東風乃扇です。
IS2巻って結構内容濃いな~。
そんなこと考えながら執筆中です。
それでは第18話始まります。
転校生のシャルル・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒ
ある日の放課後、俺―天野星夜―は新しく来た2人に軽く悩んでいた。
シャルルは違和感や怪しい点があるし、ボーデヴィッヒさんは周りに壁を作っている。
あともうひとつ悩みがある。
それは更識先輩の事だ。
簪さんと仲直りがしたいそうだが中々できないようだ。
こっちはお互いにその気があるからマシかな?
とりあえず出来ることからやるしかないか。
そう思い、織斑先生を探す。
職員室に行けばわかるか。
「失礼します。織斑先生はいらっしゃいますか?」
職員室にノックをして入る。
「ん?天野か、どうした?何か問題でも起きたか?」
よし、居た。
「織斑先生に聞きたいことがあってきました。」
何かを察したような織斑先生。
「まぁ、3人しかいない男子だ、悩みは色々とあるだろう。こっちへ来い。聞いてやる。」
わざわざ個室かありがたい。
「ありがとうございます。」
部屋には簡単な椅子と机だけ、応接室ってよりも取調室みたいだな。
「それで?話はなんだ?」
「ボーデヴィッヒさんの事を知りたくて来ました。織斑先生から見たボーデヴィッヒさんを教えてください。」
「なぜ?何処が気になった?」
「ただ弟が居るだけならあんな殺気は出ないはずです。」
「なるほどな。まぁいいだろう。生徒の問題は生徒に片付けさせるか。」
そう言って織斑先生は語り始めた。
まず、ラウラ・ボーデヴィッヒはドイツ軍が産み出した試験管ベイビーであること。
その中でも彼女は最も優秀だった。
しかし、ISが登場し、その適合性を上げるために行われた処置により異変が発生一気に『失敗作』の烙印を押されてしまった。
その後、ドイツで1年間教官をすることになった織斑先生に出合う。
織斑先生の指導で一気に成績が伸びて最優秀の座を取り戻した。
その時に織斑先生に強い憧れを持ったのだろう。
一夏を恨む理由はその教官をすることになった原因にある。
モンドクロッソと呼ばれるISの世界大会。
これの決勝戦の際に一夏が誘拐されたのだ。
一夏を救うために織斑先生は棄権した。
つまり、織斑先生に黒星を付けた原因だと思っているようだ。
「産まれた理由が生き方を縛っている感じですね。」
「まぁ、あいつは攻撃力が強さだと思っているし、私になろうとしている。」
「力は心なのに…。それに他人に成れるわけ無いのに…。」
「あれも、まだまだ子供と言うことだ。だがそのままではいけないのも確かだな。」
「まずはその心に気づいてもらえないと行けないわけですね。」
「難しいが…出来るか?」
「最初から出来ないと思っていたら出来ることも出来ません。」
宣言する。
「ふふ、そうだな。確かにその通りだ。」
「まぁ格闘家らしく踏み込んでみますよ。そこからどうなるかはわかりませんが。」
「その意気だ頼むぞ。」
「ありがとうございました。」
そう言って部屋をでる。
そのまま職員室を出て、ボーデヴィッヒさんを探す。
聞かなければ、彼女自身の心を。
放課後のグラウンド、そこで1人訓練をしていたボーデヴィッヒさんを見つけた。
「お疲れ様です、ボーデヴィッヒさん。」
「貴様は…天野星夜…何の用だ。」
赤い右目で睨み付けてくる。
「ボーデヴィッヒさんの事を知りたくてね。なぜ、一夏を狙うのかな?」
「貴様には関係がない、答える必要も無いな。」
まぁ素直に答えてはくれないか。
「織斑先生の棄権による敗北を与えた原因だから?」
その瞬間、彼女は距離を詰め、ナイフを取りだし、こちらの喉元に突き立てようとした。
余りにも直情的で読みやすかった。
手首を叩き、ナイフを落とさせる。
そのまま腕を掴み背負い投げの要領で投げる。
「がはっ!」
背中から落ちた彼女はこちらを睨む。
「私にとって教官こそが全て!その強さが目標であり、存在理由!なれば完全でなければならない!」
立ち上がりながら彼女は続ける。
「教官をあんな風に変えてしまうあの存在が憎い!
