ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺がラダトームに来て9日目の朝、起きて寝室から出て城の中を歩いていると、占いの間から出てきたムツヘタに話しかけられた。
今日のムツヘタはいつも以上に緊張している顔で、何かあったみたいだな。
「雄也よ、伝説の装備を作り、竜王を倒す全ての準備が整いつつあるようじゃな。そこで、ワシからも大切な話があるのだ」
ムツヘタの言う通り、あと少しで全ての準備が完了し、魔物の王である竜王との戦いに行けるな。
もしかしたら、今まで探っていた虹のしずくの原料のありかが分かったのだろうか。
「もしかして、この前言っていた虹のしずくの原料がどこにあるか分かったのか?」
「その通りじゃ。虹のしずくの原料があるラダトームの最も深い闇の場所も、入り口にある闇のとびらを開けるさいごのかぎの製法も、そこで待ち受ける敵についても突き止めておる」
占いの間が出来てからかなりの時間がたっているが、ようやく虹のしずくの原料のありかが分かったみたいだな。
でも、そこで待ち受ける敵と言うのは、どんな奴なんだろうな。
俺が聞くと、ムツヘタはそこにいるのは闇の元凶である裏切り勇者だと答えた。
「じゃあ、その深い闇の中で待ち受けるのは、どんな敵なんだ?」
「人々の希望を背負いながら最後の最後に裏切った勇者、精霊ルビスが闇の戦士と呼んでおる闇の元凶じゃ」
闇の戦士か···世界を裏切った訳だから、ルビスからも勇者と呼ばれなくなったみたいだな。
虹のしずくの原料を手に入れなければいけないし、放っておけば人類に未来はないだろうから、必ず闇の戦士を倒さなければならないな。
これまでで一番の強敵だと思われるが、場所が分かったらすぐに戦いに行こう。
「それで、ラダトームの最も深い闇はどこにあるんだ?」
「ラダトーム周辺にある火山地帯の近くじゃ。そこに、ラダトームの最も深い闇である闇の戦士の城がある」
アメルダを救出する時にラダトームの火山地帯には行ったことがあるけど、城のような物は見なかったな。
でも、まだその辺りを調べ尽くした訳ではないので、そこに向かうとするか。
ムツヘタは、入り口にある闇のとびらを開けるのに必要なさいごのかぎの作り方も教えてきた。
「それと、闇のとびらを開けるためのさいごのかぎは、せいすいとふしぎな宝石、マネマネ金属があれば作ることが出来るじゃろう」
作り方の後に、さいごのかぎの詳しい形などもムツヘタは言う。
さいごのかぎ···せいすい1個、ふしぎな宝石1個、マネマネ金属1個 シャナク魔法台
ビルダーの魔法で調べると、ムツヘタの言う通りの素材が必要だと分かった。
せいすいは今も持っているが、ふしぎな宝石とマネマネ金属と言うものは聞いたことがないな。
そう思っていると、ムツヘタは赤色に輝く宝石のような物を渡してきた。
「これがふしぎな宝石じゃ。そなたが昨日休んでいる間にワシが手に入れておいたぞ」
その宝石は見た目は普通だが、強い魔力が感じられた。
これで後は、マネマネ金属を手に入れればいいな。
「あと必要なのはマネマネ金属だけど、どうやったら手に入るんだ?」
「マネマネ金属はラダトームに生息するトロルが落とすはずじゃ。今のそなたなら倒すことは簡単じゃろう」
トロルは赤色の旅のとびらを抜けてすぐのところにいたはずだ。
そいつを倒してマネマネ金属を手に入れ、さいごのかぎを作ったら闇の戦士の城に向かおう。
「分かった。さいごのかぎを作ったら、闇の戦士を倒して虹のしずくの原料を手に入れてくるぜ」
「ビルダーとしての最後の責務は大変じゃろうが、がんばるのじゃぞ!」
俺はそこでムツヘタと別れて、赤の旅のとびらへ向かった。
ムツヘタは最後の責務だと言っていたが、たとえビルダーの役目を終えても俺は必ず世界に光を取り戻すつもりだ。
