ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
動けなくなった俺に大して、暗黒魔導はとどめをさそうとする。
ここまで来て、魔物たちに負けるわけにはいかない…そう考えながら何とか回避しようとするが、身体にもう力が入らなかった。
メラゾーマの詠唱が終わり、ついに火球が俺に向けて叩きつけられていく。
「私達の勝ちです、ビルダー!」
「ここで負けるわけには…!」
直撃を受けたら、消し炭になってしまう…俺はもうだめかと思い、目を閉じようとする。
だが、暗黒魔導がメラゾーマを叩きつけようとした瞬間、奴に向かって2本の銀色のナイフが突き刺さった。
突然の攻撃に暗黒魔導は驚き、メラゾーマの呪文を止めていた。
「何なんですか…今の攻撃は…!?」
銀色のナイフは奴の右側から飛んで来ており、俺もその方向を見てみる。
7人全員が危険な状態に陥っているのに、一体誰が助けに来たのだろうか。
するとそこには、銀色のナイフ…エルも使っていた聖なるナイフを構え、暗黒魔導を睨むムツヘタの姿があった。
「ムツヘタ…助けに来てくれたのか?」
「そなたらが苦戦していたから、出来る限りのことをせねばならぬの思ったのじゃ。ワシがこの魔物を引き付けておくから、そなたはこれを飲んで回復するのじゃ!」
そう言うとムツヘタは白花の秘薬を俺に渡して、暗黒魔導と俺の間に立ちふさがる。
どうしようかと思っていたが、まさかムツヘタが助けに来てくれるとはな。
だが、今まで城に隠れていた通り、ムツヘタは戦う力は持っていないはずだ…暗黒魔導を引き付けられるはずがないだろう。
「でも、あんたは戦えないはずじゃ…?」
「もちろん魔物との戦いは苦手じゃ…しかし、そなたらが倒されたら、ワシらもこの城も滅ぼされてしまう。だから、ワシらも命をかけて戦うことにしたのじゃ!」
確かに俺たちが倒されてしまえば、隠れていても殺されるのは確実だろう。
だから、このまま黙って殺されるのを待つよりは、命をかけてでも俺たちを援護ようと考えたというわけか。
ムツヘタに続いて、ヘイザンも城の中から出てきて俺のところに近づいて来る。
「ワタシも雄也を助けに来たぞ!ワタシが作ったはがねの弾丸だ…これを使ってくれ」
ヘイザンは、ムツヘタの後ろに下がった俺にたくさんのはがねの弾丸を渡してきた。
ヘイザンも俺が銃を使って戦っていることは知っていたが、まさか新たな弾丸も作っていてくれるとはな。
最強の鍛冶屋であるヘイザンが作った弾丸は俺が作ったものよりも美しく輝いており、とても強そうに見えた。
「ありがとう…本当に助かったぜ、ヘイザン、ムツヘタ。この薬で回復したら、すぐに戦いに戻るぞ」
はがねの弾丸を渡してくれた後ヘイザンは、ダークメタリックドラゴンたちと戦うゆきのへたちのところに向かう。
二人の決死の覚悟を無駄にしてはいけない…白花の秘薬を飲んで身体を癒したら、必ず魔物たちとの戦いに勝とう。
俺が白花の秘薬を飲んでいる間、ムツヘタは暗黒魔導の前に立ち続け、メラゾーマの呪文を引き付けていた。
「かかってくるのじゃ、魔物よ。ワシが、雄也への攻撃を防ぎきるのじゃ!」
「老いぼれた予言者なんかが、私達を止められるなんて思わないでください!」
暗黒魔導は何度もメラゾーマの火球をムツヘタに叩きつけて、焼き尽くそうとする。
ムツヘタは老人であり、戦いにも慣れていないので回避することが難しく、何度も身体に大やけどを負っていた。
だが、それでも俺に攻撃をさせまいと、奴の前に立ちふさがり続けていた。
ムツヘタを攻撃している間、暗黒魔導はこんなことも言う。
「あなたのような予言者のせいで、アレフは人間に絶望するようになった…無駄なあがきはやめて、おとなしく灰になりなさい!」
今のムツヘタと同一人物なのかは分からないが、アレフは予言者の言葉で勇者に選ばれたんだったか。
アレフと親しいであろうこの暗黒魔導は、予言者という存在を特に憎んでいるみたいだな。
ムツヘタを焼き殺そうと、奴は怒りのままにたくさんの火球を叩きつけていく。
「ぐっ…ワシもここまでなのか…?」
メラゾーマを何度も受けて、ムツヘタはもうまともに動ける状態ではなくなっていた。
