ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
リムルダールに来て6日目の朝、俺が起きて寝室から出ると、病室のほうから扉が開く音が聞こえた。
「もしかして、ケーシーが起き上がれるようになったのか?」
気になって俺が病室を確認に行くと、予想通りケーシーが起きて病室の外に出てきていた。前は倒れていて気づかなかったが、彼女もかなりの美人だ。ケーシーは俺を見つけると、感謝の言葉を言ってきた。
「助けてくれてありがとう!あんたたちのおかげですっかりよくなったよ!」
二日前まで倒れていたのに、それがなかったかのように元気だった。ケーシーも仲間になってくれれば、人口は7人になる。ようやく町というものになってきたな。
「ああ、俺もお前を助けられてよかった」
「あたいは、病気になったら死ぬと思ってた。人間が病気と闘うことができるだなんて、思ってもいなかった」
ケーシーもノリンと同じようなことを言ってきた。だが、彼女にも人間には病に抗う力があるってことを証明できたな。これからどんな病があったとしても、絶対に治していこう。
「これで分かっただろ。人間には、病に抗う力があるってことが」
俺がそう言うと、ケーシーは急に笑った。俺の発言が面白いからというのではなく、病が治ったのを喜んでいるのだろう。
「どうしたんだ?」
「あたいなんだか、嬉しくなってきちまったよ」
やはりそうか。ケーシーはしばらく嬉しそうにしていた。その表情を見ていると、俺まで嬉しくなってくる。
「これからはあたいも治療に協力するよ!一緒に頑張っていこうじゃないか!」
そして、ケーシーは町の仲間になってくれるようだ。
「ああ、よろしくな。俺は影山雄也。いつもは雄也って呼んでくれればいい」
「雄也っていうのか!よろしく頼むよ」
俺はケーシーとあいさつをしていると、エルもその様子を見て嬉しそうにしていた。
「おお、雄也様!新しい患者様が治ったのですね!」
「この人が、あたいを看病してくれてた人なのか?」
ケーシーはエルを見て俺にそう聞いてきた。
「ああ、エルって言うんだ。リムルダールで病人を救おうと必死に頑張っているんだ」
俺がエルのことを紹介すると、ケーシーはエルにも感謝の言葉を言う。
「あんたもあたいを助けてくれてありがとう。一緒に病人を治療していこうじゃないか」
「はい、頑張りましょうね!」
俺たち3人でのあいさつを終えた後、俺はエルと病室で話をしていた。
「本当に良かったですね。患者様を助けられて!患者様が良くなって、私は感無量です!」
俺にとっても嬉しいことだが、最初から病人の治療をしようとしていたエルにとっては、より嬉しいことだろう。
少し前は不安も持っていたエルだが、今はその気持ちも薄れてきているだろう。そして、エルはさらにはりきっていた。
「患者様をお助けし、この地を浄化できるのなら、私はいつでもこの身を投げ出しますわ!」
身を投げ出すって、そこまではりきっているのか。止めることはしないが、無理をしすぎなければいいのだが。
「雄也様も病に苦しむ人々を治療していきましょうね」
「もちろんだ」
俺が患者を連れてきて、エルが治療を行う。これからもそうやって病人を治していくことになるだろう。
その後、俺たちは調理部屋に集まって一緒に食事をとっていた。食べるものは、ニガキノコと枝豆しかないが。
食べ終わると、俺たちは別れてそれぞれの行動をしていた。俺は特にしたいこともなくぼおっとしていたが、ゲンローワに呼ばれた。
「雄也。ちょっといいかの?」
ゲンローワの話ということは、また新しい薬のことだろうか。俺はゲンローワと一緒に調合室に入った。
「また新しい薬を作ろうと思っているのか?」
どくけしそうが完成したばかりなのに、もう次のを作るのか。かなり早いな。俺はそう思っていたが、ゲンローワがしたいのは別の話のようだ。
