ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
ふめつのつるぎを作り、魔物たちとの決戦を生き抜いた翌日、ラダトームに戻って来てから7日目、今日はいよいよ、エンダルゴとの決戦の日だ。
昨日の襲撃には3体もの変異体が襲撃していた…変異体を生み出すのに闇の力を使ったことでエンダルゴ自身は弱体化しただろうし、戦うなら今がチャンスだろう。
俺は朝起きるとエンダルゴの城へ向かうために、ベッドから降りて教会を出ていく。
すると、ラダトーム城のみんなが、俺を見送るために希望のはたのところに立っていた。
「今日はいよいよ決戦の日だな…みんな、もう起きていたのか」
「おお、やっと来たな、雄也。お前さんがエンダルゴとの戦いに向かうって話したら、みんなも見送りたいと言ってきてな」
昨日俺たちがラダトーム城に戻った後、ゆきのへはそのことをみんなに伝えていたのか。
力を消費したと言っても、とてつもなく強大な存在であるエンダルゴの元に向かう俺に、みんなは心配そうな目を向けていた。
ラスタンは、一緒にエンダルゴと戦いに行きたいとも言ってくる。
「お前がどれだけ強い武器を持っていても、1人でエンダルゴを倒すのは難しいだろう。もしよかったら、私も一緒に戦いに向かうぞ」
「…気持ちはありがたいけど、ラスタンたちはここに残っていてくれ。昨日大きな戦いがあったとはいえ、魔物がまた襲って来ないとは限らないからな」
ラダトーム城の兵士がアレフを1人で竜王討伐に向かわせたことで彼の心は追い詰められ、最終的には竜王に寝返ることになった…ラスタンには、その時の後悔もあるのだろう。
気持ちは本当に嬉しい…しかし、魔物が襲撃して来る可能性がゼロではない以上、ラスタンたちはここで魔物の監視をしているべきだろう。
それに、アレフを止められず、エンダルゴの出現とルビスの死を招いたのは俺だ…その責任は、俺自身で果たさなければならないだろう。
これ以上俺が招いたことで、みんなを危険な目に合わせたくない。
「…確かにそれもそうだな。私はいつも通り、監視塔から魔物たちの様子を見張っている。私ももう、勇者でない者が魔物の王を倒せるはずがないとは言わない。お前が作った物の力を信じて、思い切り戦って来るんだぞ」
「ああ、分かってる。たとえ1人で行ったとしても、エンダルゴを必ず倒して来るさ」
やはりラスタンは、魔物との戦いを勇者に頼りすぎていたことを後悔しているようだ。
この世界では、多くの人々が過去を悔やみながらも、未来に突き進もうとしている。
人々が未来を作れる可能性を上げるために、俺が頑張らなければならない。
ルミーラたちも、不安げな顔で俺に見送りのあいさつをしていた。
「わたしも心配してる…どんな苦しい戦いになっても、必ず無事に戻って来てね…」
「これからも一緒に、世界を作り続けていくんだ!」
「わしらは、お主が生きて帰って来るのを待っておるぞ…」
俺は世界を守れなかった…エンダルゴとアレフを倒せるなら、自分の命と引き換えでもいいと考えたこともあった。
しかし、みんなにここまで心配されているなら、必ず生きて戻って来ないとな。
みんなを悲しませたら、俺はさらに大きな罪を背負ってしまうことになる。
「心配しなくても大丈夫だ。必ず勝って、生きてみんなのところに戻って来て見せるさ」
ピリンと鍛冶屋の二人も、出発しようとする俺に声をかけてくる。
「わたしには何も出来ないけど、雄也のこと、応援してるね!」
「ワシら全員が考えた伝説を超える武器を、最大限に役立ててくれ!」
「その武器の力があれば、必ず勝てるって信じてるぞ!」
ビルダーズハンマーとふめつのつるぎの力も、大いに役立てて戦わないとな。
すさまじいまでの切れ味を持ち、回転斬りや飛天斬りの時には紅色の光の刃を生み出す剣と、あらゆる敵を打ち砕く、ビルダーズの名を冠したハンマー。
これらがあれば、エンダルゴにも確実に大ダメージを与えることが出来るだろう。
俺はそう思いながら、いよいよラダトーム城を出発しようとする。
「俺も、この二つの武器の力を信じてるぞ。これでエンダルゴを倒して、みんなの元に戻って来る。…じゃあ、そろそろ出発するぞ!小舟に乗って、エンダルゴの元に向かう」
「勇者が世界を裏切ったことで、世界には膨大な量の魔物の力が振り撒かれることになった。ひかりのたまやルビスでさえ消しきれなかったその力を、そなた自身の手で消し去りに向かうのじゃ!」
エンダルゴのところに向かう俺に向かって、ムツヘタはそう言う。
アレフのせいで世界を創った精霊ルビスは殺され、数百年世界を支配し続けた魔物の力はエンダルゴという最強の存在に変わった。
しかし、人間たちが諦めずに戦い、復興を続けることで、ここまで巻き返すことが出来た。
魔物の魔力の集合体であるエンダルゴは、さまざまな強大な呪文を使って来るだろう。
しかし、必ず勝機はあると思い、俺はムツヘタたちに向かって大声で言う。
「ああ、もちろんだ!」
