ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode44 倒れた聖職者

4回目の防衛戦でリビングデッドを倒したところを見ると、緑色の旅のとびらが落ちていた。メルキドでも旅のとびらは3色だったし、これで最後だろう。

 

「緑色の旅のとびらか。今度はどんな場所に行けるんだろうな?」

 

だが、俺にはそれ以上に気になることがあった。リビングデッドを倒した瞬間に聞こえたあの声は何だったんだ?確か、3回目の防衛戦でウドラーを倒した時も聞こえたはずだ。

 

「今更俺の存在に気づいたみたいだし、やっぱりヘルコンドルではないな」

 

お前だなと言っていることから、今ビルダーである俺の存在に気づいたはずだ。

いろいろ考えたが、誰の声なのかは分からなかった。

どうしても気になるが、今はヘルコンドルやマッドウルスに対抗することを考えないといけないな。

 

「ゆきのへやヘイザンに武器のことを聞いてくるか」

 

俺は、作業部屋にいる鍛冶屋の二人にさらに強力な武器の作り方を聞きにいった。リムルダールでは神鉄炉は作れないけど、鋼鉄製の武器に変わるものが作れたらいいな。

 

「ゆきのへ、ヘイザン、ちょっと相談があるんだ」

 

俺が作業部屋に入ると、ヘイザンだけしかいなかった。

 

「親方は別の部屋にいるけど、ワタシに何か用か?」

 

ゆきのへにも聞きたかったが、ヘイザンも十分金属について詳しいだろう。

「鉄の武器より強い武器の作り方を知らないか?ここには炉がないから鋼は作れないが、今の武器だとこの先厳しいんだ」

 

リビングデッドでさえあの強さだったからな、親玉のヘルコンドルはさらに強いはずだ。

 

「それなら、銀で武器を作るのはどうだ?昔、銀を加工する方法を親方から教わったんだ」

 

銀か···この世界の銀は鉄よりも固いから、強い武器が作れるかもしれないな。だが、浄化の霊薬を作るのに銀を使ってしまい、俺は銀を持っていなかった。取りに行ってこないといけないな。

 

「でも今は銀を持っていないぞ。これから取りに行ってくるから、待っててくれ」

 

「分かった。銀を持ってきたら加工の方法を教えるぞ」

 

俺は銀を取りに、旅のとびらに向かった。緑色の旅のとびらの先に行ってみたいけど、銀があるか分からないな。

 

「タルバのクイズもあるかもしれないし、密林の方に行くか」

 

これまで2ヶ所にタルバのクイズがあったので、赤の旅のとびらの先にもあるかもしれない。

クイズを探すのもついでに、俺は赤の旅のとびらへと入った。

旅のとびらを抜けると、いつも通り水没した密林に出る。最初は水に濡れるのが嫌だったが、今はもう慣れてきた。

 

「まだ行ったことがない場所もあるし、そこも探索してみるか」

 

俺は赤の旅のとびらの先はほとんど調べているが、農業の記録があった宮殿の後ろの崖の上には登ったことがなかった。

崖には銀が埋まっているはずだし、そこに向かうか。

俺は密林の中を歩いて30分くらいたって、いのちのきのみがあった遺跡にたどり着いた。

 

「ここからさらに歩かないといけないんだよな」

 

水の中を歩いてきたので足が余計に疲れる。俺はその遺跡ですこし休んだ後、農業の記録があったタルバの宮殿に歩き始める。

 

「せっかくだからな。さびた金属も集めていくか」

 

鉄製の武器より強いものが作れるようになるとは言え、さびた金属はいつ必要になるか分からない。

俺はしりょうやしりょうのきしをてつのおので叩き斬って、さびた金属を集めながら、宮殿に向かった。

 

「そろそろ着くはずだな」

 