そして、とびらを抜けた先では、すぐにトロルを見つけることが出来た。
「さっそくトロルを見つけたな。あいつを倒して、マネマネ金属を手に入れてやるぜ」
俺はアルミラージを倒した時のようにおうじゃのけんとはがねのつるぎを構えて、トロルの背後に回った。
トロルは巨体の魔物だが、二刀流での攻撃を受ければかなりのダメージを受けるだろう。
俺はトロルのすぐ近くまで行くと、二本の剣を同時に降り下ろし、奴を思いきり斬り裂いた。
すると、大きな傷をつけられたが倒すことは出来ず、トロルは怒鳴って棍棒を振り上げてきた。
「この人間め、よくも斬りつけやがったな!」
「さすがに一撃では倒せなかったようだな」
トロルの動きはあまり早くないので、俺は棍棒をかわして横にまわり、もう一度斬りつける。
奴はかなり弱ってきたが、まだ倒れずに俺をなぎはらおうと棍棒を振り回してくる。
「人間などに倒されると思うなよ!」
さっきよりは攻撃の速度は速かったが、俺は大きくジャンプをしてかわす。
そして、俺はトロルの動きが止まった隙にもう一度全力で斬りかかり、とどめをさすことが出来た。
奴が倒れたところには、顔のような形をした金属が落ちていた。
「これがマネマネ金属みたいだな。これでさいごのかぎを作って闇の戦士の城に行けるぜ」
俺はマネマネ金属を拾ってポーチにしまい、一度旅のとびらをくぐってラダトームの城に戻っていった。
そこからシャナク魔法台のある占いの間に行き、さいごのかぎの素材を取り出す。
「シャナク魔法台でビルダーの魔法を使えばさいごのかぎを作れるはずだな」
俺がそれらの素材にビルダーの力を使うと、マネマネ金属が鍵の形を作り、ふしぎな宝石が持ち手の部分にはめこまれる。
最後に出来上がった鍵をせいすいで清めて、闇のとびらを開けるさいごのかぎを完成した。
俺はさいごのかぎを持って、改めて赤色の旅のとびらに入っていく。
「これでさいごのかぎも作れたし、ラダトームの最も深い闇を目指すか」
俺は旅のとびらを抜けると、今度はトロルたちを避けながら火山地帯へ向かっていく。
そこまではかなりの距離があるが、疲れずに行くことが出来るだろう。
そして、俺が旅のとびらを出て30分ほど歩き続けると、火山地帯の近くにまでたどり着いた。
「俺は見たことがないけど、この近くに闇の戦士の城があるはずなんだよな」
火山地帯の近くに来ると、俺は闇の戦士の城を探すためにあたりを見回す。
すると、火山地帯の左側に禍々しい雰囲気を放つ大きな城が遠くに見えた。
他に城らしい建物もないので、あの中に裏切りの勇者である闇の戦士がいるのだろう。
「あれが闇の戦士の城か···ここから見ても禍々しい感じだけど、行くしかないな」
俺は火山地帯の近くから、その城に向かってさらに歩いていった。
城の入り口に着くと、見た目ははがねの大とびらだがおぞましい闇の気配が感じられるとびらがあり、その前には立て札が立てられていた。
その立て札には、カタカナでセカイノハンブンと書かれている。
「世界の半分か···この小さな城に闇の戦士がいることから考えて、やっぱり本当に世界の半分は貰えなかったみたいだな」
目の前にある闇の戦士の城はそこまで大きい物でもなく、とても世界の半分と呼べる物ではなかった。
それに、闇の戦士が外に出てきていないことを考えると閉じ込められているのだろう。
勇者も本当に世界の半分を貰えるとは思っていなかったはずだが、流石に小さな城に閉じ込められるとも思っていないだろう。
「裏切り勇者はこの中で何を考えているんだろうな」
俺は闇の戦士と話をしたいとも思いながら闇のとびらに近づき、さいごのかぎをさしこんだ。
すると、掛けられていた重い鍵が外れて、とびらが開くようになった。
