ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
リムルダールの2回目の防衛戦や、ミノリの救出をした日の夜、俺はまたしても裏切り勇者の記憶の夢を見ていた。勇者の夢を見るのも、これで4度目になる。今日の夢にも、勇者が裏切った理由を示すヒントがあるのだろうか。
勇者は、夢の中で町の中を歩いており、店の前で立ち止まった。
「ここは、武器屋か?」
その店には、さまざまな武器や防具が売られており、勇者はそれを買いに来ているようだった。強い敵に立ち向かうには、装備を整えることも大切だからな。
勇者が来たことに気付き、武器屋の店主は元気よく話しかける。
「いらっしゃい、ここは武器と防具の店だ。どんな用だね?」
「武器を買いに来たんだ。何があるか見せてくれ」
「ふむ、何か買うのだな?どれにするかね?」
勇者に言われ、店主は店で売っている物を紹介し始めた。
「こんぼうは60G、どうのつるぎは180G、てつのおのは560G、かわのふくは70G、くさりかたびらは300G、てつのたては800Gだよ!」
結構いろいろな物が売られてるんだな。てつのおのやくさりかたびらと言った、俺が作ったことのない物もあるし。
この様子だけ見れば、普通の買い物の風景にしか見えないのだが。
しばらく悩んだ後、勇者はてつのおのを指差した。「てつのおのだね?それなら560Gでどうだい?」
560Gか…かなり高そうな値段だが、勇者は買うとうなずいた。
そして、武器屋の店主はてつのおのを勇者に渡し、勇者はお金を払う。
「買ってくれてありがとうな!」
てつのおのを買い、勇者が店を去ろうとしていると、店主は勇者を呼び止めた。
「せっかくだから、ここで装備させてやるよ!」
装備させてもらえるなんてありがたいなと俺は思ったが、勇者は自分で装備すると言って断った。だが、勇者は店主に申し訳ないと思ったのか、自分で装備すると言った。
しかし、店主は困るどころか、むしろ勇者に装備させてあげたいと思っているようだった。
「いいんだよ!アンタには、世界を救う使命があるんだから!」
そこで、店主はこれまでの夢に出てきた人たちと同じようなことを言った。どうやら彼も、勇者を普通の人間ではなく、特別な存在だと思っているようだ。これまでの夢に出てきた人の共通点は勇者を世界を救う使命を持つ特別な存在だと扱っていることだな。そう考えると、自分を普通の人間として扱ってくれない人々に嫌気がさし、竜王の味方に付いた可能性が高いな。
俺は特別扱いされたことはないから勇者の気持ちは分からないが、とても辛かったのかもしれない。
俺がいろいろ思っていると、店主は勇者に失礼なことも言った。
「苦労して作った武器を拾ったお金で買う。そんなのはアンタだけの特権だ」
確かに勇者は魔物が落としたお金を拾って稼いでいるが、魔物退治も立派な仕事のはずだ。
だが、特権という言葉を使っているところからも、勇者を特別扱いしていることが感じられた。さらに、店主は今の発言の失礼な部分だけを打ち消すようなことを言った。
「でも、いいんだ、いいんだよ!アンタには、世界を救う使命があるんだから!」
使命だのなんだの言って、勇者の気持ちはほとんど考えていないな。
そしててつのおのを装備してもらい店を去った後勇者は、誰もいない場所に言って、大声で叫んだ。今度は前よりも強い怒りが込められた声だった。
「クソがっ!オレの気持ちも何もわかっていないクセによっ!」
ここまで追い詰められた状態なら、人間を裏切ることになっても仕方ないのかもな。
勇者が叫んだところで俺の意識は途切れ、目が覚めると朝になっていた。
リムルダールに来て12日目、夢の中で勇者の記憶を見ていたが、目覚めるといつも通りの朝だった。
「今日も旅のとびらの先の探索に行くか」