汚点を残した張本人である織斑一夏を排除する!どんな手を使っても!」
「一夏を倒しても、織斑先生を越えても、ボーデヴィッヒさんはボーデヴィッヒさんだ!あの人にはなれない!」
自分と言う存在を理解してほしい、産まれた経緯や理由はどうあれ、彼女は彼女だ。自分で決められる筈なのにそれを放棄している。
「それに、力だけじゃ織斑先生に追い付くことも出来ない!」
「ならば私に何がないと言うのだ!」
「想いだ!何かを成そうとする想いが無ければそれは破壊を生むだけの力だ!」
「想いだと…そんなもの、必要ない!」
ISを展開し、こちらに手刀を降り下ろすボーデヴィッヒさん。その手にはエネルギーが貯まっている。
「あなたは織斑先生に憧れてるんだろ!?だったらなぜ立ち向かわない!なぜ逃げる!?」
俺は動かない。直前で止まるボーデヴィッヒさん。
「私が…逃げているだと…?ふざけるな!」
「いいや、あなたは自分自身から逃げている!自らを信じてないから織斑先生になろうと逃げているんだ!」
「私、自身だと…?」
「そうだ!織斑先生から教えてもらった自分の強さを見ずに織斑先生という影に隠れようとしている。」
動揺してるな。
「そんなわけがあるか!私は教官によって、最強の座に戻ったのだ!この力は私だ!」
「……織斑先生が教えてくれたのはそれだけじゃないはずでしょ…?」
「……っ!これ以上貴様と話すことなどない!!」
彼女はISをしまい、寮へ走っていった。
やはり、彼女は再び力を失うことを恐れている。
力しか存在を証明する方法を知らないからだ。
だから織斑先生に…自分の知る最高の力に憧れてる。
「力は…心なり…。」
呟くが風に掻き消された。
彼女は理解してくれるだろうか…。
――
ボーデヴィッヒさんが去ってしまったので部屋に帰る。
「ん…?誰かいる?」
部屋に鍵は掛かっているが部屋から気配を感じる。
「誰だ!?」
鍵を開けても反応はなかったので勢いよくドアを開ける。
「あっお帰りなさい♪ご飯にする?シャワーにする?それとも…」
「あっ布仏先輩ですか?更識先輩が自分の部屋に不法侵入を…」
更識先輩だったのですぐさま携帯をだし、布仏先輩に電話する振りをした。
「あっごめんなさい、スミマセン、虚ちゃんには言わないで。」
「じゃあ用件は何ですか?」
この人はあのあと数回会ったけどペースを握られるとやばい。
「えっと、実は…ひさしぶり簪ちゃんからメールがあって…。」
「へぇ、そうですか。」
わだかまりが無くなったのかな?
「私に挑みたいって……。」
「なるほど……。それで?自分はどうすれば?」
「それの仲介人になって欲しいの!」
つまりは見守って欲しいということか。
「きっと簪さんからも同じこと頼まれると思いますし、いいですよ。」
「ありがとう!」
「それで?いつやるんです?」
「今度の土曜日の午後よ。」
「わかりました。次の土曜日は開けておきます。」
よく見ると携帯にメールの着信がある、簪さんからだ。
内容は更識先輩に言われたのと同じ、お姉さんに挑むから見届けて欲しいとかかれていた。
了解を伝えるメールを返しておく。
さて、この問題はあと一歩かな?
