ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
3回目の防衛戦の日の夜、俺はきずぐすりを使ってまどうしから受けた傷を治していた。
「全く、まどうしは背後から近づいても見つかるのか」
背後に回っても、至近距離なら気配で人を見つけられるようだ。もしアネゴの捕まっている魔物の拠点にまどうしがいたら厄介だな。
俺がきずぐすりを塗り終えて、作業部屋から寝室に向かった。荒くれたちと一緒に、ギエラからアネゴの居場所を聞くためだ。
寝室に入ると、みんなはもう集まっていた。
「おう、雄也。やっと来たか」
ガロンは待ちくたびれている様子で、俺の顔を見てきた。
大切なアネゴの居場所が早く気になるのだろうが、俺も一緒に聞く約束なので、待ってくれていたのだろう。
俺が来たのを見て、ベイパーが話を始めるようギエラに言った。
「さっそく話を始めるぞ。ギエラ、アネゴはどこ囚われているんだ?」
ガロンもアネゴの居場所のことになると、真剣な表情になって聞いている。
ギエラは、アネゴの囚われている拠点がある場所を言った。
「アネゴが囚われているのは、海を越えないと行けない火山の島にある、魔物の城よ」
海を渡らないと行けないと聞き、ガロンやベイパーは困った顔をする。
「じゃあ、どうやって助けにいきゃいいんだ!?」
「ワシも泳ぎは苦手だぞ」
そう言えば、筋肉が多いと水に沈みやすいって聞いたことがある。荒くれたちが海を渡るのは難しそうだな。
だが、俺もあまり水泳は得意ではなかった。と言うより、ほとんどのスポーツが苦手だった。
「俺も、泳いでいくのは無理だな」
25メートルのプールくらいなら普通に泳げるが、何キロメートルもあるだろう海を渡って、疲れている時に魔物と戦う。
とても俺にはできないことだった。
「せっかくアネゴの居場所が分かったって言うのによ···行けない場所なのか?」
せっかく居場所が分かり、後はその魔物の城に潜入するだけだと思ったが、そう上手くはいかなかった。
だが、次のギエラの一言で、俺はあることを閃いた。
「一瞬で海を越えることが出来れば、魔物の城に行けるのにね」
一瞬で移動すると言う言葉で気づいたが、さっきまどうしは青の旅のとびらを落とした。
あれを使えば、持ち主の求めるものがある場所にたどり着くと言われるし、アネゴのいる島にも一瞬で行けるはずだ。
「みんな、それなら方法がある。旅のとびらって奴を使えば、そこに一瞬で移動できる」
「本当か!?どういう物なんだ、旅のとびらと言うのは」
「ビルダーのことは知っているけど、旅のとびらというのは知らないわね」
俺が旅のとびらについて話すと、3人とも知らないようだ。
旅のとびらについて知っていたのは、ロロンドとゲンローワくらいだから、みんなが知らなくても仕方ないけど。
「旅のとびらと言うのは、離れた場所に一瞬で移動できる装置のことだ。さっき倒したまどうしが落とした」
俺は手に入れた旅のとびらをポーチから出し、みんなに見せる。
「そんじゃあ、これを使えばアネゴのいる場所に行けるんだな!」
「今日は夜遅いし、明日にでもその島に行くか」
みんなはやっとアネゴの救出に行けるととても喜んでいる。俺も、こいつらと共に行くつもりだ。
しかし、ギエラがもう一つ問題があることを言った。
「待って、みんな。実は、アネゴの囚われている魔物の城は、固い岩で入り口が塞がれていて入れないの」
固い岩か···ギエラの言い方からして、おおきづちやどうのかなづちでも壊せない固さなのだろう。
おおかなづちや、ウォーハンマーがあれば壊せるかもしれないけど。
塞がれていると言う言い方からして、網目状に置かれているのではなく、大きな壁のように置いているのだろう。網目状なら、しゃがんで入ることができるからな。
「何だと!?もう少しでアネゴの救出に行けると言うのに」
もう一歩のところで行けないと言われ、ガロンは悔しそうな顔になる。鉄が取れればいいのだが、火山の島に鉄があるのかも分からない。
俺は、ギエラに鉄の鉱山があるのか聞いてみた。
「ギエラ、そのアネゴのいる火山の島には、鉄が取れるところはあるか?」
「あったはずよ。鉄の武器を使えば、アネゴのいる城にも入れるはずだわ」
良かった。魔物の城に入れないと聞いたとき、俺も不安になったが、鉄があるのなら炉を神鉄炉に強化したり、強力な武器を作ることが出来る。
ひとまずは、鉱山で鉄を集めるないといけないな。
「では、まずは鉄を集めて、武器を作らねばならぬな」
「アネゴを待たせちまうが、助けられることに代わりはねえ!」
アネゴと言う人をあまり待たせたくないが、ガロンの言う通り、助け出せることに変わりはないんだ。
夜遅かったので、俺たちは一旦寝て、明日から火山の島の探索に行くことにした。
俺は眠りについた後、久しぶりに裏切り者の勇者の記憶の夢を見た。こんな夢を見るのも、これで5回目だな。
夢の中で勇者は、木がたくさん生えていて、花が咲いている緑豊かな町にいた。温泉のある建物が見えたので、勇者がマイラを訪れた時の記憶だろう。
勇者はその温泉の前に立っていて、そこにいる赤い服を着た女性と話をしていた。
「あーら、すてきなお兄さん。パフパフはいかが?たったの20ゴールドよ?」
冒険家ガンダルの書いたアレフガルド歴程にも書いてあったが、これがマイラのパフパフ屋と言うやつか。
20ゴールドは日本円に換算するとどのくらいの値段なのかは分からないが、魔物を倒してお金を稼いでいる勇者にとっては、安い金額のはずだ。
勇者も男だから、ここはしてもらうはずだろう。ドラクエシリーズでは、パフパフと言いながら別のことをするのが多かったが、ここでは本当にしてくれそうだ。
だが、勇者は
「別にそんなのいいですよ」
あっさりと断った。男なら、断るべきではないはずなのに。
「あら、残念だわ。やっぱり勇者の子孫は真面目ねえ」
しかも、勇者は助けた姫と夕べはお楽しみしているような奴だ。それなのに、どういうことなんだ?
