ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
Episode51 炎と氷に包まれた大地
俺たちは光のとびらに入ると、目の前が真っ白になり、すぐに新たな地へと移動した。
「ここが新しい地か。どの町なんだろうな」
目の前を見渡すと、どうやら俺たちは山の上にいて、下には広大な荒野が広がっていた。下だけでなく、山の上も緑がまったくないが、そういう山はメルキドやリムルダールにもあったので、不思議には思わなかった。
だが、こんな荒野なんか、アレフガルドにあったか?
「荒野だな。見たことないところだぜ」
「リムルダールみたいに、毒はないけど自然がほとんど壊されてるね」
「これからここを復興させて行くのか。見たことない場所だな。雄也は、ここがどこか知ってるか?」
みんなもこの場所については知らないか。リムルダールは毒沼になっても湖があったためすぐに分かったが、ここは全く見当がつかないな。マイラ、ガライ、ラダトームのうちのどれかなんだろうけど。
「俺も分からないな。アレフガルドが荒廃した後のことは、よく知らないんだ」
俺たちが困っていると、希望のはたを渡しに来たのか、ルビスの声が聞こえてきた。
「目が覚めましたか、雄也。その地はマイラ、あなたたちが次に救うべき場所です」
ここがマイラだと!?マイラはドラクエ1では温泉があり、森林に囲まれた緑豊かな場所だったはずだ。しかし、目の前にあるのは枯れ木や砂の草切れくらいしかない荒野だ。
「ここがマイラ?本当なのか?」
「はい、信じたくないかもしれませんが、本当です。遥か昔、この地には美しい木々に覆われた活気あふれる町が存在していました」
ルビスの言うことだから、やはり本当なのだろう。リムルダールのように病の心配はなさそうだが、こちらの方が荒廃の度合いは強い。
俺は、みんなにルビスから聞いたことを話した。
「今ルビスから聞いたんだが、ここはマイラの町の近くらしい」
「へえ。ここはマイラってところなんだ!」
「そうなのか。マイラの町は、森林が壊されていったとは聞いていたが、まさかここまでとはな···」
ゆきのへもマイラの森が枯れていったのを聞いてはいたのか。森林が減っていき、植物の育ちにくい荒野になった。地球で言う、砂漠化ってやつだな。
俺がゆきのへたちにマイラに来たことを話すと、ルビスは続けた。
「ですが、今では屈強な魔物に支配され、森林も枯れていき、わずかに残された人々も戦火の中で絶望しています」
屈強な魔物たちか···これまで以上に強力な敵と戦わないといけないってことか。
「さあ、あなたにはこれを渡しましょう」
俺が魔物との戦いのことを考えていると、ルビスはこれまで2回もくれた、希望のはたを渡してきた。
いつも通り、希望のはたが上から落ちてきて、俺はそれを拾う。今回の希望のはたは、赤色をしていた。
「マイラの希望のはたは赤色なのか」
「なあ、雄也の持っているそれはなんだ?」
俺が希望のはたを手に取ると、希望のはたを手に入れる瞬間を知らないヘイザンが聞いてきた。
「ヘイザン、これは希望のはただ。リムルダールの町の台座にも刺さってただろ」
俺は答えようとしたが、その前にゆきのへがヘイザンに教えた。
「そう言えば、確かにリムルダールの町にもあったな」
「ここのは赤色なんだね」
俺が希望のはたを持っているのを、ピリンも気づいた。希望のはたはいつも通り、町の中心にある台座に立てればいいのだろう。
「目の前に見える、光さす地をめざしなさい。そして、新たな希望のはたを立てるのです」
ルビスはそう言って、去っていった。光さす地は、崖を降りて3~400メートルくらい歩いたところにある、マイラの町の廃墟の中心にあった。
まずは、そこを目指すとするか。
「みんな、そろそろあの町の跡地に希望のはたを立てにいくぞ」
俺は3人にそう言い、歩き始めた。山の上には、メルキドにもいた槌を持つ魔物がいた。
「ブラウニーか、久しぶりに見るな」
「メルキドで、わたしたちの町を壊そうとしていた魔物ね。今回は、狙われなければいいんだけど。今でもわたしは、みんなで仲良く暮らせればそれでいいって思ってるから」
