ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
リムルダールに来て17日目の朝、俺が朝起きると、ゲンローワに調合室に呼ばれた。今日も何か大切な話があるのだろうか。
「どうしたんだ、ゲンローワ?」
「お主が大弓を作っていた間にウルスの手がかりを解読し終えての、それを教えておこうと思ったのじゃ」
ウルスからもらったメモの内容がもう解読できたのか。役に立つ情報が書かれていればいいんだけどな。
「それで、何が書いてあったんだ?」
「ウルスは以前、世界樹と呼ばれる樹に関心を持っておったようじゃ」
そう言えばウルスはマッドウルスになる直前に、世界樹を探せと言っていてメモを渡してきた。その世界樹とやらに、全ての病を克服する手がかりがあるってことだな。
「かつて聖なるほこらがあった地。そこに立つという生命の樹···世界樹か···」
聖なるほこらと言うのは、ドラクエ1で虹のしずくが手に入った場所で、リムルダールからそんなに離れていないはずだ。新しい旅のとびらが手に入れば世界樹にたどり着けるかもしれないな。
だが、ゲンローワは手がかりが見つかったにも関わらず、病に抗うことを諦めているようだ。
「しかしのう、雄也。病と闘ってももう無駄なのではないか?」
せっかくゲンローワは薬の開発に協力するようになったのに、ウルスのことがあってから逆戻りだな。
「俺はそうは思わないけどな。病と闘ったからこそ、リムルダールは復興してきているんだ」
「じゃが、これ以上無用な悲劇を生まぬためにも、やはりわしは、もうここまでにするべきだと思うのじゃ」
ゲンローワも色々悩んでいることがあるのだろう。しかし、メルキドのロッシにも似たようなことを言ったが、俺は決して病と闘うことをやめるつもりはない。
俺はゲンローワと話を終えて、病室から出た。
「今日はエディたちが起きてるかもしれないな」
3人は昨日はまだ眠っていたが、今日こそは起きているかもしれないので、俺は病室に向かっていった。
病室に入ると、エルがとても嬉しい顔をしていて、俺に話しかけてきた。
「雄也様、エディ様達が動けるようになったのです!」
やっぱりそのことで喜んでいたのか。ベッドを見ると、3人の姿はなく、外に出ていったのだろう。後であいさつをしないとな。
「一時はどうなるかと思ったけど、ついに完治したんだな」
「はい! 雄也様、改めて言いますが、本当にありがとうございました!」
あの時浄化の霊薬を閃いていなければ、今ごろこの3人は死んでいただろう。ビルダーの力があってこそだけど、俺にも人の命を救うことができるとはな。
「ああ、これからどんな病があっても、一緒に治していこう」
「もちろんです、雄也様!」
俺とエルは、ゲンローワと違って諦める気は全くなかった。ー
「でも、今はあの3人が治ったことを喜ぶべきだな」
エルにそう言った後、俺は病室を出て3人にあいさつをしに行く。3人は、町の中心に立つ希望のはたのところにいた。
3人は、俺が話しかける前に俺に気付き、走ってくる。
「お前、オレたちを助けてくれた人だな?」
「そうだ。俺は影山雄也。いつもは雄也って呼んでくれればいい」
俺は、先に話しかけてきたエディとほかの二人に、いつもの自己紹介をする。
「やっぱりそうだったか。オレ、全身がかゆくて、もうダメなのかと思ったぜ。雄也、本当にありがとな」
「僕も、頭が割れそうなほど痛くて、死ぬかと思ったんです」
「雄也さん、助かった。おかげでザッコを悲しませずにすんだぜ」
3人は俺に、それぞれの感謝の言葉を言ってきた。生きて話をしているところを見ると、本当に助けられてよかった。
「お前たちやザッコに必ず助けるって約束したからな」
3人は病気が治ったことを喜びながら、町のいろいろな建物を見回りに言った。
これで町の人口も13人になるな。これで魔物も、かなり追い詰められたはずだ。
そんなことを考えていると、これまで3回聞いたことのある鳥の羽音が、またしても俺の耳に聞こえてきた。
「もしかして、またヘルコンドルか!?」
空を見上げると、この町に向かってヘルコンドルが飛んでくるのが見えた。せっかくあの3人が治って喜んでいたと言うのにな。俺はみんなに、ヘルコンドルが来ることを伝えた。
「みんな、またしてもヘルコンドルが迫ってくるぞ!」
今は大弓があるし、空中のヘルコンドルに対抗することができる。もしかしたら奴も全力でかかってくるかもしれない。