「いや、わしが言いたいのはこのリムルダールを支配する、魔物の親玉についてじゃ」
ゲンローワも魔物の親玉について知っていたのか。リムルダールの魔物の親玉については、何度か聞いたことがあるな。
「確か、ヘルコンドルに支配されているんだろ?」
エルがそんなことを言っていたし、廃屋で見つけたメモ用紙にもそんなことが書いてあった。メルキドの親玉がゴーレムだと分かったのは復興が進んでからなので、本当にそうなのかは分からないが。
だが、やはりヘルコンドルに支配されているらしく、俺の話に、ゲンローワはうなずいた。恐らくはゴーレムと違って、頻繁に姿を現すのだろう。俺はまだ見たことはないが。
「いかにも。空飛ぶ怪鳥、ヘルコンドルはおぞましい悪の力でリムルダールを支配しているのじゃ」
空飛ぶ怪鳥か、ヘルコンドルはゴーレムより戦闘能力は低いだろうが、空を飛んでいることが厄介だな。鉄がないので銃などもつくれないし、今はどうすることもできなさそうだ。
「そいつともいずれは戦う必要があるんだろ?」
「もちろんじゃ。ヘルコンドルを倒さなければこのリムルダールの空は晴れない」
ゴーレムは空を晴らすための道具を持っていたから、ヘルコンドルも何か持っているんだろうな。
ゲームの2章でもやっていれば倒し方も分かっただろうが、その前にこの世界に来てしまった。
「でも、何で急にそんな話をしたんだ?」
「わしらにはヘルコンドルを倒すという使命があることも覚えておいて欲しかったのじゃ」
今は対抗手段がないが、みんなで協力して考えないとな。ヘルコンドルを倒して、リムルダールにも光を取り戻して見せる!そのためにも、病に苦しむ病人たちを助けないとな。
その時だった、空に大きく鳥の羽ばたく音が聞こえた。かなり大きな音のため、鳥も相当巨大なはずだ。その音に、ゲンローワも気づいた。
「なんじゃ、羽ばたく音が聞こえるのう···」
しかもその音は、だんだん大きくなってきていた。何なんだ!?と思い空を見ると、体長10メートル近くもあるであろう青い羽毛で覆われた鳥がいた。
「あれは、ヘルコンドル!?」
ゲンローワはその鳥を見てそう叫んだ。確かにヘルコンドルはそんな感じの魔物だったはずだ。それにしても、いきなり魔物の親玉が来ただと!?
ヘルコンドルが空中で大きく叫んだかと思うと、町のまわりに大量のドロルと、奴らの隊長と思われるドロルメイジが現れた。そして、ドロルたちは行進するようにこの町に向かってきた。魔物たちを呼ぶと、ヘルコンドルは飛び去っていった。どうやらドロルにこの町を攻撃させるつもりのようだ。
ドロルの接近に気付き、エルが俺のいる調合室に駆け込んできた。
「雄也様、ゲンローワ様。大変です!多くの魔物たちがここに迫ってきています。今までこのようなことはなかったのに、どうしてでしょう···」
メルキドの時と同じように、人間が町を作っていることを気づかれたのだろう。
「人間の発展を恐れているんだろうな。とりあえず、奴らを追い払わないといけない。みんなに知らせるぞ!」
俺は調合室から出て、みんなに魔物が来たと叫んだ。
「この町に魔物が迫っている!戦える奴は魔物を迎え撃ち、戦えない奴は建物に隠れてくれ!」
俺の声を聞いて、ゆきのへやケーシーが俺のところへ走ってきた。一緒に戦ってくれるようだ。しかし、ノリンは、
「うひゃあああ!隠れないと!」
と言って作業部屋に逃げ込んでしまった。こんなに怖がるなんて、男なのに情けないな。
俺たちが戦いの準備を整えていると、エルとゲンローワも調合室から出てきた。
「お役に立つか分かりませんが、私も戦います!」
「共にこの町を守り抜くのじゃぞ!」
戦闘能力が無さそうに見えたこの二人も戦ってくれるのか。敵はかなりの数なので、とても助かる。
「そろそろ来る。行くぞ!」
俺はいしのおのを、ゆきのへはおおきづちを、ゲンローワはひのきのぼうを、エルとケーシーは石つぶてを持ち、魔物の群れに向かっていった。
