ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode203 伝説を超えて

常闇の樹を倒した2日後、ラダトームに戻って来てから4日目、俺は朝食を食べた後城の中を歩いていた。

即効性の薬も使ったので、この前の戦いで負った傷は完全に回復している。

これで後は伝説を超える武器が出来れば、エンダルゴを倒しに行くことが出来る…そう思いながら、俺は城の中を歩いていた。

そうしていると、ラグナーダとサデルン、エファートが木材をつなぎ合わせ、船のような物を作っているのが見えた。

チョビは監視塔で魔物の見張りをしており、人間に変身する技の訓練は休憩中のようだ。

 

「あれは船か…?俺が使っているものより大きいな」

 

俺の小舟より大きく、完成したら7、8人が乗れるくらいだろう。

おおきづちたちは小舟に乗ってラダトーム城に来たわけだし、それを真似て作っているのかもしれないな。

気になったので、俺はラグナーダに話しかけてきた。

 

「ラグナーダ、船を作っているのか?」

 

「おお、雄也か。お主やロロンドが乗っている小舟を元に、大型の物も作ってみようと思ったのだ」

 

俺たちが乗っている小舟は、最大でも4人しか乗ることが出来ない。

完成したら大人数で別の地域に移動出来るようになるわけだし、結構便利だな。

エンダルゴとアレフを倒した後に、みんなでメルキドなどに向かうのもいいかもしれない。

そう思っていると、ラグナーダは自分たちを助けてくれた人間たちに恩返しがしたかったと話した。

 

「大勢で移動出来るし、かなり便利そうだな」

 

「お主たち人間のおかげで、わしらおおきづちは生き延びることが出来た。船を作ることで、人間たちに恩返しをしようと思ったのだ」

 

確かにあのままだったら、悠久の竜たちの攻撃でおおきづちは全滅だっただろう。

武器の作り方を教えてもらったし、城を守ってくれた…こっちこそ、ラグナーダたちを助けられて本当に良かったな。

人間嫌いだったサデルンも、すっかり今は城のみんなと仲良くしているようだ。

 

「ボクは人間が嫌いだったけど、この城のみんなは魔物のボクにも優しかったんだ」

 

「ここに来ることが出来て、ボクは幸せだよ」

 

エファートも船を作りながら、俺にそう言う。

二人とも、これからも人間と仲良く暮らしていけることだろう。

おおきづちたちが作ったこの船が、完成するのが楽しみだな。

 

「俺もみんなを助けられて本当に良かったよ。この船が完成したら俺にも教えてくれ」

 

「もちろんそうするつもりだ。楽しみにしておるのだ、雄也よ」

 

エンダルゴやアレフとの戦いはとてつもなく厳しい物になるだろうし、戦った後のことを考えていいかは分からない。

だが、それでもこの船を使ってみんなとアレフガルド中をまわることはとても楽しみだ。

俺はラグナーダとの話をした後、再びラダトーム城の中を歩いていった。

 

ムツヘタの魔法台の改良もまだ進んでおらず、俺はまた何をしよかと考えている。

そうすると、ゆきのへが工房の中から出てきて、嬉しそうな顔をして俺に話しかけてきた。

 

「起きてたみてえだな、雄也。ついに、ついにやったぜ」

 

ゆきのへのここまで嬉しそうな顔は、今まで見たことがないな。

もしかして、伝説を超える力を持つ武器を思いつくことが出来たのだろうか。

 

「そんな嬉しそうな顔をして、どうしたんだ?もしかして伝説を超える武器を思いついたのか?」

 

「ああ。ワシらが力を合わせて考えていた伝説を超える剣とハンマー…そのハンマーの作り方がついに決まったんだ」

 

そう言えば、ゆきのへは剣とハンマーの両方を考えていると言っていたな。

どちらも非常に強力なものとなるだろうし、ハンマーだけでも大きな進歩だろう。

アレフガルド復興のための長く苦しい戦いも、いよいよ大詰めなのかもしれないな。

これからさっそく作りに行こうと、俺はゆきのへに詳しい作り方を聞いた。

 