「じゃあ、よろしくね天野くん♪」
そう言って更識先輩は去っていった。
――
後日の放課後
一夏たちと特訓をしていた。
今日はシャルルも居る。
シャルルは専用機『ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ』を纏っている。
その名の通りラファールのカスタム機だ。
「えっとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ。」
「そうなのか?一応わかってるつもりなんだけど。」
今は一夏にシャルルが講義してる。
「一応知識としては知ってるってかんじだね。僕や星夜と戦っても全然距離を詰められなかったでしょ?」
「確かに、瞬時加速も読まれてたしな。」
「一夏は接近戦オンリーだからより深く武器の特性を把握しないと行けないんだよ。瞬時加速も直線的で軌道予測はしやすいんだよ。」
「なるほどな。」
「あっでも瞬時加速中に軌道を変えようとすると無理な負荷が掛かるからやめた方がいいよ。」
シャルルの説明は横で聞いていても分かりやすいな。
箒さんは擬音だらけだし。
鈴さんは感覚的だし。
セシリアさんは理論的過ぎる。
「なぜあれで理解できんのだ…。」
「あんなに分かりやすく言ったのに。」
「私の説明の何が不満だったのかしら。」
先任のコーチ達がなにか言っているが気にしない。
「一夏の機体は後付武装(イコライザ)が無いんだよね?」
「何回も見てもらったけど空いてないらしい。」
「きっと単一仕様(ワンオフ・アビリティー)に容量を使ってるからだよ。」
零落白夜のことか…。
「普通はセカンド・シフトした後に発現するものなんだけどね。ファーストシフトから使えて、織斑先生の使ってたISと同じアビリティーなのも異常なんだよね。」
「姉弟だからとかじゃないのか?」
「血縁者でも同じアビリティがでる理由にはならないよ。操縦者と機体の相性が重要だからね。再現しようとしても出来てないんだ。」
「そうなのか。」
「次は射撃の練習をしてみよっか。」
そう言ってシャルルは一夏にアサルトライフルを貸していた。
射撃を体感して覚えさせるのか、そう言うのもありだったな。
やっぱりシャルルは教師に向いてるな。
そんな感じに練習をしていたが…
「ねぇ、あれって…」
「うそ、ドイツの新型?」
「まだトライアル段階だって…」
そこに来たのは黒いISを纏ったボーデヴィッヒだった。
「織斑一夏、私と戦え!」
殺気を隠すことなくぶつけている。
「嫌だ、理由が無いね。」
一夏は断る。
「貴様に無くても私にある。」
その言葉を聞き、一夏の表情が暗くなる。
理由はわかっているようだな。
「貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしていたのは明白だ。だから、私は貴様を認めない!」
「また今度な。」
一夏は断じて戦わないつもりだ。
「ならば戦わざるを得ないようにしてやる。」
言うと同時に左肩の大砲が火を吹く。
「こんな密集空間でいきなり戦闘なんてドイツ人はビールだけじゃなくて頭もホットだね。」
その砲撃をシャルルが盾で防ぎながら銃を構えてボーデヴィッヒさんに向ける。
「ふん、アンティークが。」
「ルーキーよりは動けるよ!」
2人が睨み合う。
「はい、2人とも、ストップだよ。」
間に割って入る。
「星夜!」
「貴様…何のつもりだ!」
「ここは練習をする場所であって模擬戦をする場所ではないよ。ボーデヴィッヒさん、一夏を倒したいならこんどの学年別トーナメントで戦えるからそれまで待ったら?」
「そんなものは関係ない!あいつは私が…!」
『そこの生徒!何をしている!学年とクラス、名前を言いなさい!』
放送が聞こえる。
「ちっ…邪魔が入ったか…。」
踵をかえすボーデヴィッヒさん。
