ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
ウドラーを倒した時に聞こえた声はなんだったんだ?俺はそんなことを考えながら町に戻った。
何者かがこの地に希望が振り撒かれていることに怒っているようだが、誰の声なんだろうな。
「少なくとも、ヘルコンドルではなさそうだな」
ヘルコンドルが喋るとは思いにくいし、仮に喋れたとしてもすでに希望を振り撒く存在、ビルダーがいること、それが俺であることはすでに気づいているはずなので、あんなことは言わないはずだ。
あれはもっと恐ろしい存在の声のように思える。そいつとも、いつか戦うことになるんだろうか。
俺は少し不安になったが、今すぐに戦うことにはならないだろう。それに、今はそれより大事なことがある。
「気になるけど、今はあの3人を治すことに集中しないとな」
俺は、未だに病気の治らない3人の様子を見に行った。病室では、なんとしても諦めたくないと言っているエルがなんとか希望を持ち続けながら、彼らの看病をしている。
「エル、そいつらの様子はどうだ?」
「私が何をしても、病状は悪くなっていくばかりです。雄也様、今日は戦いもありましたし、休んで明日また考えましょう」
確かに休んだほうが疲れがとれていい発想も浮かぶかもしれない。だが、俺が病人たちの様子を見たところ、皮膚がくさったしたいのような色になっていて、まともな言葉を発することもできなくなっていた。また、魔物の気配がさらに強くなり、本当に人間だと思えない状態にまでなっていた。
もう、時間がない気がする。俺の推測が正しければ、今日の夜くらいに3人は魔物に変異するだろう。それまでに治療法を見つけなければ、3人を殺すしか方法がなくなる。
俺はエルに、病人たちが魔物になってしまうことを伝えた。単なる推測ではなく、ほぼ確実なことだからな。
「いや、休んでいる時間はない。こいつらはもうすぐ、早ければ今日にでも魔物になってしまう」
「魔物に?そうなったらどうなるのですか?」
「もう諦める···殺すしかなくなる」
魔物になれば、何をしても戻すことは出来ないだろうし、俺たちを攻撃してくるはずだ。
「そんなことにはしたくありません···雄也様、必ず患者様を救う方法を見つけ出してくださいね」
エルもそんなことには絶対にしたくはないようだ。当たり前だ、これまで必死に看病してきたんだからな。
ゲームでは殺すしかなくなるのかもしれないが、現実ではゲームにないアイテムも作れるはずだ。あと数時間は猶予があるだろうから、その間に薬を作らないといけない。
「ああ、もちろんだ!」
俺はエルの言葉に、そう返事をした。これは人の命がかかっているからな。責任重大だが、必ず救ってやらないとな。
俺はその薬の作り方を考えるために、一人で寝室に戻った。今回は旅のとびらも手に入っていないし、ゆっくり考える時間がある。
「あいつらを治すためには、魔の力を浄化する必要があるはずだな」
3人を蝕んでいる病原体は不明だが、魔の力を浄化することができれば、治すことができるはずだ。
俺はその日の夕方まで考えて、その薬の素材を思い付いた。
「銀と、薬草あたりが必要だな」
銀は昔から毒を消し去ると言われているので、その力で魔の力を清める。それと、薬草で体の抵抗力を高めて、魔の力を自分の力で消し去る必要もあると思う。
俺は、それらの素材を使った薬を思い浮かべる。浄化の力を持つ、光り輝く薬だ。
そして、一つのある薬の作り方が頭の中に浮かんでくる。
浄化の霊薬···きれいな水1個、銀3個、くすりの葉3個 調合ツボ
浄化の霊薬か···霊薬というのは、不思議な効き目がある薬という意味だったはずだ。
これなら、あの3人の禍々しい病も治すことができるな。それと、今分かったがいつも薬草と呼んでいた緑色の葉は、くすりの葉というのが正式名称なのか。
銀とくすりの葉はどちらも持ってはいるが、数が足りなかった。一つに3個ずつ使うので、三人分だと9個ずつ必要なことになる。普通の薬のように、一度に3つできたりすることもないだろう。
「今すぐ取りにいくか」
