ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
ラダトームに戻って来てから数時間後も、俺は教会のベッドで休んでいた。
ゆきのへとヘイザンが伝説を超える武器を思いつくまで、まだ時間がかかるだろう。
トロルギガンテとの戦いの疲れもまだ完全には取れていないので、今日一日はゆっくり休もうと思っていた。
しかし、教会の中にムツヘタが入って来て、話しかけてくる。
「雄也よ。そなたに頼みたいことがあるんじゃが、少しいいか?」
「もちろんいいけど、どうしたんだ?」
ムツヘタも、エンダルゴやアレフとの戦いに役立つ物を思いついたのだろうか。
そこまで大変なことでもなければ今から出来るので、俺はムツヘタの頼みを聞くことにする。
「この前わしは占いの間で魔法台を使っていたのじゃが、妙なことに気づいたのじゃ。精霊ルビスを失ったことで世界中に闇が満ちておるが、その中でも特に闇の力が集中しておる場所がある。不思議なことに、そう言った場所が2つあるのじゃ」
闇の力が集中している場所…一つは闇の力の集合体である、エンダルゴの城だろう。
だが、そう言った場所が2つあるというのは、確かに妙なことだな。
魔物たちの行動で、俺たちが知らないものがまだあるのだろうか。
「片方はエンダルゴの城だと思うけど、もう一つは何なんだ?」
「もう一つについては、わしもまだ詳しい場所を特定出来てはおらぬ。じゃがおそらくは、エンダルゴと闇の戦士が別の拠点を持っているということじゃろう」
理由までは分からないが、エンダルゴとアレフが別の拠点を持っていると考えると、闇の力が集中している場所が2つあったとしても納得だな。
ラダトームの時もサンデルジュの時もムツヘタはアレフの捜索を行ってくれていたが、今回もまた探さなければいけなさそうだ。
ムツヘタはアレフの居場所をいち早く突き止めるため、今のシャナク魔法台を強化したいと俺に言う。
「そこでじゃ、わしはシャナク魔法台を強化し、闇の戦士の居場所を早く突き止められるようにしたいと思っておる」
「それで、俺に素材を集めて来て欲しいのか?」
魔法台を強化するためには、どんな素材が必要になるのだろうか。
だが、ムツヘタはまだ強化方法を思いついてはおらず、魔法台を改良する手がかりを求めているようだった。
「いや、わしもまだ改良方法を思いついてはおらぬのじゃ。あの魔法台の構造は、わしにも分からぬところが多くてな。そなたは確か魔法台を、ここの西の地方のどこかから持ってきておったな。そこに何か、魔法台の構造を示す物はなかったか?」
そう言えばこの魔法台はドラゴンの生息する洞窟から持ってきた物だから、ムツヘタも詳しい作り方や構造は知らなかったみたいだ。
シャナク魔法台が置いてあった場所には開発者の手記が残されていたが、魔法台の作り方や構造を示したメモもあったかもしれないな。
魔法台は強化した方がいいだろうし、その洞窟に行って確かめて来よう。
「よく覚えてないけど、これから見に行ってくるぜ。少し待っていてくれ」
戦いは特になさそうなので、これから向かっても大丈夫そうだ。
そう言うと、ムツヘタは今は旅のとびらでラダトームの西の地域に向かうことは出来ないと教えてくれる。
「魔物たちによって仮拠点にあった旅のとびらが破壊されたようで、歩いて向かうことは出来なくなっておる。お主が作った、小舟とやらを使って行くのじゃぞ」
「ああ、分かった」
ラダトームの西の地域はエンダルゴの城がある場所でもあるし、人間が簡単に近づけないようにしたみたいだな。
時間はかかってしまうが、小舟で向かうしかなさそうだ。
ムツヘタの話を聞いた後、俺は魔法台の記録を探しに教会を出て、小舟に乗るために海に向かっていった。