確かにムツヘタは、ルビスから与えられた責務に従って人間は行動するべきという考えをしていたので、俺も腹が立つことが多かったな。
しかし、今まではムツヘタも大切な仲間の1人だ…こんなところで死なせたくはない。
俺はそう思って、白花の秘薬を飲むスピードを上げていった。
ムツヘタの動きが止まると、暗黒魔導はとどめのメラゾーマを放とうとする。
「さあ死になさい、愚かな予言者!」
さっきムツヘタが俺を助けてくれたように、俺もムツヘタを助けたい。
白花の秘薬を飲むと、身体中の痛みが消えて、足の疲れもだんだんと癒されていく。
これならまた戦いに向かえると思い、俺は両腕の武器を振り上げ、暗黒魔導に叩きつけていった。
「俺もまだ戦える…仲間たちを殺させはしないぞ!」
「あなたもまだ立ち向かって来ますか、ビルダー!」
暗黒魔導はとっさにメラゾーマの詠唱をやめて、杖で俺の攻撃を受け止める。
俺は弾き返されないように無理に押し切ろうとはせず、再び奴の攻撃を回避しながら体力を削って行こうとした。
ムツヘタは身体中を焼かれたがまだ生き残っており、足を引きずりながら城へと戻っていく。
俺は彼に深く感謝しながら、暗黒魔導との戦いを続けていった。
ダークメタリックドラゴンたちと戦っているみんなも次第に戦況が悪化し、ラスタンも大怪我をして動きが鈍っていた。
しかし、兵士として何とか城を守らねばならぬと思い、少しづつ奴の体力を削っている。
「私達の城に、お前のような魔物を近づけはしない…!」
ゆきのへたちもダースドラゴンとゴールデンドラゴンを倒しきれず、今にも力尽きそうな状態であった。
矢をなくしたルミーラは、追い詰められているみんなの様子を見ていることしか出来ない…そんな状態が続いている。
だが、そんなルミーラのところに、城の中からピリンが飛び出してきた。
「ルミーラ、新しい矢と白花の秘薬を持ってきたよ!」
「…?わたしは作っていないのに、誰がこれを?」
ピリンは矢と白花の秘薬をポーチから取り出して、ルミーラに渡す。
ルミーラはさっきまでに使いきった分の矢しか作っていなかったようで、不思議そうにしていた。
そうしていると、おおきづちのサデルンとエファートも城の中から出てくる。
「ボクたちが作ったんだ、ルミーラ」
「ルミーラはボクたちに、人間と暮らす楽しさを教えてくれたからな…ボクたちも出来るだけのことをしてあげたいと思ったんだ」
「みんなの分の白花の秘薬も、サデルンたちが作ってくれたんだよ」
俺が使った白花の秘薬も、サデルンとエファートが作ってくれたものなんだな。
二人はラダトーム城の人々にも、人間と一緒に暮らす楽しさを教えてくれたルミーラやバルダスたちにも深く感謝している。
ルミーラは二人に感謝すると白花の秘薬を飲み、矢をダースドラゴンやゴールデンドラゴンに向けて放っていった。
「そうだったんだね…ありがとう、2人とも。危ないから、そろそろ城の中に戻って」
サデルンたちの作った矢には麻痺毒は塗られていないが、ルミーラの正確な射撃で頭を貫かれると奴らはかなりのダメージを受けている。
ルミーラは魔物の群れから離れた場所にいたので、ピリンたちは攻撃を受けることなく支援することが出来ていた。
しかし、ピリンたちはルミーラだけでなく、魔物たちと近づいて戦うゆきのへたちのところにも支援に向かおうとする。
「いや、ボクたちは長老たちも助けに行ってくるよ」
「みんなが必死で戦ってるんだもん…戦うのは怖いけど、もう引き下がってなんていられないよ」
「でも、みんなが戦ってるのは本当に危険な魔物だよ…」
戦闘能力を持たないピリンたちが近づくには、ドラゴンたちは危険すぎる相手だ。
ルミーラはそう言って止めようとするが、ムツヘタと同様に命をかける覚悟が出来ていたみんなは引き下がろうとはしなかった。
みんなのところに支援に向かおうとする3人のところに、ローラ姫と俺にはがねの弾丸を渡した後のヘイザンも加わる。
「それでも構いません。みんなを救わなければ、私達も殺されてしまうでしょう」
「親方があんなに頑張ってるんだ…ワタシも下がってはいられないぞ」
5人はルミーラの言葉を聞かず、ドラゴンたちのところに近づいていく。
それを見たルミーラは少しでもピリンたちを襲う魔物を減らそうと、矢でたくさんのドラゴンを引き付けていった。