「一夏、大丈夫?」
「大丈夫か?一夏、シャルル。」
「ああ、助かった。ありがとう。」
シャルルは武器をしまいながら一夏のところへ。
俺も近づく。
「今日はもうやめようか?」
「あぁ、そうだな。銃サンキュー、参考になったぜ。」
「アリーナも閉館時間だしな。」
一夏が銃を返す。微笑むシャルル。
「えっと……じゃあ、先に着替えて戻ってて。」
ISを使った後、シャルルは必ず俺と一夏を先に着替えさせていた。
一夏は毎回一緒に着替えをしようと誘っている。
あと、一夏に聞いたら部屋に行くと態度がぎこちないと言っていたな。
一夏は頑張ってシャルルを説得している。
「たまにはいいじゃないか。」
「い、いや。」
「つれないこと言うなよ。」
「つれないって言うか、どうして一夏は僕と着替えたいの?」
「どうしてシャルルは着替えたがらないんだ?」
シャルルは強引な押しに弱いようだな。
「どうしてって…はっ恥ずかしいから…。」
言い方と仕草がなんか女っぽいぞ、シャルル。
「慣れれば大丈夫だって、さぁ!一緒に着替えようぜ!」
「えっいや、えーと…。」
シャルルの視線がこちらに向く。あれは助けを求める目だ。
「一夏、シャルルが嫌がってるんだからやめてやれよ。」
「引き際を知らないやつは友達無くすわよ?」
一夏の首根っこを掴み引っ張る鈴さん、やっぱりこの人は気遣いが出来るな。
「では、星夜さん、一夏さん、シャルルさんお疲れさまですわ。」
「うむ、セシリア、鈴、私たちも行こう。」
「そうね、じゃあまた、夕食時にでも会いましょう。」
女子3人組が歩いて行く。
「シャルル、先に着替えてるから、ゆっくり来てくれ。」
鈴さんから引き継ぎ一夏の首根っこを掴み引きずる。
「ぐぇ、苦しい…星夜、歩くから離してくれ。」
「うん、あとでね。」
シャルルと別れて更衣室に向かう。
「織斑くん、天野くん、デュノアくんいますかー?」
更衣室にて着替えていると外から声が聞こえた。
山田先生の声だ。
「はい?えーとデュノア以外は居ます。」
「どうかしましたか?」
「入っても大丈夫ですかー?着替え中ですかー?」
なんか語尾が延びてる。まぁ自然となるときってあるし。
「2人とも、終わってますから大丈夫です。」
「わかりました。」
ドアが開き山田先生が入ってくる。
「連絡事項ですか?必要ならシャルルも連れてきますけど。」
「あっそこまで重要でもないのでお二人から伝えてください。」
「えっと今月の下旬から男子の方も大浴場が使用可能になります。予定では週2回の使用日を設ける形になります。」
あぁ、確か女子たちから色々と言われて難航してたらしい。
時間別だと何があるかわからないしな。
ただあの広さを少人数で占拠とはなかなか贅沢だな。
一夏は余程嬉しかったのか山田先生の手を掴んで喜んでる。
そういえば風呂好きだっていってたよな。
「あれ、一夏に星夜、まだ居たの?」
シャルルが入ってきた。
「喜べ!シャルル!俺たちも今月から風呂が使えるぞ!」
やたらとテンションの上がった一夏が報告する。
「あっそうなんだ。」
対して軽い反応のシャルル。
「悪いなシャルル、すぐに出るから。山田先生、連絡事項はそれだけですか?」
「あっはい、以上になりますけど。織斑くんは専用機に関する書類の提出があるので来ていただけますか?」
「わかりました。シャルル、今日は先にシャワー使ってくれ。」
「うん、わかったよ一夏。」
山田先生に付いていく一夏。
「じゃあ、シャルルまたあとで。」
「うん、星夜も、あとでね。」
部屋に戻り、シャワーを浴びる。
お茶を飲み、一息つくと携帯が鳴る。
ベガさんからだ。
「もしもし?」
『星夜くん、今は大丈夫かしら?この間の件なんだけど…。』
シャルル・デュノアに関してなにかわかったのか。
『結論を先に言えば…シャルル・デュノアという人物は存在しないわ。』
存在しない?
