ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
Episode84 闇と呪いの中心
俺たちはマイラの光のとびらに入ってから、しばらく目の前が真っ白になり、ラダトーム地方へと移動する。
移動した後目を開けると、そこには俺が思っていたよりも遥かに荒廃している世界が広がっていた。
地面の土がすべて灰色になっており、植物なども全く見かけられない。それどころか、常に空が竜王の影が現れた時くらいの暗さになっていた。
本当にここが、かつての王都があったラダトームなのか?
「思っていたより酷いな、この場所は」
みんなも、あまりに荒廃しすぎているこの地域を見て、驚いていた。
「何かこの場所、昼なのに真っ暗で怖いね」
「ラダトームは竜王の城に近いから、酷い状況だとは聞いてたが、ここまで荒廃していたとはな」
「ワタシも、こんなに恐ろしい場所は初めてだぞ」
リムルダールやマイラも相当環境が破壊されていたが、ここはその比ではない。勇者が裏切ったことによって、竜王はここまで力をつけていたのか。
俺たちが荒廃した世界を見ていると、ルビスの声が聞こえてきた。
「目が覚めましたか···雄也。そこは···私の···光も届か···ない、死の大地」
これまでは俺の脳内にはっきり聞こえていたルビスの声も闇の力に遮られて、聞こえにくいな。
俺が耳をすませて、ルビスの声を何とか聞き取っていると、ルビスはこれまではありえなかったことを言う。
「立てる···べき、希望のはた···すら、今は···ありません」
希望のはたがないってことは、町を作ることすら出来ないことになるぞ。今はないって言い方から考えれば、手に入れられる方法があるのかもしれないが。
「希望のはたもないんだったら、どうすればいいんだ?」
「この先に···誰かいるように見えます。生き残った人々に会い···希望のはたを···探すのです」
こんな場所に生き残っている人なんているとは思えないが、ルビスの言う通り先に進むしかなさそうだな。
俺は、この荒廃した世界の探索を始めるため、みんなに声をかけた。
「みんな、ルビスから聞いたんだけど、ここを復興させるにはまず希望のはたを手に入れないといけないらしい」
「今回は希望のはたも自力で見つけねえといけないのか。まあ、ワシらならなんとかなるだろうがな」
ゆきのへたちも、このラダトームの状況を見ても恐れることはしていないようだ。
今回はルビスも強い装備を用意することが出来なかったのか、俺とゆきのへがひのきのぼうを1本ずつ持っているだけだ。それでも、これまでいくつもの町を復興してきた俺たちなら、この地域の復興も出来るばすだ。
それに、アレフガルドの全域を復活させるまでもう少しだから、ここで怖じ気づいている訳にはいかないな。
「それなら、探索を始めるぞ」
そして、俺の掛け声でラダトーム地方の探索を始める。俺たちのアレフガルド復興の第4章の始まりだな。
俺たちがいる場所は、3方向を岩山に囲まれていて、まっすぐ進んでいくしか道はなかった。
歩いている途中に、人の物と思われる頭蓋骨がたくさん落ちている場所も見つけた。この地方で、最後まで魔物と戦った人々の物なのだろうか。
「人の骨がこんなに大量に落ちているんだな」
「やっぱり、何か怖い雰囲気がするね」
人の骨以外にあった物も、石材の原料になる大きな石や、枯れ果てて黒くなった植物だけで、いつも手に入るふとい枝や白い花びらと言った素材は、全く手に入れることが出来なかった。
死の大地となったラダトームを5分くらい歩いていると、ヘイザンが誰かを見つけたらしく、俺たちに声をかけた。
「なあみんな、あそこに誰かいるみたいだぞ」
「さっきルビスが言っていた人のことか?」
ヘイザンが指差した方向を見るとたき火が置いてある場所があり、そのたき火の前に青い服を着た一人の老人が座っていた。
「あの人が誰かは分からないけど、とりあえず話しかけてみるか」
「ああ、あいつなら希望のはたについて知ってるかもしれないしな」
ゆきのへの言う通り、昔からここにいた人であれば失われた希望のはたのありかも分かるかもしれない。
俺たちは老人がいる場所まで歩いていき、彼に話しかけた。
「なあ、急に話しかけて悪いんだけど、あんたは誰なんだ?」
俺がそう聞くと、老人は長い間人間を見ていないらしく、俺たちに驚いていた。
俺が聞くと、老人は自分の名前を言う前に、俺たちが伝説のビルダーなのかと聞いてくる。
「そなたらこそ、こんな場所にいるとは何者なのじゃ?もしや、大地の精霊ルビスが遣わした、伝説のビルダーなのか?」
この老人も、ビルダーについては知っているようだな。
それで、こんな荒廃した場所に来るのは世界を復興させる役目を持つビルダーだけだと思ったのだろう。