もう夕方だったが、俺は患者を救うため、まず水飲み場できれいな水を3回汲んだ後、くすりの葉を取りに行った。くすりの葉はリムルダールに来てすぐのころに何度も登り降りしていた町の東の崖の上にある。
「この崖を登るのも久しぶりだな」
俺はその崖をつたで上っていき、くすりの葉を探した。くすりの葉は数があまり多くはないが、10個以上はある。
「早く集めないとな」
俺はリリパットに見つからないようにして、くすりの葉を集めていく。急いで集めたいが、敵に見つかったら戦わないといけないし、隠れたほうがいいだろう。
くすりの葉が必要な数集まった時、もう日が暮れる時間だった。
「あとは銀だな」
俺は町に戻った後、すぐに赤の旅のとびらに入り、銀を取りに行った。この近くの崖に銀が埋まっていたはずだ。
まわりはもう暗いので、俺はたいまつで辺りを照らしながら、銀を探した。
俺は慎重に崖を歩いていき、多くの銀が埋まっている鉱脈を見つけることができた。
「これで銀も集まるな。これであの3人を助けられる」
俺はてつのおのを銀の鉱脈に叩きつけ、たくさんの銀を採掘した。
「てつのおので叩いているのに、結構固いな」
地球では銀は鉄より柔らかいのだが、この世界では銀のほうが固いようだ。そんな固いものを薬に出来るのか心配になったが、ビルダーの魔法の力があればなんとかできるだろう。
「これで浄化の霊薬が作れるはずだな」
空は真っ暗になっていて前が見えにくかったが、なんとか崖を降りて旅のとびらに入っていった。
町に戻ると、そこはただならぬ気配で覆われていた。そして、エルが俺を見つけて駆けつけてくる。
「雄也様、大変なのです!患者様の、患者様の様子が···」
やはり患者達に異常があったか···俺の推測は正しかったようだ。
「分かった。とりあえず、患者達の様子を見に行こう」
俺とエルは病室に急ぐ。中ではゲンローワも3人の様子を見ていて、もうダメだというような顔をしている。
そして、その3人は起き上がり、わけの分からない言葉を発している。
「おおお!もうスッカリ、よくなったゼ!···モウ、スッカリ!アハハハハ、アヒャヒャヒャヒャ!」
「あはは!僕はついに目が覚めましたよ!あはははは!」
「ああ、どうすればいい?どうすればいいかな?全身をイモムシがはいずり回って取っても取っても取れないんだ···」
魔物に変異する寸前といったところか。これは早くしないとまずいな。
「今すぐ薬を作ってくる!待っててくれ!」
俺は調合室に向かって全速力で走る。そして、すぐに浄化の霊薬を作り始める。きれいな水と銀とくすりの葉が合わさり、俺が想像したような光り輝く薬が出来上がる。
「これが浄化の霊薬か···これであいつらを助けられる」
俺は3つの浄化の霊薬を持ち、再び病室へ向かった。やはり浄化の霊薬は、一度に一個しか出来なかった。
病室では、エルが患者たちに必死に声をかけている。しかし、その声は全く届いていない。
「みなさま!しっかり、しっかりしてください!」
「える···れる···れる···」
「ウルス様の言っていた通りでした。うたがった僕がマチガッテいたんデス!」
「きもち···いい···かゆい、かゆい、きもちいい、かゆい···うひ、うへ」
だが、これで助けることができる。俺はエルとゲンローワに一つずつ浄化の霊薬を渡した。
「これを飲ませるんだ!そうすれば助かるはずだ」
俺はエディに、エルはケンに、ゲンローワはイルマに浄化の霊薬を飲ませる。すると、3人を包む魔物の気配は消えていき、落ち着いて眠りについた。
「これで、治ったのですね?」
魔物の気配は消えたものの、エルは心配して聞いてくる。
「今は落ち着いているようじゃ。雄也の作ってくれた薬のおかげじゃろう。もうしばらくしたら、回復するはずじゃ」
俺も少し不安だったが、ゲンローワの話を聞いて安心することができた。エルも同じく、安心の表情をする。
「ありがとうございます、雄也様。おかげで患者様を助けられました!本当に、感謝しています」
この3人に必ず助けてやると言ったし、ザッコにも友達を助けると約束した。言葉には責任があるとよく言われるから、本当に救うことができてよかった。
「さっき、もちろんだって返事をしたからな」
そして、俺たちは安心して眠りにつくことができた。