みんなで仲良く暮らしたいか···ピリンの純粋な思いは、リムルダールに来てもマイラに来ても変わらない。今回もその願いを叶えてやらないといけないな。だけど、魔物の襲撃はやっぱり避けられないんだろうな。
俺はそんなことを考えながら、崖を降りていった。みんなも足元に気を付けながら、つたを使って降りてくる。
ゆきのへは歳をとっているから、かなり崖を降りるのが大変そうだった。
「いきなり崖か。ワシにとっては結構きついぜ」
もしゲンローワがここに来ていたら、もっと苦労していただろうな。
崖の下に広がる荒野には、いっかくうさぎやスライムベスと言った、ドムドーラと同じモンスターが生息していた。最初からこんなモンスターがいるなんて、大丈夫なのか?俺はこんぼうとおおきづち、ゆきのへはおおきづちを支給されたが、こんな武器で強い魔物に対抗できるとは思わない。
「スライムベスはまだしも、いっかくうさぎは強そうだな」
「ああ、ワシが捕まっていたところと、同じような奴がいるぜ」
今は戦えないピリンとヘイザンがいる状況なので、なおさら遭遇する訳にはいかない。
俺たちは魔物から離れながら、マイラの町の跡地に到着した。
「ここがマイラの町の跡地か。これまでの町より整っているな」
マイラの町の跡地は、メルキドやリムルダールに比べてきれいに整備されていて、最近まで誰かが住んでいたような感じだった。
「最初のメルキドに比べたら、建物がしっかりしてるね」
「ああ、誰かが整備したみてえだな」
「ワタシたちが来る前にも、ここに誰かいたのか?」
3人も、俺と同じことを考えていたようだ。とりあえず、3つくらい建物があるし、俺が希望のはたを建てる間に、3人が調べればよさそうだな。
「3人とも、建物の中を調べて来てくれるか?俺は希望のはたを建てるぞ」
「うん、分かったよ!」
「ワシはあっちを調べるぜ」
「じゃあワタシはあの本の置いてある建物を見てみる」
俺がそう言うと、3人はそれぞれ別の部屋を調べに行った。俺も早速、希望のはたを立てないとな。
希望のはたの台座は周りより1メートル高くなっていたが、階段があったので俺はそれを使って登った。台座の中心からは、美しいきれいな光の柱が立っている。
「行くぜ、これがアレフガルド復興の第3章の始まりだ」
俺はどうしても言いたかったので、そう叫んだ。そして、希望のはたを台座に突き刺すと、マイラの町に明るい光が灯った。
ここでも、やはり光は暖かく感じられる。光があふれたのを見て、ルビスが再び話しかけてきた。
「雄也よ···その地に生きる人々は、あなたのメルキドとリムルダールにおけるあなたの働きでわずかながら物を作る力を取り戻し、竜王軍と激しい戦いを繰り広げています」
マイラの人々が物を作るを持っていると言うことは、俺たちが教えなくても作れるってことか。それなら、すぐに町の復興に協力してくれそうだな。
「しかし、圧倒的な魔物たちの力を前に、立ち上がった人間たちも敗北の危機にあります。さあ、雄也。その地にも光に導かれた人々がやって来るでしょう。あなたの手で新たな町を作り、戦火におおわれたマイラの地を救うのです。すべては精霊の導きのままに···。」
ルビスはマイラの人々の状況を話すと、いつもの口癖を言って去っていった。
マイラは圧倒的と言うほど魔物が強いのか。復興できるか不安になってくるな。だが、新しい住民が来れば、戦いに参加してくれるかもしれない。メルキドのピリンや、リムルダールのエルのように、今回も女性が来るのだろうか。
「とりあえず、みんなが入っている建物の中を見てみるか」
希望のはたの前で新しい住民を待つのも暇なので、俺はまず、ピリンが見に行った部屋に入った。
「ピリン、ここには何があったんだ?」
その部屋は、壁が所々くずれていて、湯気が出ているお湯があるが、ほとんど土に埋もれていた。
「あっ、雄也!ここには温泉があったみたいだよ。ここのお湯、結構あったかいの」
つまり、ここはかつてマイラにあった温泉の跡地ってことか。世界が荒廃した後でも、温泉は残ってたんだな。
「わたし、温泉には入ったことがないから、町が整ったらはいってみようかな」
「俺も温泉に入るのは何ヵ月ぶりだろうな、地球にいた時も行く機会は少なかったし」