最初の遺跡から500メートルくらい歩いて、ようやくタルバの宮殿にたどり着く。

ここから後ろの崖に登らないといけない。俺は宮殿の後ろにいき、そこから崖を登った。

崖の上は、旅のとびらを抜けてすぐのところにある崖と同じで、小麦が生えていたり、土ブロックに擬態するモンスターがいたりした。

 

「崖の上はほとんど同じだな。少し降りて、銀を集めながら反対側に向かうか」

 

俺は銀の鉱脈があるところまで降り、採掘しながら進んでいく。宮殿の反対側に着くまでに、30個くらい金属が集まった。

そして、宮殿の反対側には、町の近くほどではないが大きな毒沼と、クイズがあると思われる青い城の壁で作られた建物があった。

 

「やっぱりここにもクイズがあったか。今回も何か手に入るかもしれないし、やってみるか」

 

俺は崖を降りて、クイズの建物に向かった。少し毒沼を埋め立てて進んで行くと、すぐにたどり着くことが出来た。

その建物の中には案の定、クイズが書かれた石碑があり、その後ろにはメルキドシールドの減量であるゴーレム岩が置かれている。

 

「今度はなんのクイズなんだろうな?」

 

俺は、その石碑に書かれている文章を読んだ。

 

私は探求者タルバ。知識あるものよ、そなたの輝きをここに示すがよい。目の前の石は時を刻みし石。今、時は朝と昼の間であり、夜の中心である。その時を、昼と夕の間であり、夜と朝の間にせよ。

 

俺は最初は意味が分からなかったが、目の前のゴーレム岩は、時計の針のような形になっていて、9時を指していた。

石碑に書いてある朝と昼の間というのは、午前9時のことで、夜の中心と言うのは、午後9時のことだろう。

 

「このゴーレム岩の向きを変えればいいのか?」

 

問題の昼と夜の間というのは午後3時、夜と朝の間と言うのは午前3時のことだろうか。

俺は、9時の方向を指していたゴーレム岩をてつのおので壊し、3時の方向におき直した。すると、建物の中にあった2つの宝箱から光があふれて、封印が解除された。

 

「3時であってたのか。今回は何が入ってるんだ?」

俺はまず、左側の宝箱を開けた。そこには、ドムドーラのピラミッドに置かれていた、火をふく石像が入っていた。

 

「これは、火をふく石像だな。リムルダールにもあるのか」

 

強力な兵器だが、リムルダールでは鋼の守りは作れないな。それでも、ヘルコンドルの配下の魔物を倒すのには役立つだろう。

火をふく石像を手に入れた後、次は右の宝箱を開けた。すると、赤一色のブロックが入っていた。

 

「またしても変なブロックが入ってるな。本当になんなんだ?」

 

これまでのクイズでも、一色に染まっているブロックを手に入れた。これらを集めると何かあるのだろうか。

俺は火をふく石像と赤いブロックをポーチに入れて、キメラのつばさで町に帰還した。

「さっそくヘイザンに銀を見せてこないとな」

 

俺は希望のはたの台座に着地すると、ヘイザンのいるはずの作業部屋に向かう。だが、作業部屋にはおらず、調合室にゆきのへと二人でいた。

 

「ヘイザン、銀を集めてきたぞ」

 

「すばらしい!では、銀の加工の方法を教えるぞ」

 

「お前たち、何の話をしているんだ?」

 

俺とヘイザンが急に話し始めたので、ゆきのへはそのことが気になったようで聞いた。

 

「以前親方から教えてもらった銀の加工の方法を、雄也に言おうと思ってたんだ」

 

「そういうことか、ならワシも強力するぜ」

 

ヘイザンの話を聞き、ゆきのへも銀の加工の方法の説明を始めた。

 

「銀は固くて強いけど、こんなカッチコチじゃ、武器を作るのは難しそうだろ?」

 

確かに、仕立て台では銀を加工するのは難しそうだな。

 

「だからな、銀を一度液体にして加工しやすくするんだ。雄也、ドロルの落とす液体はあるか?」

 

ドロルの落とすねばつく液体を使えば銀が液体になるってことか?よく分からないが、ゆきのへは銀を調合ツボに入れた。

 

