ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺は魔物の軍勢に近づいて行きながら、前衛のブリザレイムに向けてサブマシンガンを放っていく。
そう簡単に倒すことは出来ないが、少しは弱らせることが出来るはずだ。
みんなも剣やハンマーを構えて、奴らに殴りかかっていく。
俺のところにも、3体のブリザレイムがブレスを吐きながら近づいて来た。
「さすがの耐久力だな…近づかれる前に倒せなかったか」
フレイムなどと同様に近づかれる前に倒せるといいが、そう簡単にはいかない。
近づかれると俺はやみよのつるぎとブラッディハンマーの二刀流に持ち替えて、ブリザレイムたちを攻撃していった。
そうすると、奴らは前回同様腕を使って殴りかかって来る。
「腕での攻撃も素早いけど、まだかわせるな…」
凍傷や火傷を負えばこちらの攻撃力も下がるし、絶対に食らってはいけないな。
だが、この前は5体も同時にブリザレイムと戦っていたので、3体の攻撃をかわすのはそんなに難しくはなかった。
攻撃をかわした隙に武器を振り下ろし、奴らに何度もダメージを与えていく。
先ほどのサブマシンガンで受けた傷もあり、ブリザレイムは確実に弱っていた。
「少しずつ弱って来てるな…後衛の奴らが来る前に倒そう」
だが、後衛のデュランダルたちも近づいているので、安心することは出来ない。
大勢の魔物に囲まれれば、ほしふるうでわがあっても回避し続けることは難しいだろう。
俺は腕に力をこめて攻撃を続けていき、ブリザレイムをさらに弱らせていった。
瀕死にまで追い詰めると、俺はまずは1体にやみよのつるぎを深く突き刺し、とどめをさしていく。
「まずは1体だな…残りの奴らもさっさと倒すぜ」
やはり体力はかなり多かったが、一度戦った相手なので、そんなに苦戦することはなかったな。
仲間の個体が倒され、残りの2体は怒って攻撃速度を上げて来る。
しかし、対応出来ないほどの速度にはならなかったので、俺は回避しながらさらなる攻撃を続けていった。
奴らの体力が減って来ると、俺は両腕の武器で攻撃を弾き返し、体勢を崩させる。
「体勢を崩したし、また動かれる前にとどめだ」
耐久力も高かったが、俺が両腕に全身の力をこめていくと、奴らは耐えられず倒れこんでいった。
今のうちにとどめをさそうと、俺は剣とハンマーを振り続けて、残った生命力を削りとっていく。
ブリザレイムたちが力尽きて消えていくと、俺はみんなの様子も見た。
「これで3体とも倒れたな…みんなはどうなってるんだ?」
すると、アメルダとギエラは3体のブリザレイムと、他のみんなは2体と戦っているようだった。
アメルダは前も見た軽やかな動きで奴らを翻弄し、ギエラも筋肉を生かして力強い攻撃を叩き込んでいる。
だが、ギエラはアメルダより動きは遅く、攻撃を何度か受けそうになっていたので、俺は彼を援護しに行くことにする。
デュランダルが来るまでも、あと少しの時間はあるようだった。
「少し苦戦してるみたいだな…ギエラ、今から助けに行くぞ!」
「ありがとう、雄也!一緒に魔物たちを倒すわよ!」
俺の声を聞いて、ギエラはそう言って返事をする。
ギエラはこの前の戦いでも矢を受けたし、これ以上傷を負わせるわけにはいかないな。
俺はギエラと戦っているブリザレイムの1体に近づいてやみよのつるぎを叩きつけ、こちらに注意を引きつける。
「こいつは結構弱っているし、すぐに倒せそうだな」
奴はギエラのハンマーによって、かなりの体力を削られているようだった。
二刀流ならすぐに倒せると思い、両腕の武器を連続で叩きつけていく。
俺はギエラたちほどの筋肉はないが、力を高める指輪のおかげで、高い攻撃力を発揮出来ているだろう。
ギエラも攻撃をかわしやすくなり、怪我を負うことなく戦えていた。
「そこそこ強かったけど、これで終わりよ!」