「もしかしたら、人と関わることが嫌になっているからかもな」
勇者はこれまでの夢で、だんだん自分を選ばれた勇者だという人々と話すのが嫌になってきていた。だからこの優しそうな女の人であっても、あまり関わりたくなかったのかもな。
「でも、もしその気になったら、また声をかけてね」
パフパフ屋の女は、最後にそう言って勇者と別れた。でも、もう話すこともなく勇者は人々を、世界を裏切ったんだろうな。
勇者はパフパフ屋を離れた後、ロッシと同じような緑色の服を着た男性に話しかけられた。
「ここから南の島にはもう行きましたか?」
南の島···多分、俺たちが前に復興させた、リムルダールのことだろうな。リムルダールは、アレフガルドでもかなり南に位置している。
男性の質問に、勇者はもう行ってきたとうなずいた。
「なんと!もう行かれたと?とても強い魔物たちがいると聞きましたが···」
確かに、リムルダールはドラクエ1では、マイラより後に訪れる場所だ。魔物が強いと言うのも納得だ。
一般人には倒せないような敵だらけだろう。
「あなた、見かけによらず強いんですね」
見かけによらずってことは、ついに勇者扱いしない人が来たのか!?
俺はそう思ったが、その男性は次にこれまでの人々と同じようなことを言った。
「いや、まあそれも当然か!あなたは伝説の勇者の子孫ですからね!」
これは普通に見れば、褒め言葉に聞こえるが、普通の人間として扱ってくれないことに怒っていた勇者にとっては、腹の立つことだったはずだ。
勇者は男性のところを去り、歩いていると今度は兵士の男に話しかけられた。
「古い言い伝えでは、ロトはこの島の西のはずれに虹をかけたそうです」
そう言えば、ドラクエ1の最後は虹のしずくと言うアイテムを使って竜王の島に渡って、竜王と戦うんだよな。
いずれ俺も、虹のしずくで竜王の島に行くときが来るのだろうか。
俺がそんなことを思っている間に、兵士は話を続けた。
「そして、魔王の部屋の隠された入口より、闇に入ったとのこと···」
これは、竜王が1階の玉座ではなく、その裏の階段から地下に降りたところの最深部にいることを示しているな。
「おお、勇者様!あなたはルビスに選ばれた竜王を倒す役割をおった特別な方です···どうか定められた責務を果たし、この世界に光を取り戻してください!」
この兵士も、勇者を追い詰めるようなことばかり言った。そして、勇者はまた人のいないところで大声で行った。
「何がルビスに選ばれただ!何が責務だ!オレの人生を何だと思ってるんだよ!あのクソ野郎どもが!」
今の勇者の叫びには、人々への怒りを通り越して、絶望しているような感じだった。
さらに、勇者はその責務を果たすべきなのか、迷い始めていた。
「だいたい、あんな奴らのためなんかに、竜王を倒さないといけないのか···ふざけんなよ!」
そこで俺の意識は途切れ、目覚めると朝になっていてみんなも起きていた。
「また勇者の夢を見たか···裏切った理由も分かってきたな」
勇者が裏切ったのにも理由があるが、それでも戦わないといけないことに変わりはないだろう。
とりあえず、今日は青のとびらの先に鉄を取りにいく日だ。
「鉄を集めて、武器を強化しないとな」
俺は朝食を食べた後、旅のとびらを設置した。アネゴ救出もなるべく急がないといけないし、さっそく俺は中に入った。
すると、いつものように目の前が真っ白になり、火山地帯へと移動する。
「ここがギエラの言ってた火山地帯か···町の近くに比べたら、すごく暑いな」
火山の影響でかなり温度が高く、遠くにはマグマの池が見えた。危険な場所だけど、とりあえず探索開始だな。
歩き始めて最初に見つけたのは、枯れ木や、砂の草切れだった。
「町の近くみたいに、砂の草切れとか枯れ木もあるな」
だが、その数は町の近くの荒野より少なく、植物の素材はほとんど取れそうにないな。
先に進んで行くと、崖の上にいたモンスター、ブラウニーが生息していた。あまり危険なモンスターではないが、なるべく戦いは避けたい。石材が取れる大きな石があったので、それの後ろに隠れながら、俺は進んで行った。
途中、崖があり、下に降りないといけないようだった。
「モンスターは弱いにしても、高低差が激しいな」
