ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode20 究極の盾

メルキドに来て23日目、何としてもメルキドシールドの作り方を思いつかないといけない。俺の頭の中は、それしかなかった。

 

「ねえ、雄也。お願いがあるの」

 

その日、作り方を考えていて忙しい俺の個室にピリンがやって来た。

 

「今は忙しいんだ、後にしてくれ」

 

いつもは快く聞き入れているピリンのたのみごとも、今は聞く気になれなかった。それでも、ピリンは個室のとびらを開けて入ってきた。

 

「少しだけでもいいから、話をさせて」

 

「忙しいと言ってるのに、そこまで大事な用なのか?」

 

俺はメルキドに来て初めてピリンにイラついた。俺がなんとしてもメルキドシールドの作り方を考えているというのが分からないのだろうか?

だが、ピリンはどうしても言いたいことらしく、俺は仕方なく聞いた。

 

「なるべく短く話してくれ、何が言いたいんだ?」

 

「ねえ、最近みんなピリピリしてて怖いね」

 

そんなの分かっているだろ。この前もロロンドとロッシの対立の話はしたはずだ。

 

「ロロンドに聞いたよ。もうすぐ、でっかい魔物との戦いがあるんでしょ?」

 

「まあな、メルキドの復興ももうすぐだし」

 

「わたしはただ、みんなで町を作って楽しく暮らしたかっただけなのに、どうしてこんなことになっちゃったのかな」

 

ピリンの純粋なその気持ちも、現実的でないと言うことで俺をいらだたせた。

 

「この世界は闇に閉ざされているから当然だろう。平和に生きていきたいなんて現実的でない話をしないでくれ。そんなことを言いにここに来たのか?」

 

「ううん。こんな時にわざわざお願いするものじゃないかもしれないけど···」

 

ピリンは俺がイラだっていることに気づいたのか、控えめな口調で言う。だったらするな。と言ってやりたいが、必要なことかも知れないし、一応だけど聞くことにした。

 

「こわい魔物が来ても安心できるように、きずぐすりを5つ作ってわたしにくれない?」

 

「きずぐすりくらい、自分でも作れるだろ?」

 

「それだけじゃ足りないと思ったから、雄也にも作ってほしいの。これがわたしからの最後のお願いだよ」

 

魔物に襲われても大丈夫なようにきずぐすりか、戦えないピリンにも必要になる可能性はありそうだし、作っておくか。

 

「仕方ないな、ちょっと待っててくれ」

 

簡単なことだから、すぐに済ませられるな。俺は町の外で白い花びらを集める。だが、こんなことをしている間にも考える時間がなくなっていくと思うと、余計にイライラしてきた。

白い花びらがそろうと、石の作業台できずぐすり5つを作る。

 

「あとはピリンにこれを渡して···」

 

きずぐすりが出来ると、俺は町を歩いていたピリンに声をかけた。

 

「お前が言ってたきずぐすりを作ってきたぞ」

 

「それじゃあ雄也が作ったきずぐすり、一度わたしにちょうだい」

 

俺はピリンにきずぐすりを渡したが、一度って言うのはどういう意味なんだ?すると、ピリンは意味不明な行動をとった。ピリンが持っていたきずぐすりと俺が渡したきずぐすりを集めて、俺にまた渡してきたのだ。

 

「実はわたしも2つ作っておいたんだ。これで全部で7つ、雄也にあげるね。」

 

意味が分からない。俺はピリンが怪我をするかもしれないと言われたからきずぐすりを作ったのに。なんで返してくるんだ?俺は時間を無駄にされたと思い、ピリンにキレていた。

 

「なんでそんなことをするんだ!?俺は忙しいって言っただろうが!余計な頼みごとをするな!」

 

俺が大声で言うと、それがショックだったのかピリンは泣き出してしまった。

 

「だって、だって雄也は、みんなのために頑張るのに夢中で、自分のことはいつも後回しでしょ。だから、最後の戦いの前に、ちゃんと自分のための道具を作ってほしかった。それだけなの!」

 

ピリンは泣きながら必死に訴えるように俺に言う。それだけでなくピリンはこんなことを言った。

 

「最近、雄也はおかしいよ。わたしと出会った時は、いっしょに仲良く町を作っていこうって言ってたのに···」

 

確かにそれは言っていたが、魔物との戦いが迫っている以上、そんなことは関係ない。

 