ピリンは一度も温泉に入ったことがなかったのか。まあ、メルキドには温泉なんて全くなかったからな。
俺は今すぐにでも入りたいが、温泉の部屋の修復は時間がかかりそうだし、先にほかの二人が調べている部屋を見てくるか。
俺は温泉の部屋から出て、ゆきのへのいる部屋に入った。
部屋の中には、鉄でできた台が一つ置かれており、壁にはカベかけ松明がかけられていた。
「ゆきのへ、この部屋にはは何があったんだ?」
「見たことのない作業台が置いてあった。今回はここを作業部屋にしたらよさそうだぜ」
よく見ると、鉄で出来た台は作業台の形をしていた。恐らくこれが魔法で調べた時に出てきた鉄の作業台だろう。
鉄の作業台では何が作れるかは知らないが、マイラではこれを使うことになりそうだな。
「確かに、ここを作業部屋にしたら作業台を移動させなくていいな」
「ああ、土ブロックが集まったら、この部屋を修理しておくぜ」
その部屋は壁がかなり壊れていて、直すには多くの土ブロックが必要そうだった。
ヘイザンの調べている部屋も見てきたら、取りに行ってくるか。俺はいちど作業部屋予定地の部屋から出て、今度はヘイザンのいる部屋に向かった。
「おお、雄也。気になる本が二つ置いてあったぞ」
ヘイザンの言う通り、その部屋には二冊の本が置かれていた。そのうち一冊は、タルの上に置かれている。
「確かに、役立つことが書かれているかもしれないな」
「タルに乗っているほうは読んだんだが、難しいことが書かれていて分からなかった」
もしかしたら俺のビルダーの力なら読めるかもしれないと思ったが、発明品の絵などが書かれていて、やはり難しくて読めなかった。
「じゃあ、こっちの本には何が書いてあるんだ?」
俺はタルの上にある本を閉じて、地面に置いてある本を読み始めた。その本には、アレフガルド暦程という、見たことのあるタイトルが書かれていた。
「これは、アレフガルド歴程だな。これなら読めるはずだ」
「アレフガルド歴程?どんな感じの本なんだ?」
ヘイザンは、アレフガルド歴程のことについて聞いてきた。ヘイザンは読んだことがないだろうから、気になるのも当然か。
「メルキドに住んでいた冒険家のガンダルって人の旅の記録だ。リムルダールでも見たことがある」
ガンダルと言う人はいつぐらい前の人かは分からないが、アレフガルドが荒廃していく様子を書いている。今回は、マイラを訪れた時のことを書いているんだろうな。
俺は、早速そのアレフガルド歴程を読み始めた。
私は今、メルキドのはるか北に位置するマイラと言う町にいる。豊かな緑に囲まれていたというその美しい風景は今や失われ、地面から溢れ出したマグマが町とその周辺を覆い尽くそうとしている。そもそもマイラとは温泉で名をはせた町だ。火山活動が活発な地域だったのかもしれない。おそらく、竜王が人間の力を弱めるために、地下のマグマに何らかの細工を加えたのであろう。空に光が失われ、世界は絶望の中にある。しかし、マイラの人々はまだどこか明るいようだ。それは恐らくいまだこの地に温泉が残っているせいなのではないだろうか。噂に聞く、パフパフ屋なる癒しの施設がすでになくなっていたのは残念だったが、マイラの温泉は人間の生きた証として、いつまでも残っていてほしい物だ。
メルキドの冒険家 ガンダル
これを読んで初めて知ったが、ここは荒野だけでなく、マグマもあったのか。竜王のことだから自分でマグマを活性化させたのではなく、手下にやらせているのだろうが、そんなことを出来る魔物って誰なんだろうな。
それと、マイラは温泉のおかげで明るい町で居続けたのか。やっぱり、温泉の力ってすごいな。それに、パフパフ屋まであったのか。ドラクエのパフパフ屋は、結局何をする場所なのか分からないが、復興させてみたいな。
「それで、何が書いてあったんだ?」
俺がアレフガルド歴程を読み終えて、いろいろ考えていると、ヘイザンが話しかけてきた。
「マイラがどんな環境になっているのかや、ここに住んでいた人々について書かれていたぞ。詳しくは自分で読んでくれ」
「ああ、ワタシも詳しく知りたいんだ」
俺はヘイザンにアレフガルド歴程を渡し、一度その部屋から出た。
外に出ると、ピリンとゆきのへもそれぞれのいた部屋から出て、希望のはたの所に集まっていた。