「これで闇のとびらが開いたみたいだな。どんな理由で世界を裏切ったとしても、必ず倒してやるぜ」
俺がとびらを開けて中に入ると、そこには一人の王冠と覆面を被った筋肉だらけの男が不気味な笑い声を上げていた。
勇者と言うよりドラクエ3に出てきたカンダタに似ているが、ロトのつるぎとロトのたてを持っている。
ロトのつるぎは竜王に渡したはずだし、ロトのたてはドラクエ1に登場しないのでどちらも偽物だろうが、首から下げている王女の愛と呼ばれる首飾りは本物だと思われる。
恐らくは世界を裏切った後に、竜王の魔法でこのような姿にされてしまったのだろう。
「ぐひゃひゃひゃ!この世界はオレ様の物···。オレ様の物だ!」
どうやら数百年も閉じ込められていたせいで精神状態が狂ってしまったようだな。俺でもこんな場所に閉じ込められれば狂ってしまうだろう。
それと、奴の声はリムルダールの町やラダトームの仮拠点の防衛戦の後に聞こえた声と同じだった。
狂っていても、闇の戦士はあの時からビルダーである俺のことに気づいていたようだ。
「狂っているから話は出来そうにないけど、ここで倒すしかないな」
俺は話をするのを諦めて二本の剣を持ち、闇の戦士に近づいていった。
すると闇の戦士も俺に気づいて、驚いたような顔をしていた。
「んん!?誰だ?お前···誰だあああ!?」
「俺はビルダーの影山雄也。世界を裏切ったお前を倒しに来たぜ」
俺が自分はビルダーだと言うと、闇の戦士は怒りだし、ロトのつるぎとロトのたてを構える。
「そうか···お前が世界に希望を振り撒いていたのか!ならば、絶対に許さんぞおおお!」
そして、そう言いながら奴は俺に斬りかかってくる。世界を裏切った勇者である闇の戦士との決戦が始まった。
闇の戦士は走って俺に近づくと、右腕に持ったロトのつるぎを降り下ろして叩き斬ろうとしてくる。
俺は右腕に持つおうじゃのけんで受け止めたが、闇の戦士の剣は非常に威力が高く、腕に凄まじい衝撃が走った。
でも、弾き返すことは不可能でも攻撃を受け止めていることだけならできそうだな。
俺はその間に左腕に持っているはがねのつるぎを降りかざし、闇の戦士に突き刺そうとした。
「二刀流の力があれば、何とか勝てるかもしれないな」
しかし、闇の戦士もすぐに反応してロトのたてで俺の攻撃を受け止める。
俺は左腕に強い力をこめたが、非常に高い防御力を持つロトのたてを突き破ることは出来なかった。
「くそっ、二刀流でも攻撃を当てられないのか!?」
「ぐひゃひゃ!ビルダーの力はこの程度の物か!」
そう言うと、闇の戦士も俺を押しきろうと剣にさらに強い力をかけてくる。
これまで戦ってきたどの魔物の攻撃よりも強く、おうじゃのけんを使っても受け止めきれない。そして、俺は耐えきれずに体勢を少し崩してしまった。
その隙を闇の戦士は見逃さず、大きく飛び上がってロトのつるぎを叩きつけてくる。
喰らえば真っ二つにされるだろうから、俺は何とか直前に体勢を立て直して大きく後ろにジャンプする。
「それくらいの攻撃で、俺は倒されないぞ!」
闇の戦士の一撃は城の地面を砕くほどの威力だったが、俺に直撃することは避けられた。
だが、闇の戦士は俺を逃がさないためにすぐに追撃をかけてくる。
俺と奴との間には少しの距離があったのでさらに避ける時間はあったが、このまま攻撃をかわし続けるだけではいつまでたっても倒すことは出来ないな。
なので俺は、闇の戦士の動きを止めてダメージを与えるために、腕に力を溜めて思いきり解放する。
「回転斬り!」
俺が回転斬りを放つと、おうじゃのけんは光を放って闇の戦士を斬り裂こうとする。
ドラクエの剣の奥義であるギガスラッシュのような一撃は闇の戦士も受け止めきることは出来ず、わずかな時間ではあるが動きを止めることが出来た。