剣やハンマーでの攻撃を続けて、俺とギエラのまわりにいたブリザレイムは残り1体になる。
その残った奴を、俺たちは同時に攻撃していった。
「後はこいつだけだな…とどめをさすぞ、ギエラ!」
「もちろんよ!成長した筋肉を見せつけてやるわ!」
俺が奴の横にまわって両腕の武器を振り下ろし、ギエラはブラッディハンマーで頭を叩き潰す。
ブリザレイムも反撃しようとしていたが、その前に怯んで動けなくなっていた。
倒れたところに二人の攻撃を叩き込まれ、奴は光を放って消えていく。
「こいつも倒したし、みんなも順調に戦えてるみたいだな」
「そうね。でも、まだ油断は出来ないわよ」
ガロンたちも、このままブリザレイムを倒すことが出来るだろう。
しかしギエラの言う通り、まだ油断することは出来ない。
俺たちのところに、ついにデュランダルと真紅の魔物が迫って来ていた。
俺とギエラのところには、デュランダルと真紅の魔物が2体ずつ近づいて来る。
「ニンゲンメ、ココカラキエサレ!」
「ビルダーナド、コノセカイニハイラナイ!」
デュランダルたちは、この前と同じような機械音声を発してくる。
奴らに続いて、真紅の機械の魔物も音声を発しながら剣を振り上げてきた。
だが、真紅の魔物が発する声は、デュランダルの物とは大きく異なっていた。
「オマエタチモ、ウラギリモノトイッショ二シマツシテヤル!」
「ワタシタチノシュジンヲコロシタウラギリモノ…ヤツノナカマノオマエタチモ、ゼッタイニユルサナイ!」
デュランダルもこちらを威嚇するようなことを言っていたが、真紅の魔物の声にはそれ以上に激しい怒りが込められていた。
俺たちのことを裏切り者の仲間と呼んでいるようだが、奴らは一体何者なんだ?
この前ダークトロルがアメルダに、過去の罪の報復を受けることになるだろうと言っていたが、これがその報復者なのだろうか。
真紅の魔物の正体が気になるが、今はゆっくり考えている時間はないので、俺は武器を構えて奴らと戦おうとする。
「ギエラ!俺はこの赤い魔物と戦うから、そっちはデュランダルを頼む」
「分かったわ。気をつけて戦うのよ!」
デュランダルをギエラに任せて、真紅の魔物に武器を叩きつけていく。
真紅の魔物はかなりの防御力を持っていたが、この前のメギドロイドほどではなかった。
剣での攻撃速度も相当なものだが、ほしふるうでわのおかげでわずかに攻撃する隙が出来ている。
「やっぱり硬いし速いけど…何とか持ちこたえられそうだな」
だが、俺一人で2体を倒しきるのは難しそうなので、みんながブリザレイムやデュランダルを倒すまで耐えないといけないな。
体力が尽きないことを祈りながら、俺は戦いを続けていった。
4体いる真紅の魔物の残り2体は、アメルダのところに向かっていた。
奴らはアメルダにも、強い復讐心がこもった口調で声を発しながら、斬りかかっていく。
「アメルダ!オマエハ、ゼッタイニコロス!」
「オマエタチナンカニ、アレヲワタスンジャナカッタ!」
アメルダに殺意を向けていることを考えると、やはり奴らがダークトロルの言っていた報復者なんだろうな。
アメルダはまだブリザレイムを倒しきれていないので、多くの魔物に囲まれて危険な状態になってしまった。
アメルダも真紅の魔物をどこかで見たと言っていたが、まだ思い出せないようだ。
「アタシを憎んでいるみたいだけど…アンタたち、何者なんだい…!?」
「ワスレタカ、アメルダ!オマエガダイキライダッタラライ様ニ、ツクラレタマシンダ!」
「ワタシタチノシュジンヲ、オマエガコロシタンダ!」
アメルダは真紅の魔物の猛攻をかわしながら、そう聞く。
ラライに作られたマシン…これを聞いて分かったが、奴らは間違いない…俺に発明メモをくれたこともある、ガライの町で倒れていたキラーマシンたちだ。