今回は一人で歩いているので、ほしふるうでわの力を使って素早く動くことが出来る。
ラダトームの平野には相変わらずスライムたちがうろついているが、俺は隠れながら海を目指していった。
「弱い魔物だけど、なるべく戦いは避けたいな…」
枯れ木や呪われた草などがたくさんあるので、隠れながら進むことは容易であった。
10分もかからずに俺はラダトーム城の南の海にたどり着くことができ、そこから小舟に乗ってラダトームの西の地域を目指していった。
まだ夕方になる気配はないので、夜までに戻って来ることが出来るだろう。
ラダトーム城の南から小舟を漕ぎ続けて1時間ほど経って、俺の目の前にラダトームの西の地域が見えてくる。
ここに来るのは今エンダルゴの城となっている岩山の城に潜入して以来なので、かなり懐かしいな。
上陸する前に、生息している魔物の様子も確認しておく。
「前に来た時はかげのきししかいなかったのに、強力な魔物が増えてるな…」
すると、以前はかげのきししか生息していなかったこの地域に、しにがみのきしやコスモアイといった強力な魔物が見かけられるようになっていた。
エンダルゴの城の近くだからだろうが、より気をつけて進まないといけないな。
俺は小舟から降りると、体勢を下げながら魔法台があった洞窟に歩いていく。
「確かあの洞窟がある岩山は、北の方にあった」
だいぶ前のことなのではっきりは覚えていないが、洞窟がある岩山はこの地域の北にあったはずだな。
俺は魔物から隠れながら、北を目指して進んでいった。
10分くらい歩き続けると、俺の目の前に白い岩で出来た低めの岩山が見えてくる。
「この岩山は、魔物がいないから探査しやすいな」
この前と同様に、北の岩山には全く魔物が生息していなかった。
なるべく早く洞窟を見つけようと、俺は岩山を登ると立って歩いていく。
ほしふるうでわの効果もあり、素早く岩山を調べて行くことが出来た。
そして、山の上を隅々まで調べているうちに、俺の視界に人間の死体が見えてくる。
「ん、あんなところで人が…!?」
俺は一瞬驚いたが、この前来た時にも、ここに死体が落ちていたことを思い出す。
食料も何もないラダトームに流れ着き、行き倒れてしまった男の物だ。
この男が書き残してくれたメッセージのおかげで、俺はシャナク魔法台が隠された洞窟を見つけることが出来た。
「そう言えば、この男の前に洞窟の入り口があったんだったか」
俺は男の死体に近づき、その隣にある洞窟の入り口を目指そうとする。
男は既に死後数ヶ月も経っているため、死体の一部が白骨化していた。
見ていて気分のよいものではないので、俺はすぐに洞窟の中に入っていった。
洞窟に入ると長い階段が置かれており、物音を立てないようにゆっくりと降りていく。
「かげのきしがうろついてるし、気をつけないとな」
以前入った時と同様、洞窟の中には何体かのかげのきしが生息していた。
この洞窟は周囲から隔絶されているし、奴らはエンダルゴやアレフにも会ったことがないのかもしれないな。
外部の状況を知らず、未だに竜王が生きていると思っている可能性もある。
今の装備なら簡単に倒せるだろうが、念のため隠れながら進んでいく。
「火をふく石像もあるけど、回収はやめておこう」
この洞窟には2つの火をふく石像があるが、物音を立てないために、回収せずに奥に向かっていった。
今は火をふく石像よりも強力な設備がいくつもあるので、なくても大丈夫だろう。
火を吐かれないように、正面に立たないようにしていく。
そうして奥まで歩いていくと、最深部の研究室の入り口のとびらと、その前に立ちふさがるドラゴンの姿が見えてきた。
「そう言えばここにドラゴンがいたな…今も寝てるから、起こさないように進もう」