「銀の上にねばつく液体を垂らすんだ。そうしたら銀が反応を起こして、液体になる」

 

化学反応みたいなものか。ねばつく液体は地球にはない物質だし、そんな性質があってもおかしくはないな。

俺は、ねばつく液体を取りだし、銀にかける。すると、銀はだんだん溶けていき、液体になった。

 

「これで銀が液体になっただろ。」

 

ポーチには液体になった物もしまえるので、俺は液体の銀を入れた。

銀の加工の方法を教えた後は、二人は銀で作れる武器のことを話し始めた。

 

「銀では、はやぶさのけんやぎんのおのと言った武器が作れるぜ。鉄の武器より強力な奴だ」

 

はやぶさのけんは、確か一度に二回攻撃できるかなり強力な武器だったな。まだアレフガルド復興の第2章だと言うのに、もうそんな武器が作れるとはな。ぎんのおのは、ウォーハンマーくらいの強さがありそうだし、そっちも使えそうだ。

俺は、その三つの作り方を調べた。

はやぶさのけん···液体銀1個、さびた金属1個、銀1個 仕立て台

てつのおの···液体銀1個、さびた金属1個、木材1個 仕立て台

聖なるナイフ···液体銀1個 木の作業台

剣と斧はさびた金属がいるのか、さっき集めておいて良かったな。はやぶさのけんを作るのに必要な金も、1つは持っている。

 

「それと、くさりかたびらやみかがみのたても作れるぞ」

 

ヘイザンは、防具の作り方を教えてくれた。俺は防具は装備するのは嫌いだが、一応作り方を調べておこう。

くさりかたびら···液体銀3個、リカントの毛皮2個、ひも1個 仕立て台

みかがみのたて···液体銀10個、青い秘石1個、木材1個 仕立て台

どっちもかなり作るのは難しいし、よく分からない素材もある。青い秘石はまほうつかいが落とした青色の宝石のことだろうけど、リカントの毛皮って何だ?リカントを倒しても、普通の毛皮を落としたはずだ。

まあ、防具は装備しないし、別にいいか。

 

「二人ともありがとうな。さっそく液体銀で武器を作ってくる」

 

俺は二人の説明を聞いた後、仕立て部屋に入り、俺の分のぎんのおのとはやぶさのけんを作った。明日はみんなの分も作るために金を集めないといけないな。緑の旅のとびらの先にあるといいが。

その日、もうすぐ夜になる時間になっていたので、俺たちは明日からの緑の旅のとびらの先の探査に備えて、眠りについた。

 

翌日、リムルダールに来て18日目の朝、俺は少し早く目が覚めてしまった。

 

「今日は緑の旅のとびらの先に行くか」

 

俺は探索の準備をするために寝室から出て、作業部屋に向かった。だが、部屋から出ると、エルが外で倒れていた。

 

「エル!?どうしたんだ?」

 

何が起きているのか分からず、俺はエルに慌てて声をかけた。そこで気づいたが、エルは禍々しいオーラをまとっていた。それも、エディたちとは違う、とてつもなく強いものだった。

 

「このオーラは、マッドウルスと同じだ」

 

ウルスがマッドウルスに変わった時も、このくらい強いオーラを放っていたな。

発生の原因は分からないが、恐らくはヘルコンドルやマッドウルスの仕業だろう。

エルは、俺の声に気付き、なんとか話しかけてくる。

 

「ああ、雄也様···申し訳、ありま···せん。どうやら私も病にかかってしまったようです···おお···ついに私も···ほかの誰かを助ける力を失ってしまいました···」

 

魔物化の病なら、浄化の霊薬で治せるだろう。幸い銀もくすりの葉もあるし、すぐに作れるな。

 

「今すぐ浄化の霊薬を作ってくる。まずは病室に運ぶぞ」

 

俺はエルを病室のベッドに寝かせて、調合室に浄化の霊薬を作りに行く。ビルダーの魔法の力で、この前のように光り輝く薬ができた。

「これで治せるはずだな」

 

俺は浄化の霊薬を持ち、エルの寝ている病室へ行った。そして、すぐに飲ませる。

だが、禍々しいオーラは全く消えることがなかった。

 

「どういうことだ!?どうして魔物の気配が消えないんだ?」

 

あの3人の場合は、すぐに治すことができたのだが。この強力なオーラには、浄化の霊薬も効かないのか?