「ハンマーだけでも大きな進歩だと思うぜ。今からさっそく作りに行くから、作り方を教えてくれ」

 

「もちろんだぜ。ビルダーハンマーと違って鉱石も採掘出来るから、そこは安心だ」

 

決戦のためのハンマーではあるが、ゆきのへは鉱石の採掘にも使えると言ってくる。

そこまで優れたハンマーを考えるとは、さすがはゆきのへとヘイザンだな。

そう思っていると、ゆきのへは新たなハンマーの見た目と、詳しい作り方を教え始める。

彼の話によると、変異したブルーメタルとダークハルコンで形作り、金と銀で装飾するとのことだった。

作り方を話した後、このハンマーを考える際において、城のみんなも協力してくれたと話す。

 

「このハンマーを考える時は、城のみんなも手伝ってくれてたんだぜ。自分たちの未来を作る武器なんだ…少しでも協力したいって言ってな」

 

俺がアレフガルドの2度目の復興に向かっている間、ラダトーム城ではそんなこともあったのか。

今まで一緒に戦ってくれたし、本当にみんなには感謝してもしきれないな。

しかし、鍛冶の知識がないみんなでも、ハンマーの計画を手伝うことは出来たのだろうか。

 

「そんなこともあったのか…みんなにも感謝しておかないとな。でも、鍛冶の知識がないみんなでも協力出来たのか?」

 

「ワシも最初は不安だったが、みんなとの話で浮かんだアイデアのおかげで、最初の予定よりずっと強力なハンマーになったぜ」

 

みんなとの相談が、ゆきのへが新たなアイデアを生む助けになっていたみたいだな。

アレフガルド中で修行を続けてきた、ヘイザンの助けも大いにあったことだろう。

人々、人間に協力してくれる魔物たち…彼らの力を合わせて考え出した、伝説を超えるハンマー。

このハンマーには、どんな名前をつけたのだろうか。

 

「このハンマーは、どんな名前にしたんだ?」

 

「ビルダーのお前さんが世界を作ったことで、人々は物を作る力を取り戻した。そして力を得た人々は、自らの手でも世界を作り直していくようになった。そんな物作りを行う人々が力を合わせて考えたハンマーということで、ビルダーズハンマーと名付けたぜ」

 

ビルダーズハンマーか…確かに物を作る力を取り戻した人々は、自らの力でも世界を作り続けている。

ラダトーム城も幾度と魔物の攻撃で壊されながら、その度に人々は作り直してきていた。

ビルダーと力を取り戻した人々が、共に世界を作り続けていく…だからビルダーは1人なのに、ドラクエビルダーズなのかもしれない。

俺はゆきのへの話を聞いた後、ビルダーズハンマーの作り方を調べる。

 

ビルダーズハンマー…アビスメタル3個、ダークハルコン3個、金1個、銀1個 神鉄炉と金床

 

アビスメタルというのが、変化したブルーメタルのことなのだろう。

金と銀はラダトームの大倉庫にあり、ダークハルコンはポーチに入っているので、このアビスメタルを集めれば完成させることが出来そうだ。

ブルーメタルは赤の旅のとびらの先の洞窟にあったはずなので、そこで手に入れられるだろう。

 

「ビルダーズハンマーか…完成したら、すぐに見せに来るぜ」

 

「ああ、頼んだぜ」

 

みんなが力を合わせて考えた最強のハンマーを、ビルダーの力で形にしよう。

俺はゆきのへにそう言うと、アビスメタルを集めに赤い旅のとびらに入っていった。

赤い旅のとびらに入ると、俺は目の前が一瞬真っ白になり、ブルーメタルのあった洞窟がある地方に移動する。

 

旅のとびらを抜けると、俺はまず周りを見回して魔物たちの様子を確認する。

すると、この地方の灰色の大地には以前と変わらず、しりょうやトロルと言った魔物が生息していた。

今なら簡単に倒せるような魔物ばかりだが、俺は見つからないように身長に進んでいく。

 