「俺は影山雄也、いつもは雄也って呼ばれてる。あんたの言う通り、伝説のビルダーって奴だ」
俺が老人にいつもの自己紹介をすると、俺の後ろにいた3人も名乗り始めた。
「わたしはピリン!雄也と一緒に、みんなで仲良く暮らせる楽しい世界を作ろうとしているの」
「ワシはゆきのへ、伝説の鍛冶屋の子孫だ。鍛冶屋の知識を広めるために、雄也と一緒にここまで来たぜ」
「ワタシは伝説の鍛冶屋である親方の弟子の、ヘイザンだ」
みんなの話を聞くと、老人は伝説のビルダーやその仲間と会えたことに、とても驚いていた。
「やはりそなたらが、伝説のビルダーとその仲間であったか。ワシは予言者ムツヘタ。ひとまず、ワシの後についてくるのじゃ···」
そして、予言者ムツヘタと名乗る老人は立ち上がって、歩き始める。
ムツヘタは老人なので歩くスピードが遅かったが、希望のはたの場所を知っているかもしれないので、俺たちはムツヘタについて行くことにした。
しばらく歩いていると、岩山の谷間のような場所を抜けて、広い平原のような場所に出た。だが、やはりまわりは骨や岩、枯れ木しか残っていなかった。
「本当に生きている物が何もない場所だな」
魔物さえもほとんど生息しておらず、しりょうのきしのさらに上位種である、かげのきししか見つけることが出来なかった。
まわりの景色を見ながらムツヘタと一緒に進んで行くと、たき火が置いている場所があり、ムツヘタは息を切らしながらそこで立ち止まった。
「はあ、はあ。老骨にむちを打つのも限界じゃ。目的地はまだ先じゃが、少し休ませてくれ」
ムツヘタはかなり高齢に見えるので、長い間歩き続けることは出来ないだろう。
彼は息を整えた後、休みながらラダトームの地について話を始める。
「この地はかつて繁栄を極めた、王都ラダトームがあった大陸じゃ。じゃが、今は人が生きられぬ、死の大地と化しておる」
「ああ、これまで復興させてきた場所よりも、桁違いに酷い状態だ」
ムツヘタの言う通り、この地は生物が生きられる環境ではないな。
どうにかして、かつての王都を復活させることが出来ればいいのだが。だが、ムツヘタにもその方法は分からないようだ。
「この地を救うことが、そなたの使命のはずじゃが、その方法はワシにも分からぬ」
「じゃあ、希望のはたの場所も分からないのか?」
俺が聞くと、ムツヘタはうなずく。彼も希望のはたの場所が分からないのなら、何とかして自分で見つけるしか方法はないだろうな。
俺がそんなことを思っていると、ムツヘタは再び立ち上がって、歩き始めた。
「そなたらも休めたじゃろ。そろそろ目的地へと向かうぞ」
ムツヘタが向かっている場所がどこかは分からないが、今はついて行くしかないので、俺たちは彼の後を追って10分くらい歩き続けた。
すると、目の前に白い花やふとい枝など、生きた植物が生えている場所が見えて来る。
その場所には、正方形の形の小さな家があり、近くに石像のような物が置かれている。
そこが目的地だったようで、たどり着くとムツヘタは立ち止まって、再び話を始めた。
「ルビスからここを最初の拠点にするように命じられたのじゃ。この地でここだけは、緑が残されておるのじゃ」
確かに、ここなら灰色の死の大地で過ごすより良さそうだ。
でも、ルビスの加護でもなさそうなのに、どうしてここだけは緑が残ったんだろうな?
「どうしてここだけ緑が残ったんだ?」
「恐らくは、そこにある姫と瓜二つの石像のおかげじゃ。あの石像からは、不思議な力が感じられる」
石像をよく見ると、ムツヘタの言う通りラダトームの姫である、ローラ姫にとても似ていた。
どうしてこの場所にこんな石像が立てられたかは分からないけどな。
俺が石像を見ていると、ムツヘタはラダトームを復興させるには、まず死の大地を蘇らせる必要があると言った。
「その石像のことも気になるが、今は死の大地と化したこの場所に緑を蘇らさねばならぬ」
確かにこのままだと素材を集めることも出来ないので、何とかしなければいけないな。
その方法は、ムツヘタにも分からないんだろうけど。
「でも、死の大地を復活させる方法は、あんたにも分からないんだろ?」
「その通りじゃ。だが、この拠点の南にきれいな水が湧いている場所があるのじゃ。その場所には、意味深な古い本が置かれていてな、何か手がかりをつかめるかもしれぬ」
そう言って、ムツヘタは拠点からさらに奥の方を指さす。
古い本か···それに死の大地を復活させる手がかりが書かれているかは分からないが、それを読みに行ってみるしかなさそうだな。
「分かった。その本を読んでみるから、何か分かったら教えるぞ」
俺はそう言ってムツヘタと別れて、拠点の反対側に出た。そこで遠くを眺めると、確かに水場のような場所が見える。
俺は、死の大地を復活させる方法を見つけるため、その水場へ向かって行った。