ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode48 大空駆ける病の主

リムルダールに来てから21日目の朝、俺は昨日聖なるしずくを飲ませて病を治した、エルの様子を見に行った。

ゲンローワの言っていることが正しければ、今日には起き上がれるようになっているはずだ。

俺は起きてるといいなと思いながら、病室に向かった。

 

「エル、起きてるか?」

 

俺が病室の中に入ると、エルはすでにベッドから起き上がっていて、俺に声をかけてきた。

 

「おお!雄也様!おはようございます!」

 

「おはよう、エル」

 

昨日までとても苦しんでいたのに、もうこんなに元気になるとはな。聖なるしずくの力はやっぱりすごい。

 

「雄也様のおかげで、ご覧のとおりすっかり良くなりました!」

 

「一度は殺してくれなんて言っていたのが、嘘みたいだな。本当に良かった」

 

俺がエルが回復したことを喜んでいると、リムルダールの町が強く揺れた。

その揺れは、メルキドのゴーレムが目覚めた時と同じような感じだった。

 

「雄也様、この揺れは一体何なのですか!?」

 

突然起きた揺れに、エルは驚きを隠せないようだ。

これは恐らく、ヘルコンドルが本気で俺たちの町を壊しに来る合図のはずだ。

 

「聖なるしずくが出来て、ヘルコンドルは病では俺たちを殺せないことが分かったはずだ。だから今回は、全力で襲ってくるんだろうな」

 

「おお、ついに病の元凶であるヘルコンドルと決着をつける時が来たのですね!」

 

ついにリムルダールの空の闇を晴らす時が来たか。マッドウルスの存在など、まだ困っていることは多いが、とりあえず闇を晴らすことはできるだろう。

俺がそんなことを考えていると、ゲンローワが病室に入ってきた。

 

「雄也よ、さっきの揺れは何だったのじゃ!?」

 

ゲンローワもさっきの揺れには驚いたのだろう。俺はこの地に、ヘルコンドルが迫っていることを伝えた。

 

「ヘルコンドルとの決戦の時が来たんだ。みんなに伝えてくれ!」

 

「そうか、ついにこの地での最終決戦になるのじゃな···今すぐみんなを集めるぞ」

最終決戦かは分からないが、ヘルコンドルを倒さなければリムルダールに未来はない。ゲンローワは俺の話を聞くと、すぐにみんなを集めに行った。

俺とエルも、走って希望のはたのところへ向かう。ヘルコンドルが来るまで時間がないようで、いつもの大きな羽音が聞こえてきていた。

 

「やっぱりヘルコンドルが来たか」

 

俺がヘルコンドルを見るのに夢中になっていると、みんなを集めてきていたゲンローワに話しかけられた。

 

「戦える全員を集めたぞ。みんなも、ヘルコンドルと戦う覚悟は出来ているようじゃ」

 

戦う覚悟か···ヘルコンドルは強力だろうけど、当然俺にも覚悟はある。

俺含めて10人が集まったのを見て、俺は作戦を話し始めた。

 

「今回はこの前と違って大弓が8台ある。この前の5人と、俺、ミノリ、エディを加えればいいと思う。二人は、大弓は使えそうか?」

 

ミノリとエディは兵士だし、剣だけでなく、弓も使えそうだ。俺は一応聞いたが、二人ともうなずいた。

それに俺も加われば、8つの大弓を全て使うことになる。

 

「分かりました!当てられるよう頑張りますね」

 

「オレもヘルコンドルをうち落とせるようやるぜ」

 

そして、近接戦闘が得意そうなゆきのへとゲンローワは、ヘルコンドルが手下を呼んだ時に、食い止める役割が良さそうだ。

「ゆきのへとゲンローワは、ヘルコンドルが手下を呼び出したら倒してくれ!」

 

「ああ、分かったぜ!」

 

「何としてもわしらの町を守り抜くぞ」

 

二人も納得し、俺たちはそれぞれの配置についた。もうヘルコンドルは、町のすぐそばまで迫っていた。

リムルダールの魔物の親玉との戦いが、ついに始まった。

俺たちはこの前と同じように、ヘルコンドルに向かって矢を放つ。

ヘルコンドルも何もしないわけではなく、鉄の矢を避けながら町に近づいてきた。そして、いつも通り大きな雄叫びを上げて手下を呼ぼうとする。

 

「キュオーーーーー!」

 

「くそっ、今度も手下を呼んで逃げる気か!?」

 