そこに左手に持っていたはがねのつるぎでの攻撃が炸裂し、闇の戦士は大きなダメージを受ける。
「おうじゃのけんの回転斬りはこんなに強いのか。これなら、こいつを倒すことも出来そうだな」
俺は闇の戦士が怯んでいる間にもう一度後ろに飛んで、回転斬りを連続して放とうと思っていた。
しかし、闇の戦士は俺が攻撃の反動で動きが止まっている間にすぐに体勢を立て直してしまう。
さらに、立ち直った闇の戦士は俺が回転斬りを溜める時と同じ行動をとった。
「なかなかやるな、ビルダー。これならどうだ!」
「もしかして、こいつも回転斬りを使えるのか!?」
俺がそう思っている間に闇の戦士はロトのつるぎを一回転させる。俺のおうじゃのけんは光を放っていたが、奴の剣は恐ろしい闇の力をまとっていた。
至近距離にいたので俺はかわすことは出来ないと思い、両腕で闇の戦士の回転斬りを止めようとする。
だが、思っていた以上に威力の高い攻撃で俺は数メートル飛ばされて地面に叩きつけられた。
「くっ!こいつの回転斬りはここまで強いのか?」
俺は立ち上がって、闇の戦士が近づいてくる前に腕に力を溜めようと思っていたが、奴は俺の動きを読んでベギラマの呪文を放ってきた。
「今度こそ終わりだ、ベギラマ!」
闇の戦士のベギラマはまどうしなどのベギラマと比べて攻撃範囲が広く、かわすのがとても大変だった。
でも、俺は魔法を避けながら敵に近づくのには慣れているので、大きなジャンプを繰り返しながら闇の戦士へ近づいていく。
「魔法での攻撃には慣れているからな、このくらい避けられるぜ」
奴も魔法の詠唱中には武器を使うことが出来ないので、俺はその間に二本の剣を降り下ろす。
闇の戦士は俺に気づいてすぐにベギラマの詠唱を中断するが、剣を持つ前に俺の剣で斬り裂かれた。
すると、奴はかなり弱ってきて俺への攻撃も強まってきた。
「オレ様の世界に光はいらない!お前のような奴は絶対に許さない!」
闇の戦士は正気を取り戻していないにしても、勇者としての戦闘能力は失っていないからな。
奴は連続してロトのつるぎを振るってきて、怯ませなければ攻撃することが出来なかった。
俺は奴を止めようと、おうじゃのけんとはがねのつるぎの両方を使って攻撃を受け止める。さっきと違って奴も弱っているので、今なら攻撃を弾き返せるかもしれないな。
俺は腕に渾身の力をこめて、闇の戦士の剣を弾き返して体勢を崩させる。
腕がかなり痛んだが休んでいる時間はないので、俺は闇の戦士の体に剣を深く突き刺し、体内を斬り刻んでいく。
これで闇の戦士は瀕死にまで追い詰められ、もう少しで倒せそうだった。
「そろそろ弱ってきているな、とどめをさすか」
しかし、俺が回転斬りを放とうとしていると、闇の戦士は走って城の外に逃げ出した。
俺が闇のとびらを開けたことで闇の戦士も外に出られるようになったみたいだが、ここで逃がす訳にはいかない。
「逃がすかよっ!」
俺はおうじゃのけんを投げつけて、闇の戦士にとどめをさそうとする。
だが、闇の戦士は剣をすんでのところでかわし、そのまま遠くへ逃げていった。
「くそっ!もう少しで倒せたのに逃げられてしまったか」
俺は城の外まで追いかけたが、すでにそこに闇の戦士の姿はなかった。
もしあいつがここを出られたことで正気を取り戻したら、人類にとって竜王以上の脅威になるかもしれない。
たとえ今は狂っているとしても、世界を裏切ったのは間違いなく本人の意思だからな。
「あいつとはもう一度戦うことになるだろうけど、今はとりあえず虹のしずくの原料を手に入れるか」
追いかけても見つかりそうにないので、俺は闇の戦士の城にある虹のしずくの原料が入っているであろう宝箱を開けに行った。
最近かなり忙しいので数日間更新できないこともあります。
また、次回はこれまで各章に1回ずつ出てきたあの敵との決戦になります。