「ケッパー!これでいいか?」
ケッパーは走って着替え部屋の中に入った。
「ばっちりだよ!これなら着替えのたびにこれを見て士気を高められる。ありがとう、雄也」
「これくらい作るのは簡単だ」
作業部屋の改装が終わったあと、ケッパーはもうひとつ相談があるようだ。
「あと雄也。僕は気になることがあるんだ」
「気になること?」
「どうしてかつてのメルキドの兵士たちは、メルキドの町を守りきれなかったんだろう?」
何故メルキドの町を守りきれなかったか···あのシェルターにいた兵士の幽霊も教えてくれなかったな。気になる話だ。兵士たちも、人間同士で殺しあっていたのだろうか?
「さあな。前にメルキドでは人間同士で殺しあったって話があった。それで兵士たちは死んでいったのかもな」
「でも、メルキドには巨大なゴーレムが守り神としてついていたはずなんだ。それに、とても固い城塞があったはずだし、外からの攻撃には十分耐えられたはずだ。兵士はそうなったかもしれないけど、全員が殺しあったなんてありえるのか?もしそうだとしても、強い者は生き残るはずだ」
ケッパーの話を聞くと、俺の推測も正しいとは思えなくなっていた。それに、やっぱりゴーレムはメルキドの守り神なんだな。
「確かに、その部分はひっかかるな」
「竜王軍の攻撃って、そこまで激しいものだったのかな?それとも、魔物は城塞の中に?」
ケッパーのその言葉を聞いて、俺は兵士の幽霊が言っていたことを思い出した。城塞の中には、とある魔物が現れたと。
「詳しくは分からないけど、その可能性もあるな」
今は考えても仕方がなさそうなので、ケッパーは話を元に戻した。
「変な相談をしてしまったけど、助かったよ。ありがとう」
俺はケッパーとの話の後、そろそろ素材集めに行こうかと、再び旅のとびらのところへ行った。
「おい、雄也。お前さんに話がある」
すると、今度はゆきのへが話しかけてきた。全くいつになったら素材集めに行けるんだ?
「今出発しようと思っていたのにな···何だ、話って」
「昨日の戦いを見て思ったんだが、最近はこの町の発展ぶりに魔物どもも焦りはじめてるみてえだな」
確かに昨日の戦いでは、なんとしても潰さないとまずいという魔物の焦りが感じられた。
「ああ、あんなに大軍を送りこんで来たからな」
「竜王が世界を牛耳って数百年。いよいよ人間が巻き返しをはかるチャンスかもしれん」
そうだな。これ以上魔物に支配されるのはごめんだ。メルキドの復興もかなり進んでいるし、その時がきたと考えられるな。
「だから雄也よ、このメルキドにかかった空の闇を晴らすために、魔物の親玉を倒す準備を進めたいと思っている」
ゆきのへも同じことを考えていたようだ。
「俺もそう思っている。もちろん協力するぜ」
「良かった。魔物の親玉を倒すために、お前さんに教えたい物がある」
伝説の鍛冶屋の子孫が言ってるんだからな、凄いものに違いない。
「実はな、作業部屋にある炉と金床を越える、神鉄炉と金床と言う究極の炉がある」
神鉄炉か、名前からして凄そうだな。
「どんな物なんだ?」
「ワシが祖先から伝え聞いた物でな。その炉があれば鋼を加工し、さらに強力な武器や防具が作れるはずなのだ」
そういえば鋼の武器はドラクエに毎回出てきているな。それがあったら確かに戦いに有利になれるだろう。
「お前さんには製法を教える。頑張って作ってくれよ」
俺はゆきのへから神鉄炉の作り方や構造を教えてもらった。
「分かった。必ず作らないとな」
「ああ、頼んだぜ。出来たらまず、ワシに見せてくれ」
俺は、神鉄炉と金床の作り方を、魔法で調べた。
神鉄炉と金床···炉と金床1個、鉄のインゴット5個、石炭3個 石の作業台
または石材10個、鉄10個、石炭5個 石の作業台