ガライの町から彼らが消えたことは不思議に思っていたが、まさかこんな姿になっていたとはな。
アメルダも真紅の魔物の言葉を聞いて、俺と同じ結論に至ったようだ。
「まさかアンタたちは…アイツに、ラライに仕えていたキラーマシンかい?」
「ソノトオリダ!ワタシハオマエヲシンジテ、ラライ様ノメモヲビルダーニワタシタ」
「デモ、オマエハラライ様ヲアイシテナドイナカッタ!」
俺がメモを受け取った時点では、彼らはアメルダがラライを殺したことは知らなかった。
アメルダのことをラライの助手かつ恋人だと思い、発明メモを託していた。
世界の光が消えた後に、トロルギガンテたちからそのことを教えられたのだろう。
キラーマシンはラライのことが嫌いだったんだろとアメルダに言うが、彼女は誤解だと伝える。
「そんなことないよ!アタシも本当は、アイツのことを殺したくなんか…」
「ウソヲツクナ!イマサラナニヲイッテモムダダ!」
「ラライ様ノアトヲオエ!」
だがアメルダの言葉は、憎しみに満ちたキラーマシンたちには届かなかった。
ラライを殺したアメルダに復讐しようと、紅に染まった剣を振り続ける。
ラライのキラーマシンに襲われる俺たちのところに、隊長のダークトロルも近づいてきた。
「お前たちは過去の罪の報復を受けるのだ!もう諦めて、ラライのキラーマシンに殺されるといい!」
「あんたたちが、ラライのキラーマシンを改造したのか?」
俺も真紅の魔物の攻撃を回避しながら、ダークトロルに聞いていく。
彼らの正体がラライのキラーマシンだと聞くと攻撃するのがためらわれるので、俺は剣をひたすらかわし続けるだけだった。
「我々がこいつらを修理して、ラライの死の真相を教えてやったのだ。そうすると、こいつらは怒り狂って、人間どもに復讐したいと言い始めた。そこで我らは復讐者にふさわしい姿になるように、体を血の如き赤に染めてやったのだ。可哀想な機械たちだね…自分たちの主人を殺したのが誰かも知らず、挙句の果てにそいつに協力してしまうとは」
竜王がラライに問いかけをしたと言うところまでは、ダークトロルたちは言っていないみたいだな。
魔物たちに都合のいい部分だけを教えて、手下にしたのだろう。
キラーマシンたちは怒りのままに、俺やアメルダを斬り裂こうとしていく。
「シュジンノサイノウガ、ネタマシカッタノカ!?」
「ケンキュウセイカヲ、ヒトリジメシタカッタノカ!?」
殺しの理由までは知らないキラーマシンたちは、アメルダにそう言っていた。
確かにラライの発明を完成させるのに、アメルダは苦労していた…だが、ラライを妬んでなんていなかったとアメルダは言う。
「妬んでなんていないさ…昔も今も、アイツを嫌いになったことなんてないよ」
「ジャア、ナンデラライ様ヲコロシタンダ!ナントカイエ、ウラギリモノ!」
アメルダがラライを嫌っていないと言っても、キラーマシンたちには嘘にしか聞こえない。
これまで俺にしか伝えていなかったラライ殺しの真相…もう彼らを止めるにはそれを伝えるしかないと思ったのか、アメルダは口を開く。
「…アタシも本当は、アイツを殺したくなんてなかったさ。でも、アイツが発明を完成させられなくて狂っていったある日、竜王が現れて、アイツに問いかけたんだ。『もし味方になるなら、人間を超えた知恵を与えよう』ってね…。そしたらアイツ、はいって答えたんだよ。だからアタシはあいつを止めるために、殺すしかなかったんだ」
ラライが竜王の誘いに乗った後、放っておいて逃げることも出来ただろう。
だが、アメルダがそうしなかったのは、ラライを人類を裏切った悪人にしたくなかったかたなのかもしれない。
少なくとも、アメルダがラライを憎んでいたことはないはずだ。
殺しの真相を初めて聞いたガロンは、ダークトロルにアメルダは悪くないと言う。
「それが、アネゴとラライの真実だったのか…。でも、それなら悪いのはアネゴじゃねえ、オマエたちじゃねえか!」