「またしても魔物が来たというのですか!?なんとか魔物を追い払って、新しい患者様をお連れしなければ」
最初にエルがそう言って病室から出てきて、次々にみんなも集まってくる。
「魔物を倒して、わしらの町を守り抜こうぞ!」
病と戦うことを諦めると言っていたゲンローワも、町を壊される訳にはいかないので、てつのつるぎを持って走ってきた。
みんなはまだヘルコンドル本体と戦うとは思っていないようだ。
ピリンとノリンとヘイザンを除く10人が集まったのを見て、俺はヘルコンドルをうち落とす作戦を伝える。
「今回は魔物ではなくヘルコンドル本体と戦うことになるかもしれない。エル、ケーシー、ザッコ、ケン、イルマは大弓でヘルコンドルを撃ち落としてくれ」
いつも遠距離から石で攻撃している3人と、ケンとイルマが大弓で攻撃し、落ちたところを俺たちで攻撃する。それが俺の考えた作戦だった。
「そして、落ちたところを俺、ゆきのへ、ゲンローワ、ミノリ、エディで攻撃する。うまくいけば、今日でリムルダールの空を晴らせるかもしれない」
「でも、オレは武器を持ってねえぞ」
エディは兵士の格好をしているので、剣を使って戦えるだろう。俺は昨日自分とエディの分の2つてつのつるぎを作っておいた。
「このてつのつるぎを使え」
これなら俺は二刀流で戦えるし、エディもヘルコンドルに攻撃できる。
「ついにリムルダールの空を晴らせるかもしれないのですね、みなさん、がんばりましょう」
エルの声で、みんなが配置についた。ヘルコンドルはもう、目前に迫ってきている。
エルたち5人は、一斉にヘルコンドルに向けて鉄の矢を発射する。だが、ヘルコンドルはそれをかわしながら、手下の魔物を呼ぼうとした。
「ここで逃がしはしません!」
「あたいが撃ち落として見せるよ!」
しかし、ヘルコンドルもさすがに5台の大弓から同時に放たれる矢を避け続けることは出来ず、エルとケーシーが放った矢が体に刺さった。
それでもヘルコンドルは落ちず、手下の魔物を召喚し、逃げかえっていった。
「くそっ、逃げられたか!」
ヘルコンドルを逃がしてしまい、俺やみんなは悔しい表情をする。俺は今すぐにでも追いかけたいが、奴の呼び出した魔物を倒さないといけない。
この町に、大量のくさったしたいと隊長と思われるくさったしたいの色違い、リビングデッドが迫ってきていた。
「ゾンビの魔物だらけだな」
今日がリムルダールの最終決戦の日だと思っていたが、まだ4回目の防衛戦に過ぎなかった。
エルたちは、ヘルコンドルを逃がしてしまった悔しさをぶつけるように、くさったしたいたちに鉄の矢を放っていく。くさったしたいの体に穴が空いたが、倒れることはなくどんどん町に近づいてくる。
それでも何発か当てれば、くさったしたいは青い光を放って消えた。
「この町には近づかせないべ!」
「おれもあいつらを倒すぞ」
「僕たちの町を壊させはしない」
さっきはヘルコンドルに矢を当てることができなかったケン、イルマ、ザッコもくさったしたいを撃ち抜いていく。
だが、敵の数が多すぎて何体かには町のすぐそばまで近寄らせてしまった。
「俺たちは町に近づいた奴を倒すぞ」
そいつらは、剣や斧を持っている俺たちで倒さないといけない。大弓は真下に打つことはできないからな。
「俺たちに勝てると思うなよ」
俺は殴りかかってくる大量のくさったしたいを、二刀流で斬り刻んでいく。
てつのつるぎとてつのおのの二本を持っていれば、多くの敵に囲まれても対応することができた。
みんなもくさったしたいには慣れてきているのか、ゆきのへやゲンローワも攻撃を見切っていた。
「それくらいでワシにはかなわないぜ」
「お主らごときには負けぬのじゃ」
強力な攻撃で、次々にくさったしたいを倒していく。だが、今俺たちが倒した奴等は前衛で、後ろにはまだたくさんのくさったしたいがいる。
「まだたくさんいるな。このままだと鉄の矢がなくなるぞ」
後ろにいる敵は、エルたちが鉄の矢で攻撃しているが、鉄の矢は50本しかない。大量に使ったので、残り少ないはずだ。
間違いなく強力であろう隊長のリビングデッドに向けて使ったほうがいいな。
「エル!そっちは隊長のリビングデッドを攻撃してくれ!手下のくさったしたいは俺たちが倒す」
俺が指示を出しているその途中にも、大量のくさったしたいがこちらに迫ってくる。
俺は武器を構えて、くさったしたいの群れに斬りかかっていった。