「二通りの作り方があるのか。どっちも石の作業台だけど」
俺は今ある炉と金床を強化するほうにした。石炭はあるが、鉄のインゴットはもうない。もちろん鉄自体もない。
「ピリンが取りに行ってるけど、帰ってくるのはまだ時間がかかりそうだな。自分で集めに行くか」
俺は旅のとびらに入り、鉄を取りに行った。鉄が眠っている場所につくと、誰かが鉱石を採掘している音がした。
「ん、ピリンか?」
そこを見ると、やはりピリンがいて、鉄を採掘していた。ピリンは俺に気づいて話しかけてきた。
「あ、雄也。来たんだ!」
「ああ、結構おそくなってごめんな」
俺はピリンと一緒に鉄を採掘した。おそらく午後3時ごろに集め終え、二人でメルキドの町へ戻った。
「いっぱい集まったね、雄也!」
「ああ、これでしばらく鉄が不足することはないな」
二人でだいたい100個くらい集めた。神鉄炉をつくっても、まだまだ余る。俺は作業部屋でまず鉄のインゴットを作り、その後一度炉と金床を回収した。
「これで神鉄炉がつくれるんだな」
俺は石の作業台で魔法をかけた。すると、炉と金床が輝いて、黒い大きな炉が出来上がった。その炉は、これまでの炉とは比べ物にならないほど高い温度だった。
「これが神鉄炉か、この暑さなら鋼を作れそうだな」
俺はそのことをゆきのへに教えた。
「ついに神鉄炉が作れたんだな!これで、より強い武器や防具を作れるぜ」
「ああ、絶対に魔物の親玉を倒そう」
鋼の武器なら、硬い装甲を持つ敵でも突き破れるだろう。
「じゃあさっそく、鋼の装備について教えるぜ」
俺は、鋼で作れる武器や防具のことを聞いた。それらの作り方をすぐに魔法で調べる。
はがねインゴット···鉄のインゴット8個、石炭3個
はがねのつるぎ···はがねインゴット1個
ウォーハンマー···はがねインゴット2個、さそりの角3個
はがねのたて···はがねインゴット1個、木材1個
はがねのよろい···はがねインゴット2個、上質な毛皮2個、ひも1個
はがねを作るのにも鉄が必要なようだ。そもそも鋼は鉄を加工して作るものだから当然だが。
それに、今まで使い道がなかったさそりの角の使い道もあった。
「確かに強そうだな」
「強い武器か···」
俺がそういうと、ゆきのへは何かを思い出したように言った。
「どうしたんだ?」
「お前さん、おおきづちの里の奥にある壊れた城塞に行ったことがあるんだってな」
「そうだけど、何だ?」
「ワシの祖先のひとりもあの城塞で暮らしていたらしいんだ。その城塞の中では、人間同士が争いを繰り広げていたらしい」
やはりそうだったのか。ゆきのへもそのことは知っていたんだな。
「お互いがお互いを信じられなくなり、やがては自分たちが作った武器を取り合って···そんな人間を見て、メルキドの守り神だったゴーレムはどう思ったろうな?」
そうか、ゴーレムはその争いを目の前で見てたんだな。自分だったら、人間に怒り、呆れ、失望するだろうな。ゴーレムがおかしくなるのもありえないことじゃない。
「とにかく、ご苦労だったな。強い武器や防具を作って、このメルキドから魔物どもを追い払ってくれ!」
「もちろんだ」
俺は話を終えると、はがねインゴットを20個ほど作った。一度に5個できるので鉄のインゴットを32個使った計算だ。そして、俺とロロンドとケッパーの分のはがねのつるぎを作り、ゆきのへの分のウォーハンマーを作った。ウォーハンマーは俺も欲しかったが、さそりの角が足りなかった。
「おお、素晴らしいぞ!」
「これが鋼の武器かい?」
「さっそく作ってくれたのか」
作った武器を渡すと、みんな大喜びだった。あとは鋼の守りがあれば、町の守りは完璧だな。だが、今日はもう夕方なので、もう休むことにした。