ガロンは3体のデュランダルを成長した筋肉で潰しながら、ダークトロルを睨みつける。
確かに竜王や、奴に寝返ったアレフさえいなければ、こんなことにはならなかったのだ。
だが、ラライがだんだん狂っていったのは、間違いなくアメルダのせいだとダークトロルは言う。
「確かに竜王様は狂ったラライの心につけこみ、誘いに乗らせた。だが、ラライをもっと支えてやっていれば、こうはならなかったのではないか?それに、ラライを止めるために、殺す以外の方法があったのではないか?脳まで筋肉で出来たお前には、無理だったかもしれんがな!」
確かにもっとアメルダが支えていれば、完全に狂ってしまう前にマシンパーツや超げきとつマシンを完成させられたかもしれないし、殺す以外にもラライを止める方法はあったのかもしれない。
ダークトロルのその言葉を聞いて、アメルダは後悔の念を口にする。
「あの時のアタシは早くラライを止めようと思うあまり、冷静さを欠いていたよ…アタシがもっとしっかりしていたら、確かに殺さずに済むどころか、アイツがおかしくなることさえなかったかもしれないね…本当はアタシは、許されないことをしたよ…」
他にも方法があったのではないかと考えると、後悔せずにはいられないだろう。
ラライ殺しの真相を聞いて、キラーマシンたちは一度攻撃を止めていた。
しかしダークトロルは、再びアメルダたちを殺すように彼らに指示する。
「竜王様がラライに問いかけをしたのは真実だが、ラライが狂った責任は全てこの女にあり、他の方法を取らずにラライを殺すことに決めたのもこいつだ。主人の復讐のために、こいつらを斬り裂け!」
アメルダがラライを殺したという事実は消えない…憎しみに囚われたキラーマシンたちは、真紅の刃を再びアメルダと俺に向ける。
「ユルサレナイトワカッテイルナラ、シンデツグナエ!」
「ビルダー、オマエタチモダ!」
何とか止められないかと思って、俺とアメルダは剣を避け続ける。
アメルダはキラーマシンたちに、ラライが完成させられなかった発明を作り上げて、生きて罪を償いたいと言った。
「許されないのは分かっているよ…でも、アイツが完成させられなかった発明を、アタシたちで作り上げる…それが、アタシに出来る償いだと思ってるんだ」
志半ばで倒れたラライのためにも、俺たちが新兵器を完成させなければいけない。
もしそれでも許してくれないのなら、自分を殺してでも、みんなの事は助けてくれと頼んだ。
「それでも許してくれないと言うなら、アタシのことは殺してくれても構わないよ…ただ、みんなのことは助けておくれ。ラライを殺した責任は、全てアタシにあるからね…」
「ダメダ…!オマエニキョウリョクシタニンゲンドモモ、ケッシテユルサナイ!」
「コノマチゴト、キエサッテシマエ!」
しかし、キラーマシンたちの復讐心は、アメルダを殺しただけでは晴れない。
アメルダのことをアネゴと慕う荒くれたち、協力して魔物と戦って来た俺、そういった人々によって作られたマイラの町…その全てを破壊しなければ、彼らの怒りは収まらないのだろう。
説得を続けるうちに、アメルダや俺の体力もだんだん削られていく。
もう彼らの説得を諦めて、破壊するしか止める方法はなさそうだった。
「アメルダ!このままだと俺たちは全滅だ…辛いことだけど、こいつらを破壊するしかない…」
「そうかもしれないけど…でも…」
しかし相手は、ラライに仕えていたキラーマシン。
俺はともかく、アメルダは何日も生活を共にしていたことだろう。
そんな彼らを破壊することは、ラライ殺しの罪をもう一度繰り返すことと同じだ。
だが、マッドウルスの時のゲンローワもそうだった…どんなに仲のよかった相手でも、戦って倒さなければ俺たちに未来はない。
ためらっているうちにも、ラライのキラーマシンは剣を振り続けていた。