今度こそ逃がしたくはないので、みんなは一斉に鉄の矢を放った。

 

「今日こそは逃がしません!」

 

「このリムルダールの闇を晴らせてもらうよ」

 

この前も命中させたエルやケーシーだけでなく、全員の放った矢がヘルコンドルに当たった。だが、ヘルコンドルはそれでも落ちず、手下の魔物を呼び出した。

 

「くそっ、手下を呼ばれたか」

 

「ですが、逃げていく気配はないようです」

 

ドロルやキャタピラー、リカントマムル、じんめんじゅ、くさったしたいと言ったこれまでにも襲撃してきたモンスターが、100体近く呼び出されていた。ヘルコンドルも逃げる気はないようで、同時に戦わないといけないようだ。

「な、なんと言う数じゃ···」

 

「こんなの、二人だけでは無理だろ」

 

ゆきのへとゲンローワも、この数を相手することは厳しそうだな。かといって、ヘルコンドルの相手もする必要がある。

 

「そうだ、火をふく石像があったな」

 

今思い出したがタルバのクイズに正解した報酬としてもらった火をふく石像があった。炎で敵を焼き尽くせば、町に入ってこられる奴はわずかのはずだ。

俺は魔物が迫ってきている町の東側に行き、石像を2つ設置した。

 

「二人とも、これで敵を焼き尽くすから、残った敵を倒してくれ」

 

少ない数になれば、二人でも相手は出来るだろう。

早速、火をふく石像だとは知らずに近づいてきた魔物たちは、炎に焼かれて倒れていく。

 

「な、何だこの炎は~!?」

 

「うぎょあーーーー!」

 

声を発することのできるリカントマムルやくさったしたいは悲鳴をあげていた。

 

「これで手下の魔物は大丈夫だな。ヘルコンドルとの戦いに集中しないと」

 

魔物が次々に数を減らしていくのを見て、俺は大弓のところに戻る。

 

「今度こそ落ちろ!」

 

俺はそう叫んで鉄の矢を撃ち始めたが、ヘルコンドルは素早く回避し、当てることが出来なかった。

ケン、イルマ、ザッコも鉄の矢を撃ち続けるが当たることはなかった。

 

「オイラが撃ち落としてやるべ!」

 

「おれも矢を当ててやるぜ」

 

「僕も援護します!」

 

だが、軽々と回避しているヘルコンドルに、左右から2本の矢が刺さった。兵士である、ミノリとエディが放った矢だ。

 

「やった!当たりました!」

 

「オレにかかれば簡単だぜ!」

 

さすがは兵士だな。弓の扱いもやっぱり上手だ。

翼に傷を負ったヘルコンドルは、俺たちが次の矢を用意している間に、呪文を唱える。

 

「キュアーーーーーー!」

 

すると、俺たちのいる建物の屋根の上に、巨大な風の刃が襲いかかってきた。

「みんな、魔法が来るぞ!」

 

俺の声で、みんなは間一髪かわすことが出来たが、建物の屋根が大きく破壊された。

 

「あれは、バギクロスか?」

 

ヘルコンドルが唱えたのは、真空の刃で敵を攻撃するバギ系呪文の上位種、バギクロスだろう。普通、ヘルコンドルはこんな呪文は使えないはずだが、魔物の親玉だけあって強いな。

俺が体勢を立て直していると、エルの声が聞こえた。

 

「雄也様、ヘルコンドルの動きが止まりました!」

 

動きが止まっただと!?俺がヘルコンドルの方を見ると、確かに呪文を使って力を消耗したのか、動きが止まっていた。

それを見て、俺は全員に大声で叫んだ。

「奴の動きが止まった!今だ!」

 

それを聞いてみんなはすぐに大弓に鉄の矢をセットし、次々に発射した。

そして、疲れていたところに大量の矢を受ければ、さすがに耐えきれなかったのか、ヘルコンドルは地面に落下した。

 

「やりましたね!このまま倒しましょう」

 

「ああ、早くとどめをさすぞ!」

 

これで銀製の強力な武器で攻撃できるな。後ろを見るとゆきのへとゲンローワも、すべての魔物を倒し終えていた。

 

「近接武器を持っている人は、俺と一緒にヘルコンドルを斬り裂いてくれ」

 

鉄の矢での遠距離攻撃より、銀の武器で斬ったほうが倒しやすいだろう。俺、ゆきのへ、ゲンローワ、ミノリ、エディはヘルコンドルに近づき、体を斬り刻んで行く。

「これでお前も終わりだぜ」

 