そして、リムルダールの町の一度目の防衛戦が始まった。
「ドロルは弱いが、数が多いな」
俺はいしのおのでドロルの群れに斬りかかった。数は多くてもドロルは2.3回斬れば必ず死ぬので、苦戦する相手ではなかった。
仲間が倒されていくのを見て、ドロルは俺に毒の液体を飛ばしてきた。スピードは遅いがたくさん飛んでくるので、かわすのが難しい。
「ワシが援護するぞ、雄也!」
俺が狙われているのを見て、ゆきのへは俺に集中しているドロルを後ろから叩き潰した。ゲンローワもひのきのぼうでドロルたちをなぎはらっていく。
「一体一体は弱いようじゃな」
しかし、俺たちがまわりにいる敵を倒している間にも、後ろから10体くらいのドロルが迫ってきた。
「私に任せてください!」
「ここはあたいが倒すよ!」
俺たちの後ろから毒の液体を放とうとしているのに気付き、エルとケーシーが石つぶてを投げつける。あまりダメージは与えられないが、敵の動きが止まった。
「今だ!二人とも下がってくれ!」
その瞬間を狙い、ゆきのへとゲンローワを下がらせ、俺は一気にドロル達をなぎはらった。
「回転斬り!」
体を真っ二つにされたドロルたちは、次々に青い光になって消えていく。回転斬りの範囲から逃れた敵も、移動したゆきのへとゲンローワが倒した。
「敵の数もかなり減ってきたぞ」
最初30体ほどいたドロルの数は、残り10体もいなかった。このまま押しきれそうだ。
俺は残っているドロルにも斬りかかっていく。それをピンチに思ったのであろう隊長のドロルメイジは、よくわからない言葉で叫んだ。ドロルは人間の言葉をしゃべれないようだが、
「なんとしてもこいつを殺せ!」
のようなことを言っているのだろう。その声に応じてドロルたちは次々に毒の液体を乱射する。勢いが激しくなって俺たちは一度後ろに下がった。
「お前たち、石であいつらの動きを止めてくれ」
「はい、分かりました!」
さっきエルの投げた石でドロルの動きが止まったので、今回も止められるだろう。俺の指示でエルとケーシーは敵全員に石を投げつけ、動きを止めた。
「今だ、叩き潰すぞ!」
近接攻撃ができる俺たちは、ドロルを斬り捨てたり、叩き潰したり、なぎはらったりした。あともう少しだな。
その時、後ろのドロルメイジがもう動きを再開し、毒の液体を俺たちに放った。かわせないと思った俺は、いしのおので液体を弾き返した。ゆきのへも同じようにして攻撃をふせいだ。
「動けるようになったとしても、俺たちに勝てると思うなよ!」
ドロルメイジは他のドロルよりは強そうだが、毒の病原体を持っていた奴よりも小さい。俺はドロルメイジの横にまわり、腹を斬りつけた。
一撃では死なず、ドロルメイジは俺に体当たりをした。俺は少し吹き飛ばされたがいしのおのを持っていたため、奴も深い傷を負った。
「少しは強いみたいだな」
ドロルメイジは俺が起き上がる前に攻撃をしようとしたが、ゲンローワがひのきのぼうで頭を叩きつける。
すると、ドロルメイジは気持ち悪いうめき声をあげて、なんとか俺たちに抵抗しようとしていた。だが、弱っていることは確かだ。奴はゲンローワに至近距離から毒の液体を浴びせようとしたが、俺がその前に頭を叩き斬った。
「ゲンローワに攻撃はさせねえよ!これで終わりだ!ドロルメイジ!」
そして、ゲンローワが離れたことを確認して、俺は回転斬りを放った。強力な攻撃を何発も受けて、ドロルメイジは青い光になった。
「おお、倒したようじゃな!」
「これで町を守り抜けましたね!」
ドロルメイジが倒されたことを確認し、みんなも安堵の声を上げる。だが、メルキドのように何度も襲撃が来ることになるだろう。対策を考えないとな。
みんなが町に戻っていった後、ドロルメイジを倒したところを見ると、見覚えのあるものが置かれていた。
「これは、青色の旅のとびらか?」
同じ色の物がすでに存在しているが、地方が違えば繋がっている場所も違うだろう。俺は旅のとびらを持ち、町に戻っていった。