「ブルーメタルがあった洞窟は、ここの砂漠地帯にあったな」

 

旅のとびらから右奥に向かったところにある砂漠地帯…そこに、かつてブルーメタルを採掘した洞窟があったはずだ。

少し距離があるが、ほしふるうでわの力を使って素早く進んでいく。

道中で見つける魔物も、以前と変わらなかった。

そうしてこの前は30分くらいかけて来た砂漠地帯に、20分もかからずたどり着くことが出来る。

 

「砂漠地帯に着いたな…この奥の岩山に洞窟があったはずだ」

 

砂漠地帯の奥には白い岩で出来た山があり、その洞窟に様々な鉱脈が眠っている。

チョビと出会ったのも、確かその洞窟の中でのことだったな。

俺は洞窟に急ごうと、砂漠地帯やそこにある凍りついた湖も歩いていく。

砂漠地帯にはオーロラウンダー、湖にはキラークラブと言った、光が消えた後に現れた強力な魔物もいたが、俺は見つからずに進むことが出来た。

岩山にたどり着くと、俺はさっそく洞窟に入って鉱脈を探す。

 

「確かこの洞窟だったな…ここにアビスメタルがあるはず」

 

ここはチョビと出会った時と同じ洞窟であり、内部の構造も覚えている。

途中道が二手に分かれているが、俺は鉱脈のある方に進んでいった。

鉱脈のところにたどり着くと、金や銀の鉱脈に混じって、見た事のない色をした鉱脈も見つけることが出来た。

深海を思わせるような深い青色をしており、これがアビスメタルなのだろう。

 

「これがアビスメタルか…普通の武器じゃ壊せないだろうし、まほうの光玉を使おう」

 

アビスメタルの近くには、ダークハルコンやリムルダールで見た紫色の宝石も埋まっていた。

それらを一気に採掘しようと、俺はポーチからまほうの光玉を取り出す。

鉱脈が密集しているところに設置して、爆発に巻き込まれないように距離をとった。

 

そして、設置から数秒後にまほうの光玉は炸裂し、周りの鉱脈を打ち砕く。

アビスメタルも紫色の宝石もこのすさまじい爆発には耐えきれず、手に入れられる状態に変わっていた。

俺はそれらを拾って集め、ポーチにしまっていく。

 

「これでアビスメタルが手に入ったな…他にも使うかもしれないし、もう少し集めておこう」

 

1回の爆発で、ビルダーズハンマーを作るためのアビスメタルは集まった。

しかし、それ以外にも使い道があるかもしれないので、俺は他のアビスメタルの鉱脈もまほうの光玉で砕いて、ポーチに回収していった。

たくさんのアビスメタルが集まると、ビルダーズハンマーを作るためにラダトームに戻ろうとする。

 

「これくらいあれば十分だろうな。ラダトームに戻って、ビルダーズハンマーを作るか」

 

俺は洞窟から出ると、再び砂漠地帯と灰色の大地を歩いて、旅のとびらに戻っていく。

帰り道も魔物に気をつけながら、素早くかつ慎重に進んでいった。

旅のとびらのところに着くと、俺はさっそく中に入って、ラダトーム城へと戻っていく。

 

ラダトーム城に戻って来ると、俺はハンマーを完成させるために工房に入っていく。

特別なハンマーとはいえ、いつも通りビルダーの力で作ることが出来るだろう。

工房の中に入ると、ゆきのへとヘイザンが俺を待っていたようで、話しかけてきた。

 

「おお。戻ってきたんだな、雄也!ビルダーズハンマーの素材は集まったか?」

 

「ああ。今からあの神鉄炉で完成させて来るぜ」

 

「ワシらの考えた伝説を超える武器が、ついに形になるのか…楽しみにしてるぜ」

 