「と、言いますと?」
『デュノア社の社長と本妻の間には子供は居ないわ。ただし、今は亡き愛人との間には居たみたいね。』
「つまり、その子供が。」
『シャルロット・デュノア、女の子よ。』
「じゃあ、男装してわざわざ入ったのは特異ケースとの接触が目的ってことですかね?」
『えぇ、間違いないわ。デュノア社は現在、経営状態が良くないからね。あと広告塔位には思ってるかも。』
「はぁ、いくら愛人との子供だからって捨て駒みたいな使い方ってします?」
『恐らくそれは本妻の方が決めたみたいよ?』
「やっぱり女性の方が強いと。」
『本妻は裏で色々とやってるみたいよ。そっちはまだ確認がとれてないから詳細は言えないけど。』
「そうですか、社長はお飾りだと?」
『えぇ、本来経営能力は高いみたいだけど今はその力を活かせてないわね。』
無能な本妻が色々と仕切ってこけたわけか。
「なるほど、ありがとうございました。こっちでも彼女に聞いてみますよ。」
『シャルロット・デュノアに?』
「えぇ、共犯なのか被害者なのかわからないので。」
『デュノア社についてはまだ詳しく調べるからまた連絡するわね。』
「お願いします。では。」
携帯を閉じる。同時にドアがノックされる。
「星夜、いるか?一夏だ。」
一夏がきた。
「どうした?一夏、まだ飯には早くないか?」
ドアを開けて答える。
「悪いな、ちょっと相談に乗ってくれないか?」
真面目な顔だ。
「何かあったのか?」
「あぁ、俺の部屋に来てくれないか?みんなには内緒で。」
まさかね…。
「わかった行こうか?」
「ありがとう。星夜。」
一夏と一緒に部屋へ行くとそこにはジャージを着たシャルルが居るしかし、胸が出ている。
「つまり、相談事ってのは『シャルロット・デュノア』に関してってこと?」
2人の目が驚きに満ちた。
「知ってたのか!?星夜!?」
「気づいてたの!?星夜!?」
「悪いけど初日から違和感を拭いきれなくてね。GEARに調査して貰ってた。」
「そっか……。そうなんだ…。」
シャルルは落ち着いている。いや、諦めてるのか?
とりあえず一夏の話を聞くと
シャルロットの事情を聞いてそれを救うために学園の特記事項に《生徒はあらゆる国家や組織に帰属せず、同意なくば外的な介入は許可されない》というのはあるから3年間は平気なことには気づいたと。
「でも、それだと根本的な解決は出来ないから相談したいと?」
「あぁ、星夜ならGEARとかに頼めないか?」
「GEARに?」
「そうだよ、GEARはたしかフランスにもあるだろ?」
「まぁ今回の調査も大体はGEARフランスが行ってるからな。」
「どうにか出来るだろ?」
一夏は友人を救いたいからこう言ってるんだろうな。
優しいやつだ。
「君は?どうしたいの?」
シャルロット・デュノアにも聞かないとな。
「えっ?」
こちらを見て呆然とするシャルロット・デュノア。
「ここまでの会話で俺は君からは何も言われてないからね。」
そう、最初の反応以外ずっと下を向いていた。
「一夏は君を助けたい。けど、それを君が拒んでいるなら余計なことになってしまうからね。」
「なんでそんなこと言うんだよ!?友達だろ!?」
一夏がこっちに喰いかかる。
「いくら、助けようと手を差しのべても相手が掴まなきゃ意味はないよ。一夏。」
「僕は…、どうしたらいいのさ!?」
彼女は叫ぶ。
「僕には選ぶ権利なんか無いんだよ!!あの人たちに勝手に決められて!居場所も取られて!僕はどうすればいいのさ!?」
「どうすれば良いかじゃない…。どうしたいか…だ!!」
俺は強く言う。
「僕が…どうしたいか?」
聞き返してきた。
