ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
ビルダーズハンマーを作った2日後、ラダトームに戻って来てから6日目の朝、俺は工房のマシンメーカーを作り、はがねの弾丸をたくさん作っていた。
「エンダルゴやアレフに効くかは分からないけど、手下の魔物はこれで倒そう」
エンダルゴのような強大な存在では、銃を連射しても簡単には倒せないだろう。
しかし、エンダルゴの城を攻める時に手下の魔物とも戦うことになるだろうから、その時には役立つはずだ。
ラダトームの防衛戦もまだあるかもしれないので、それにも備えなければいけない。
「結構作れたし、これくらいあれば大丈夫そうだな」
たくさんのライフル弾が出来ると、俺はそれらをポーチにしまう。
そうして、今日もしばらくは休んでいようかと思いながら、工房を出ようとした。
しかし、そう思っていると、工房のとびらが開いてゆきのへとヘイザンが入ってくる。
伝説を超える剣を考えていた二人は、今日は工房とは違う場所で相談していたようだった。
彼らは俺を見つけると、すぐに走って近づいて来て話しかけてくる。
「ここにいたのか、雄也。かなり時間はかかっちまったが、ようやく出来たぜ!」
「もしかして、伝説を超える剣の作り方が決まったのか?」
二人とも、二日前と同じかそれ以上に嬉しそうな顔をしており、伝説を超える剣の作り方を思いつけたのかもしれないな。
剣も作ることが出来れば、俺はいよいよエンダルゴとの戦いに向かう。
俺が二人に聞くと、ヘイザンはうなずいて詳しく話し始める。
「ワタシも親方も徹夜で頑張って、ついさっき考えがまとまったんだ。何者にも敗れることのない、最強の剣になったはずだぞ」
「剣を考える時についても、みんなが手伝ってくれたんだぜ」
「ここまで長かったけど、いよいよなんだな…。これから素材を集めに言ってくるから、必要な素材と作り方を教えてくれ」
伝説を超える剣についても、ラダトームのみんなが開発を手伝ってくれたみたいだな。
みんなの力もなければ、ここまで強力な武器を作ることは出来なかっただろう。
みんなへの感謝の思いを強めながら、俺は二人から最強の剣の作り方を聞いていく。
二人やみんなが相談した結果、ダークハルコンにアビスメタル、紫色の宝石で刀身を作り、サンデルジュのダイヤモンドで装飾することになったようだ。
昨日は紫色の宝石も集めたことだし、後はサンデルジュにダイヤモンドを集めに行けば剣を作ることが出来そうだ。
必要な素材を教えてもらった後、俺はこの剣の名前について聞いてみる。
「作り方は分かったぜ。ハンマーの方はビルダーズハンマーだったけど、剣の方はどんな名前にしたんだ?」
「何度壊されても作り直そうとする、不滅の魂を持った人々が考えた、決して折れることのない剣ということで、ふめつのつるぎと名付けたぜ」
ふめつのつるぎか…人々の復興の意志は決して失われることはない…そんな彼らが考えた最強の剣は、決して折れることなく、俺たちを勝利に導くだろう。
今回もハンマーの時と同様、自分たち自身で仕上げをしたいとヘイザンは言ってきた。
「ビルダーズハンマーの時と同じで、最後の仕上げはワタシたちがしたい。ビルダーの力で作ったら、ワタシたちに教えてくれ」
「もちろんだ。二人の職人の技があった方が、剣もより強くなるからな」
ビルダーズハンマーの時も、二人の技のおかげでさらに強力になっていた。
ふめつのつるぎも、彼らの力も合わせて初めて完成と呼べるだろう。
俺はヘイザンにそう言うと、ビルダーの力で剣の作り方を調べていく。
ふめつのつるぎ…ダークハルコン2個、アビスメタル2個、妖光の宝石2個、ダイヤモンド1個 神鉄炉と金床
妖光の宝石というのが、昨日手に入れた紫色の宝石のことだろう。
ダイヤモンドがあるサンデルジュの峡谷は結構遠いが、今日中に採掘して来ることが出来そうだ。