俺は今日は赤色の旅のとびらの先の探索を続けようと思っていた。昨日は崖の上しか探索できていないからな。奥に進めば新たな病人や素材が見つかるかもしれない。
「行く前に準備しておかないといけないな」
俺が準備のために作業部屋に入ると、心配そうな顔をしているゆきのへがいた。ゆきのへがそんな顔をしているなんて珍しいな。
気になるので、俺はゆきのへに話しかけた。
「心配そうな顔をしてるが、どうしたんだ?」
「メルキドを旅立つ時、ワシの弟子がリムルダールにいると言う話をしただろ?」
そういえば、リムルダールにいる弟子がどうなったか気になるって話をしていたな。
だが、この町にゆきのへの弟子はまだいないな。
「確かに言ってたな。その弟子って言うのは、どんなやつなんだ?」
「ヘイザンっていう女でな。かなりの間離れて暮らしているが、そいつのことが心配でな…」
今知ったが、ゆきのへの弟子って女だったのか。師匠と弟子という関係ではあっただろうが、うらやましいな。
「まだ見つかっていないし、確かに心配だな。生きてるといいんだが」
俺も、彼女が生きているかどうかは分からない。
「無事だといいな。雄也、もし探索の途中で見つけたら連れてきてくれ」
「ああ、もちろんだ」
探索の時は、人がいないか念入りに探すとするか。早くゆきのへの弟子を助けられたらいいな。病気にかかっている可能性もあるし。俺はゆきのへとの話を終えると、いしのおのを持って旅のとびらに入った。
一瞬目の前が真っ白になった後、昨日もいった水没した谷底に移動する。
「今日は崖の下を探査するか」
新しいものが見つかるかもしれないので、俺は濡れるのを覚悟で崖の下を歩き始めた。1メートルほどの水深で、俺の上半身まではつからなかった。谷底には、大きな緑色の葉がある植物がたくさんあり、俺はそれを集めながら歩いて行った。ラフレシアのように変な臭いもないので何かに使えるかもしれないしな。
「あれは、ぐんたいガニか。こんなモンスターもいるんだな」
奥へと進んでいくと大きな赤色のカニのモンスター、ぐんたいガニが生息していた。
「こいつは硬そうだし、防具の素材を落とすかもしれないな」
ぐんたいガニの甲殻はかなり硬そうなので、武器や防具の素材になるかもしれない。モンハンでは、甲殻が装備の素材になることが多いしな。
俺はぐんたいガニの背後に忍び寄り、いしのおのに力をため、比較的もろそうな脚を切り裂いた。
「回転斬り!」
ぐんたいガニはかなりの傷を負ったが死なず、俺にハサミで反撃してきた。
「やっぱり結構硬いな」
反撃のスピードはかなり早かったが、そこまでの力はなく、俺はぐんたいガニの攻撃を弾き返した。
そして、ぐんたいガニの頭に、いしのおのを叩きつけた。頭を割られてさすがに耐えきらなかったのか、ぐんたいガニは青い光になった。
「そんなに強くなかったな。何を落としたんだ?」
俺がぐんたいガニを倒したところを見ると、脚の爪が落ちていた。装備に使えるかは分からないが、中に身が詰まっているため、加熱すれば食べられそうだ。
「ミノリに食べさせればいいかもな」
かなり栄養がありそうなので、飢餓の病に苦しむミノリに食べさせるか。
俺はぐんたいガニの爪を拾って先に進んでいき、昨日崖の上から見た水没した密林にたどり着いた。その密林では、水の中からはえているヤシの木や、オオオニバスのような巨大な水に浮かぶ植物があった。
「この浮いているやつを取ってみるか」
俺は、オオオニバスのような植物をいしのおので刈り取った。しかし、アイテムにはならず消滅してしまった。
「ん?攻撃すると消えるのか。上に乗ったりしたら楽しそうなんだけどな」
もしリムルダールの町の周辺の毒沼を浄化できたら浮かべてみようかと思ったが、無理なようだ。
他に何かないかと探していると、奇妙な物を発見した。