俺はヘイザンに返事をした後、神鉄炉に近づいて素材を取り出し、ビルダーの力を発動させていく。

二人だけでなく、この城のみんながビルダーズハンマーの完成を心待ちにしていることだろう。

俺自身も、このハンマーを持って強大な敵に立ち向かわなければならない。

2度と平和が訪れることのないこの世界に、少しでも希望を作り出すために。

そう思いながら、俺はアビスメタルや他の素材を加工して、ビルダーズハンマーの形へと変えていく。

強大な武器だからだろうか、それほど大きいものでもないのに、加工にはかなり時間がかかっていた。

しかし、それでも作れないということはなく、ゆきのへに教えられた通りのビルダーズハンマーが出来上がる。

 

「これがビルダーズハンマーか…確かに強そうだし、これならエンダルゴにも勝てるかもしれないな。ゆきのへ、ヘイザン、ビルダーズハンマーが出来たぞ!」

 

見た目は今までのハンマーとそこまで大きくは変わらないが、間違いなく強いだろう。

俺はビルダーズハンマーが出来上がると、すぐにゆきのへとヘイザンを呼ぶ。

鍛冶屋の二人は、とても嬉しそうな口調で話しながらこちらに向かってきた。

 

「おお。ついにやったな、雄也!ワシが教えた通りのハンマーだぜ」

 

「ワタシたちの考えた武器を形にしてくれて、本当にありがとう、雄也」

 

これで伝説を超える剣の方も出来れば、決戦の準備は全て整うことになる。

採掘を行う時にも、これからはこのビルダーズハンマーを使っていこう。

しかし、ゆきのへはまだビルダーズハンマーは完成ではないと言ってきた。

 

「ただ、一つ言わなきゃいけねえことがある。ビルダーズハンマーは、まだ完成ではねえんだ」

 

「どう言うことだ、ゆきのへ?」

 

「これはワタシたちの未来を作る武器だ。ワタシたちに、仕上げをさせて欲しい」

 

俺がビルダーの力で作ったハンマーを、自分たち自身でさらに鍛え上げたいと言うことか。

これなら、ただでさえ強力なビルダーズハンマーが、さらなる攻撃力を持つことになりそうだ。

ビルダーの力だけでなく、鍛冶屋の二人の力も合わせて作り出す…そう言った意味でも、ビルダーズハンマーと名付けたのかもしれない。

 

「そういう事か。二人の力もあれば、さらに強力なハンマーになりそうだからな。頼んだぞ、ゆきのへ、ヘイザン」

 

俺はそう言って二人にハンマーを渡し、神鉄炉から離れた。

ハンマーを受け取った二人の最強の鍛冶屋は、汗を流しながらも炉のそばから離れず、さらなる強力な物へと鍛え上げていく。

二人の職人の技は、ビルダーの力でも決して真似することは出来ないだろう。

俺はまた城の中を歩いていても良かったが、ゆきのへたちの動きをじっと見守っていた。

 

そして数十分もハンマーを鍛え上げた後、ゆきのへとヘイザンはようやく立ち上がる。

そして、ヘイザンがビルダーズハンマーを手に取り、俺に渡して来た。

 

「これが、ワタシと親方が魂を込めて作ったビルダーズハンマーだ。厳しい戦いの時には、必ずこれを使うんだぞ」

 

「ありがとう、ゆきのへ、ヘイザン。これがあれば、どんな敵にでも勝てそうな気がするぜ」

 

ビルダーズハンマーはさっきよりも美しく、そして強そうな見た目になっていた。

これはおうじゃのけんやビルダーハンマーよりはるかに強力だろうし、間違いなく伝説を超える武器と呼ぶことが出来るだろう。

世界を創った精霊の死という絶望的な状態から、ここまで巻き返すことが出来るとはな。

ゆきのへは、剣の方ももうすぐ作れるようになると言ってきた。

 

「伝説を超える剣の方も、もうすぐ思いつけるはずだぜ。作り方が決まったら、お前さんにすぐに教えに行くぜ」

 

「ああ、分かった」

 

魔物たちとの決戦の時も、大分近づいてきている。

生き残れる可能性はかなり低いだろうが、武器を考えてくれたみんなのためにも、必ず勝って生きて戻らないとな。

俺はビルダーズハンマーを丁寧にポーチにしまうと、工房から出てしばらく教会で休んでいた。

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