ダイヤモンドを手に入れたら、すぐにビルダーの力で加工して剣を作り上げよう。
「俺はこれから素材を集めに行ってくる。少し時間はかかるけど、待っていてくれ」
「分かった。頼んだぜ、雄也」
俺はゆきのへたちにそう言うと、ラダトーム城の隅の旅のとびらが置いてある場所に向かう。
そして緑色の旅のとびらに入り、アレフガルドの秘境、サンデルジュの地に移動した。
サンデルジュの地に移動すると、俺はまた魔物に警戒しながら、奥にある峡谷を目指していく。
サンデルジュ…かつては人間も魔物もほとんど立ち入ることのなかった、手付かずの自然が残された地。
砦を放棄して以来、ここに戻って来ることはなかったな。
「ここに来るのは久しぶりだな…昔と変わらず、きれいな森が広がってる」
幸い森は破壊されていなかったが、キースドラゴンやエビルトレントが何体もうろついていた。
しかし、俺たちとの戦いで多くが倒されたためか、思ったよりは少ない。
俺は奴らに見つからないようにしながら、草原の方に向かっていった。
草原にやって来ると、かつてサンデルジュの砦があった高台も見えてくる。
「あの高台に俺たちの砦があったんだったな…やっぱり、跡形もなく破壊されてる」
魔物の攻撃によって、サンデルジュ砦はほとんど残骸すら残さず破壊されていた。
あの砦を放棄する時、世界に平和が戻ったらもう一度サンデルジュに来ようと言っていたな。
もう世界に平和が戻ることはないが、エンダルゴとアレフを倒した後、ここの砦を再建出来たらいいな。
「この砦を作り直すためにも、エンダルゴとアレフを倒さないとな」
そんなことを思いながら、俺はサンデルジュの峡谷地帯へと向かっていく。
エンダルゴたちを倒すためにも、まずはふめつのつるぎを作り出さなければいけないからな。
ブラックチャックやブラバニクイーンもうろついていたが、俺は辺りにある岩に身を隠しながら、さらに奥へと進んでいった。
ラダトーム城を出て30分くらい経ち、峡谷地帯の入り口にまでやって来ると、俺はビルダーズハンマーを取り出して構える。
「ダイヤモンドは硬いし、これを使って採掘しよう」
ダイヤモンドは非常に硬い鉱物なので、他の武器では壊せないだろう。
ハンマーを片手に、俺はダイヤモンド鉱脈を探して薄暗い峡谷の中に入っていった。
世界中の光が失われているので、以前訪れた時よりも視界が悪くなっていた。
「魔物の様子も良く見えないし、気をつけて進まないとな」
魔物たちから見つかりにくくはなるが、こちらも奴らを見づらくなってしまう。
突然目の前に魔物がいたということがないように、俺は慎重に進んでいった。
峡谷にいるのはゴールデンドラゴンといった強力な魔物なので、特に戦いは避けたい。
また、鉱脈を見つけるために、なるべく崖の近くを歩くようにしていた。
そうして、サンデルジュの峡谷地帯を歩き続けて10分ほど経って、俺の目の前に透明に輝くダイヤモンドの鉱脈が見えてきた。
以前もこれは発見していたが、採掘する方法がなかったので無視していたな。
俺はすぐにビルダーズハンマーを叩きつけて、ダイヤモンドを採掘しようとする。
「これがダイヤモンドか…ビルダーズハンマーだったら、さすがに採掘出来たな」
ビルダーズハンマーを叩きつけて鉱脈を砕くと、ダイヤモンドの塊が俺の前に落ちた。
俺はそれを拾うと、ポーチにしまって採掘を進めていく。
「ダイヤモンドは使い道が少なそうだけど、もう少し手に入れておくか」
ダイヤモンドの使い道は多くはないだろうが、また必要になった時にわざわざ集めに来なくていいように、俺はいくつか集めていった。
鉱脈自体たくさんはなかったが、5個くらいを集めることが出来る。
「これくらいで十分そうだな。そろそろ戻って、ふめつのつるぎを作ろう」
ダイヤモンドを手に入れると、来た道を引き返して旅のとびらに戻っていく。
40分くらい歩き続けて、俺はサンデルジュからラダトーム城に向かっていった。