「お前が絶望して選ばないのなら、俺達に助ける術はない。でも、お前が希望を得るために動くのなら、俺達は全力で助ける。」
しっかりと目を見て宣言する。
「信じて頼る仲間を俺達は見捨てない。」
「でも、僕は君たちに嘘をついて…騙してたんだよ?」
「それで俺達に何かしら被害があったか?なぁ一夏?」
一夏に聞く。
「いや、何も取られてないな。」
「人間生きてれば嘘だってつくこともあるさ。だから気にするな。」
「……僕は…。」
ポツリと呟く。
「僕は…ここに……いたい………。」
「まだ、僕の居場所がここにあって…ここにいていいなら……一緒に居たい…。」
弱々しいが確実に言った。
「わかった。なら、まずはデュノア社の事を何とかしないとな。もしかしたらフランス政府も噛んでる可能性があるし。あとでGEARの信頼できる人に電話するから、事情を話してくれる?GEARフランスも調べやすくなるし。」
「うん、わかったよ。」
彼女は答える。
「一夏ー?居るー?飯食べに行くわよー!」
鈴さんの声だ。
「シャルル、布団の中に。」
「あっうん。」
いきなりの声で一夏と2人で慌ててるので、落ち着いて指示する。
「あれ?星夜も居るじゃない?どうしたの?」
ガチャリとドアを開けながら聞いてくる鈴さん。
「あっあぁ、シャルルが体調が悪いらしくてな…。」
「それで、俺の部屋にある常備薬貸してくれってな。」
とっさの芝居にしてはいい方だろう。
「へー。大丈夫なの?」
「熱とかは無さそうだし、ここ数日の疲れが一気に来たのかもな。」
「あー引っ越したあとに気が抜けたりするとなるらしいわね。」
「一夏、シャルルは俺が診てるから一緒に食事に行ってこいよ。」
「えっ?いいのか?」
「あぁ、だから帰りに軽いの持ってきてくれ、俺とシャルル用で。」
「おう、わかった。シャルル、悪いな。」
「う、うんお願いね。」
弱々しく答えるシャルル。
「じゃあ、一夏借りてくわよ。お大事に。」
そう言って食堂へ向かう鈴さんと一夏。
「星夜、ごめんね。」
「謝る必要はないよ。」
ちょっとした沈黙が部屋を包む。
「とりあえず、GEARに連絡するから事情を伝えてくれ。」
「うん、ありがとう。」
携帯を取りだし、ベガさんに繋ぎ、事情を話してシャルルに替わる。
その後、しばらく通話は続き。
「はい、お願いします。星夜、最後に替わってくれって。」
「あぁ。」
携帯を受けとる。
『デュノアちゃんの事情はわかったわ。あとのことは私たちにまかせてね。何かあればすぐに伝えるから。』
「はい、お願いします。」
そう言うと通話を切り、携帯をしまう。
その後、一夏が戻ってきた。
「一夏、とりあえずGEARには連絡したからしばらくは待つしかない。」
「あぁ、わかった。」
一夏から弁当を受け取り、立ち上がる。
「じゃあ今日は部屋に戻って寝るわ。おやすみ、一夏、シャルル。」
それぞれに挨拶して部屋を出た。
とりあえずここまで。
複数の事を同時消化しようとするとごちゃごちゃしてきますね。
頑張っていきますよ!
オリジナルのDWを出すかどうかが最近の悩みです。
ご意見、ご感想はお気軽にどうぞ!
――――
楯「うぅ~。」
虚「どうしました?」
楯「まさか簪ちゃんと戦うなんて…。」
虚「あぁ、その事でしたか。」
楯「これって全力で戦わなきゃいけないわよね?」
虚「そうですね、手を抜けば嫌われますね。」
楯「そうよね、でも、それで怪我とかさせたら…。」
虚「もう少し妹様を信じて差し上げたらどうですか?」
楯「そ、そうよね!?信じてあげれば良いのよね?」
虚「いざとなれば天野くんもいますよ。」
次回!IS戦士電童
第19話《姉妹対決、打鉄弐式対霧纏》
楯・虚「「天野くんの出番はあるのかしら?」」