この前と同様、ドラゴンは眠っており俺に気づいていなかった。
ドラゴン系の魔物とは戦い慣れているが、ここの狭い通路で戦うのはかなり難しそうだな。
俺は起こさないように慎重に歩いていき、ゆっくりと研究室の扉を開ける。
潜入に慣れていることもあり、ドラゴンに気づかれることなく魔法台の研究室に入ることが出来た。
魔法台は既に俺が回収しているので、残っているのはかがり火と、魔法台の研究を行っていた人間が書いた紙だけだ。
「何とか気づかれずに入れたな…魔法台の記録は残ってるか?」
魔法台の研究記録を手に入れるため、俺は研究者が書いた紙を調べていった。
表側にはこの前来た時も読んだ研究者の手記と、せいすいの作り方が書いてある。
ここにはシャナク魔法台について書かれていないが、研究者が記録を残さなかったということはないだろう。
「こっちには書いてないけど、裏側を見てみるか」
魔法台を強化しなければ、アレフの居場所を突き止めるのに時間がかかってしまう。
俺は研究記録が書いてあることを願い、紙を拾って裏側を見てみた。
すると、そこにはシャナク魔法台の絵と、その細かい作り方を示した文章が書かれていた。
研究記録が失われてしまったのではないかと不安にも思ったが、無事だったみたいだな。
「やっぱり裏側に書いてあったか。これを持ち帰って、ムツヘタに見せよう」
恐らく研究者は先にシャナク魔法台の記録を書き、その反対側にせいすいの記録と手記を残したのだろう。
俺は魔法台の研究記録をポーチにしまい、また慎重にとびらを開けて、ドラゴンを起こさないようにしながら来た道を引き返していく。
「ドラゴンはまだ寝てるか…帰り道も気をつけていこう」
ドラゴンを起こさずに進んだ後も、俺はかげのきしに警戒しながら入り口へと向かっていく。
洞窟の中にある岩にも隠れながら、足音を立てずに歩いていった。
そうして数分経って魔法台の洞窟から出ると、俺はラダトームに戻って行こうとする。
「研究記録も手に入ったし、無事に出られたな。夜になる前にラダトーム城に戻って、ムツヘタに見せよう」
洞窟を出たころには夕方になっており、俺は帰りを急いでいった。
ブロックを使いながら岩山を降りていき、山を降りると海に出て小舟を漕ぎ出していく。
また1時間くらいでラダトーム城の南にたどり着くことができ、そこから歩いて城の中に戻っていった。
ラダトーム城に戻ってきたころには、もうすぐ日暮れという時間になっていた。
ムツヘタはまた占いの間にいるだろうから、俺は大声を出して彼を呼び出す。
「ムツヘタ、魔法台があった洞窟に行ってきたぞ!」
「よくやったのじゃ、雄也。それで、シャナク魔法台の記録は見つかったか?」
ムツヘタは一度休んでいたようで、俺の声を聞くと教会の中から走って出てきた。
魔法台の記録が残っていたかは、ムツヘタも不安に思っていたようだな。
俺はポーチの中から研究記録を取り出し、ムツヘタに見せる。
「ああ。あっちの地域は強い魔物も増えてたけど、無事に手に入ったぞ」
「魔法台の細かい構造が分かれば、改良する方法も思いつけるじゃろう。方法が思いついたら、すぐにそなたに教えよう」
ムツヘタは研究記録を受け取り、書かれていることを隅々まで読んでいく。
彼がシャナク魔法台の強化方法を思いつくまでには、もう少し時間がかかるだろう。
アレフとも今度こそ決着をつけなければならないし、ムツヘタから作り方と必要な素材を聞いたら、すぐに作りに行こう。
「ああ、頼んだぞ」
俺はムツヘタにそう言うと、体を休めるためにまた教会に戻っていった。
往復で2時間も小舟を漕いで、かなり腕が疲れたからな。
俺との話を終えた後、ムツヘタは研究記録を読み解くのに集中するため、占いの間に入っていった。