ラダトーム城に戻って来ると、俺はさっそく工房に向かっていく。
ふめつのつるぎを手に入れたら、今まで手に入れた全ての兵器も使って、エンダルゴの城に向かおう。
数百年世界を覆い続けて来た膨大な量の魔物の魔力、敗れ去った魔物たちの怨念、アレフの人間への復讐心が生み出した闇の力…その全ての集合体であるエンダルゴに人間である俺が勝てるとは今でも思えないが、もう引き下がるわけにはいかない。
そう思いながら、工房に入って神鉄炉のところに向かった。
「おお、戻って来たんだな、雄也!必要な素材は集まったか?」
「ああ。少し遠いところまで行くことになったけど、無事に集まった」
「ビルダーの力を使ったら、すぐに教えてくれ。ワシらがさらに強力な武器へと鍛え上げるぜ」
工房の中では、ゆきのへとヘイザンも俺のことを待っていた。
二人に素材を集めて来たことを伝えると、俺は神鉄炉の前に立った。
そして、ビルダーの力を発動させて、ふめつのつるぎを作り出していく。
アビスメタルとダークハルコン、妖光の宝石が加工され、すさまじい切れ味と耐久力を持った刃へと変わっていった。
剣の中心には丸い穴の空いた四角形の形になった妖光の宝石が埋め込まれ、その穴にはダイヤモンドがはまる。
ビルダーズハンマーの時と同じで加工にかなり時間がかかっていたが、無事に作り上げることが出来た。
「ゆきのへ、ヘイザン。ふめつのつるぎが出来たぞ!」
だが、これでもまだふめつのつるぎは十分な力を発揮出来ない。
ゆきのへとヘイザンの技も加わることで、伝説をはるかに上回る武器へと変わる。
俺はすぐに二人を呼んで、出来上がった剣を渡した。
「よくやったな、雄也。後はワシらが完成させるから、その剣を渡してくれ」
「ああ。二人の鍛冶屋の技を、俺は信じてるぜ」
俺はゆきのへたちにそう言うと、神鉄炉から離れて二人の様子を見守る。
ビルダーズハンマーの時と同じで、ゆきのへたちは数十分も神鉄炉の前で集中して、ふめつのつるぎを鍛え上げていった。
彼らが鍛え上げる度に、剣は強く美しくなっていく。
そして、1時間くらいの作業の末に出来上がったふめつのつるぎを、ゆきのへたちは俺に渡してきた。
「これがワシらが鍛え上げた、ふめつのつるぎだ。こいつも、ビルダーズハンマーに負けない力を持った武器になったはずだぜ」
「伝説を超える2本の武器を使えば、もう勝てない敵はいないと思うぞ」
「本当にありがとう、ゆきのへ、ヘイザン。苦しいこともたくさんあったけど、ここまで諦めなくて良かったぜ」
俺は二人に心の底からの感謝をして、ふめつのつるぎを受け取る。
伝説を超える武器の二刀流で、魔物たちとの決着をつけに行こう。
長く厳しい戦いの中、俺は何度もアレフガルドの復興を諦めそうになった。
でも、ここまで諦めずに戦い続けていてよかったと、俺は思った。
ゆきのへは、いよいよエンダルゴとの戦いに行くのかと聞いてくる。
「伝説を超える武器が出来たことだし、いよいよエンダルゴとの戦いに向かうのか?」
「ああ。のんびりしていたら、またラダトーム城が攻撃を受けるかもしれないからな」
エンダルゴとアレフを放っておけば魔物の襲撃や変異体の出現は抑えられないし、また闇を降らせる攻撃で誰かが犠牲になるかもしれない。
大切な仲間をこれ以上失う前に、決着をつけにいかなければならない。
「そうか…とてつもない強敵だとは思うが、必ず生きて帰って来てくれよ」
「君はアレフガルドの復興を共にした、大事な仲間だ。引き止めることはしないが、気をつけて行くんだぞ」
「分かってる。生きて帰って来て、みんなに元気な顔を見せるつもりだ。じゃあ、そろそろ出発するぞ」
みんなを悲しませないためにも、生きてラダトーム城に戻って来ないとな。
俺は二人にそう告げると、工房を出てエンダルゴの城に向かおうとする。
エンダルゴやアレフを倒したところで、世界が良くなるかは分からない…だが、出来る限りのことをしないとな。