「なんだあれ?じんめんじゅが白い岩を守っている?」
木のモンスターであるじんめんじゅ2体が、白い岩で作られた墓のような物を守っていたのだ。
誰の墓かは分からないが、何故じんめんじゅが守っているのだろうか。少し気になったが、特に何もなさそうなので、通りすぎることにした。
だが、その時だった
「たす…けて」
その白い岩でできた墓の中から女の人の声が聞こえたのだ。もしかして、死者を埋めているのではなく、生き埋めになっているのか!?それなら、じんめんじゅが守っているのも納得がいくな。
「生きた人が埋められているのか。助けないとな」
早く出してあげなければ、本当に死んでしまう。俺はじんめんじゅに向かっていしのおのを降り下ろす。木に斧は相性がいいのか、じんめんじゅを深く切り裂くことが出来た。
そして、そのまま俺はじんめんじゅの体を引き裂いた。
「あとはもう一体だな」
もう一体のじんめんじゅは仲間が倒されて怒り、俺を枝で叩きつけてくる。これはさっきのぐんたいガニの攻撃とは逆で、スピードは遅いが威力が高かった。
俺がいしのおので受け止めると、腕がかなり痛む。
「くっ!結構強いな」
俺は痛みに耐えながらいしのおのを降りかざし、じんめんじゅの顔に突き刺す。目を斬られて俺のことが見えなくなったようで、じんめんじゅはいしのおのが突き刺さった状態で暴れ出す。
俺はその瞬間に、右腕に力をためて、回転斬りを放った。
「これで終わりだ!」
俺はじんめんじゅを体内から斬り、苦しむ奴にとどめをさした。
「2体とも倒せたか。早く捕まっている人を助けないとな」
敵がいなくなったので、俺は白い岩を壊して、中を見てみる。そこには、痩せ細った美女が倒れていた。彼女は俺に気づいて話しかけてくる。
「ワタシは…ヘイザン…ここをさまよっていたらじんめんじゅに捕まってな…」
ヘイザン?もしかしてこの人がゆきのへの言っていた弟子か?かなり弱っているようだが、病気なのだろうか。
「大丈夫なのか?」
「ワタシ…お腹減りすぎて変にな…る…」
お腹が減っているってことは、ヘイザンも飢餓の病なのかもしれない。どちらにしろ、放っておくことはできないので俺はキメラのつばさを使い町に帰還した。
まずはエルに見てもらわないとな。俺は病室にいるエルに、ヘイザンを見せに言った。
「エル、ヘイザンっていう新しい人を見つけたんだが、病気かもしれない」
「新しい患者様ですね。私が診察するので、雄也様は待っていて下さい」
俺がヘイザンをベッドに寝かせるとエルはすぐに診察を始める。
俺はエルが診察をしている間に、ゆきのへにヘイザンのことを教えに行った。
「ゆきのへ、あんたの弟子を見つけて連れてきたぞ」
「本当か!?どこにいるんだ?」
作業をしていたゆきのへは、とても驚いた表情をする。
早く弟子であるヘイザンに会いたいようだ。
「病気の可能性があるから、エルに見てもらっている」
病気の話をすると、ゆきのへはまた心配そうな表情に戻る。
「そうなのか…だが、必ず助けてくれよ。大切な弟子だからな」
もちろん助けるつもりだ。飢餓の病なら、治療方法も分かっている。
「分かってる。ヘイザンも他の患者たちも必ず助ける」
そう返事をすると、ゆきのへは少し安心した表情に変わる。
そろそろ診察も終わっただろうから、俺は病室に戻った。
「エル、ヘイザンはどうだったんだ」
中に入ると、診察は終わっているようなので、俺はその結果を聞いた。
「ヘイザン様は、ミノリ様と同じ飢餓の病のようです。ヘイザン様も、栄養価の高い食事を与えれば治るはずです」
やっぱり飢餓の病だったのか。栄養価の高い食事というのはどのくらいの物なのかは分からないが、かなりの食材が必要になるかもしれないな。
俺たちはその日、ミノリにカニを、ヘイザンにイワシを食べさせた。少しは元気になったが、回復にはまだまだ食事が必要なようだった。