そして、俺は小舟に乗ってエンダルゴの城に向かうために、エンダルゴの城を後にする。
その間にも、ゆきのへたちは心配そうな表情をしながら俺に声をかけていた。
「雄也、思う存分戦って来い!」
ラダトーム城へ魔物が襲撃する可能性もあるので、俺は城の無事も祈りながら、海へと歩いていった。
昨日の戦いで大幅に魔物の数が減り、ラダトームの平野をうろついていたのはスライムなどの弱い魔物がほとんどだったが、俺は見つからないように進んでいく。
そして、10分くらい歩いて海にたどり着くと、俺は小舟に乗ってエンダルゴの城のあるラダトームの西の地域に向かっていった。
ほしふるうでわで歩く速度は早まっても、小舟をこぐ速さまでは変わらない。
1時間ほど小舟を漕ぎ続けて、俺の目の前にラダトームの西の地域が見えて来る。
そこには以前と同様にしにがみのきしとコスモアイが生息していたが、数が明らかに減っていた。
「魔物たちの数が、かなり少なくなって来ている…」
ここに生息する魔物の中からも、多くがラダトーム城の襲撃に来ていたのだろう。
魔物が少ないとなれば動きやすいし、エンダルゴの城を攻めるのには好機だな。
そう思いながら、俺は小舟を漕ぎ続け、エンダルゴの城があるラダトーム西の地へと上陸した。
「無事に上陸出来たか…エンダルゴの城があるのは、確か仮拠点の南東だったな」
俺が岩山の城に向かったのはエンダルゴが出現する前のことであり、かなり久しぶりに来ることになる。
しかし、あの時の潜入はかなり苦労したし、城の入口の位置ははっきり覚えている。
まずは入り口を目指して、仮拠点の南東へと向かっていった。
「エンダルゴの城に近づいても、魔物の数はほとんど変わらないな…」
魔物の動きに警戒し、体勢を下げながら俺は進んでいく。
しかし、エンダルゴの城に近づいても魔物の数は変わらず、むしろさらに少なくなっているようにも感じられた。
城の中にいたような強力な魔物は、みんな昨日の戦いに向かったのだろうな。
城の入り口まで来て中を覗いて見ても、魔物の姿は1体も見かけることが出来なかった。
「見つからずに入り口までやって来たな…でも、城の中にも魔物は見つからないか。隠れなくても良さそうだし、急いで進もう」
エンダルゴの強さからしても魔物の数からしても、今日は最大の好機だったな。
城の入り口までやって来ると、俺は体勢を元に戻して走りながら奥に進んでいく。
魔物の姿は見かけられないし、もしいたとしても最深部でエンダルゴとの戦いがある以上、手下との戦いも避けられない。
曲がり角になっているところでは魔物が隠れていないか警戒もしていたが、戦うことなく先に進むことが出来た。
「やっぱり城の魔物は昨日の戦いで全滅したみたいだな…さっさと階段を降りて、エンダルゴのところに向かわないとな」
昨日の戦いは本当に壮絶なものだったし、魔物たちは全滅したと見て間違いないようだな。
俺はこの前来た時の記憶を頼りに、地下に続く階段の場所へと向かっていく。
階段を降りると、俺は魔物が魔力を集合させるために使っていた大広間に入っていった。
「この大広間まで来るのも久しぶりだな…エンダルゴはこの先にいるのか」
以前見た時は何百体といった強力な魔物が、エンダルゴを生み出すために自身の魔力を捧げたり、アレフガルド中に満ちた魔力を集めたりしていた。
ここにはエンダルゴの姿はないが、大広間の奥にはこの前も見たさらなる深部へと続く扉がある。
エンダルゴは、おそらくその先で俺を待ち構えていることだろう。
「とてつもない強敵だとは思うけど、何としても勝たないとな…」
今の強力な装備や兵器を持ってしても、エンダルゴは間違いなく今までで最大の強敵だろう。
いざ戦いが近くなってくると少し怖くなっても来るが、もう引き下がることは出来ない。
大広間の奥の扉を開けて、エンダルゴの城のさらなる奥へと入っていった。
「ここから先は俺も見たことがないけど、一本道になってるな」
扉の奥は、一つの明かりもない真っ暗な一本道になっていた。
一本道なので迷う心配はないが、進む度にだんだんおぞましい闇の気配がして来る。
あらゆる魔力の集合体たるエンダルゴの間が、確実に近づいて来ているということだろう。
そして、通路の最深部までやって来ると、再び俺の目の前に大きな扉が見えてくる。
「ここにも扉か…おぞましい気配もこの中からして来るし、この先がエンダルゴの玉座みたいだ」
おぞましい気配もこの先から感じられるので、ここがこの城の終着点…エンダルゴの玉座みたいだな。
この扉を開けたら、いよいよエンダルゴとの戦いになるだろう。
「どんな戦いになっても、必ず生きて帰らないとな」
エンダルゴがどんな攻撃をして来るかは分からない…しかし、どんなに厳しい戦いになったとしても、必ずラダトーム城に生きて戻らないといけない。
生きてアレフとも決着をつけて、これからもアレフガルドを作り続けていこう。
俺はそう思いながら、エンダルゴの間の扉を開けていった。