それが、守れなかったこの世界に対して、俺が出来るせめてもの償いだ。
ふめつのつるぎが完成する前…ラダトーム城の西 エンダルゴの城
城の最深部に存在するエンダルゴの玉座の間…そこに、ラダトームやサンデルジュに生息する、無数の魔物が集っていた。
その魔物たちの中には、ゴールデンドラゴンの変異体である黒く輝く竜もいる。
僅かにでも戦力になる魔物は全て集めろ、それがエンダルゴの命令であった。
「エンダルゴ様、言われた通りにラダトーム中、サンデルジュ中の魔物を集めました。しかし、これほどの魔物を集めてどうするおつもりなのですか?」
魔物が集めると、群れの戦闘にいただいまどうがエンダルゴに尋ねる。
エンダルゴの玉座は魔物で埋め尽くされており、ここまでの数が集まるのは初めてのことだった。
「先日の襲撃で、常闇の樹が人間どもに倒されたことは知っているな。このまま人間が力をつければ、この城が攻められるのも時間の問題だろう。魔物側の犠牲が避けられないのは分かっているが、僅かでも戦力となる全ての魔物を動員して、ラダトーム城を攻め落とそうと思う」
竜王が魔物の王だった時代は、極一部の精鋭の魔物のみが人間の拠点を襲撃していた。
竜王の死後アレフとエンダルゴが王となった後も、周りより高い能力を持った魔物が動員されている。
それも、万が一倒されてしまった時のことも考えて、繁殖が途絶えないように、強力な魔物も全てが襲撃にまわされているわけではなかった。
だが、人間が魔物たちの想像以上の力をつけた今、必要以上の犠牲を出さない、次世代の魔物を生み出すということを考えている余裕はもうない。
犠牲をいとわないと聞いて魔物たちも驚くが、そうするしかないと理解もしていた。
「確かに、人間があれほどの力を得た以上、他の方法はないでしょう。分かりました…我らの総力を持って、人間どもを世界から排除します」
「まもなくここに、アレフの元で修行した2体の魔物も現れる。二人が変異体となったら、ラダトーム城に向かえ」
変異体と化すためにアレフの元で訓練していた2体の魔物も、今回の襲撃に参加する。
彼の元で力をつけた魔物なら相当な戦力になるだろうと、エンダルゴは考えていた。
そうして話しているうちに、玉座の間にその魔物たちが入ってくる。
2体の魔物…滅ぼしの騎士の意志を継ぐしにがみのきしと、アレフと共に暮らしたメスのだいまどうに、魔物たちは道を開けた。
「遅れてすみません、エンダルゴ様。この時のために、我らはアレフの元で修行して参りました。どうか我を、2体目の滅ぼしの騎士にしてください」
「私たちであれば、肉体の変異にも耐えられるはずです」
変異に耐えきれず死ぬ可能性もあるが、しにがみのきしとだいまどうは覚悟が出来ていた。
ゴールデンドラゴンの変異体も含め、3体の変異体を襲撃させれば、犠牲は出ようとも必ずラダトーム城を攻め落とせるだろうとエンダルゴは思い、2体に膨大な闇の力を与える。
「覚悟はいいな…では、貴様らに闇の力を与えよう!」
エンダルゴを構成している闇の力の一部が、しにがみのきしとだいまどうの体の中に流れこんでいく。
本来魔物でも耐えきれないほどの闇の力を浴びて、2体は身体中に走る激痛に声を上げて苦しんだ。
「うぐっ…!だが、我は必ず変異体に…!」
「アレフの望んだ、全てが闇に染まった世界を…!」
だが、しにがみのきしとだいまどうは修行の末手に入れた強靭な肉体で、変異の苦しみに耐える。
やがて2体の体は、滅ぼしの騎士と暗黒魔導と同じ姿になっていった。
そして、変異に耐えきったことを確認すると、エンダルゴはラダトーム城へ向けての出撃命令を出す。
「無事に変異出来たようだな…では、いよいよ決戦の時だ。貴様らの総力を持って、人間どもを叩き潰せ!」
エンダルゴの命令を受けて、魔物たちはラダトーム城に向けて動き出していく。
人間と魔物との最終決戦の時が、いよいよ訪れようとしていた。