メルキドの青のとびらの先や、リムルダールの緑のとびらの先のように、どの地域にも高低差が激しいエリアがある。
幸い、その崖はあまり高くなかったので、俺は簡単に降りることが出来た。
崖を降りたところは、マグマの近くだと言うこともあり、さらに温度が高かった。
「本当にここは暑いな。早く鉄を手に入れて帰りたいぜ」
しかも、温度が高いだけでなく昨日の襲撃で襲ってきたフレイムもいた。それ以外にも、人の手の形をした魔物、マドハンドが生息している。
「フレイムもいるのかよ。気をつけて行かないと危ないな」
マドハンドはまだしも、フレイムには攻撃が効かないので、絶対に見つかる訳にはいかない。
効果は薄いだろうが、俺は砂漠の箱を被って奥へと進んで行く。
進む道が二手に別れている場所があり、そこに看板が立っていた。
「こんなところに看板があるのか。誰が書いたんだろうな」
俺は、その看板に書かれている文章を読んだ。書き方からして、魔物が書いたもので間違いないようだ。
西の鉱山に人間どもを近づけるな。鉄を渡しては、ならない。南の砦に、人間どもを近づけるな。あの女を渡しては、ならない。
西にある鉱山に鉄があるのか。だが、西はどっちなんだ?旅のとびらで移動したので、方角がまったく分からない。
どちらに進んでも、関所のような物が見えるが、片方はマグマの池のすぐそばに繋がっていて、もう片方は大きな城のような場所に続いていた。
「鉱山はマグマの池を越えた辺りなのか」
城のような場所に、アネゴが囚われているはずなので、俺はマグマの池の方に向かった。その池を越えれば、鉱山にたどり着くだろう。でも、どうやって越えればいいんだろうな?
とりあえずはそこまで行こうと思い、俺は歩き始めた。その途中、赤い実がなっている植物を見つけた。
「これ、唐辛子じゃないか?」
その植物は、地球で見たことがある唐辛子と似ていた。辛いので料理の味付けに使えそうだ。
俺はとうがらしをいくつか拾った後、関所にたどり着いた。
「特に門番みたいな魔物はいないな」
その関所には、ツボやタル、木箱などが置いてあったが、魔物は1体もいなかった。
関所を抜けると、もうマグマの池がすぐそばだった。この中に落ちたら、全身がすぐに焼けて死にそうだ。
しかし、運のいいことにそのマグマの池を避けられる道があり、そこから鉱山に行けた。
「マグマに土ブロックを置いて慎重に渡る必要はなかったな」
俺は、その道を歩いて鉱山へと向かう。その途中には、これまでの3回の襲撃で毎回来た、よろいのきしも生息していた。
「野生のよろいのきしか、ドムドーラのピラミッドの近くにもいたな」
マイラには、砂漠に生息していた魔物が多い。同じ暑い場所だからだろう。
広さが10メートルもない道だが、よろいのきしの視界に入らないよう気をつけて進んでいく。
そして、鉱山の手前のところにもう一つ関所があった。
「ここにも関所か。マイラの魔物はなんでも作るな」
そこにも特に門番はいなかったので、俺は普通にくぐる。その関所を越えたところに、鉄が取れると思われる洞窟があった。
「この洞窟で鉄が取れそうだな。さっさと集めて帰るか」
俺はよろいのきしに気を付けながら、その洞窟に入る。
洞窟の中に入ると、さっそく鉄の鉱脈があった。鉄の鉱脈を見たのは、メルキドの時以来なかったから、見た目を忘れていたが、色からして鉄だった。
「やっぱり鉄があったな。大量に集めて全員分の武器を作るか」
俺はどうのかなづちを打ち付け、鉄の鉱脈を砕いていく。鉄は固いので、簡単には壊しにくいが、何度か叩くと砕け、鉄のかたまりになる。
その洞窟には、大量の鉱脈があり、鉄を50個くらい集めることが出来た。
それと、洞窟の一番奥には宝箱が置いてあった。
「こんな洞窟に宝箱?何が入っているんだ?」
俺が開けて見ると、中には女性の顔が描かれた絵が入っていた。誰の顔なのかは分からないが、きれいに書かれている。
俺はその絵をポーチにしまい、洞窟から出た。
「鉄が集まったし、そろそろ帰るか」
鉄製の武器より鋼の武器のほうが強いし、まずは炉を強化してから武器を作らないと。鋼の武器を作るには、鉄のインゴットが大量にいるので、多く集まってよかったな。
俺はキメラのつばさがないので、歩いて旅のとびらまで戻り、町に戻った。