「わしらの町をこれ以上攻撃するではない!」

 

「オレがお前を倒してやるぜ!」

 

「ヘルコンドルを倒して、リムルダールを救って見せます」

 

みんなの攻撃で、ヘルコンドルはもう瀕死になっていた。チャンスだと思い、俺は全力で回転斬りを放った。

 

「回転斬り!」

 

しかし、ヘルコンドルは追い詰められているのにまだ倒れず、再び飛び上がった。

 

「くそっ、止めをさせなかったか」

 

ヘルコンドルは体を斬り刻まれて、激しく怒っているようだった。そして、高いところに飛ぶと、バギクロスとは違う呪文を唱え始めた。

 

「ギュアーーーーーー!」「今度は何の呪文を使うんだ?」

 

俺が警戒しながらヘルコンドルの様子を見ていると、突然、高さが数十メートルもある巨大な竜巻が発生し、この町に迫ってきていた。

 

「竜巻も使えるのか。どうやって避けるんだ?」

 

竜巻は町をまるごと吹きとばすほどの大きさで、回避することは不可能だと思われた。もしかしたらこれが、昔の人のメモに書かれていた、バシルーラなのかもしれない。

だが、町に入っても建物を吹き飛ばさずに、俺たちに近づいてきていた。恐らく、人間だけを吹き飛ばす魔法なのだろう。

それなら、物に掴まればなんとか耐えられるだろう。

 

「どうやったら避けられるんだ?」

 

「あんなものに飛ばされたら、わしらは終わりじゃ!」

 

建物が迫ってきていてどうすればいいか分からないみんなに、俺はこう言った。

 

「物にしがみつくんだ!あれは建物を吹き飛ばすことはない!」

 

俺の声を聞いて、みんなはそれぞれ近くにあった物に掴まる。

俺は希望のはたに掴まり、バシルーラが去っていくのを待った。10秒以上強い竜巻に巻き込まれ、何度も手を離しそうになる。

 

「こんな魔法なんかに、吹き飛ばされるかよ!」

 

それでも諦めずにしがみつき、ようやく竜巻は去っていった。

みんなが無事か俺はすぐに様子を見たが、全員飛ばされていなかった。

「みんな無事か、良かった」

 

竜巻で吹き飛ばされずに済んだが、ヘルコンドルはまだ空を飛び続けていた。

俺はかなり腕の力を使ったので、今度バシルーラを使われたら耐えられないかもしれない。早めに倒さないといけないな。

 

「みんな、奴は弱っている!もう一度一斉に鉄の矢を撃とう」

 

俺たちはすぐに建物の屋根に登り、そこに置いてある大弓からまた鉄の矢を放っていく。

ヘルコンドルは今度も避けようとしていたが、体を斬り裂かれたり、強力な魔法を使ったりして、もうその強力はなかった。

 

「これまで私たちを苦しめてきたヘルコンドルを、許す訳にはいきません!」

 

そして、エルの刺さった矢がヘルコンドルの目に刺さり、奴は動きを止めた。

さらに、俺はヘルコンドルの心臓に向かって、鉄の矢を放った。

 

「これで終わりだ!ヘルコンドル!」

 

ヘルコンドルは目が見えず、俺の放った矢を避けることはできなかった。鉄の矢は奴の心臓を貫き、地に落としていった。

地上に落ちたと同時に、ヘルコンドルは青い光を放って、消えていった。

倒れたところを見ると、あまぐものつえの部品と思われるアイテムが落ちていた。

 

「やりましたね、雄也様!ついにヘルコンドルを倒しました!」

 

「ゴーレムだけでなく、ヘルコンドルも倒すとはな、すごい奴だぜ」

 

「これでリムルダールの空も晴れるはずじゃ。本当によくやった、雄也よ」

 

俺たちはついに、リムルダールの魔物の親玉、ヘルコンドルを倒すことができたのか。ゴーレムの時もそうだったが、いまいち実感が沸かないな。

ヘルコンドルが落とした素材であまぐものつえを作れば、リムルダールの闇は晴れるだろう。

俺はあまぐものつえの部品を取りに、ヘルコンドルが死んだところに近づいた。

その時だった、突然、あまぐものつえの部品が闇の色に染まり、消えていったのだ。

 

「あまぐものつえが消えた?一体何が起きてるんだ?」

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