今度は、残りの40~50体くらいのくさったしたいが一斉に襲いかかってくる。俺はそいつらが来るのを待って力をため、解き放つ。
「回転斬り!」
くさったしたいは倒しにくいが、二刀流で回転斬りを放つと胴体が真っ二つになり、すぐに倒すことができる。
だが、囲まれた時は力をためる時間がないので、普通の攻撃で倒していくしかない。
「かなり数が多いな。でも、一体はそんなに強くない」
俺たちにくさったしたいは次々に攻撃してくるが、俺はてつのおので防ぎながら、てつのつるぎで斬り裂いていった。
他のみんなは少し体を殴られながらも、多くのくさったしたいを倒し、敵は残り少なくなってきていた。
「あと少しだな、このまま全員倒すぞ!」
だが、そこで大変なことが起きた。隊長のリビングデッドを狙っていた矢が、飛んでこなくなったのだ。
リビングデッドはかなりダメージを受けていたが、それでも余裕で動ける状態で、俺たちに近づいてきていた。
「雄也様、大弓の矢がなくなりました!」
やっぱり50本では足りなかったか。
「グギャアアーーー!」
リビングデッドは鉄の矢を撃たれた仕返しに、叫び声を上げながらエルがいる作業部屋の屋根に毒の液体を放った。
巨大ドロルも毒の液体を放っていたが、それの何倍も高い威力だ。
エルは離れた場所にいたためすぐにかわすことができたが、近くにいる俺たちなら食らってしまうかもしれない。
早めに倒さないとまずいな。
「俺は隊長を倒す!残った手下を倒してくれ」
ゆきのへたちにそう言い、俺はリビングデッドに近づいていった。
リビングデッドはすぐに俺に気づいて殴りかかる。
「ギョアーーー!」
リビングデッドは気持ち悪い声をあげるが、俺は怯まずにてつのおので斬りつける。
だが、リビングデッドは、すぐにもう片方の腕で俺の腹を殴った。
「くっ!かなり力も強いな」
俺は1メートルくらい後ろに突き飛ばされる。体に激痛が走るが、すぐに立ち上がり、武器を構えた。
リビングデッドはすぐに近づいてくるかと思ったが、逆に離れていった。
「これは、毒の液体を飛ばしてくるな」
毒の液体はすぐ近くにいる敵に放つと自分もダメージを受けてしまうので、離れて撃たないといけない。
俺はかわして、回転斬りを使おうと思い、攻撃を放つ瞬間にかわし、力をためた。
そして、リビングデッドが俺を殴りつける前に、俺は剣と斧を一回転させる。
「喰らえ、回転斬り!」
リビングデッドはそれでも倒れなかったが、体に大きな傷をつけられ、かなりのダメージを負った。
「まだ倒れないのか」
再びリビングデッドは俺を両腕で殴ろうとしてくる。普通のくさったしたいより動きが速いので、背後に回ることもできなかった。
「両腕の動きを止めて、そこで攻撃するか」
俺はてつのつるぎだけで両腕の攻撃を受け止め、一瞬の隙にてつのおので斬り裂くことにした。
しかし、素早い攻撃を片手で受け止めるのはかなりきつく、リビングデッドの強烈なパンチで俺のてつのつるぎを吹き飛ばされてしまった。
「くそっ、もう少しで倒せるのによ!」
俺は一度リビングデッドから距離を取った。どうすればいいかと考えていると、くさったしたいを倒し終えたエディがリビングデッドの前に駆けつけてきた。
「雄也!オレも手伝うぜ」
エディは素早い攻撃をなんとかてつのつるぎで防いでいる。そこに、ゆきのへ、ゲンローワ、ミノリも現れ、4人でリビングデッドを取り囲んだ。
「ウギョアーーーー!」
リビングデッドは追い詰められて怒り狂い、4人にひたすら殴りかかる。その怒りは、メルキドで戦った隊長のあくまのきしのようだった。
だが、4人に囲まれては対応しきれず、次々に斬り裂かれていく。そして、死にかけになったところで、俺はみんなに離れるようにいった。
「みんな、離れてくれ!回転斬りでとどめをさす!」
4人が離れたところで俺は回転斬りを、リビングデッドはパンチを繰り出す。
スピードはギリギリ俺の回転斬りのほうが早かったようで、リビングデッドの体をなぎはらって、青い光に変えた。
「なんとか倒せたか。ギリギリだったな···」
倒すことはできたが、リビングデッドにあんなに苦戦するとは思っていなかった。これだとさらに強力な装備が必要に思えるな。
そんなことを考えて町に戻っていると、再び何者かの恐ろしい声が聞こえた。
「ダレダ、ダレダ。ダレカガココニ、キボウヲフリマイテイル···オマエカ···オマエカ···オマエダナアアアアー!」
それは、この前より強い怒りが込められている声だった。