魔物化の病の変異種と言ったところか。人を非常に強力な魔物へと変えてしまう、最恐の病だ。

浄化の霊薬が効かないことが分かり、エルは諦めの表情をする。

 

「雄也様、ここまでに···致しましょう。治療はもう、必要···ありません」

 

俺はなんとかエルを助けられる薬がないか考えるが、これほどの強力なオーラを浄化できる薬など、まったく思い付かない。

 

「浄化の霊薬が効かないのであれば···私たちでは、この病は治せない···でしょう。それに···もし私が感染を広げれば、この町は···終わりです」

 

感染するかは分からないが、エルも強力な魔物になってしまえば、3体もの強大な魔物に襲われることになり、この町が壊滅することもありえる。

それを防ぐために、俺は一つの方法を思い付いてしまうが、それは、絶対にしたくない方法だった。

 

「雄也様、お願い···します。皆様のために···この町のために···どうか、私を···殺してください」

エルも、同じことを考えていたようだ。強力な魔物になる前に殺せば、この町にさらなる脅威が迫るのを防ぐことができる。

だが、大切な仲間であるエルを殺すことは出来るはずもなく、俺はこう叫んだ。

 

「待て!お前を殺すなんて出来るわけないだろ!」

 

そこで、一つの考えが思い付く。薬師あるゲンローワなら、浄化の霊薬を越える薬も知っているんじゃないかと。

 

「そうだ、ゲンローワなら何か知ってるかもしれないな」

 

俺がゲンローワと話に行くために外に出ると、俺の叫び声を聞き付けたらしく、

 

「何かあったのか?雄也よ」

 

外にゲンローワが立っていて、俺に話しかけてきた。俺はすぐに、エルが病気になったことを伝えた。

 

「大変なんだ。エルが魔物化の病の変異種に感染して、浄化の霊薬も効かない。それでエルが、私を殺してと言ったんだ」

 

「なんじゃと!?おのれ···おのれ···おのれ!」

 

俺の話を聞き、ゲンローワは強く怒っていたが、しばらくして諦めの表情となる。

 

「しかし···これも定めかもしれぬ。やはり人間は、病にあらがうべきではないのだ···」

 

病に抗い続けたから、ヘルコンドルたちが怒り、エルを病気にしたとも考えられるな。それに、そんなこと言っているということは、ゲンローワも治療法は分からず、諦めるしかないということなのだろうか。

 

「それにじゃ、エルにとってみんなを傷つけることは、死ぬことよりもつらいはずじゃ」

 

確かに、仲間たちをとても大切に思っているエルならそうなのかもしれない。

 

「じゃから、雄也よ。エルの願いを聞いてやってはくれぬか」

 

「そうするしか、ないのか?」

 

「そうじゃ。エルを···エルを···エルを殺してやってくれ···」

 

ゲンローワは、ためらいつつもそう言った。俺は、それを否定することは出来なかった。生き続けたい人ではなく、自らの死を願う人を生き続けさせることは良いとは思えない。

俺はゲンローワとの話を終えると、エルにもう一度聞こうと、病室に入った。

 

「エル···治療法はないらしい。本当に、自らの死を願っているのか?」

 

俺が聞くと、エルはうなずいた。

 

「はい。雄也様や、皆様を傷つけたくはありません···」

 

「分かった···」

 

それがエルの意思なら、どんなに嫌なことでも尊重するべきなのかもな。

俺はてつのおのを取り出すと、エルに向かって振り上げた。

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