5人が支援しに近づいて来るのを、ラスタンとラグナーダが最初に気づく。
「姫様…みんな…近づいてはだめだ…!私は大丈夫だから、城の中に戻っていてくれ…!」
「お主たちが敵う相手ではないのだ…早く下がっておるんだ…!」
しかし、みんなを引き下がらせようとするラスタンたちは、声を出すのも厳しい状態であった。
そんなみんなを助けようと、ますますダークメタリックドラゴンに近づいていく。
「長老が苦戦しているのに、ボクたちだけ隠れているなんて出来ないよ」
「長老、ラスタン。ボクたちが作った白花の秘薬を使ってくれ」
ラスタンとチョビに白花の秘薬を渡したサデルンたちは、奴に向かって殴りかかっていった。
ピリンたちもチョビたちに白花の秘薬を渡すと、ダースドラゴンたちの前に立ちふさがっていく。
非戦闘員までをも危険に晒したくないとみんな思っていたが、そうでもしないとこの戦いには勝てないことは明白だった。
近づいて来たサデルンたちを一掃しようと、ダークメタリックドラゴンは爪から闇の刃を放っていく。
「くっ…なんて攻撃力なんだ…!」
「でも、ボクたちも負けないよ…!」
すさまじい攻撃力であり、二人はハンマーで受け止めるが大きく吹き飛ばされてしまう。
それでも身体の痛みに耐えて起き上がり、奴に立ち向かっていった。
だが、もう一度攻撃を受けると、サデルンたちのハンマーは砕け散ってしまう。
戦いに慣れていないローラ姫たちも、ドラゴンたちの攻撃でかなりのダメージを受けていた。
「強い敵ですが…私達も諦めません…!」
「これ以上、わたしたちがせっかく作った町を壊させないよ…!」
「親方たちが回復するまで、何とか持ちこたえる…!」
魔物たちに懸命に立ち向かっているものの、限界は近いだろう。
しかしそれを見てさっきの俺のように、みんなも白花の秘薬を飲む速度を上げていた。
総力を合わせても厳しい戦いだが、誰一人犠牲を出すまいとみんな思っている。
白花の秘薬を飲み干すと、ラスタンたちはすぐに立ち上がってドラゴンたちに立ち向かっていった。
「もう大丈夫だ…姫様、みんな。後は私達に任せてくれ!」
「わしの力不足のせいでお主たちを危険な目に合わせてしまった…すまないな、サデルン、エファート」
白花の秘薬を使っても完全に回復するわけではないので、依然として厳しい戦況は変わらないだろう。
しかし、みんなの支援のおかげで少しは勝てる希望が生まれて来たはずだ。
大きくなダメージを負ったサデルンたち5人は、命からがら城の中に再び隠れていく。
俺もみんなも必ず勝てると信じて、魔物たちに立ち向かっていった。
俺はビルダーズハンマーとふめつのつるぎを振り回し、暗黒魔導を追い詰めていく。
暗黒魔導もかなりのダメージを受けて弱っているので、動きが鈍って来ていた。
ここが好期だと思い、俺は奴に向かって渾身の連撃を放っていく。
「予言者の支援を受けたとはいえ、ここまで私達を追い詰めて来ますか…!」
「あんたを倒して、エンダルゴとアレフのところにも向かうぜ」
必ずこの戦いに勝って、エンダルゴとアレフも倒しに行ってこよう。
暗黒魔導も攻撃の手を止めることはないが、白花の秘薬で回復した俺はまだ戦い続けることが出来ていた。
先ほどの六連砲台のダメージもあり、奴は限界にまで追い詰めていく。
「あなたなんかに、アレフのところには行かせない!」
アレフとエンダルゴのために俺を殺そうとして来るが、ついに暗黒魔導は力尽きて倒れこんでいた。
奴が動けなくなったのを見て、俺は両腕の力を全身に溜めていく。
「くっ…ビルダーごときに…!」
ここで飛天斬りを当てれば、暗黒魔導にとどめをさすことが出来るだろう。
起き上がられる前に倒そうと、俺は急いで力を溜めていった。
そして力が溜まりきると、俺は大きく飛び上がり、垂直に両腕の武器を叩きつける。
「飛天斬り!」
ふめつのつるぎからは回転斬りの時よりも大きな紅色の光の刃が生み出され、ビルダーズハンマーと共に使うことで暗黒魔導の身体を斬り裂き、うち砕いた。
瀕死のところに絶大なダメージを受けて、暗黒魔導の生命力は全て消えていく。
「…アレフ、ビルダーを倒せなくて…ごめんなさい…」
暗黒魔導は最後にそう言うと、青い光に変わっていった。