「町を復興させるということは、魔物との戦いもあるってことなんだ」

 

「そう言う意味で言ってるんじゃない!昔メルキドでは、人々がお互いを信じられなくなって、争いになったって言ってたでしょ。今の雄也は、その人たちと同じだよ!」

 

確かにそれは否定出来なかった。俺は今、ピリンを信じていなかった。俺の時間が無駄になったとしか思っておらず、ピリンの気持ちは考えていなかった。

 

「雄也が怒っていることは分かるけど、どうしてもそれだけは伝えたかったの。わたし、雄也が大切だから。元の雄也に戻って欲しかったの」

 

そうだったのか。俺は焦りすぎて、大切な仲間の気持ちも分からなくなっていたんだな。それで、いつの間にか昔のメルキドの住民たちと同じように仲間の大切さを忘れていた。

俺は本当に最低で、愚かな人間だな。

 

「本当に悪かったな。俺のためを思って言っていたのに、あんなことを言ってしまってな。俺にとっても、ピリンは最高の仲間だよ」

 

「うん。ありがとう雄也。」

 

ピリンは泣き止み、俺の悩んでいることを言った。

 

「雄也は、メルキドシールドの作り方が分からなくて困ってるんでしょ」

 

「ああ、詳しい製法や形状が全く分からないんだ」

 

もしかしたら、俺だけでは思いつかないかもしれないけど、ピリンの力もあれば、思い付けるかもしれない。

 

「わたしは、いくら悪い魔物でも、戦うのはいやだけど、もし雄也とわたしたちが作った町を壊されたら、すっごく悲しいかな···」

 

「俺もだ。みんなと共に作りあげてきたこの町、絶対に壊させはしない。ピリンもいっしょに、メルキドシールドの作り方を考えてくれ」

 

「うん。この町を守るために、メルキドシールドの作り方を必ずみつけようね!」

 

それから俺とピリンは、その日の昼から夜遅くまで、メルキドシールドの作り方を相談していた。どのような形なら、魔物の攻撃をより防げるか。そして、日付が変わる頃、メルキドシールドの形を思いつくことができた。

 

「どう、雄也。作れそう?」

 

俺は二人で考えたメルキドシールドの形を思い浮かべ、魔法をかける。するとついに、メルキドシールドの必要な素材が分かった。

メルキドシールド···オリハルコン5個、ゴーレム岩3個

 

「ああ、必要な素材は分かった。明日二人で取りに行こう」

 

「良かった。必ずメルキドシールドを作り上げようね!」

 

俺たちは明日の素材集めに備え、個室に戻った。2つの素材の入手方法も見当はついている。オリハルコンは峡谷地帯にあったダイヤモンドのような鉱物で、爆弾を使えば取れるだろう。ゴーレム岩は砂漠地帯にいた巨大ストーンマンからだろう。それ以外に思いつかない。

 

メルキドに来て24日目、俺はピリンと素材集めに行く前に、メルキドシールドの作り方が分かったことを、ロロンドに伝えに行った。

 

「おいロロンド、ついにメルキドシールドの作り方が分かったぞ!」

 

俺が言うと、ロロンドはこれまでにないテンションで走ってきた。

 

「でかしたぞ、雄也!これで城塞都市メルキドを完全に復活出来る!来るべき魔物の親玉との決戦にも備えられよう」

 

ついにメルキドの完全復活か。最後まで気を引き締めていこう。

 

「思えばここまぜ長い道のりだったな···」

 

ロロンドの言う通り、まだ1ヶ月も経っていないのに、何年も一緒に暮らしてきたかのような感覚だった。

 

「いよいよこの時だ!メルキド録に書かれた最強にして最大の防壁、メルキドシールドを作り上げるのだ!」

 

「もちろんだ!楽しみに待っててくれ!」

 

俺はロロンドと別れ、調理部屋で朝食をたべているピリンと話した。2つの素材が必要なので、分担して取るつもりだ。

 

「ピリン、メルキドシールドを作るためにはオリハルコンとゴーレム岩が必要なんだ。お前はオリハルコンを取ってきてくれ」

 

「オリハルコンって?」

 

「緑色の旅のとびらの先にある鉱石のことだ。普通の攻撃じゃ壊せないから、これを使ってくれ」

 

オリハルコンを入手するために、ピリンにまほうの玉を3個渡した。

 

「それをオリハルコンの近くに置いて、ピリンはすぐに離れてくれ」

 

爆弾は使い方を正しく使わないと危険なので、ちゃんと使い方を教えておかないとな。

 

「わかった!雄也も頑張ってね」

 

「ああ!」

 

俺とピリンは、食事を済ませた後すぐに出掛けた。俺は砂漠地帯、ピリンは峡谷地帯に行き、それぞれ必要な素材を集める。

 

「あの巨大ゴーレムを倒せばいいはずだな」

 

俺は砂漠の中心あたりで、2体のストーンマンと巨大ストーンマンを見つけた。普通の攻撃では倒せそうにないので、俺はまず、地雷を仕掛けてストーンマンを爆破することにした。

 

「まずはグレネードで手下を倒して引き付けよう」

 

地雷を仕掛けた後、俺はストーンマンの群れにグレネードを投げ込んだ。小さいストーンマンは一撃で砕け散り、巨大ストーンマンも大ダメージを負った。

巨大ストーンマンはよくもやりやがったな!という目で俺を睨んで追いかけてくる。俺も逃げ出して地雷に誘い込む。

 

「あとは地雷が爆発してくれればいいな」

 

ストーンマンは何も気づかず俺を追いかけてきて、地雷を踏んで爆破され砕け散った。ストーンマンが倒れたところを見ると、茶色のブロックが3個落ちていた。

 

「これがゴーレム岩か。メルキドシールドはどのくらい必要か分からないけど、もう少し集めておくか。」

 

俺は巨大ストーンマンを地雷やグレネード、まほうの玉で爆破していき、10個ほどゴーレム岩を集めた。

 

「これでメルキドシールドは3個作れるな」

 

これくらいで十分だろうと思い、俺はメルキドの町に戻った。ピリンも、20個ほどのオリハルコンを持っていた。

 

「雄也、おかえり!わたしもがんばってきたよ」

 

「ありがとうな、ピリンのお陰でメルキドシールドの作り方がわかったし、仲間の大切さを思い出すことができた。」

 

ピリンや他のみんなも、絶対に守らないといけない。俺はそう強く思い、オリハルコンとゴーレム岩に魔法をかける。オリハルコン15個とゴーレム岩9個を使い、3つのメルキドシールド、あらゆる魔物の攻撃を防ぐ究極の盾が出来上がった。

 

「これがメルキドシールドか、近くで見ると迫力があるな」

 

高さは4メートルか5メートルくらいあり、決して壊れない鉄壁の防壁が出来上がった。しかも、壊さなくても取り外すことができるようだ。

 

「動いている魔物にも対応できるな」

 

俺はメルキドシールドの完成を、ロロンドに伝えた。

 

「ロロンド、ついにメルキドシールドが完成したぞ!」

 

「お主、ついにできたのか!長い道のりだったが、これでもう、魔物たちの襲撃をおそれずに済む!」

 

ロロンドはハイテンションを越えて、涙が出るほど感動していた。

 

「後はこの地を支配する魔物の親玉を倒せば、メルキドを完全に復活させられる!素晴らしい、素晴らし過ぎるぞ!」

 

「そうだな!メルキドの復活まで後少しだ!」

 

魔物の親玉か、何があろうが絶対に勝ってやる!

俺たちが意気込んでいたその時だった、メルキドの地が激しく揺れた。

 

「な、なんだ!?我輩の町に何が起きていると言うのだ!?」

 

「地震でも起きたのか?ってあれはまさか!?」

 

町の西側に、茶色の石で出来た、巨大な魔物が見えた。その大きさは巨大ストーンマンの比ではない。ロロンドも、それに気付いて驚愕する。

 

「そんな、まさか···この地を支配する魔物の親玉は、本当にゴーレムだったと言うのか!?ゴーレムはメルキドの守り神であるはずだぞ!」

 

まだ遠くからしか見えないが、その魔物はゴーレムであった。

 

「ウソだろ!?守り神が人間を滅ぼしたなんて···」

 

俺もまだ信じられない。ロッシやゆきのへから聞かされていたが、あんなにメルキドを守ろうとしていたゴーレムが人間を滅ぼしたとはな。しかし、確実にゴーレムはメルキドの町に迫ってきていた。

認めたくはないが、ついにメルキドでの最終決戦が始まったようだ。

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